BOTTOMLINE

[PROS]

◎グラフィックスのクオリティは水準以上
◎易しいのでFPSが初めてという人でも安心
◎プレイ後には他のWWII物FPSがより面白く見えるようになる



[CONS]

×非常に短い
×難易度を上げても簡単で手応えが無い
×ずっと同じプレイ感が続いて単調
×ロケーションのバリエーションが乏しい
×部隊から離れるとゲームオーバーにされてしまう
×出血表現が無い
×無敵設定の味方が強くて、プレイヤーが戦う前に敵を倒してしまう
×敵のAIは原始的で戦闘に面白味が感じられない




 低予算のバリューソフトには、「様々な面で劣っているので単に面白くない」というタイプと、「もはやそういう問題ではない」というレベルの2種類が存在するが、このゲームは前者に属している。物凄い駄目でどうしようもないという印象は無くて、シンプル過ぎる内容に加えて総合的な出来栄えが良くないだけ。「酷い」のではなく「面白くない」ゲームである。またテーマがWWIIだけに個性的な要素や強い主張が感じられないのも難点か。低予算ゲームの中には、世間の評価は良くないが個性的であるとか、ある点だけは面白いという事から一部のマニアに人気が出る物も存在しているが、そういった特徴的な面を持っていない。

 バリューソフトとしての立ち位置も微妙である。以前はPCならばPC専用として、コンソールのバリューゲーム(シンプル2000等)とは別の扱いであった。しかし今回の様にXbox 360&PS3と同じエンジンで作られてしまうと、当然Shader Model 3.0対応が原則になるからPCでの必要環境がこれまでよりも飛躍的に上がってしまう。バリューゲーム=安くて専用のビデオカードも積んでいないPCユーザー向けだったのが、そうなってしまうと買える人が大幅に少なくなる訳で、その意味ではPCユーザーを狙ったゲームでは無いのかという気もする。PCでも売りたいならばグラフィックスのレベルを数段落としても必要環境を下げて、PS2版の方を移植するとかの方が対象ユーザー層を考えると妥当である。

 だが一方で平均年齢層が若くなるXbox 360&PS3のユーザー向けに、これを$49.99で売るという戦略が成功するとも思えず、どういう市場を狙ったのかが見えて来ない作品である。何かとのタイアップ作品ならば宣伝もされるので売れる可能性も残るが、全く宣伝自体が行われていないようなので、そうなると店でいきなり手に取ってこの様な聞いた事も無いゲームを買う人はまずいない。やはりクオリティを落としてでも販売価格を安くして勝負するべきであり、どういう企画を経てこういった物が作られたのかは謎である。

 人に薦めるとなっても、特には対象が思い浮かばない。よっぽどのWWII物のファンとか位か。或いはボーっとして集中もせずに、流すようにしてFPSをプレイしたい時には、(そんな時があるかどうかはともかくとして)向いているとは言える。特にプレイヤーの注意を惹くでもなく、またイライラさせる要素も少なく、ただ淡々と進んで行く“アンビエントFPS”とでも言うべき印象のゲームである。後は私はこれを£2.99(約390円)で買ったが、実際にそんなレベル相当なので安かったら暇潰し用に買っても良いかも知れない。

 どうせならばマルチメディア系の資料面を充実させれば、ゲームがおざなりな内容でも価値は出たと思うのだが、残念ながら資料性も無いしゲームの方でも太平洋戦争の雰囲気を味わう事はほぼ出来ないという結果に終わっている。

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