☆ BOT ☆
                                                                               02/03/08


<概要>

 UTのBotのAIの優秀さは有名だが、マルチプレイにおける人間の代用になるかと言うとその域までにはまだまだである。よって現実に「人間同士で行われているマルチプレイ同様の体験がオフラインで出来る」という考え方には無理がある。だがUTを”一つのシングルプレイ用のゲーム”としてみるならば、これ位優秀なAIを使っているゲームはそうは無い。命令でコントロール可能なAIのキャラクタを使って、マルチプレイで使われているのと同じゲームモードを遊べるシングルプレイゲームとして捉えれば、UTはシングルプレイ派のプレイヤーにも充分に楽しんでもらえるゲームだと思う。ここではそのUTのBotに関しての基礎的な知識を記述しておく。


<DIFFICULTY>

 UTのBotは難易度を8段階から選択出来る用になっており、自分の能力に合わせた強さの者を選んで戦う事が出来る。当然レベルの高い方ほど射撃の正確性が増す訳だが、幾つか知っておくべき点があるのでそれをまずは解説する。
 Botの最初の4レベル(0〜3:Novice/Average/Experienced/Skilled)はNovice Botとして位置付けられており、強い方の4レベル(4〜7:Adept/Masterful/Inhuman/Godlike)とは根本的に出来る事に違いがある

◎移動速度が遅い
 通常の移動速度がプレイヤーよりも遅く設定されている。よってチーム戦(特にCTFやAS)においてはプレイヤーは戦闘能力の他にかなり有利な立場になる。
◎ダメージの軽減
 同じ武器を使ってもダメージが低く押さえられている。つまりゲーム中プレイヤーだけがより多くのダメージを相手に与えられる立場にある。
◎視界が狭い
 プレイヤーが見れる範囲よりも狭い視界しか持っていない。従って横方向からの接近に気が付きにくい。
◎連射速度が遅い
 連射できる武器の発射間隔が長く取られている
◎Dodge出来ない
 素早く同じ方向のキーを2回連続して押して飛びのく動作をDodgeと呼んでいるが、この動作を行う事が出来ない
◎命中動作からの立ち直りが遅い
 体が飛ばされる&硬直時間の入る攻撃を受けた場合の立ち直り時間が遅く設定されている。また自分に攻撃が命中している時は正確性も落ちる。
◎コンボを使わない
 UTの一つの華でもあるShockRifleによるCombo攻撃だが、これを意図的には使用出来ない。
◎Headshot出来ない
 意図的にSniper RifleによるHeadshotを狙って来ない。CTFやASではSniperが重要なMapが数多く存在しているので、これは問題になる事も多い。
◎Impact Jumpingしない
 Impact Hammerを地面に向かって溜めてジャンプと同時に撃つ事で高く飛び上がり、通常では届かない場所にあるアイテムを取ったり、段差を越えてショートカットしたりという事が可能だが、これを行う能力を持っていない。よってMap作成者がアサインしてある場所に来てもImpact Jumpingを行わない。
◎同時動作が出来ない
 例えばアイテムを取りに行く時に、敵の方を向いて攻撃しながら同時にその方向に走るという行為が出来ない。攻撃に専念するか、そっぽを向いて取りに向かうかどちらかになる。

 といった感じなので、Skilled以下のBotを使う場合はちょっと問題が多い。DeathMatchならば自分の実力に合わせての選択でまあ問題無いが、チーム戦では出来ればAdept以上のBotで行いたい所だ。こういう事が出来るものだという事を前提に作成されたMAPではバランスがおかしくなる可能性があるし、特に上にも書いた様にCTFとか移動速度が重要なモードではプレイヤーが特別に有利な立場になってしまう嫌いがある。
 付け加えておくと最強のGodlikeでもプレイヤーよりも速くは移動出来ないし、視界も同じで連射速度も同じというようにちゃんとなっている。


