☆ COOP解説 ☆


 05/05/08


<COOPの可能なゲーム>

 当然の事ながらゲームそのものにCoopモードが用意されていることが条件となる。ただしそうでないゲームでは不可能なのかというとそうとは限らない。根本的にネットワークでのプレイに対応していないゲームではほぼ不可能となるが、ゲームのMap EditorやSDK(ソフトウェア開発ツール)等が公開されている物については可能性が無い訳ではない。ユーザーレベルで改造プログラム(Mod)を作成する事が可能であれば、それを使ってのCoopを可能にするModのリリースの可能性が残されているからだ


<COOPの魅力>

 まず分かり易い例として、そのゲーム自体がプレイヤー+AIの仲間で進めて行くタイプであった場合、この各AIの部分を実際の人間に置き換えてプレイした方が面白いのでそうやってプレイするというケース。これは特殊部隊や戦争系のTactical Shooter(或いはリアル系とも言われる)に多く、実際にこのタイプのゲームではCoopのサポート率が多い。アクション系のゲームであってもプレイヤーが何等かの部隊の一員として行動するタイプならば、やはりその仲間を含めて実際の人間同士で協力してプレイした方が面白くなる。
 次に昔のシューティング・ゲームに多いのは、敵の発生率や強さが非常に高くなる難易度を設けてあり、一人ではクリアが困難なのでその分プレイヤー側も人数を増やしてやって、皆で協力してクリアしていくというスタイルでの面白さを追求した物。1対多のシングルプレイから、多対超多の対戦形式で遊んで楽しむという物となる。
 最後に多人数でプレイする事で一人の時には味わえなかったようなプレイが可能になるといった面白さもある。前後左右から挟み撃ちにされた場所で役割分担をしてクリアしたり、使用武器を互いに変更してのコンビネーション攻撃を仕掛けたり、キャラクタにRPG的な成長要素が有るならば別々のタイプに育てて上手く困難を切り抜けるといった要素である。


<基本的なシステム>

◎参加者は他のマルチプレイ同様にスキン(キャラクタの外見)を選んでゲームに参加する。
◎ゲームへの参加はデスマッチ同様にいつでも(途中からでも)自由。リアル系のゲームでは逆に不可の物が多い。
◎そのMap内部での行動範囲は自由。全員が固まって動く必要は無い。
◎死ぬとスタート地点に初期状態で戻される。死亡回数には制限は無い。
◎誰かがそのMapのクリア地点に到達すると全員が同時に次のMapへ移動する。
◎初期設定で置かれている武器は誰かが取ってもその場に残っている(Weapon Stay)。これは武器が無 くなると、他の人や死んで生き返ったりした後に武器が手に入りにくいから。
◎Saveは不可だが開始するMapは自由に選択可能。ゲームの途中からでも開始出来る。

 ゲームによって上記の条件は変化するし、自由に設定出来る物もある。


<COOPが減りつつある理由>

 昔の3DFPSゲーム、DoomQuake等に代表される物は大抵COOPモードを搭載していた。しかし近年のアクション系ゲームではCOOPを搭載している物は稀である。これについては以下の様な問題があるからだ。

◎ストーリー重視
 一人の主人公が進めていくスタイルのゲームの場合に、これを多人数にしてしまってそのままシングルプレイをCoopで進めて行くと、内容的におかしな部分が出て来てしまうという問題。例えばNPCの台詞等。これはプレイヤーが仕方ない事と認識すれば大きな問題ではないのだが、開発元によってはこだわる部分だったりする。

◎Mapの構造
 プレイヤーが渡ると落ちて戻れなくなる橋、プレイヤーが乗り込んだ時点で動いてしまってそのまま2度と動作はしないエレベーター等、元々のシングルプレイ内に一方通行の個所があると問題有り。これをそのままCoopで遊ぶと最初の人しか通れない事になるし、仮にタイミングを合わせて全員で通れたとしてもその先で死んでしまうとスタート地点に戻されるので次に来た時に進めなくなる。もちろんその後誰かがMapの最終地点まで行けば次に切り替えられるが、待っている時間が問題な上に全員が死ぬとクリアが出来なくなってしまう。

 製作側からすると、こういったイベントが起きるのがシングルプレイをよりドラマティックに演出するという面から採用している訳だが、これをCOOPでも使えるようにするとなると、テレポーターのような装置を設置するか、復活地点を進行に応じて移動させるといった構造にしないとならない。或いはMapの構造そのものを変えるという手も有るが、同じ一つのMapをシングルとCoopに共用して使用するという場合だと、シングルでのMapデザインに制約が多くなってしまう問題が出てくる。

