STRIKEFORCE

                                  02/05/24

                                by Takamaru


<概要>

 テロリスト対特殊部隊の戦いを再現し、Infiltration、TacticalOpsと並ぶUTリアル系Modの御三家のひとつ。
 UTにおけるリアル系Modには他にもAgentX、Codename: O.N.Y.X、SASなどがあるが、AgentXは開発中止、ONYXはサイトの更新も停止して消息不明、SASはスクリーンショットはひんぱんに公開されているが完成がいつになるのかはまったく不明とあまりよい状況とはいえない。その中で現在にいたるまで更新が続けられているStrikeForceは稀有な存在だ。







<VERSION>

 最新は1.75でサイズは116MBとなかなかヘビー。また、Offical User Made Map Packが2つリリースされておりサイズはそれぞれ36MB、59MB。基本的なマップは本体に同梱されているが、マルチプレイを楽しむためには導入しておいたほうがよいだろう。その他にもIndependeza MapPackなど各種MapPackがあるが、そちらはお好みで。
 なお、次バージョン1.80では新ゲームモードが導入されることが決定されている。余談だが1.75のインストーラの壁紙にはバージョン2.0で登場するのであろうキャラクターモデルが写っているが、特殊部隊というより街角の若者といった感じでなんだか不釣合いだ。

          公式サイト



<システム>

 まずはシステム紹介

*Sprinting
 前進キーをすばやく二度押しすることで高速移動可能。そのかわり心拍数の増加が極めて早くなる。

*Aiming/Secondary Fire
 StrikeForceでは通常、照準が表示されない上に、撃っても弾はかなりばらけるようになっている。AltFireキーを押しっぱなしにすると銃を構えた体勢になり、照準が表示され、弾もまっすぐ飛ぶようになる。ただし銃を構えている最中は移動速度がかなり低下するようになっている。

*Inventory Station/ Using Inventory
 ゲームを開始するとまずInventory画面に飛ばされ、使用する武器を選ぶことになる。右側に武器が表示されるので、好きな武器をクリックしてやれば左側のInventoryに入って使えるようになる。弾薬も持っていくことも忘れずに。手榴弾や指向性地雷など爆発系武器は二つまでしかもてない。Inventory内の武器をドラッグアンドドロップで左下のThings on the ground欄に持っていけばその武器を捨てることができる。ラウンド開始後もInventory Stationの前でInventoryキーを押せば武器の変更/弾薬の補給が可能だ。

*Pulse Indicator
 画面右下に表示される、心拍数。走ったりジャンプすることで増加し、歩いたり止まったりすると減っていく。また、ダメージを受けると心拍数は一気に跳ね上がる。心拍数が高いと武器の命中率が下がる、ジャンプ力が落ちる、走る速度が落ちるなどの影響が出る。たくさん武器を持っていると心拍数はそれだけ早く上がる。また、心拍数が100を超えるとキャラクタはぜいぜいと苦しげな呼吸をするようになり、この音は敵にも聞こえてしまうため敵に位置を知られる恐れがある。

*Bleeding
 体力が50以下になると出血が始まり、血痕を敵に辿られる恐れがある。

*Locational Damage
 特殊部隊ゲームでおなじみのいわゆる部位ダメージ。足にダメージを受ければ移動速度が低下し、腕なら命中率が低下、胸なら激しい出血、頭へのダメージは致命的。

*Medals
 勲章。ラウンド終了時、一定条件を満たしていると勲章がもらえる。特にゲームに影響が出るわけではなく、単なるご褒美。
・The Golden Star: ラウンド終了時に生存しており、kill数がもっとも多かったプレイヤーに与えられる。
・The Purple Heart: ラウンド終了時に生存しており、体力が50以下だったプレイヤーに与えられる。



<ルール>

 メニュー画面はUTとほとんど同じであり迷うことはないと思う。キーについてもほとんどは見ればわかるはずなので割愛する。



*Choose Character
 ここで自分のキャラクタを選択する。選んだキャラクタによって得意とする武器が違っており、命中率などに影響してくる。ただ、それほど劇的な違いがあるわけではないようだ。

