MULTITEAM CTF

                                  02/03/16


<概要>

 Capture The Flagを4チームまでで行えるようにしたMODが、このMultiTeam CTFである。ただしUTはデフォルトでTeamDMとDOMにて4チームまでの対戦をサポートしているものの、これが成功したのかというとそうは言い難い。目先が変わって面白いという面は確かにあるが、2チームでの対戦に比べて面白くなるのかと言うとそうでもないからだ。
 同様にしてCTFにおいても、4チームになったからといってそれが2チームでプレイするのよりも面白くなるのか?という問題がある。そこを独自のルール設定により新たなゲーム性を加えて確立したのがMultiTeam CTFと言える。

 4チームでのCTFを可能にするMODには全部で3種類あるのだが、その中でも一番人気と評価の高いものはこのMultiCTFになるだろう。



<VERSION>

 現在MultiTeam CTF 2 Beta 5 (Version 190) ここ1年ほどは更新が無い。

    公式サイト


<ルール>

 ここではCTFのルールをどのように変更して新たなゲーム性を出しているのかを解説していこう。まず基本として4チーム各陣営にそれぞれの旗が存在し、これを他のチームが自分の陣地に持ってくるとCaptureという事になるという部分には変更は無い。では何が違うのかというと、

◎Captureした時のポイントは相手チームに入る 
 大きな変更点として、敵のチームの旗をCaptureした場合には、それを行ったチームでは無くて”旗を取られたチーム”にポイントが入るシステムになっている。つまりこのゲームでは点数が一番低いチームが勝利となるようになっており、通常のCTFとは逆のポイントシステムになる。

◎ディフェンス重視
 まず攻撃陣は相手が3チームあってもどこか一つを同時に攻めれば良い訳だが、DFは他の3チームから攻撃を受ける可能性を持っているので、それだけ人数が必要となるという事がある。次にゲームのポイント計算システムから考えてもそれは言える。
 例えばRedチームが非常に攻撃的に他のチームを攻めて、BlueGreenから2回づつ旗をCaptureしたとしよう。しかしその間1回づつに自軍の旗も獲られたとする。この場合旗を取った行為に点が入る訳では無いのでのポイントは取られた2回の2点、も同様に2回取られたので2点である。この時に徹底的にDFを固めて旗をCaptureしていないが取られてもいないというGoldチームが存在した場合、得点は2:2:2:0という事になって、TOPはGoldチームという事になるからだ。

◎同盟と裏切
 上のDF重視という点だけを見ると「それではガチガチの守り合いになって面白く無いのでは?」と思われるかもしれない。しかしここからがMultiCTFの面白い所になる。上記の様な状況になった場合、当然以外の3チームが考える事は「まずはを自分達のレベルまで引き摺り下ろそう」という事だろう。この場合の旗をCaptureするのが目的だが、MultiCTFでは[旗をCaptureしても自軍のポイントにはならない]ので[あるチームの旗をCaptureしたいと考える場合、それをCaptureするのはどこのチームでも良い]という図式が成立し、よって[あるチームの旗をCaptureしたいという考えが異なったチーム同士に共通して存在する]場合は、[当該チーム同士での同盟攻撃]というのが成立する。
 このケースでは3チームの攻撃陣が合同でを襲う事になり、こうなっては全員守備でも持ち応えられないだろう。もしが旗を取った場合、にしてみれば「この旗を自分がCaptureしようががCaptureしようが同じ事」になるので、の旗を持った人間を全員で援護する事になるからだ。

 もちろんここで裏切という行為も考えられる。ここは全員でを襲うのがセオリーという考えの裏をかいて、の陣営を奇襲するという事も出来る訳だ。この様にルール上[ライバルの旗が数多くCaptureされる]のが目的であって、[自軍が旗を取ってくるという行為に意味は無い]事からノーマルのCTFとはまるで異なったゲーム性になるのである。

◎複雑な戦略
 上で解説したように、このゲームでは[敵の旗を奪うという行為を自軍がやらないとならない訳では無い]ので、慣れるまではゲーム中かなり思考に混乱が生じる。まず単純な所でプレイヤーがチームだったとして「の旗を持ったに遭遇した場合」これを攻撃して旗を奪う必要は通常はない。自分がやろうががやろうが(のポイントが上昇するという)意味的には相違は無いからだ。もしものDFがこれを追っているならば、そちらに攻撃してを援護してやる事も考えられる。
 しかしここで「逆にの旗もに取られている」としたらどうだろう。この場合が無事に持ち帰っても、自軍の旗が無いのだからCaptureは出来ない。そうなると自軍()の旗があるならばを倒しての旗を奪って、自分で持ち帰った方が確実と言う考え方も出てくる。或いは「同時に自軍の旗がに取られている状況」ならばCaptureされない為にに旗を渡してはならず、この場合はを倒して自分で奪うのが理想的という事になる(の旗をCaptureした時点で旗は軍陣地に戻ってしまうので)。しかし「の旗を持っていて、一番の標的がチームの場合」ならば、の旗を持ったを倒してそのまま追手のに取らせてやる事で、の旗をCapture出来る事になる。