<設定>

 UTのBotは自分の好みで自由にカスタマイズする事が可能である。全部で32人まで登録可能であり設定方法は以下の通り。


 名前とカラー(チーム戦で無い時の色)、キャラクタモデル、使用Skin、顔までは好みで設定する。

 Skill Adjustは7段階に動作し、設定されたレベルからの変更をする事が出来る。デフォルトの中央の設定の場合は大元での難易度設定に合わせて登場するが、これが右側に一つ動かされていると設定よりも一つ上の難易度で登場する(左なら逆)。登場するbotのレベルをバラバラにしたいならばここを変更すれば良い。

 Voiceはゲーム中の声でモデルにより制限がある。Favorite Weaponは好んで使用する武器。

 Accuracyは攻撃の正確さ。ここは非常に重要で、正直な所デフォルトの真中では高過ぎる印象。ここを下げる事でかなり攻撃力を押さえられるので、ここを下げてレベルを上げた方がゲームとしては面白くなる。特にAdept以上が理想とは言っても自分には強過ぎるという人は、ここを低く設定してやればバランスが改善される筈。

 Alertnessは移動速度で、ここはデフォルトのままで良いだろう。ただ実際問題としてプレイヤーの様にジャンプ移動をBotはしないので、それを補完する意味で速めにするというのはありかも。

 Campingは待ち伏せの意味で、これをどの位の頻度で行うかの設定。通常は行わない様になっているが、Botに性格付けをするならば適当に増やしても良いだろう。Sniper RifleがFavoriteのbotと組み合わせるとか。

 Strafingは高いほどこちらの攻撃をかわしてくるようになる。遭遇した時に攻撃よりも避ける動作を多用して来ると言う意味。UTのBotは直線的な攻撃をしがちなので、人間的にしたいならば右側に動かしてやるといいだろう。Combat Styleは戦い方(性格)の設定で、Avoidant(出来るだけ戦闘を割ける)からBerserk(猪突猛進)まで5種類が選べる。これはいろいろと変えておくと面白いだろう。Jumpyは戦闘中に敵を幻惑する為のジャンプ動作を行うかどうかの設定。


 ゲーム内での設定はプレイ前のPractice SessionのBotsタブにて行う。

 Number of BotsはBotの数で、チームプレイでは奇数にしないと均等にならない。Auto Adjust Skillは自分の命中率に合わせて敵が自動的にSKillを変えるという設定。Random Orderは32人のリストからランダムに選択するもので、これがOFFの場合は1番から順に登場する。Balance Teamsは両チームの戦力を均等にするOption。ただどういう基準でそうなるのか不明。通常はマルチプレイにて人数を合わせる為に、強制的に少ない方のチームにしか入れないようにするという意味になる。





<CONTROL>

 チームゲームでのBotに対する命令はVoice Menuから行う(デフォルトではVキー)。これはオンラインゲームにおいての発言用として使う物なのだが、シングルプレイではここにある指示コマンドがそのままBotに対する命令になっているのだ。


 Ordersにて命令一覧が出て、ここには5つの命令が表示される。ゲームの種類によって表示される内容はやや違うが、凡その意味は同じ。この後チームメンバーの名前一覧が出るので、そこで個別に全員に今出されている命令と現在位置を見る事が出来る。なお一覧を見るだけならばF1キーのScore表示の方が手軽。
 命令ごとにメンバーをクリックしてやればその指示が適用される仕組み。なお自分の周囲にいるBotならばOrder This Botにて命令を出す事も可能だ。

 5つの命令はそれぞれ

DEFEND    防御に回れ
ATTACK    攻撃せよ
HOLD      この地点を守れ
COVER     自分に付いて行動しろ
FREE      自由行動

 という意味になっており、細かい使い方はゲームによって異なるので、ゲームルールの項で解説する。なおこれらを一々リストから命令を出すのは面倒なので、予めOptionのInputからSpeech Bindingを選択して、ここで空いているキーに5つのOrderを割り付けて置くのが便利。ただしこれは全員に共通に出す命令になってしまうので、個別に出す場合はやはりメニューからが基本になる。


