<GAMEPLAY>
ゲームの構造は当時のFPSのスタンダードな形式に則っており、全体は4つのエピソードからなっていて第一エピソードから順番にプレイする事を推奨するが、プレイヤーの自由でどのエピソードからでもプレイは可能という形式。所持武器やアイテムはエピソード毎にリセットされる。ただ少々異なっているのは、各エピソードをメニューから選んでスタートするのではなくて、スタート地点が全ての集結したHubとして実際に3Dで作られたマップとなっており、この中を実際に移動して難易度及びエピソードを選択する方式である。それぞれのエピソードの最後のボスを倒すとRuneが手に入り、これを4つ集めるとラストのマップへの入り口が開くようになっている。
難易度はEasy/Normal/Hard/Nightmareの4種類だが、最後のNightmareは隠し入り口となっている。他の難易度はスタート地点からの3つに分かれた道で選ぶという方式。
4つのエピソードはそれぞれDimension of the Doomed, Realm of Black Magic, Netherworld, Elder Worldとなっており、それぞれが7-8個のマップにて構成されている。各エピソードに付き一つずつのシークレット・レベルも有り。クレジットを見るとエピソード毎にメインのマップデザイナーは偏っていて、Dimension
of the Doomed(Tim Willits, American McGee), Realm of Black Magic(John
Romero), Netherworld(American McGee), Elder World(Sandy Petersen)といった感じになっている。
全体で30個程度のマップのバラエティさという観点から見た場合には、個々に結構変化が付けられているので飽きずにプレイ出来ると思う。しかし逆にエピソード毎の変化という点ではあまり明確な物が感じられず、登場する敵もダブっているしグラフィックスを含めた世界観もそれほど顕著な変化が付けられているとは言えない。全体的には中世風(ゴシック調)のイメージが強く、残りは基地といった雰囲気。設定がSFの割には未来的なイメージはそれほど無く、未来的なテクノロジーを持った敵という目で見るとちょっと変な感じではある。ただ個人的には当時その混沌としたダークなイメージが非常に気に入っていた。
マップには今の基準からするとそれほど広くなくて(当時のマシンパワーの問題から)、また広いアウトドア系のマップは無く大部分がインドアである。シークレット等の探索に力を入れずに進めるならばNormalにて12-15時間程度で初回クリア可能だろう。パズル的要素は多少あるが、謎解きはスイッチを押すか赤や青の鍵を集めるかで大抵は簡単である。ただし各マップに多数存在するシークレットや、特殊な方法で行けるSecret
Levelを探す事はかなり難しい。
操作系は非常に単純でしゃがみ動作も無いので設定キーは非常に少ない。当時の他のゲーム同様にMouselook(垂直方向もマウスを使って見渡す機能)はオプションであり、KBでの操作を前提としているので銃の照準に関しても垂直方向はかなりアバウトである(敵に照準を合わせなくても自動的に当る)。Mouselookを定着させたゲームとして一般的にはこのQuakeが挙げられるが、これはシングルプレイではなくマルチプレイにて盛んに使われるようになったからというのが大きい。
武器の切り替えラグや移動による照準のブレの概念は無い。リロードも無いので弾が有る限りは全ての武器は連続して攻撃可能。回復はHelathやArmorを拾って行う。Saveは自由に可能という仕様。
武器はそれほど多くなく8種類。Axe,Shotgun, Double-Barrelled Shotgun,
Nailgun, Perforator, Grenade Launcher, Rocket Launcher, Thunderboltとなっており、ユニークで風変わりな物は無いしバリエーション的にも凝っていない。悪くは無いがシングルプレイに限るならばこの点はアピールするには弱い所。その代わりに個々の武器の撃っている感覚は迫力が感じられて良い出来である。
パワーアップ用のアイテムは取った瞬間に効果が現れるタイプで、シングルでもマルチでも取るタイミングが難しい。姿を隠すRing
of Shadow、無敵のPentagram等あるが、メインはやはりダメージを4倍にするQuad Damageだろう。
モンスターはそれまでの他のゲームとは一線を画したという感じのデザインで格好良かった(今見るとそうでもないが.....)。ボス系を除くと13種類存在している。ポリゴンで製作されている敵なので見映えは良かったし、3Dとして動いている敵との対決は非常に新鮮であった。コンセプトとして異常な数が登場して来て数で勝負という感じではなく、数はそこそこで単体が強いというバランス。ただしAIに関しては単純そのものであり、音を聞くといった能力は持っていない。ただ当時としてはこちらをちゃんと追い駆けたり、高台から飛び降りてみたりと優秀な部類であったかも。
