LAND OF THE DEAD
     ROAD TO FIDDLER'S GREEN

                                  05/11/19

  公式サイト


<概要>

 カナダのBrainbox Games製作の3DFPS。ゾンビ映画の元祖として知られるGeorge A Romeroの最新作である同名映画"Land of the Dead (2005)"を題材にしている。ストーリー的には映画の前の話となっており、映画の内容とシンクロしている訳ではない。
 北米では$19.99といういわゆるValue Softとして発売されており、話題性はあまり高くない作品。Xbox版も発売されている。

 シングルプレイのストーリーを複数人でプレイするというCoopはサポートされていないのだが、マルチプレイの中にInvasionというモードが収録されており、これを使って”プレイヤーVSゾンビ”というゲームを行う事が可能である。

 デモは存在するがシングルプレイのみに対応。


<VERSION>

 現在V1.1パッチがリリースされている。主な変更点は以下の通り。旧バージョンとの互換性は不明。

*Dedicated Serverの起動オプションの追加
*マルチ用の新マップ追加
*ショットガンの威力の修正
*部位の当たり判定の修正
*Map Editorの追加


<仕様>

 基本的にはUnreal Tournament 2004に収録の同名モードであるInvasionと同様。ゲームはWaveという単位で区切られており、参加プレイヤーはこのWaveを次々にクリアしていく事を目標にする。死んでしまったプレイヤーはそのWaveの間は復活出来ないが、次のWaveになれば死者全員がRespawnとなる。サーバーの設けた時間制限内生き延びればプレイヤー側の勝利となり、同一のWaveにて全員が死亡すれば敗戦となる(次のマップに移動)。

*最大で6人まで参加可能
*マップは7個収録
*キャラクタのモデルは2種のみ。Skinは何種類か組み合わせて選べる。
*Waveが進むに連れて敵の数は多くなる
*ゾンビの耐久力は3段階に設定可能
*シングルプレイと異なりスタミナの概念は無い
*置かれている武器・弾薬・ヘルス等は一定時間経過すると復活する
*Friendly Fireの設定可能(ただしOFFでも火炎瓶の炎についてはダメージ有り)

 なおグラフィックに関しては数年前のレベルであり(その分必要動作環境はかなり低い)、BloodやGore表現は有るもののすぐに消えてしまうのは残念な点である。


<バグ・問題点>

 現在Systemフォルダ内の設定ファイルであるLOTD.ini内、[IpDrv.MasterServerLink]セクションの CurrentMasterServer=0 の値が0以外になってしまい、サーバーのリストが取得出来なくなるというバグが確認されている。これはマニュアルで書き直せば復旧する。

 その他バグとしてはオブジェクトに引っ掛かってスタックしてしまうとか、体が埋まってしまうというケースが稀に見られる。

 サーバーのリストはFilter機能を持っているが、これはその度にリセットされてしまう形式で不便。現状外部のサーバー検索ソフトにも対応していない。

 死んだ場合に次のWaveまで待たないとならないが、この時に他のプレイヤーの視点に変更する事が出来ないので、長時間待つとなるとする事が無いというのも直して欲しい点である。


<GAMEPLAY>

 まずはゲームの基本的な特徴を以下に記す。

*打撃系武器は同時に1個しか持てない
*リロード速度は遅めで、弾が無くなっても自動的に他の武器には切り替わらない
*弾薬数が少ない
*弾を含めたアイテムはカーソルを合わせて一々USEにて取る必要がある
*攻撃を受けると一時的に動作が止まり、またしゃがんでしまったりする
*FOVが普通のFPSに比べると狭く、周囲の状況が掴みにくい


  ゲームのマップは相当に狭く作られており、プレイヤーが動き回れる余地はあまり無い。プレイヤー側の弱点としては武器や弾薬が少ない点。一度取ってしまうと再度出現するまでには時間があるので、十分な弾薬やヘルスを持つというのは難しい。特に4人以上でプレイとなると全員が充実した状態でいられるという事は滅多に無いという風になる。

 打撃武器のバランスはあまり良いとは言えない。まず打撃系武器は1個しか持てないが、とにかくFire Axeが強過ぎる。ゴルフクラブや鉛パイプといった武器は、よりリーチが長い・2ndで薙ぎ倒せるといった利点は有るものの、Fire Axeには遥かに劣る存在なのでマルチでは皆がFire Axeしか持たないという状況に陥ってしまう。耐久力を設けてその回数分殴ると壊れるといった要素でも導入しないとアンバランスである。ショベルやバット等も含めてもっと明確な利点・欠点を設けた方が面白くなるはず。
 銃器系では最弱武器のRifleは必要無いという印象。打撃系武器で殴った方が早い。Shotgunは強力だが弾数が少ないのでこれは良いだろう。非常に強力なM16やSniper Rifleは特定のマップでしか登場しないようになっている。後はRevolverに比較するとGlockの登場割合が少ないという気もする。