 このように[その時の標的チーム][現在どのチームがどこの旗を持っているのか]によって複雑に状況が変化するので、何をするのがベストなのかを見極めるのが大変である。しかもちょっとしたルール変更でベストの選択が逆になったりする事もあって非常にややこしい(‥;) この[必ずしも敵チームを攻撃したり旗を奪い取る事がベストでは無い]という点がMultiCTFの面白い所である。


<ルール>

 Rulesタブにて各種設定が可能となる。なおBot関連の設定は別項で解説。

One Flag Mode
 これは全く異なったルールでゲームを行うモードで、MAP内にランダムに出現する一本の旗を取り合い、それを敵チームのBaseへ運ぶゲーム。運ばれたチームにポイントが加算されて一番少ないチームが勝ちとなる。
Omniscience
 上記モードにて旗の存在するZoneを表示する。Botもそれを自動的に知る事になる。
Flag Elimination&Team Elimination
 両方セットで機能する。設定されたLimitに達した場合(このゲームではポイントが逆)、そのチームがゲームからOUTになるかどうか。その時に旗を消すかどうかの設定。OUTになったチームは旗のマークが消えて観戦者モードに移行する。
Rejoin Team
 マルチでの設定だと思われるが、OUTになったチームの人間が他の存在しているチームに入って遊べるかどうか。
Carry Flag Back
 取られた旗を誰かが持ち帰らないとならないモード
Multi−Flag Caps
 旗を同時に複数本所持出来るかどうかの設定
Sudden Death Mode
 あるチームがLimitに達した時点(OUT)でゲーム終了となるモード
No Overtime
 ゲーム終了の時点で同点だった場合、延長戦に入らずに同点1位のチームのプレイヤー成績の合計点で順位を決めるモード。何故この様なものがあるのかというと、システム上延長戦に入ると問題があるから。仮に2:2:3:4で延長戦に入ったとしよう。この場合3,4点のチームは2点のチームからCaptureする以外に無いが、2点チームのどちらかの旗をCaptuteした時点で取られなかった方が勝って終わってしまうという事が起きる(2:3:3:4の様になって)。つまりプレイする意義を失ってしまうという意味合いから延長戦廃止の為に設けられたルールとなる。ただし旗を複数持てるのならば、上位チームの旗を同時にCaptureするという可能性は残されている。
Random Placement
 チームのBaseの位置をランダムに決める。MAPの中には対称形で無い物が存在するのでその不公平を無くす為のルール。ただし旗以外のMAP内の色が変化する訳ではないのでかなり混乱する。
Reward Captures
 旗を取る事によるBonusの設定。これで大きくゲーム性が変化するので設定は慎重にしないとならない。別の窓が開いてそこで設定するが、Returnは自軍の旗を戻した場合で、その他の数字は同時Captureした旗の本数を示す。Returnは頻繁に起きる事なので特に指定しないのがお勧め。逆に2,3本同時Captureは滅多に無いので高めのBonusでも問題無い。一番のポイントはSubtract Pointの設定で、これは自軍のポイントをマイナスする効果を持つ。
 もしも1にチェックを付けた場合は全くゲーム性が変化する。旗を取るとポイントがマイナス1されるという事になるので、自軍が旗を取る事に大きな意味が出てくるからだ。よって本来のゲーム性から行くとチェックはしないのが本筋。2,3にチェックしておく程度が良いだろう。ただ延長戦に入った場合とかは一発逆転の目が出てくるので面白くなる。
Enable Crazy Option
 おふざけの設定なので割愛
LMS Mode
 これはあるチームがOUTした場合、その後入ってきたプレイヤーにゲーム参加を許可するかどうか(マルチプレイのみ)


<BOT>

 作者はシングルプレイでも遊べるようにかなりBotのAIには気を使っており、その甲斐あってなかなかよく出来ていると言える。プレイヤーが設定出来る項目としてはHeavy Bot Defenseがあり、これがONだと初期設定でDFの数を多くする様になる。通常のCTFでのOF:DFが2:1なのを1:2にするという事。ガチガチの守り合いになるので好みで設定という事になるだろう。それとSmarter Botsは、ONだと他のチームの旗を運んでいる相手を襲わなくなる。同時に攻撃目標が共通だと協力してそのチームを攻撃する様になる。よって通常はONにしておいた方が良い(若干これだとまずいケースもあるが)。