全体としてパズル性を抑えてアクションに的を絞っており、スピード感のある戦闘が楽しめるゲームである。難易度的にはNormalではそれ程高くなく、FPSに慣れている人ならHardの方が適当かも知れない。時代が経過しているのでシンプル過ぎるという感も有るが、高速のアクションFPSが好きならば検討の余地はある。
<GRAPHICS>
それまでのFPSに比べてQuakeの優れていた点は完全に立体的な3D世界の構築という事になるだろう。他のゲームではマップは3Dでも敵やアイテムの様なオブジェクトは2Dで描くというシステムだった。言ってみれば厚みの無い平たい画をアニメーションさせて立体であるかのように見せていたのである。
ところがQuakeではマップ自体はもちろんの事、モンスターやオブジェクトまで全てがポリゴンで作成されていた。敵の横へ回ればちゃんとそのモデルの横からの視点で、後ろへ回れば後ろからの視点でと、現実同様に360度の描画を確保していたのである。それはモンスターのモデリングの細かさやそのアニメーションのリアルさも含めて(当時の水準では)、新しい世代の3Dグラフィックスエンジンの登場を強く印象付けるものであった。それまでのあくまでもゲームという印象のグラフィックスから、リアルに完全な3D空間を動き回れるというインパクトは相当な物があったのを憶えている。そして明るい雰囲気を完全に排除した極端にダークなグラフィックスには個人的にかなりやられた。シリアス度という点でも当時として異質なタッチであったし、またモンスターデザインの良さもそれまでで最高の物だったように思う。
これらの高度な表現を実現した物、そしてQuakeと来たら何と言っても3dfx社のVoodooになる。95年終わり位からそれまでの2Dアクセラレーションだけではない3D機能を持ったカードが幾つも現れ始め、Voodooはその中の一つであった。その高い能力とプログラム側からの使い易さで一気にメジャーになり後に3Dカードの覇者となるのだが、その最大のポイントとなったのはこのQuakeではないかと思う(あとTomb Raider)。
それまでグラフィック・ワークステーション専用であった3DAPIであるOpenGLを使用するというのも凄かったし、実際にその画像は衝撃的だった。「こんなにもリアルな世界がグリグリとスムースに動くのか!」と感動した憶えがある。DOSでのグラフィックスも確かにトップレベルだったが、これはもう別次元という感じがしたものだ。ただ当時はマシンパワーの問題から320*240といったクオリティで動かす人も多かったので、全員がその素晴らしいテクノロジーの恩恵を受けられた訳ではなかったのであるが。その後のQuakeエンジンは3DFPSの世界では高いクオリティを持った物として多くの企業に採用され、長く王座に君臨する事になる。
所で何故当時としてはPCでOpenGLなんて無茶(数十万円クラスの専用カードが必要だった)という時代にOpenGLを採用したのかについてだが、これは3dfxが3Dカード戦争への切り札としてQuakeを選択し、採用の為に強烈にidに売り込んだかららしい。彼等は自社のVoodoo用にMiniGLと呼ばれる機能を設けて動作をサポートする事を示し、それを受けてid側も採用に踏み切ったそうだ。実はこのMiniGLは言ってみればGLquake専用のドライバであり、一般的なOpenGLを完全にはサポートしていない。なおidの環境には高速のGWSが多数有り、これで休み時間に遊べるようになるというのもあったようだ。
元々が640*480程度の解像度を基本として作られているのでそれほど解像度を上げたからといって綺麗になる訳では無く、既に現在ではテクスチャの質やアニメーションの粗さ等が目に付いてしまうが、まあ見れないものでは無いと思う。
<SOUND>
BGMや効果音はNine Inch Nailsが作成しており(個人的にファンである)、ダークな雰囲気作りに一役買っている。彼を採用したのはidのメンバーにもファンが多かったからという理由。そのBGMには意外とロック調の物は少なく、アンビエント系の不気味な感じの物が多い。なおこれはCDとしてプレイすれば聞けるので、当時NINのファンがゲーム目的ではなく購入といった話もあった。なおゲーム中のNailgunのAmmoのロゴはNINのもの。全体的に武器の発射音等サウンドのクオリティはかなり高い。3Dサウンドには未対応。
一つ注意点として、このQuakeだけではないが当時のゲームではCD AudioをBGMとして使用している物があって、それ故CD-ROMとサウンドカードが音声用のケーブルで接続されていないとBGMが鳴らない(現在はMP3やOGGといったデータをHDから読むのが普通)。CD-ROMに普通の音楽CDを入れて音が鳴らないのならばケーブルが内部的に接続されていない事になる。
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