<POLICE>
Lost Heavenにて守るべき法規に関して解説。犯罪と見なされる行為は以下の通り。
*信号無視
*スピード違反
*標識等を壊す
*人を轢く、他の車に高速で衝突する等の暴走行為
*街中で銃器を所持する、発砲する
*車の窃盗
まず重要な点として、これらの行為を行うと犯罪となるのではなく、これらの行為を”警察に見られた時”に犯罪となる。つまり警察の目の届かない所であれば上記の行為は何ら問題は無いという事になっている。街中には警官が巡回しており、またパトロールカーが走っているのでその範囲外であればOKという意味。一般的には夜は極端に人通りも車も減るので見付かる確率は低くなる。逆に昼間はかなり危険であり、パトロールカーはレーダーに映るので見分けが付くが、警官はこれだけ広い街では居るのかどうかの判断が困難である。昼間は法規を守って安全運転が基本。このゲームはその辺の事を考慮してSpeed Limiterが付いており、これをONにする事で制限速度を自動的に守る事が出来る仕組みになっている。
犯罪行為を発見された場合、それが軽度ならば違反切符のアイコンが表示されて停止を命じられる。このケースではそれに従って罰金を支払えばそれで済むようになっており(車から降りて待つ)、これは回数制限も無いし特にミッションにも影響を及ぼさない(時間制限等がある物はもちろん別)。派手な行為や制止を振り切って逃げると手錠のアイコンとなり、これは逮捕(Wanted)しようと追い掛けられている状態となる。この状態では応援を呼んだりして複数のパトカーで追い掛けて来たり、逃走経路にバリケードを張ったりと厳しくなり、もしこの状態で捕まった場合はその場でゲームオーバーである。もう一つ銃のアイコンがあって、これは警察側も攻撃状態に入り応戦してくるという意味合いになる(銃を持っているのを見られた場合等)。この場合は撃たれて死んだら当然終りである。
これらアイコンを消す方法だが、まず違反切符は振り切って逃げてしまえば段々と薄くなり(見られていない状態)、その時間が続けば消えて無くなる。手錠アイコンは追っ手の目の届かない場所に逃げて、下に出るバーが消えるまで他の犯罪を犯さないで置けば消えて無くなる。或いは警察に見られていない場所で車を降りてしまえば?アイコンが表示されて相手を撒く事が出来る(相手は車を目印に追って来るので)。これは逆のケースでもOK(徒歩で犯罪を犯した後に車を盗んで逃げる)。
警察とのカーチェイスに関しては相当厳しいバランスとなっている。周囲に迷惑を掛けようがお構いなしといった感じの暴走振りでこっちに突っ込んでくる点はNeed For SpeedやDriverといったゲームと変り無いのだが、Mafiaではとにかく車に性能差が有り過ぎる。大抵の車ではまともに競争しても到底勝てないレベルの差があって、相当上手くやらないと逃げ切るのは困難。しかもダメージレベルが厳しいので、逃走中にぶつけられてもぶつけても自分の車の加速性がアッという間に落ちてしまい、逃げるどころではなくなるというケースも多々有ったりする(警察もそうだが向うは応援が来るので)。
一旦レーダー外に逃げ切ったとしても、その状態では再び追ってくるのか撒いたのかが分からないので、もしその間に遠くへ逃げようとスピードを上げると今度は別の警官に発見されて再び追われる羽目にという間抜けな事にもなるし、かといって待っていると追跡して来た場合にはまた追い付かれる事になると厄介。
総合的にシングルプレイにおいては安全運転を心掛け、もしも切符レベルの違反ならば素直に支払うという方がゲームの進行上は利口である。必要も無いのに違反をして警察とカーチェイスを演じても何らプラスポイントは付かないし、実際に逃げ切れる可能性はあまり無い。逃げ切ったとしても車や自分にダメージを受ければ後で苦労する事になるだけなので。
<問題点>
見事なストーリーと高いレベルでの架空の街の再現という素晴らしい要素を持ったMafiaだが、残念ながらそのゲーム性には大きな問題を幾つも抱えている。ちなみに「内容自体は非常に面白く雰囲気も最高な傑作であるが、その他の面に数々の深刻な問題を抱えているゲーム」と言われて私が真っ先に連想する物はHidden & Dangerousなのだが、これの製作は同じくIllusionである....。
このゲームの問題点は様々な要素が絡み合って起きているので元凶を特定するのは難しいのだが、一応整理すると以下が根本的に不味い点と言えるであろう。