 ゲームの問題点としては、やはり現ルールでは簡単という点になるだろう。1,2人が死ぬと言うのは結構有るが、プレイヤー側が全滅してマップが終了するというケースには滅多に御目に掛からない。これはゾンビの耐久力をMaxに上げても同様である。更にプレイヤーの人数が増えるに従って顕著になる。
 まず早期のwaveが簡単であり、その開始のwaveをUT2004のように変更出来ない。よって序盤に緊張感が足りなくなる。相当上まで進めるには制限時間を長く取らないとならないが、これだと同じマップが延々と続いてしまって飽きが来る。逆に30分程度にした場合だと、Waveが進む前に切り替わってしまうという具合。

 ゾンビ自体の移動速度は当然ながら遅い。速く動き回るゾンビも存在はしているのだが割合的には少ない。戦闘にしてもゾンビは素早い反応はして来ないので、横を走り抜けたりする事が可能である(横をすり抜けようとするのを、突然反応して攻撃して来るというのではない)。なので危なくなったらとにかく逃げてアイテムのRespawnを待てば何とかなるというのが多くなってしまう。
 ゾンビの出方もWaveが進んで来ると、最初に一気にその数が出て来るというのではなく順を追って出て来るという風になるので、その間に何とかなるという感じに。後は明確な発生条件は分からないのだが、プレイヤーが死ぬと近くのゾンビが肉を喰らいに集まって来てしまうので、その感に他のプレイヤーが背後から攻撃可能という状況になってしまう。


 マップは打撃武器のみで逃げ場が無く且つ最も狭いRingBigに人気が有るようだ。武器配置等のバランスが良いCemeteryも人気あり。Garageは唯一M16という強力な武器が存在するマップだが、四角くて逃げ場が無いという不利さを兼ねておりバランスが良い。StationRiverはプレイヤーが逃げ易くてバランス的には簡単な部類。FarmHouseは2階建ての構成だが、動き回りにくく敵が増えて来るとちょっと難しくなる。

 ゾンビの種類としては毒液を撒き散らしたり、爆発して同じく毒をばら撒くタイプが厄介。地面を4つ脚で這って来るタイプは打撃での攻撃が当て難くなっている。後はWaveの途中で出て来る敵に背後からやられるというパターンが有って、周囲から挟まれるとそのまま動きがとれずに連続攻撃を受けてしまう場合もある。


 ラグに関しては海外サーバーだと若干感じられる程度だが、近接戦が多く近付くタイミングが重要なので、あからさまに反応が遅れるという場合にはプレイがやりにくくなるのは確か。

<MOD>

 元々Value Softという事でサポートは考えていなかったようだが、想像以上にInvasionを含んだマルチプレイの人気は高く、発売当初からツール系のリリースが無いのかと要望は出ていた。勿論これにはUnrealエンジンなのでその辺は容易ではないかという期待もあっただろう。既にUndeadgames.Comというファンサイトが出来ており、Forumでの要望に開発会社側からの応答もあるといった感じだったのだが、この度のV1.1 PatchにてEditorが使えるようになっており、ユーザー製作マップの普及にも期待が出来る。

 なおサイトの作者によるInvasion用のModもリリースされており、現在のバージョンではゾンビの数を大幅に増やす事が可能になっている。この様な上で書いた簡単過ぎるというバランスの修正も今後は進んでいくと思われる。

 Modによるルール変更で協力タイプのゲームモードに新しい物が加えられるという可能性も有るし、面白い展開を見せそうなゲームである。


<総論>

 シングルプレイについては敵はゾンビだけだしそれ程長さも無いしという風だが、$19.99という価格にしては良くやっているという感想。シングルに力を入れるとなるとマルチプレイはカットせざるを得ないという製作会社が多い中、(狙いかどうかは知らないが)マルチプレイをちゃんと収録したのが結果的には良かった事になる。Unrealエンジンを選んだので、ネットコードについて一から作り出す必要性がなかったというのも良かったと言える。

 このInvasionも正直かなり単調なゲーム性なので、やり始めた際には確かに面白いのだがすぐに飽きられそうという感が強かった。しかし早期のEditorリリースと、今後も製作側からの協力体制も整って行きそうであり、この進展によってはまだ大きく発展の余地が有りそうである。Coopファンには要注目のゲームだろう。



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