NITRO FAMILY

                                 05/05/13


<概要>

 韓国のDelphieyeが2004年に発売したFPS。Seriousエンジンを使用しており、馬鹿っぽい雰囲気の色的にもオリジナルに近く”直系”と言えるゲーム。明るさ、ユーモア、そしてお色気といった要素を重視して作成されている。

 しかし既に会社は買収されてしまっており公式サイトも無くなっている状態。販売元のValusoft社のサイトにはまだ存在しているので北米圏在住なら購入も可能なようだが、日本から通販となるともう北米圏では購入出来る場所がほぼ無い状況。欧州でも発売されずに終わったようだ(少なくとも英国では未発売)。日本ではズーが発売しているが、こちらも今後継続して販売されるのかは不明。

 デモはリリースされており、これはマルチプレイ(Coop)にも対応している。

 ゲームの概要は主人公Victor Chopskiとその妻Mariaが、誘拐された息子Red Chiefを追って敵組織Golden Bellに戦いを挑むというもの。


<ゲーム解説>

 第一の特徴は武器の二丁使い。5つ有る武器スロットの内で1番にはCombo Weaponがアサインされており、これは両手にShotgun, Machinegun, Rocket launcherの3種の武器をサイクルさせて持ちながら独立して使用可能なシステム。それぞれ左右のマウスボタンで発射となり、左右のNext Weapon及びReloadキーは独立設定となる。
 両方同時に撃って攻撃力をアップしても良いが、これは同時にリロードとなると隙が出来てしまうという欠点がある。よってわざとリロードをせず両手の残弾数に差を付けておき、双方のタイミングをずらして攻撃が途切れないようにするというのも一つの戦法。左右の武器チェンジとリロードが全て別のキーの為に上手く使いこなすのは煩雑となるが、慣れてくるとかなり面白いシステムである。

 第二にコンボシステム。RLで空中に敵を跳ね上げてやり、SGにて敵を連打する事でComboとなり、その回数が多いほどBonusとして金が稼げるという風になっている。ただし敵が死んでしまうとそこで終わりとなるので、敵の強さに応じて適切な距離から連打しないとComboは続かない。またこの浮かした敵をバスケットのボールの様にして上手く撃ちながら運んでやり、ある場所に入れる事でSWを動作させるパズルを解くのに使用したりもある。
 稼いだ金は所々に現れる武器商人のLisaから新武器の購入やCombo WeaponのUpgradeに使用する。

 次にVictorは背中に台座を背負っており、普段はここにMariaを乗せて行動している。このMariaをジェットパックで空に飛ばす事が出来て、空中から大量の爆薬を敵の集団に降らせるといった攻撃が可能。また接近してきた敵をMariaの鞭で攻撃して首を刎ねる事も出来る(自動)。Mariaはモーターボートやオートバイに乗って戦闘するときの運転手も勤める。

 最後にパワーアップは左上のアドレナリンのメーターが目安となり、連続して敵にダメージを与える事でこれが緑>黄>赤へと変化して、マックスに達するとエクスタシー・モードが発動される。これはスローモーションになるという効果で、その間はクラシック音楽が流れるようになっている。面白いのはこのメーターはVictorが連続してダメージを受けても溜まっていくという点。つまりボス敵や大量の敵相手に攻撃を食らった際に死ぬ前にこのモードに切り替わる可能性があって、そこは起死回生のチャンスという設定になっている。

 グラフィックはあまり良くなく、むしろ初代のSSamよりも低レベルに見える。特にTextureの質が低い。サウンドは3Dに対応しておりこちらはSSamよりも定位感は良い。

 敵のデザイン及びアニメーションは全般的に粗い。中には面白い敵もいるのだが、SSam程には魅力的ではない。武器はComboの他では敵を押し返す能力を持ったPush Gunが面白いが、その他ではGrenade Launcherは使い難いしSniper Rifleはありきたりと今一つ。


<VERSION>

 パッチはリリースされていない。出る前に会社が終わってしまったとも言える。


<仕様>

*キャラクタのモデルは1種類しか用意されていないので全員同じ
*最大で16人
*難易度はシングルプレイと同じくEasy, Normal, Hardのみ
*復活は右クリックでRespawn in Place(固定)。所持武器や弾数はそのまま引き継がれる。
*Friendly FireとInfinite Ammoの設定可能
*アイテム類は各人が個別に取得出来る仕様
*マップスタート時に200,000クレジットを所持しており、これで武器購入やUpgradeを行う。
*自動移動系(ボートやトラック)のマップはスキップされる

 使っているのはSeriousエンジンなのだが、Coopの際にSSamの様に細かい設定を行う事が出来ない(モンスターの強さを自動変更したりとが出来ないのは痛い)。また途中参加や落下死の場合には移動するSpawn地点に復活するのだが、これがバグなのかマップのスタート地点に復活してしまったりが時々発生する。それとマップ最初にLisaがいた場合、途中参加すると武器が買えずに困った事になるという問題もある。


<GAMEPLAY>

 残念ながらネットコードが使い物にならずCoopは実質不可能なレベル。このゲーム使っているのはSeriousエンジンなのだが、使っているのはV1.5なのである。SSamのファンならご存知とは思うが、このV1.5とはV1.07(2nd Encounterにて実質現在使われているバージョン)の後にβ版としてリリースされた物だったのだが、ネットコード専任のプログラマーを雇って新規に作成させたというその出来は酷い物であり、到底Coopが出来るといった代物では無かった。その後これに続く公式パッチも弁明のコメントも無く、現在では無かった事になっているという失敗作(ただしシングルプレイにおいては、Hardwareでの3Dサウンド・アクセラレーションに対応と機能はアップしている)。
 2人でのプレイにおいてでも、ちょっと敵が増えるとラグになって敵がワープしたりが発生してしまうし、データ整合の為の待ち画面になってしばらくはダンマリという事も多い。3人以上では弾の発射が30秒以上経過してから反映されるとか、根本的にクライアント側は動けないとか、すぐに回線断になってしまうという状態。LANでは試した事が無いので分からないが、3人以上では国内のPingが低い者同士でもプレイは不可な事を確認済み。
 その上に自分の回線速度を指定してもそのスクリプト自体が動かないとなっており、サーバー側のネット関連の設定も自由に出来ないという感じで、本当に未完成というレベルである。

 この件に関しては誰が悪いのかは微妙な所ではある。これからはV1.5にシフトするからという触れ込みでCroteamがこのバージョンのエンジンを売ったが、その後実はこのバージョンは失敗だったのでサポートが出来ないとなった、のならばCroteamに非がある。シングルの事を考えてV1.5の方が良いとDelphieyeがそちらを選んだ(ネットコードは自分達で改善すると考えて)のならばDelphieyeの失敗。

 Gamespyに対応しており、ブラウザから見る限りでは今でも時々サーバーは建っているようだ。しかし上記の理由から2人までで、クライアント側がラグを我慢しながらならば何とか可能といったレベルであり、Coop目的での購入は止めておいた方が良いだろう。



   目次