 ゲームモードについて。StrikeForceにはDeathMatch、TeamDeathMatch、Escape、HostageRescueの4つのゲームモードが搭載されている。
全てのゲームモードでRespawnは無く、相手を全滅させれば勝利。よってDMはDMというよりLastManStandingといったほうが正しい。

*Escape
 EscortsチームとAssassinsチームの二手に分かれ、Escortsチームは規定の場所(通常Assassinsチームのスタート地点の近く)までVIPを連れて行けば勝利。VIPはEscortsチームメンバーの中からランダムで選出され、デザートイーグルで武装している。AssassinsチームはVIPを殺害しさえすればよい。

*Hostage Rescue
 RescuresチームとGuardsチームに分かれ、Guardsチームはスタート地点付近にいる人質の防衛、Rescuresは奪回が目的。人質の前に行きActivateキーを押すことで人質の開放が可能。開放した人質は自分の後ろをついてくるので、指定された地点まで連れて行けば救出したことになりポイントが入る。注意しなければならない点は、Guards側はいったん救出された人質は射殺しても構わないということ。構わないどころかポイントが入るので、無理に防衛するよりもいったん救出させてその後射殺してもOKだ。


<HUD>

 右上段、時計アイコンは残り時間を表す。その下、Sのマークの横の数字はSFチームの残り人数、Tのマークの横の数字はTerroristsチームの残り人数。
中段はPulse Indicator、心拍数を表す。下段はヘルスアイコン、残り体力が表示されるほか、体のどこにダメージを受けているのかも表示される。



<武器>

 多数あるので詳細は割愛して概要のみ。アサルトライフルは万能型、サブマシンガンは命中率と威力でアサルトライフルに劣るが連射速度が高く、構えるまでの隙が少ない。拳銃は命中率が高く、構えるまでの隙が少ないが威力、連射速度ともに心もとない。散弾銃はそこそこ距離が離れていても戦えるがやはり接近戦で威力を発揮する。細かい違いはあるが、どれを選んでも特に不利になるということはないので趣味で選択しても構わないと思う。
 手榴弾はAltFireで下手投げができる。ClaymoreはFireキーを押すことでその場に設置し、もう一度Fireキーを押すと発火する。手榴弾よりも破壊力、効果範囲が大きく、向いている方向以外にはダメージが及ばないためにうまく設置すれば味方を巻き込むことなく敵を殲滅できる。
 反動の概念はなく、撃っても銃がぶれることはない。武器のモデリングやサウンドには気合が入っており、クオリティ高し。


<BOT>

 まず、Botは銃を構えて撃つということをしない。弾をただばら撒くだけなので、遠距離戦では一方的にこちらが撃ち勝ててしまう。接近戦では構えることのメリットが少ないために走りながら乱射するBotはなかなか手強い相手になる。また、手榴弾などの爆発系武器は使用してこないし、伏せるということもできないようだ。
TeamDeathmatchに関しては、侵攻ルートがほぼ決まっていたり、たまにスタックするなどのUTBot特有の問題はあるが、全体的に見ればそれなりに遊べるのではないか。上記の特性上、広いマップよりも狭いマップのほうが親和性が高いようだ。
 Escapeモードに関しては問題あり。守るべきVIPが率先して突撃してくるので話しにならず、改善の余地が大いにある。面白いゲームモードなだけに残念だ。HostageRescueも人質を連れたまま戦闘を平気でするので、まともに遊ぶのは辛い。



<GAMEPLAY>

 リアル系御三家のひとつといわれるだけあって極めてよくできており、細かいところまでつくりこまれている。普通これだけ多くのシステムを追加すると無駄に操作が複雑になったり、ゲームのテンポを削いでしまったりしてマイナスに傾くことが多いのだが、SFではそのシステムが無理なくゲームプレイに浸透し、面白さを盛り上げるのに役立っている。

