JAILBREAK

                                 02/04/09


<概要>

 Quakeシリーズのmodとして著名なJailBreakのUT版。基本はシンプルに敵を牢屋に閉じ込めるというTeam Deathmatchの変形ゲームなのだが、様々なアクセントが付け加えられている。


<VERSION>

 現在はUT-Jailbreak IIIの名前で第3版がリリースされている(29MB)。

  公式サイト

 なおバグ修整等を加えたService Pack 1がリリースされている。マルチプレイで遊びたい場合でもコンパチなので問題無い。シングルプレイのBotmatchでもこれを適用する事で幾つかの問題が解決されるので入れるのをお勧めする。


<ルール>
 
 ここではゲームのルールを解説する。基本は単純で次のようなもの。

※2チームによるTeam Detahmatchで、それぞれが自分の陣地を持つ(そこにSpawnする)
※それぞれのチームに牢屋(Jail)が設置されており、死んだプレイヤーはそこに入れられる
※それぞれの陣地には牢屋の解除スイッチが存在し、相手陣地のスイッチを入れる事で捕らえられている味方を脱獄させる事が出来る
※チームの全員が捕らえられると処刑が行われて、行った相手側チームにCaptureという事で1ポイント入る
※Captureが行われると全ての装備はリセットされ、同時に全員がRespawnして続行される
※最初の一人からTimeout(デフォルトは5分)以内に全員を捕まえられない場合は開放される
※定められたCapture Limitに達するか、制限時間内に多くのポイントを上げた方が勝利


 その他に付加ルールとして次の様な物がある。

*Human Ladders
 牢屋の中には脱獄可能な物も存在していて、通常では届かない高さに穴が開いたりしている。ここから最初のプレイヤーがしゃがんでその上に人が乗り、更に次のしゃがんだプレイヤーの上に下の人間がジャンプして乗るとかして作るハシゴで何人かは抜け出る事が可能。
*Arena Match
 双方の牢屋にプレイヤーが入っている時に、ランダムで選ばれたプレイヤーによるArena Matchが開催される事がある。これは通常のMAPとは独立した空間で行われる1on1の試合で、勝者は牢屋から脱出する事が出来る。開始前にはそのプレイヤーにはアナウンスがあり、他の獄中のプレイヤーは試合を見る事も可能になっている。

*Translocator
 MAPによって使用可能かどうかは設定されており、またMAP内においても使える場所とそうでない場所とが定められている。これらはHUDの下に出るマークで判別可能である。

 追加として牢獄のシステムに付いて幾つか。捕らえられる牢は自陣にある場合、中央、そして敵陣にある場合があり、自陣以外の場合は出た途端に攻撃される怖れがあるのでSpawn Protectシステムが組み込まれている。これは秒数や武器を取るまでとか設定が可能。次に牢に全員が入った場合の処刑にはMAP毎に工夫が凝らされており、通常はPressureによる処刑なのだが、銃殺や爆破、溶岩、水攻め、Monsterによる処刑と多彩。この時に最後の一人を倒して牢に入れたプレイヤーも表示される(BotだとTauntポーズを取る)。
 またScreenというMutatorを使用しており、獄中に現在のスコア情報やMAP上に他のプレイヤーの動きやステータスを表示するといった面白い機能も備えている。カメラを設置してあるMAPもあって、近付くと幾つかの場所の状況が表示される。その他JBdeadmanというMutatorを使う事で、獄中のBotにおかしな行動(寝る、味方を攻撃する、自殺する、変なセリフを吐く等)を取らせたりといった遊びも用意されている。

 注意点として脱獄時に扉が開いている時間はそれほど長くないので、注意しないと間に合わない事がある。視点を変えて生きている仲間の行動を見ていたりすると反応が遅れるし、JBdeadmanを使っているとBotの反応が遅れて逃げ遅れるケースも見られる。


<GAMEPLAY>

 ゲームは基本的にTDMになるのでチームの純粋な戦闘力は当然重要であり、両者に大きな差があればゲームはほとんど決まってしまう。しかしながら互角或いは多少の差ならば戦略的な面がかなり重要となる。クラン戦が多く行われているというのもチームワークが非常に重要だからだろう。ここでは主に製作側がこちらにも力を入れているというBotmatchについての感想を述べる。

 このゲームのBot戦はとても珍しい体験をさせてくれる。それは先が見えない、勝ち難いと言う点である。これは勝てないという意味では無くて、5割以上の勝率は確かに残せる。ただどう転ぶのか見当が付き難いという意味である。自分と同程度の戦闘能力を持ったBotを入れてCTF・DOM・AS等をやる場合、戦略という要素がある以上自分の側の勝率はかなり高くなる。人数の多いTDMについても一見プレイヤーの及ぶ影響力は低そうだが、人数を多くするとbotのFrag数が平均化するという面があるので、プレイヤーが良い成績を残せばそれほど勝率は悪くならない。
 ところがこのJBではプレイヤーの及ぼせる影響力に限界が有り、高い勝率を残すのは相当難しい。実際の所Botに0:5で負けたりとか、4:1から4:5にひっくり返されたりとか、その他のゲームモードではまず有り得ないような事が起きる。こういった感覚は非常に新鮮だった。

