ASSAULT BONUS PACK

                                    02/03/14


<概要>
 AssaultはUTオリジナルの先攻・後攻に分かれて戦う特殊なゲームタイプで、周囲の評価も高くコアなファンも多い。私も個人的にこのASの大ファンである。ただASは製品版に収録されたMAP数が少ないのと、それらのクオリティが特別高い訳ではないので、全体的な人気では今一つだった。

 それとASにはそのMAP構造上数々の問題が発見され、マルチプレイにおいてはその件も災いして人気は盛り上がらなかった。そこでそれらの問題点を解決すると同時にASの人気MAPを同梱して、その普及を図ったのがこの(Eavy)Assault Bonus Packである。


<VERSION>
 Versionは418で、これが最終版になる。
   FilePlanet     UnrealCenter


<ASSAULTの問題>
 まずはASの抱える問題点について解説する。それは何かというと、このゲームをどの様に遊ぶかという解釈の違いにある。つまりどこまでを戦術と見なすのかという問題だ。自分のマシンでしかASをやったことが無いという人が、いきなり海外サーバーに行くとおそらくビックリさせられる事だろう。ゲームを1分も経たずにクリアされたりとか、通常ならばここにいれば良いはずのポジションに誰も人が来なかったりとかで.....
  
 それは実は裏技とも言えるものが随所にあり、これを使って遊ぶ人がいるからなのだ。つまりこれを認めるかどうかが大きな問題と言えるだろう。具体的には以下の様なものが存在している。

1.Impact Jumping
 Impact Jumpによって作者が意図していなかった場所を飛び越えてしまう技。
  例:Frigateの2階へ飛び上がったり、Gekokujouでいきなり正門を飛び越えてしまう。
2.Impact Launch
 数人のチームメイトが待ち構えている所へ走って行きジャンプ。そこで待っていたチームメイトが同時にImpactHammerの溜め撃ちをして大ジャンプ
 をさせる技(FF無しの場合)。  例:Overlordでスタート地点から一気に入り口まで飛んでしまう。
3.Rocket Launch
 仲間の足元へロケットの両ボタン押しの集中弾を当てて飛ばす技。6発溜めで相当飛ばせる(FF無し)。
  例:Mazonで裏門へ行かずに敵陣の城の上にまで一気に飛び上がり、そこから中に入り一気にクリアしてしまう。
4.Mover Blocking
 開くはずの扉やスイッチをブロックして動作不能にしてしまう。
  例:Highspeedの2階のスイッチが入る瞬間に反対側をブロックして、そちら側に移動するはずのレバーを元に戻して2度と開かなくする。この場合
    決してクリア出来なくなる(プログラム的には一度しか動かないので)。
5.Cheat
 プログラムのバグ、主に当たり判定の虚を付く技。
  例:Overlordで最後の部屋まで上がらずに、下から旗を撃ってクリアという事にしてしまう(その後ろの壁にまで当たり判定が伸びているので)。

  2,3についてはFriendly FireをONにする事により防げるとはいえ、それだと逆にTeamkillを許容することになるのでそれもまた問題である。

 いろいろとある訳だが、問題は戦術としてどこまでやって良いのかというのが人によって違うということだ。あくまでも作者の意図していない方法でのクリアは違法だという考えもあるが、どうやろうが作戦は作戦という考え方もある。つまり上記の様な技術を考えたり、使える場所を探したりするのはある意味戦術の一部であって違法では無いし、実際に使ったりするのはそれなりの練習やテクニックがいるのでそれも技術の内。これらの事を全て知った上でそれを防ぐ為に守ったりするのもASのゲームの一部である、という考え方だ。この様な裏技?を知り尽くした同士で戦い合い、時には正攻法で裏を書き、そして新たな抜け道を探し出してクリアするのが面白いという人達も多い訳である。
 根本的にはこれはどちらが正しいのか結論は出せないのだが、問題は両方の考え方の人がネット上で混在してしまう為に公開されているサーバーではゲームが楽しめないという事にある。普通に遊びたいと考えている人が集まっても、一人でも抜け道を使う人がいればゲームにならなくなるからだ。これがASサーバーが少ない大きな原因の一つになっている事は間違いないだろう。これを防ぐにはルールを決め合った友人同士の内輪で遊ぶしか手が無いのだから。

 そこでこれらの「抜け道をどこまで許容するか」をサーバーサイドで設定出来るようにするのがこのEavyAssualtBonuspackというMODである。これをサーバー側が入れておけば細かくどれは可能で不可能かを設定可能だし、現時点までにわかっている著名なMAPのバグについてはMAPのデータベースを使って防ぐ様にされている。よってこれを使っているサーバーに入れば共通のルールで遊べるという事だ。ただしこれは万能では無く、ウイルスとワクチンの戦いの様なもので、当然このプログラムの現バージョンの抜け道を付いて来る人もいるという事だ。


<設定>

 
 ここでは簡単に設定について解説しよう。これを使用するにはMutatorタブから選択してやるだけで良い。また自分がONにしていなくてもサーバーが使用していれば機能はそちらが優先される。この設定画面はMODのタブから呼び出せる。

 一番上のMODEは通常のUTのモード名とは別で、どこまで裏技を許すかという設定Classicにすれば全てを防御するような形になる。上段左の4つは上で述べた裏技の防止のON/OFF。右側は以下の通り。

TeamDamageProtect:FF ONの時にチームメイトを攻撃すると自分にダメージ
TeamCannonDisabled:砲台を止める
FortStandardDisplayed:次のオブジェクトに旗のマークで印を付ける
AssaultDefenseSet:攻守入れ替わらずに終る