 この手の構造上の制約はまだまだ多く、一人の人間が戦う事を前提に作られているので、建物内部の通路等では複数の人数がプレイすると狭くてつかえてしまい上手くプレイ出来なくなってしまうというのもある。或いはマップの開始地点は一箇所しか用意されていないのを複数人数がJoinするCoopではどうするのかといった問題もある。

◎カットシーン
 最近ではゲーム中にある場所に来るとムービーシーンに切り替わる物が非常に多いが、この様なケースはCoop時に問題になる事が多い。切り替わった時点でホスト以外のプレイヤーがその瞬間に固まって動けなくなったり、またMapとしてカットシーンを呼び出している場合は、その中のオブジェクトや人間とクライアントのプレイヤーが重なってしまいゲームがクラッシュとか。

◎アイテム
 ゲーム上重要なアイテムや装備が一つしかない場合。例えば扉を開ける鍵とか、毒に対するシールドスーツとか。それが無いと進めない場合に、参加者全員がそれを取れる仕様でないと困る事になる。また取った人がプレイを抜けた(落ちた)場合にそのアイテムが残る様になっていないと問題がある。或いは武器や弾薬を誰かが取って終わりだと全員に行き渡らないのでこれもまた問題だ。Coop対応ゲームでは武器や弾薬が復活したりとか対策を取っているが、これをシステムに組みこむには当然それなりの作業が必要になってしまう。

◎コスト軽減
 Coop対応を謳う場合、それが上手く動作するのかをシングルプレイのテストとはまた別にテストしないとならない。更にシングルで丁度良い難易度であったら、それをそのまま多人数でプレイしたら簡単になってしまう可能性が高く、その辺の難易度バランス(Coop用に高い難易度の設定を用意する等)も考えないとならなくなる。Coopでも支障なく動くレベルのネットコードを開発しないとならないのも大きな問題。

 それだけの開発期間とコストを掛けてまでCoopを導入する必要があるのか? それによってコストに見合うだけの購入者が増えてくれれば良いのだが、これをペイしないと判断するところが多くなっている。


 これらをまとめると現状ではよりストーリーが重視されるタイプのゲームが増えており、それ故途中でのカットシーンの挿入や、一方通行になるような演出面が増加傾向にあってCoopにも対応出来る仕様のMapは作り難い傾向にある。それ故Coopはサポートしないという考え方である。
 実際問題としては各ゲームの公式Forum等にてCoopの導入を望む声は少なくないが、Coopでも矛盾無く動くようなシステム及びMapを作り上げるのには多大な労力が必要という点が対応を見送らせているというのが現状だろう。Samの様にCoopによって大ヒットするゲームがもっと増えてくればまた考え方も変わってくると思うのだが。


<プレイ上の問題点>

*難易度設定
 サーバー役が設定を柔軟にいじれるようになっているゲームは良いのだが、そうでない場合にはバランスが上手く取れないケースも出てくるし、そういうゲームの方が残念ながら多い。難易度を最大にしても3,4人もいると簡単になってしまうとか、逆に武器やアイテムが一回しか取れないので攻撃が困難でやたらと難しい物とか。

*多人数には向かない
 対戦型ゲームの様に10人20人という人数では普通プレイ出来ない。出来ないというよりもそうしてしまうと面白味が無くなるという面がある。何故ならゲームの難易度を上げるのには限界があるので、人数が多過ぎるとそれに対するモンスター(敵)の数が相対的に少なくなりゲーム的に面白く無くなる。

*意思の統一
 完全にOpenなサーバーに入るor自分で一般公開してメンバーを募る場合、どの様なプレイヤーが入って来るのかわからない。例えばチームプレイを無視してとにかくドンドン自分一人で進んで行ってしまったりとか、落ちているヘルスやアイテム系を勝手に取っていってしまう人だ。この辺ある程度意思統一が取れている人達でやらないと問題が起きてしまう。

*巨大Map
 スタート地点からゴール地点までが遠い物で、復活地点の移動をサポートしていない場合は結構辛い。特に途中に乗り物に乗る演出があったりするMapでは、2回目以降はそれは普通動かないのでスタート地点から追い付くまで長距離を延々と走らないとならないから。




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