1.難易度選択が出来ない
2.セーブが出来ない(特定の個所でAutosaveのみ)
3.難易度が高い
1,2はそれ単体では特別な問題では無いが、3の様に難易度が高くなると大きな障害となって来る。また3もそれ自体が問題では無く、セーブが可能だったら緩和されてしまうので大きな問題とはならないはず。実際の所ゲームの7割方の部分は難易度も切り方(セーブポイント)も適切である。しかし残りの部分では物凄く厳しい個所や、失敗すると10分・20分やり直しの個所、何故あの時はセーブされるのにここでは無いのか?と思える個所、等がありアンバランスである。1,2が重要だと言うなら3を緩和すべきであり、3が重要と言うならば1や2を可能にすべきだろう。
確かに街中でのセーブは技術的に難しいのは理解出来る(車や通行人が多い)。しかし閉鎖系マップならば可能なはずで、このパートだけでも可能にしてもらいたかった(こっちの方が難しい個所が多い)。中には完全に憶えゲーとしか思えない構成のマップとかも有り(何回も死んでその度に最初からやり直し、マップ全体の構造を掴んでから本格的に取り掛かる必要が有るといった)、次のセーブポイントまでが長過ぎる物も存在する。ある程度プレイする度に内容が変化するのならばまだ救いがあるが、そうでなくて単に同じ事を繰り返しやるだけのマップは精神的にキツイ。
都合で終わらせなくてはならない場合や、進め方が分からなくなって詰まったので一度落としたい場合、ゲームその物がエラーで落ちた場合、全て最後のポイントから長い時間を掛けてのやり直しを強制されてしまう。これは個人的な見解になるが、多彩なハード故に途中で落ちる可能性もあるPCゲームで10分以上セーブ無しで続けないとならない個所を設けるというのは無理があるのではないだろうか(もちろんそれを感じさせない工夫がされているなら話は別だが)。それが自分達の主義だと言うのならば、少なくとも安定度とバグ関連は最小限まで排除するとかはしてもらいたい。しかしMafiaはそうなっていない。
4.バグでクリア出来なくなる場合有り
5.マップ構造に問題が有ってクリア出来なくなる可能性がある
これ等もセーブさえ可能だったらそれほどの問題にはならない点である。まず自分や味方AI、或いは車が壁際でハマってしまうバグが有り、こうなるとどうしようもなくなる。自分は気をつければまだ防げるが、AIはそうも行かない面があるので大きな問題となる。更にマップ構造の問題でクリアに失敗する個所が幾つも有り、自分の責任で失敗するなら諦めも付くが、自分には何の非も無いのにクリア出来ずに苦労した長い時間を再度やり直しになると、怒りが沸くというよりも脱力してしまう。ネタバレにもなるのであまり詳しく書けないが、
「一度そこに行くともう戻れない個所に簡単に行けてしまう」、「見えない壁が出来てしまい通れなくなる」、「イベントが起きなくなる」、「マップの切り替え地点が曖昧で切り替え後に問題が起きる」、「ある状態になるとミッションのクリア条件が変ってしまう(危険を犯さないとならなくなる等)」といった類の問題が有り、どう考えてもこれだけあったらテストプレイで分かるのではと思わずにはいられない。(追記: V1.2ではどの程度修正されているのかは未検証である)
次に難易度との関連として以下の点も問題である。
6.味方AIに問題有り
7.戦闘の難易度が高過ぎる
既にデモをプレイした人は味方のAIに困らされた体験がお済みと思うが、とにかく突っ込んで行ってしまうAIも困りものである(ある程度は自分がしゃがめば遅らせられる様だが、根本的な解決にはならない)。これもまたセーブが出来るとか、難易度が低ければここまで問題としては認識されないと思う。特に不思議なのが実は本編では仲間にStopとFollowの命令を下せる物があって、何故他の物でもそれが可能になっていないのかが疑問である。それさえあればかなり変って来るのであるが。
次に戦闘その物に関しては、構造上の難点としてどこでミッションが終るのか、或いはヘルスが補給出来るのかというのが分からない為に問題が出てくる。例えば最初のマップにてHPが40程度まで減った場合で、次のミッションをプレイした所これが難しくて残りHP40ではキツイとなったとする。もしこれでミッション自体がそのマップで終了するならば無理してでも乗り切ってやる方針も取れるが、更にこの後も続くなると諦めて戻ってやり直した方が賢い選択かもしれない。しかしそれは判断のしようが無いとなっている。その際セーブが出来ない事から、もしやり直すとすれば最初のミッションの始めから再度やり直さなければならず、これは相当しんどい作業になる。
