☆ BINARY DOMAIN ☆
                                                                                12/04/29

                        目次          HOME
製作/販売 Team CS1(龍が如くスタジオ)/ Sega        公式サイト(日本) 
デモ仕様 Steamよりダウンロード  1.14GB  シングルプレイのみ  現時点では日本からは表示されない
概  要  PCゲーマーには馴染みの無いタイトルだが、龍が如くシリーズで有名なセガ内部のスタジオ製作によるカバーシステム採用のアクションTPS。既に2月にXbox 360, PS3にて全世界で発売済み。その翌3月に「ユーザーからPC版を求める声が多い」という理由からPC版の発売がアナウンスされて、わずか一月後の2012/4/27にリリースされている。PCへの移植は英国のDevil's Details社が担当。

 このタイプのゲームの人気が高い海外市場にターゲットを絞った作品で、ざっと調べた感じでは評価はそこそこで悪くないのだが、セールス的には失敗だった模様。大きな特徴として音声認識システムを搭載しており、プレイヤー自身の音声コマンドで仲間に指示を出せるようになっている。


 Steamworksを採用しているのでアカウントが必須。ただし現時点では日本からは(普通には)購入する事が出来ないし、セガの他の多くの製品の様にこのまま解禁されない可能性も高い。それと選択言語には日本語は含まれていないのだが、今後国内向けに日本語PC版が出るのかというのも不明である。海外ではリテール版も出るらしいので、あとはそれを国内IPからSteamで有効化出来るのかになってくる。

 デモの落とし方が分からない方へ。商品頁が日本からは表示されないので http://store.steampowered.com/?cc=us の様に北米設定等にして表示させる。その後はブラウザからログインしてデモのダウンロードを選択。Steamが起動されてダウンロードが始まる。インストールされれば後は普通にSteamのライブラリから日本設定のままでプレイが可能である。


 詳細なゲームの背景設定やシステムはwikiにまとめられている

 西暦2080年。世界的な水位の上昇により多くの陸地は水没し、世界は高層エリアにする富裕層と下層エリアに暮らす貧困層とに二分されており、多くの作業が高度なロボットによってまかなわれているという状況にあった。そんな中でホロウチルドレンと呼ばれる、外見は人間と見分けが付かないし、意識も「自分は人間である」と思い込んでいるロボットが発見されて問題となる。既にかなりの数が人間達に混じって生活をしている事が判明するが、この様なロボットの製作は条約で禁止されていた。

 このホロウチルドレンの制作者として疑惑が掛けられたのが天才的な科学者である天田博士。彼の身柄を確保する為に東京へと特殊部隊「ラストクルー」が派遣される。プレイヤーはその中の隊員であるダン・マーシャルとなり、他のメンバー達と協力しながら事件の真相を探らないとならない。


動作環境
HARDWARE 必要環境 推奨環境
CPU Core 2 Duo 2.66GHz 相当 Core i5 2.66GHz 相当
MEMORY  2GB (XP), 3GB (Windows 7 / Vista) 3GB
VIDEO GeForce GT220 (512MB)
Radeon HD 2600 XT (512MB)
GeForce GTX 460 (1GB)
Radeon HD 5750 (1GB)
SOUND - -
対応OS  XP / Vista / Windows 7
DirectX 9.0c以上要


 初回起動時に.Net Framework 3.5のインストール画面が出るが、既にインストール済みならば何もせずにスキップされる(直接スキップしても良いが、再起動する度に画面が出て来る)。

 基本的な設定は別プログラムを起動して行う。デモではビデオ関連の設定が一度終わらせるとリセットされてしまう(設定ファイルにはちゃんと保存されているのだが)。それとゲーム起動後に行える明るさ調整やオートエイムの調整等もリセットされる。

 