 まずルールからも分かるように倒されて牢屋に入れられてしまうと味方が出してくれるまでは何も出来ない。指示を出せるくらいである。そうなると自分はなるべく守備的に構えて残った方が良い様に見える。ところが攻撃に行かせた仲間がやられてしまい自分だけになってしまうと(例えば人数が4対1とか)、これは幾らBot相手でもキツイ。つまり理想としてはある程度まとまっていって数的優位を作り戦闘した方が良いのだが、いざやられてしまうと途端に不利になるというバランスになる。TDMとは1回の死の重みが全く違うので、かなり慎重にならざるを得ない。しかしあまり自分からは仕掛けずに行動していると何時の間にか数的不利になったりとかと難しいゲームなのだ。

 ゲームにおけるBotのAIは残念ながら完璧とは言い難い。指示に関しては独自のアグレッシブ度合いの設定キーがあり、これを+−する事で5段階に行動を決める事が出来る。これが高いほど味方が囚われた場合に人数を割いてリリースに敵陣に向かい、低いほど自陣の守備を重視するというスタンスを取る。
 問題は主にディフェンス面に有る。実はUTのBotは「特定の個所を守る」という能力を持っていない。単に配置された場所に来た敵を倒すだけである。これはCTFやDOMでは特に問題無く機能する。何故ならそのポイントに敵が達する事が問題では無くて、それを確保されない事が重要だからだ。CTFで言えば旗を取られたとしても持ち帰られる前に倒せば良い。旗を一度敵に持たれる前に倒しても、持たれた後に倒して奪い返しても同じ事である。ところがASやJBではポイントに触れられた瞬間に全てが終わってしまう。それから敵を倒した所で意味が無いのだ。しかしbotはあくまでもその敵を倒す事でそれを阻止するという事しか出来ない(言い換えると出来るだけ短時間で敵を倒さないとならないという概念が無い)。よってスイッチに向かって来た敵相手にわざわざ道を空けて攻撃を仕掛けるという事を頻繁に行う。Botにしてみれば敵の攻撃が当らない様に動きながら攻撃している訳だが、この為にスイッチを押された後に攻撃を当てて倒してガッツポーズという甚だ間抜けな事が起きる。
 これがASだと結構目標へのルートが一つしか無いケースが多いので、デフォルトのディフェンスポジションではなくて「回り込まれない範囲で最もポイントから遠い位置」にHoldのポジションを出す(例えば部屋の中にポイントがあり、そこへ来るにはある通路を通らないとならない場合、部屋の中に守らせるのでは無くて通路の入り口付近までポジションを前進させてしまう)事で対抗出来る。こうするとbotがどいて抜かれてもすぐにスイッチを押される事は無くなり、死んでもまた復活してディフェンスに後ろから駈け付けたり出来るので倒せる確率が高くなるのだ。
 しかしJBではSWまでがマルチルートになっている事が多く、この戦術は使えるケースが少ない。特にBotがきっちりとこのマルチルートを使える様にアサインされているMAPではSWを守る事はとんでもなく難しい。人間のプレイヤーが2,3人で守ってようやく一人のBotを止められるといった感じの物まであるので、こういったMAPでは捕えても次々に逃げられる為に余計にBotの頭の悪さが目立つ。実際の所そんな所に守ってどうするという物も多いし、また一撃で仕留める事が重要なのにShockを持ってDFしたりと問題は多い。なおこれは攻撃する時も同じ事で、敵がわざわざ道を空けてくれてSWへあと一歩という所から敵を倒しに向かってやられてしまい押せず終いといった事も起きる。

 先が見えなくて面白いと書いたが、同時にかなりBotの動きにイライラさせられてストレスが溜まるゲームなのも事実。作戦である程度の変化は付けられるが、ダメな時は本当にどうにもならないで負けるし、逆に呆気に取られるくらい簡単に勝てたりする。


<STRATEGY>
 
 ここで重要となるのがSWの守り易さである。これはMAPによって随分と変わってくるのだが、これを掴む事が勝利への最も重要なポイントとなる。マルチルートで非常に守り難いものから、ほぼルートが限定出来る上に守り易い物まで存在する。次にどれだけ敵を倒そうが最後の一人まで牢屋に入れない限りは何の意味も持たないという点をしっかりと頭に入れておくべき。SWを守るという事が非常に重要ということである。

