☆ COOPとは何か ☆


 05/05/08


 Coopとは「Co-Operative Game」の略である。日本語にすると「協力型ゲーム」ということになるだろう。これはネットワーク上でシングルプレイゲームを複数の人間で協力しながら行うというマルチプレイである。ネットワークで遊べるアクションゲームというのは、基本的にマルチプレイのモードとしてDeathmatch・Capture the Flag等の対戦モードを用意している訳だが、そういった人vs人の対戦型のゲームでは無く、一度クリアしたゲームを友人と一緒に協力してクリアを目指すという遊び方がこれに当たる。。
 なお複数人で協力してゲームを進めていけるゲームとしてはRPGやRTSにも対応している物が存在するが、以下の説明は基本的にアクションゲームに関しての解説となる。

 Coopモードは家庭用ゲーム機においては比較的浸透しているスタイルであるが、PCゲームにおいては技術的な問題やスタイルの違いから対応しているゲームはそれ程無いというのが現状である。


<接続形態別分類>

*同一画面使用タイプ
 家庭用ゲーム機(コンソール)におけるCoopの基本スタイルで、TV画面を2から4分割して皆が同時にプレイするというもの(海外では一般にSplit Screenと称される)。画面は1つでその中に皆が操作するキャラクタが収まるというタイプも有る。このスタイルをサポートするゲームはコンソールには比較的多い。利点はこの方式には特に異なったテクノロジーを必要としないというのが一番大きい。同じ一つのゲーム内に存在する各人の操作キャラクタを別々のカメラから描画すれば良いだけなので、ネットワークにおける同期を取るという必要が無い。
 欠点は元々画面解像度が低いものを更に分割してしまうので、各人単位では画面が見にくくなるという点。また同じ1台のマシンを複数人で利用する事から、処理負荷が大きくなってフレームレートに影響が出る(遅くなる)可能性がある点。

 PCではこのスタイルに対応しているゲームはほとんど無い(Serious Samは対応)。理由は「同じ家に集まって皆でプレイするというスタイルが馴染まない(一方でコンソールのユーザーは子供が多い)」、「多人数分のコントローラー(或いはKB)を同時に作動させるというハードウェア構造ではない」といった点が挙げられる。よってPCとの同時発売の際にコンソール版だけがこの方式のCoopに対応というケースも珍しくない。

*LAN(Local Area Network)タイプ
 同一のLAN内(フロア内・ビル内)に存在するマシンにてネットワークを形成して行うスタイル。基本的にはPCゲームが該当するが、コンソールではXboxにおけるシステムリンクがこれに当たる。利点は「最低でも10Mbitクラスの高速接続な上に近距離なのでゲーム中にラグ(遅延)が発生しない」、「各人が近くのマシンで行う場合に、コミュニケーションを行う為のツールを必要としない(直接喋れる)」、「Split Screenに比べると、一人に付き画面一台が原則となるので見易い」。
 欠点は「各人に付きマシンが1台必要」、「Split Screenと異なり(通常は)マシン一台に付き一本のゲームが必要。つまり人数分のゲームを購入しないとプレイ出来ない」、「欧米の様に各人がPCを持ち寄ってLANで遊ぶという環境に馴染まない日本においては実現が難しい」。

 LANでのマルチプレイを実現するには開発側がネットワークでの同期を取る為の接続プログラムを用意しないとならないが、高速での接続が可能なので比較的簡単である。一般的にはLANでしかプレイが出来ないというPCゲームはそれ程無いが、インターネットでのプレイがサポートはされているのだが、実質LANでないと快適にプレイ出来ないというケースは多々有る。

*インターネット接続タイプ
 インターネットを介して接続してプレイするというタイプで、最も一般的なマルチプレイのスタイルとなる。これの最大の問題点は接続を実現する為のプログラムとなる。PCの世界ではこのプログラムを一般的にネットコードと呼んでいる。
 インターネットを介して接続する場合、どれだけ各人の回線速度が速くても、絶対的な距離による接続遅延という物が発生してしまう(この遅延はPingという数値で表される)。参加者が国内のみであれば影響は最小限に止められるが、海外のサーバーに接続した場合や自分の回線環境が良くない場合には遅延が大きくなってしまうのは避けられない。こういった遅延を最小限に抑えるのには優秀なプログラム(ネットコード)が必要になるのだが、実際には優秀な物は少ないのが現状である(それだけ高度な技術が必要とされる分野とも言える)。

 インターネットにてCoopを行う場合、各人のPCにて進行しているゲームのデータはシンクロ(一致)しないとならない。一般的なマルチプレイの対戦ゲームにおいては、各人のPCで動きをシンクロさせないとならない物、すなわち”ゲーム世界内で動いている物”は各参加者と目に見えるタイプの発射弾となる(最近では乗り物類も多くなっている)。対戦型のゲームでは通常はこういった物の数はそう多くなく、その為に送受信するデータは少なくなるので同期は取り易くなる。
 しかしCoopにおいては敵の人間やモンスターの位置データをも同時に送らないとならない必要性が出て来てしまうので、同期を取る為のデータ量が多くなってしまい、それがプレイ中のラグにつながってしまうという欠点が存在する。更に高速で移動するモンスターや、目に見えるタイプの弾を放ってくる物がいると余計に高速でシンクロさせないとならないデータ量が増える。こういった難題を解決して快適にプレイ出来るだけのネットコードが作成出来ないという理由から、Coopについてはマルチプレイから除外されてしまうというケースも少なくない。


<スタイル別分類>

 アクション系ゲームにおいては以下の2種に大分される。

*アクションタイプ
 スタンダードなアクションゲームにおけるCoop。製作技術的にはこちらの方がCoopの導入難易度が高い。何故なら元々一人でクリアしていく様に作成されているゲームを、複数人数でもクリア可能にするとなるといろいろな問題が発生してくるからである。これらについては別ページで詳しく解説している。

*Tactical(リアル)系タイプ
 代表的な物は特殊部隊の一員としてテロリストを倒すというスタイルのゲーム。これらはCoopを導入するのが容易という点から、サポートしている可能性が比較的高い。

◎元々最初から部隊行動なので多人数であり、シングルではAIだった者を人間が操作するだけなので、マップ構造の変更点が少なくて済む
◎マップに動的な仕掛けが少ないし、プレイ中にイベントが起きたりする事もまず無い
◎味方が多人数という点はシングルとCoopで共通しているので、ゲームバランスを取る為のテストが比較的楽
◎基本的に登場するのは人間だけであり、動くスピードに限界があるのでネットでの同期が取り易い




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