 Aimingシステムを例にあげてみると、構えると狙いが正確になる代わりに動きが遅くなるわけだが、曲がり角などで突然敵と鉢合わせた時など、正確さは二の次にしてそのまま連射するか、隙が生じてでも構えて狙い撃つかの一瞬の判断、駆け引きが非常に面白い。多少の距離があれば構えているほうが圧倒的に有利だが、マップが広い割にそれほど距離をおいて戦う機会があるわけでもなく、よく考えられている。移動速度もかなり遅めに設定されているが、これによって仲間と一緒に少しづつ進んでいく状態が生まれやすくなっており、Modの理にかなっていると思う。TDMではラウンド終了ごとにチームのスタート地点が入れ替わりマップの有利不利をなくすようにしてある。Medalも、ちょっとしたことではあるが功利心をくすぐられて心地よい。

 特に面白いと感じたのがEscapeモードだ。侵攻ルートを練り、相手の裏をかいて脱出ゾーンまで走り抜けるのは非常に緊張感があって面白い。護衛になったときも、あるときは囮に、あるときは肉の盾に、役割を分担して戦うことを通してチームの連帯が感じられる。広いMapが多いため、TDMでは残り数人になったりすると相手を見つけることができずにひたすらうろうろすることが多いのだが、Escapeだとちゃんとした目的があるためにそういったこともない。ただ、TDMサーバがEscapeのMapを巡回させるということができず、EscapeはEscapeで専用のサーバを立てなければならないために立っているサーバが極めて少なく、プレイする機会があまりないのは非常に残念だ。ある程度人数が集まらないと面白くないだけになんとか盛り上がりを期待したいところ。

 マップの完成度も特筆すべき。かなり質の高いテクスチャを使用しており、実際の町並みを模したマップは雰囲気を盛り上げるのに役立っている。これだけクオリティの高いマップはそうそうないといってよいだろう。広いマップが多いのでお互いを見失うことが多いのが唯一の難点か。

 マルチプレイに関しては、サーバの数は100前後でプレイヤー数もそれなりにいるが、ちょっと寂しい感じは否めない。ほとんどがTDMでEscapeが一握り、DMとHostage Rescueはほぼ皆無に近い。サーバ数100は決して少ない数ではないが、これだけの完成度をもつModとしては少ないといわざるを得ない。

 総合すると、UT本来のハイスピード・ハイテンションとはかなり色を変えた、戦術的思考が必要とされるゲームスタイルを持つ、完成度の高い好Mod。プレイヤーの動きがもったりしているために好みは分かれるだろうが、落として損はまずないだろう。全てのUTプレイヤーに一度は体験してもらいたい。

 ここからはゲーム本編とは少し離れるが、SFの今後にも関わってくる話なので記しておく。
 StrikeForceはリリース自体はかなり早く、初期はTacticalOpsよりも人気が高かった。当時はTacticalOpsの完成度が低かったのもあるが、すでに現在と大差ない完成されたシステムを持ったSFの方に目を向けていた人のほうが多かったのは確かだと思う。
 しかし、UTのGOTY Edition発売の少し前あたりだったと思うが、SFは開発のプラットホームをTribes2に移すことを宣言。理由はEpicからのサポートの貧困さ(当時TOはまだ1.2だったが、EpicはTOのほうを押したがっていたようだ)と、Tribes2の広大なフィールド、乗り物、ネットコードは軍隊をテーマにした大規模なModに最適であるという二つの理由からだった。UT版の開発もしばらくは続けるとは言っていたが、この宣言によって多くの人が失望したのは確かだろう。今後バージョンアップが望めないのでは…とTOのほうに目を移した人も多かったと思う。TOはGOTY収録こそならなかったものの新バージョン1.5は高い人気を獲得し、SFが話題に上ることはめっきりと減っていった。
 ところが、なぜかSFはTribes2に移るわけでもなくUTでの開発が続けられていた。私自身Tribes2移行宣言の後はSF公式サイトにいかなくなったためにどんなやり取りがあったのかはわからない。とにかく、あの後も1.65、1.70、1.75とバージョンアップが重ねられ、今は1.80の宣伝やかましく、2.0も視野に入っている。公式ページを見る限りではTribes2への望みも捨てていないようでインタビューに答えたりしているが、正直何を考えているのか理解に苦しむ。一連の混乱で失ったものは大きいはずだ。今後の展開をどうするのかがひとつの課題だろう。



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