 重要なのは設定により行動パターンが変化するという点。これは一長一短なので個人の好みで決めるしかない。優先度合いは以下の通り。

1.攻撃するチームをプレイヤーは指定する事が可能で、他がどの様な設定でもこれが優先される。
2.Random EnemiesがONの場合、各BotチームはCaptureする毎にランダムに決められたチームへ攻撃する。

 ただし[他のチームの旗が落ちていた場合]や、自軍の旗を取り戻しに追い駈けて行って、或いは状況が変わる直前まではそのチームへの攻撃命令だった場合で、[敵陣Base付近まで入り込んでいた場合]については上の限りでは無い。

3.Score Limit設定
[Score Limitが0の場合]
 時間内での争いでスコアのLimitがないケース(RandomはOFF)。この場合各チームは自軍以外で最もポイントの低いチームを自動的に攻撃する。1チームだけが低ければ3チーム同時にそこを攻撃する事になる。複数のチームが並んでいる場合はカラーコードの順で攻撃する(−)。もしも点数が()ならば、を、を、を、を攻撃する事になる。
 これが一番理に適っているのだが、Botチームは裏をかくとかせずに愚直にこれを実行しようとするので、常にスコアは均衡が取れた状態になってしまう(マルチプレイと違い実力差もほぼ無いので)。よってTOPと最下位の差が2点差以上は開きにくく、勝負が何分であっても結局の所最後の2,3分で決まるという傾向に成りがちという欠点がある。

[Score Limitが設定されている場合]
 この場合は、Random EnemiesがONならば各チームランダムに敵を決める。これだと敵の動きを読みづらいし、戦況もゲーム毎に変化するのでその点では面白い。だが明らかにそうではないだろうと行った行動をする可能性が出てくるのが欠点。この設定でRandomがOFFの場合は、どんな状況になってもカラーコードの次のチームを攻撃し続けるので、これは避けた方が無難だ。


<GAMEPLAY>

 このMODはゲーム性が独特で新鮮であり、CTFには飽きたとか、あまり好きでは無いという人でも一度試す価値はある。自軍チームへの攻撃指示によってもかなり変わってくるので戦略面での面白さもあるし、2チームに比べて勝つのが難しいのでそれもまた良い所だ。このゲームではDFが大変なので、自分がDF担当でも楽しめるはず。Botも理想を言うともうちょっとだが、十分に遊べるレベルなのでシングルプレイ派にもお勧め出来る。個人的にはFlagはCarryして戻さないとならなくして、Multi FlagはON、Team EliminationをONにして遊ぶのがお勧めである。
 マルチプレイサーバーも幾つかあるので、サーバー一覧のMultiCTFタブから検索してみよう。

 バグとしては、Team EliminatioinにてOFFになったチームのメンバーが死んだ状態で固まってしまうという点がある。実はこの部分がちょっとルール的におかしくて、[OFFになったチームは次に死んだ時点で観戦者になる]のだが、この時同時に[OFFになった時点で旗が消える]というルールが強制的に適用されてしまう。これが無ければ(そしてCarry Bonusがあれば)、OFFになっても全員が死ぬ前に敵のチームの旗をBonusでポイントが減点される形で取れば再びゲームに復活可能なのだが、旗が無くなってしまうのでそれが出来ない。よってただ無意味にゲーム中に残るだけになってしまうという事になり、それが問題となってバグとして現れているのだろう。


<INTERFACE>

 HUDには旗を取っているチーム名とその人間が表示される(Goldチームが標準のHUDと重なってしまうのがちょっと気になる)。操作は旗のDropキーと、攻撃チーム指定のキーを事前に設定する必要がある。Dropキーは自分がOFで旗を取り返して戻る時に遭遇したチームのDFに渡して代りに持って帰ってもらったりとか、マルチCaptureによるBonusがある時に他のプレイヤーに旗を集める時に使う。


<MAP>

 当然の事ながら、このMultiCTFでは専用の4チーム用MAPを使用する。MultiCTFの強みの一つはこの専用MAPが非常に多い事で、公式サイトやNalicity等から他数のMAPを落として遊ぶ事が可能である。
 MAPはタイプで分けるならば、製品版等のMAPの4チームへのコンバージョンタイプとオリジナルタイプ。このオリジナル仕様のMAPが結構あるのもゲームを面白くしてくれる要素の一つだ。形状で分けるならば4チーム対称形の不公平の無い物と、チーム毎に異なっているタイプがある。製品版のCTFでは無いMAPをコンバートしている物もあり、中には強引に4つのBaseをMAPに入れている場合もあってバランス的にはちょっとという物も。



  目次