 具体的に6vs6とかの場合で考えてみよう。まず形勢が5:1、6:1(残っている人数)とかになった場合、ちょっと考えると「敵は助けに来ないとならないのだから自陣で待機して迎え撃てば良い」と思いがちだが、これはSWの守り易さによる。守り易い物ではその通りに最もディフェンシブに設定して全員で守れば良いのだが、守り難い物ではこれを使うとSWの手前まではフリーで来させてしまうので問題もある。何しろ倒す前にSWに触れられたらそいつを倒しても意味がないので。よってDFし難いMAPの場合、むしろ守備は減らして攻撃に転じてSWに来られる前に倒すという戦法が有効になる場合がある。また敵が必ずしも救いに来ない場合も有り(Timeoutがあるので)、この場合は積極的に探しに行かないとならなくなる。
 4:2だと微妙で、完全に守りに入ると攻撃側が2人いるので突破される可能性も高くなり、そうなると一気に不利になってしまう可能性もある。JBの難しい所はとにかく守りが重要なのは確かなのだが全員で守っている間は味方を開放出来る可能性が無い(全く無い訳では無いが)という問題があり、全員守備は危険と背中合わせでもある点だ。このケースで2人を倒したがSWを入れられてしまい同時に2人失った場合、形勢は2:4と逆転してしまう。よって2人を攻撃に向かわせて2人で守り、結果的に攻撃陣が1勝1敗でも敵を一人に出来た方がいいというケースもある(もちろん2人ともやられる可能性もあるが)。3:3だとちょっと戦術は多岐に渡るので難しい。敵が何人を攻撃に割いて来るのかわからないからだ。一人で来るならば全員DFが良いのだが、2人攻撃ならばこちらも攻撃に向かった方が良いとかいろいろと考えられる。
 2:4だとまずはリセットを許すかを考えるべきで、2人で攻撃に行けばDFはいなくなりそこに敵が来たらSWは確実に押されてしまう。しかしその代りに敵のDFは薄くなるので攻撃はし易くなる。つまり一旦は敵の開放を許すがこちらも開放というリセットを狙うのかどうかという事。もしもSWが押し易い物ならば一人はDFに残して攻撃は一人でチャレンジという作戦もある。注意点としては敵のリセットを早目に許すとその人数がDFに加わってしまう可能性がある事。
 1:5、1:6とかで一人になった場合は基本的に行くしか無い。しかも自分が牢屋だとBotに託するしか無い訳で、これはもう見守るしか無いという歯痒い状況となる。ただし敵が牢屋にいない場合はこちらに来ない場合があり、このケースでは自陣に留まらせてTimeoutを待つという戦法もある(ややbot相 手にはアンフェアな感じがするが)。
 アンフェアついでに述べておくと、Sniper Rifleで遠距離から射撃する事で人間側が簡単に勝ててしまう物や、あるポジションを押さえる事で有利に運べる物が存在しているが、面白くプレイするには自主的にそういう行為は避けた方が良いだろう。またMAPによってはマルチルートなのに一定方向からしか来ないとかもあって、これらは遊んでも面白くない。

 その他としては、リリース以外で自分が脱出出来る唯一の可能性であるArena Matchが来たら確実に勝ちに行く事が重要。これはランダムなのだが、どうも人間のプレイヤーに多く回ってくるような感じがする。1on1ではBotに対して優位に立てる事が多いので、ここで勝って復活して態勢を整えるのが大きな意味を持つ。次に自分が牢屋に入っているケースではDF力はかなり弱くなるので、あまり全員守備の態勢は取らない方が良い。むしろ攻撃させて双方リセットで自分を解放してから仕切り直しを狙って行く方がお勧めである。
 使用武器はDFの場合一撃しかチャンスが無い物もあるので、FlakやGesの2ndとか即死させられる物を基本として選択すべきだろう。ロケットで自爆覚悟の攻撃というのもアリだ。


<HUD>

 画面右に出るHUDはそのまま見れば分かると思うが、矢印は相手(自分)のSWの方向を示している。上のバーはBotのアグレッシブ度のメーター。このHUDはデフォルトでも何種類か用意されている上にユーザー作成の物をダウンロードも可能。Scoreboardもオリジナルでカッコ良いデザインに変更されており、各人の救出回数とか細かなデータまで見ることが出来るようになっている。


  フルサイズ画像             


<MAP>

 mod自体にも10以上のMAPが添付されているが、公式サイト等にて40を越える数のユーザーMAPをダウンロードする事が出来る。同梱の物はBotの動きにまともな物が多いのだがグラフィック的には今一つという感じで、逆にユーザー作成の物にはデザインやグラフィックに優れた物が多いのだが、Botのパスには問題有りとかが多い様だ。マルチプレイが盛んという事でbotのパスには力をいれていない物も有り、スタックしたりとかも時々見られる(同梱MAPにもある)。それと大きなMAPではプレイヤーがまずは事を起こすまでは御互いに自陣から動かない物も存在しているので注意。
 外部MAPで試した中ではLava Caverns,Deck32,Orphobeus,Durante辺りがまともか。それとMidnight Cityという有名なMAPが存在しているのだが、これは内部に広告を含めて多彩なテクスチャが使用されており(その為非常に重い)、更にオンラインで使用すると中央のボードにはちゃんとその時点でのニュースが流れるという凝った構成のMAPになっている。



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