<PATH(WAYPOINT)>

 Botがどれだけ賢く振舞うかというのは2つの条件によって決定される。一つはBotそのものの能力、もう一つはプレイするMAP中でのPathの設定である。最初は基本的に変更出来ないので、問題は2番目の方となる。大雑把に言うとMAP内にはその中での巡回ルート(道順)と、ある地点に来た時に行う行為がMAP製作者によってアサインされており、Botはこれに従って行動する。プレイヤーの様に辺りの地形を分析して行動を決めている訳では無い。そこまでのレベルに出来ないことは無いそうだが、そうするとマシンパワーが足りなくなって多数のBotを同時にゲームに入れる事が゙出来なくなってしまう。よって他のゲームでもBotはこういったWaypointに従って動かされているのがほとんどだ(Pathというのは多数のWaypointを繋いだ物と言える)。

 よってMAP作者がアサインした通りにしか動かないので、その設定によって賢く動いたりもするし、まるでダメな場合も出てくる事になる。例えばImpact JumpingやTranslocatorを使わないと取れない場所にあるアイテムを、それが取れる様に設定されていなければ(取れる位置からその動作をするように指定されていなければ)それはプレイヤーが一人占め出来てしまう。同様に普通に置いてあるPowerupアイテム等を頻繁に取りに来るかどうかはPathの設定による事になる。
 飛び降りてショートカット出来る所を飛び降りるかどうかもPathの設定によるし、幾つかのルートが存在する場合でもあるルートしか通らない様になっている事もある。チーム戦でDFを命じられたBotは予め指定されたポジションに位置するので、この設定が適当でなければDFの役割をうまく果たさないという事にもなりかねない。中にはマルチ専用という事しか考えられておらず、Pathの設定その物が無いMAPもあるので、こういったMAPではシングルプレイは実質出来ない事になってしまう。

 シングルプレイ中心に遊びたい場合は、MAPの評価にAIの採点があるならばそこを重視すべきだろう。必ずしもマルチプレイで人気のあるMAPがシングルでのBotプレイで面白いという訳では無いのは頭に入れておこう。


<問題点>

 これは要望を挙げれば切りが無いが、困る点を幾つか書いておこう

*スタック(動かなくなる)してしまう
 通常Botはパスに従って移動し、敵に遭遇するとパスを離れて戦闘モードに入り自由に動き回る。そして戦闘が終わると自分から身近なポイントを捜してそれに移動する様になっている。しかしここで自分の視界内にWaypointが存在しない場合はスタックしてしまう可能性が高い。戦闘時には攻撃で飛ばされてしまう事も多い為に、通常の作者のテストでは見過ごされてしまう場所に行ってしまう可能性が有るという事である。
 また壁に空間が空いているMAPでは、その空間を通して死んだ敵が落とした武器が見えているとそれに向かって動いてしまい壁に向かって走り続けるという事も起きる。こういう場合は指示が出せるならばCover Meとして誘導してやったりとか、それがダメならロケット等で吹き飛ばすというのが回避策になるが、完全にバグって動かないケースもある。

*エレベーターの利用
 まずエレベーターを待つ時に完全に止まってしまうので格好の標的になるというのが一つ。もっと問題なのはチーム戦で複数のBotが同じエレベーターを待つ時に、片方がエレベーターの下に入ってしまってエレベーターが降りて来られなくなるケース。この場合そのBotはすぐにそこから出るのだが、他のBotが今度は下に入り込んでしまいというのを繰返してスタックしてしまうことがある。特に3人以上になるといつまでも抜け出せない事も多い。

*水中
 水中での移動を非常に苦手としている。よって水中を移動するMAPでは問題が起きる事が多い。Pathを見失ってそのまま水死というパターンになる。

*空中(無重力)
 落ちると死ぬ構造のMAPでも特に戦い方を変えてくる訳では無いので、自分から自殺する事は無いがやたらと落ちて死ぬ為にあまりDeathmatchには向かない。


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