<MULTIPLAY>

 Q1がインターネットでのマルチプレイの火付け役とすれば、このQ2はそれを更に推し進めて「3DFPSにマルチプレイは必須」というイメージ付けを確固たるものとしたゲームと言えるだろう。これにはもちろんQ2自身の能力と言うのも大きかったのだが、発売当時の98年頃はインターネットを巡る環境が劇的に変化していた発展期でもあり、その時流に乗ったというのもある。当時インターネットを通じて無料で簡単に出来る対戦型の3DアクションとなるとQ2以外には大してゲームが無かったので、ネット環境が整ったのでマルチプレイもやってみるかという人間を独占的に獲得出来たのである。
 もう一つ追い風となったのがこの頃からスタートしたPCゲームの世界大会と、それに伴なうプロゲーマーの登場である。当時ネットを通じた対戦ゲームとして著名だったQ2はその種目にも選ばれ、熱中して技を磨くプレイヤーが増えるキッカケともなったのである。そして個人戦や団体戦も含めて大小様々な大会が開かれる様になり、対戦型ゲームとしての大きな盛り上がりがクランの更なる発達を生んだりもした。

 またネットコードの優秀さも触れておかねばならない。快適なネット対戦を実現するプログラミングというのは今でも発展途上であり、特に高速でデータ転送を行う必要のあるFPS系ゲームについては独特な技術を必要とする。その点で当時既にQ1によるノウハウを持っていたidは他社を寄せ付けないレベルの技術を持っており、QuakeWorldをベースにしたQ2のネットコードの優秀さは他社を圧倒していた。Q2に対抗しようと同じくインターネットでの無料対戦を採用するFPSは追って出現していたが、例えば現在では著名なUnreal Engineも当時はネットコードに問題が有ってQ2の相手にはならないという感じだった。更にLinuxサーバーへの積極的なアプローチと言った先見性もあって、大人数プレイにおいてのパフォーマンスやゲームのサーバー数では優位を誇っていたのである。



 ゲームプレイ面から見た場合、このQ2ぐらいネット対戦の比重の大きいFPSはそうは無いだろう(これは近年では変わって来ているが)。当時海外ゲーム誌で見たのだが、Q2を買う人の40%強がシングルプレイには興味が無いというアンケート結果が返ってきたそうだ。つまりシングルプレイについては武器の感触を掴む為の練習にしか過ぎず、そこそこやった所でもうマルチプレイに行ってしまい、そのままゲームを終わらせる事はないという意味である。実際の所Q2ではシングル派とマルチプレイ派が分離していた感じで、シングル派はそちらでユーザーマップを作ったりして盛り上がり、マルチ派はMod製作やそれをプレイしたりで盛り上がりといった風だった。
 Q2ではQ1でもあったModコミュニティが更なる発展を見せ、相当なレベルのModも数々登場した。それと合わせてQ2はゲームとしては規模が大きく複雑になった為に、この頃から相応の人数でチームを組んでのMod製作というのが常識になった。よってModの数その物はそれほど増えていないのだが、多人数になった分クオリティの高い物は増えて来たとも言える。


 テスト版のデモの段階からQ2のマルチに関してはいろいろと議論があった。1のファンから挙がっていた不満点としては以下の様な物がある。

1.武器により撃った後の反動により照準がずれたり、次弾を撃つまでに間が空く時間が長くなった
2.武器をチェンジするときにモーションが入るようになったので切り替えが遅い
3.画面上の武器が中心に無いので変な感じがする
4.アイテムを所持して使う事が出来るのはアンバランス

 元々のQ1はとにかくハイスピード・ハイテンションの殺し合いというコンセプトで、ガンガンとやり合う爽快感というのが面白さだったのだが、2ではリアル指向(或いはシングルプレイに合わせたバランス)になった分、そういった爽快さは大分押さえられている。その為に初めからネット対戦以外は興味無しというプレイヤーからは不満の声が上がったという事になる。実際に発売後もしばらくはQuakeの対戦サーバーの方もかなりの数が残っていたのも、こういった2への不満からあくまでも1のバランスを好むという人が多かったという理由からだろう。しかしながら結果としてはQ2は冒頭に述べたように大量の新規ユーザーを獲得して、ネットプレイゲームとしては大成功を収める事になる。なお近年FPSを始めたという人には初代の方が異質に映ると思う。現在のFPSゲームの多くはQ2の方に近いので、Q2の方が違和感はないはずだ。


 ゲームの仕様としてはDM系だけではなくCoopもサポート。DMについては8つの専用マップが提供されている。モデルも単一のモデルから女性やサイボーグタイプを追加と拡張もされた。基本的なルールは現在流通している物と大きな違いは無い。実は現在でもまだQ2のマルチプレイのコミュニティは残っており、それなりの数のプレイヤーが常駐している。ただしプレイされているゲームのタイプはMod系が中心となっているようだ。

 ゲーム自体にはサーバーリストの取得機能を持っていないので、公開されたサーバーへの接続にはGamespyやAll−Seeing Eyeといったソフトが必要となる。PlayerのSetupやマルチ関連のOption系はメニューから可能なので問題は無いだろう。相当な数のスキンやマップが出回っているので、Allow DownloadはYesにしておかないと入れるサーバーが少なくなるかも知れない。

 Botについては結構な種類が存在していたが、有名なCRbotやEraser bot等もリンク切れでDownloadは出来ない様だ。



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