それとこれは確認していないので何とも言えないのだが、ミッションの途中でカーチェイス等のシーンに切り替わった場合、もしもその前までの段階での車のダメージ(例えばミッション開始前にそこに車で到着するまでの運転においてのダメージ)がそのまま持越しになるシステムだとすると(人間のダメージは持ち越されるのを確認)、それが開始された時点で既に実質クリア不可というケースも有り得る事になる。この場合全部最初に戻ってやり直さないとならないだろう。
8.レースミッションの難易度 (パッチで修正済)
最後に特定のケースに付いて。M6にレースを行うミッションが有って、これに勝って1位にならないと先に進めない様になっている。しかしこのレースの難易度が高過ぎてここから先に進めなくなるというトラブル。ここはある意味Mafiaに関して最もFroumやレビューで叩かれている個所かもしれない。これの終了後のセーブが欲しいという書き込みが目立つし、レビューでもここから先に進めないのではレビュー以前の問題といった批判も結構有った。
個人的にはここはそれほど難しく無いと思うのだが(もっと難しいと感じる個所が幾つも有る)、レースゲームを普段やらない人や、操作をKBで行っている場合には確かに問題があるかもしれない。敵が遅いのでちゃんと走れれば大して問題は無いのだが、セッティングをしていないかKBでのコントロールだと自車の制御が難しいという面が有るので、それが難点となっているのだろう。なおここは製作側も最大の問題と認識しているようで、パッチにて難易度を修正するというアナウンスが出ているのでそれで解決はされるはず。
以上の点からプレイ中はストレスが溜まるのは確実であると言わざるを得ない。ゲームというのはその「本質的な部分」と、「それをプレイヤーにどう見せるか」という部分で成り立っており、双方が上手く行かないと本当に面白いゲームというのは出来ない。本質的に面白いゲームでも見せ方を誤れば面白さが減少してしまうし、逆に見せ方が上手いので本質よりも面白く感じるという物もある。その意味ではMafiaはその見せ方を誤っており、ゲーム本来の持つ面白さを自分から殺しているというのが私の印象である。
このストーリーの面白さを活かすならば難易度をもっと低くするか選択出来るようにしてやり、ゲームがもっとスムーズに進むような形で提示すべきだった。最初のクリアまではもっと短時間で行けるようにしてやり、その後はミッション単位で難易度を選択して遊べるような形式が理想だろう。元々長いゲームなので短くなるとは言っても相当な時間は遊べるだろうし、プレイ時間が減ったからと言ってこの作品の価値が少しでも落ちるのかと言えば、その素晴らしさはその程度では色褪せる事は無いはず。実際に私がプレイ中に常に感じていたのは「とにかく先に進みたい、ストーリーの展開が知りたい」という事であり、それ故同じ個所を上記の様な問題で何回も繰り返してプレイさせられるのはある種苦痛でさえあった。これはそのミッションが面白いかどうかとは関係無くである。折角の本質的に面白い物を、見せ方が下手なのでマイナスイメージさえ与えているという事になる。
例えば非常に面白い映画があった場合、一番それを楽しめるのは一気に最初から最後まで見る事だろう。熱中して見ている最中に邪魔が入って鑑賞を中断されるのは誰でも嫌なはずである。しかしMafiaは自分からこれを行うようなゲームとしてプレイヤーに提示されており、言ってみればプレイヤーは本来は面白い映画を何回と無く中断させられながら見ているような感じで、面白いのだがイライラさせられるという好ましく無い状況に陥ってしまっている。ストーリーを命とするならば多少はゲーム性を犠牲にしてでも一定の流れを作ってやり、ストーリーの進行を第一に考えてやるべきだったというのが私の感想である。残念ながらMafiaは「面白いゲームもプレイヤーへの提示の仕方に失敗すると本来の面白さを損なう事にもなる」という見本となっており、将来的にパッチにてある程度は改善される事を願うばかりだ。
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