BASICS  ゲームの特徴となるシステムを簡単に紹介。一つ目は購買&アップグレードシステム。敵の倒し方に応じてポイント(金)が入るので、それを消費して様々なアイテムを購入する事が出来る。武器, 弾薬, グレネード, メディキット, ナノマシン等。ナノマシンとは身体能力を上げるインプラントの様な物で、購入後にステータス画面を出して空きスロットに装着する事で初めて有効になる。おそらく限られたスロットに様々な物を差し替える事で、ミッションによって有効な能力に変更出来るのだと思われる。購入はマップ内のステーションで行い、その間はゲームにポーズが掛かる(それと購入時にルーレットが回って当たるとオマケが出て来る)。

 同じく金で武器の性能を上げられる(常時所持のアサルトライフルだけの様だが)。正確性やダメージ量等5つのジャンルに分かれており、相当多段階にアップグレードが出来るようだ。なおこれ等のアイテムやアップグレード要素は、自分の分だけではなく他の隊員の分もプレイヤーが購入するという形になっている。


 2つ目は信頼度システム。各隊員はプレイヤーであるダンに対しての信頼度パラメーターを持っており、これが高い状態では自分の命令や意見に従うが、低くなると反発する様になるというもの。各人の状況は隊員ステータス一覧より青いバーの伸びで判断出来る。

 戦闘時であれば味方が「XXをしてくれ!」といった要請を出す事があり、それに応じるかどうかで信頼度が上下するし、もっと直接的には味方をFFしてしまうと信頼度が下がる。或いは非戦闘時でも会話が発生する事が時々あって、そこで話し相手の質問に対しての選択肢が表示される。ここで肯定的な返答を選択すると信頼度が上がるが、反対に否定的に応えると信頼度を失ってしまう。製品版のゲームではこの各人との信頼度に応じて、後の展開が変化するという風になっているそうだ。


 3つ目は先に書いたボイスコマンド。これは今回テストしていないが、メニュー内に認識テストのセクションが設けられている。


*難易度は4種類(デモでは最高難易度は選択出来ない)
*視点は三人称固定
*武器はアサルトライフルが固定で、他にメイン武器を一つ選択可能。他はハンドガンとグレネードのスロット。
マニュアルカバーシステム。アイコンが出る場所でスペースキー(デフォルト)を押すと張り付ける。
*ズーム視点にする事で正確性が増す。直接撃つ事も可能だが照準サイズが極端に大きくて当たらない。
*上から身を乗り出すとブラインドファイアになる
*エイムアシストはオフor強弱の三段階調整
*Melee攻撃あり(銃を振り回して殴る)
*グレネードは軌跡を表示させて投げられる
*連射や移動にて照準サイズは拡大してしまう。基準サイズは武器により異なる。
*屈み動作は無し。障害物に張り付いた状態からそれを乗り越える動作は可能。
*スプリント可能。スタミナバーは無いが息が切れる事で知らせる。
*方向キー+スペースキーをダブルタップで前後左右へのローリング回避を行う


 チェックポイントセーブ方式。プレイ中ならばセーブ地点が保存されるが(何時されたのかは表示されない様だ)、デモは一度ゲームを終わらせてしまうと最初からになる。


 ヘルスは赤いダメージ表示で知らせる自動回復方式だが、独特な要素も備えている。ヘルスが底を突くとプレイヤーはその場に倒れてしまうが、その状態でも体を引き摺っての移動とハンドガンによる攻撃は行える。もし自分がメディキットを持っているのならば、自分自身で適用して起き上がる事が可能。或いは救援を要請したり、そのまま転がっていると仲間からの連絡があるのでそこで救援してくれと応じても良い(Hardでは自分のメディキットが無い時のみ助けを呼べる)。後は待っていれば仲間がやって来て回復を行ってくれる。ただし「交戦中ですぐには無理だ」と返される事もあるし、回復作業中の仲間は無敵でも無いようだ。

 間に合わずに視界が白くなってフェードアウトするとゲームオーバー。仲間の隊員が倒れた際には、AIが自分の持ち分で回復するorもう一人の仲間が助け起こせるが、彼等にメディキットが無い場合には危険でも自分が救出に行かないとならない(MediumだとAI同士の治療にはメディキットを消費しないかも)。味方の隊員が死んでもゲームオーバーとなる。