 その下がそれぞれのSpawnProtectTimeでこの間は無敵になる。これはSpawnKillerという復活した瞬間をライフル等で狙って倒し続ける行為の防止の為。

DamageBalanceTeams:人数差がある時にハンデを付ける。0なら無し。
MoverEncroachDamage:Moverをブロックする時に入るダメージ
SpamProtect:弾薬を一定量以外取れなくする(チート行為防止)
SpawnProtect:時間で無くエリアによるプロテクト


 その他キー項目に新たな設定が加わる。かなりの数があるが重要なのは以下の様な物。
Player Change Team:ワンタッチでチームチェンジ
Show Objectives Message:最後に表示されたオブジェクトメッセージを再表示する。どこまで進んでいるのかわからない時に使える。
Admin Restart Game:ホストが現在のMAPを最初からやり直す時に使う。
Admin Stop Countdown:時計を止める。練習している時とかかなり有用である。
Load/Save Maps Config:上記のconfigをMAP別に保存する。自動的に設定された内容は読み込まれるようになる。


<GAMEPLAY>
 実際のゲームプレイがどうなるのかというと、Classic設定(全ての裏技的行為を禁止する)においてはほぼ普通のASそのままという事になる。単に裏技によるクリアを狙う人がその種の行為を出来なくなるだけ。違う点はまずSpawnTimeにより復活後は無敵になる時間帯があるという事。時間ならばその時間だけ、Spawn ProtectがOnならばエリアを出るまでは保護される(この間透明に見える)。それとAmmoの量が半分になる。これはSpam行為防止の為だが、ゲームとしてもこの方が面白くなるのでまあ通常ONで問題無いだろう。
 あとFort Standard機能はONにしておくと目標の位置がハッキリとわかるので、壊す時の狙う場所とかMAPを知らない人がプレイしたりするのに役に立つ。

 それとかなり便利なのがTeamCannonDisable機能だ。これはDF側のキャノン系武器を動かなくする物で、特にBot戦にて役に立つ。人間ならばうまくかわしたりとか、規定のダメージを与えて止めてしまったりとか出来るのだが、Botは砲台の攻撃に対して反応が鈍く、また反撃したりして死んでしまうので(止めようとしているのかもしれない)キャノンがあるとクリアが困難になるMAPが存在しており、これを使う事でかなりゲーム性が変更出来る。
 このキャノンも含めてMAPごとに上記の設定は保存可能であり、各MAP毎にバランスを考えて設定しSaveしておけばより面白さが増す事は間違い無い。


<ASSAULT THE BASE>

 BonusPackをインストールすると、新たにゲームタイプが増えているのに気が付くだろう。それがこのAssault The Baseだ。これはどの様なモードかというとチーム戦重視のルールに変更する物である。
 Assaultだけの問題では無いしまたUTだけの問題では無いのだが、ネットゲームの多くにはランキングシステムという物が取り入れられており、これは全世界のプレイヤーをポイントによりランク付けする物である。パスワードを付けた名前でランキング集計をしているサーバーに入って遊ぶと自動的にポイントが集計されて、自分が何万人中何位なのかとかが見れるのだ。

 問題はこのランキングで上位に入る事を目的としてプレイする人間が存在する事で、特にチームゲームではポイントの付け方が微妙な為に、高ポイントを取る為にチームよりも自分を優先する人間が後を絶たないということがあるのだ。言い替えると高い点がもらえる行為を徹底的に狙って、チームの為には動かないという事である。例えば死ぬと大きく減点されるのであれば仲間が危うくても助けずに隠れて行動するとか、チームが負けそうでポイントが入らないとなれば仲間を見捨てて落ちてしまい勝てそうな別のゲームに入るとか..... どんなゲームでもこの手の問題は起きている。
 当のASはというとオブジェクトを破壊するのがとにかく高得点なので、仲間を押しのけてでもオブジェクト破壊による高得点を狙いに行くというスタイルでのプレイが問題となる。そこでこのATBではそのポイントシステム変更しようという意図で作成されている。
 
 ・ゲームの勝敗は点数で決まる。時間では無いので両方ともクリアまで時間いっぱいプレイする事になる
 ・クリア時の残り時間により (分)*100+(秒)点が入る。4分30秒残っていれば430点という事。
 ・オブジェクトを破壊した時に10ポイント.また自分同様に回りにいる人間にも同じポイントが入る。
 ・オブジェクト付近で敵を倒すとボーナスポイント


 言ってみれば一人で強引に突破に行くよりは仲間で固まって行く方がポイントが高いと言うシステムになる。これにより独善的なプレイを制限する訳だ。なおbotもAIが修正されておりなるべく仲間で動こうとするようになる。

 このように作者自身がネットでASをプレイしている時に感じた不満点を改善するのが第一目的なのだが、これをシングルプレイにて使用しても面白い遊び方が出来る。ASでは通常自分が先攻になってしまうので(スタート後にチーム変更しか無い)先に簡単にクリアしてしまうとDFになった時に面白くないケースも多い。しかしこのモードだとフルタイムDF可能なのでたっぷりと遊べる事になる。つまり「時間内にクリア」と「時間一杯守り切る」という両方の楽しみが味わえるのだ。結構フルタイムBotを止めるのは難しいMAPも多いので、緊張感を持ってプレイする事が出来るだろう。


<MAP>
 最後にMAPについて。このASBではユーザーMAPの中でも定評のある物を集めて、MODと同時に9つのAS用MAPをインストールするようになっている。全てが上出来という訳でもないのだが、製品版でしか遊んだ事の無い人には是非ともこれらのMAPで遊んで見てもらいたいと思っている。比較的長い物が多く、次々にオブジェクトをクリアして行く面白さが味わえるはずだ(製品版の物は短い)。


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