 自分を含めて各人が所持可能なメディキットの数は3個(Medium)。よって3人居れば9個も持ち運べる事になるが、メディキットは高価なので使い放題という訳ではない。出来るだけ使わないでその分を他のアイテムの購入や改造に回した方が早く強くなれる。

GAMEPLAY  デモは異なるミッションを2つプレイ可能。一つ目はゲームの冒頭だと思われ、こちらでは同行する隊員を2人自由に選ぶことが出来る(各人は武器や得意分野が異なる)。二つ目は全く別のロケーションとなり、ここでは仲間2人は固定の様だ。両方で20〜30分位のボリュームである。最初のはボス戦で終わりだが、二番目はボス戦になった所で終わりという不完全燃焼な締めくくり方。


 最初にゲーム以前の問題から。この移植版はXbox 360コントローラーでのプレイをメインと考えているらしく(若しくは手抜き移植)、マウスでの操作への対応はおざなりである。メニューやゲーム内のインターフェース画面ではマウス操作を行えず、キーボードでコントローラーの操作をエミュレートした前進/後退ボタンでの操作体系となる。そしてデフォルトではESCキーが使えず、Enterキーにそれが割り振られておりメニューを出すのにどうするのかしばらく迷った。またそのままだと「確定」の意味が普通のEnterがキャンセルの意味を持った状態となるので誤操作し易く、最初からPauseキーの設定をESCに変更するのをお勧めする。

 操作キーの割り付け設定が基本設定を行うランチャーからしか出来ない。ゲーム内からはキーの割り付け一覧を参照する機能も無いので、プレイが始まってしまうと操作キーが判らずに困った事になる。幾つかのキーは画面上にガイドが出るのだが、ケースによってはキーのアイコンが非常に小さくてそれが何なのか見え難い事もあった。他にマウスの感度設定も行えない為に、感度を変えたければその都度ゲームを終わらせる必要がある。


 カバーシステム採用のゲームではGears of Warとの比較は避けられないところだが、その戦闘システム及びプレイ感覚としては結構似ている部類に入るだろう。背景設定や敵をロボットにしたりで変化を付けているという印象。

 そのロボットとの戦闘には面白さがあって、体の一部を破壊されても死なず、脚を破壊しても地面を這ってプレイヤーに近付きしがみ付いてくる。撃たれた部位から電気を放ったり四肢がもげたりの表現を持ち、腕を破壊して武器を使えなくしたり、頭を破壊してこちらを認識出来ない様にする事も可能。戦闘中の物理エンジンによるオブジェクトの飛び散りも派手で爽快感が感じられる。デモだとそれ程多彩な種類は出て来ないが、高速でこちらまでやって来る物とか、大きなボスタイプも幾つか登場する。

 武器はショットガン, LMG, スナイパーライフル, ミニガン等が出て来る。アサルトライフルは連射すると上に向かって軽いリコイルが生じるし、フルオートのみなので中距離以上ではあまり命中率は高くない。ショットガンは強力だが接近しないと当たらないという危険さを持つ。そのバランスは別に悪くないのだが、対してスナイパーライフルがあまりにも強過ぎで、体のどこでも当てればほとんどの敵を一撃で倒せてしまう。弾薬数はさすがに少な目だがアンバランスに感じられた。また中ボス格から奪える巨大なガトリング銃も破壊力抜群で、もうちょっとブレても良いのではないかと思わせる。

 敵の破壊後に落とす事がある光るエネルギーアイテムを拾い、そのエネルギーが溜まると特殊攻撃を行える。チャージして放つと電撃弾を発射し、これ一撃で敵を吹き飛ばして倒せる強力な物。右上の青いバーの所に発射可能弾数は表示されるが、それ程は手に入らないので貴重である。他に製品版ではもっと多彩でユニークな未来型兵器が出て来るのかは不明。


 難易度が低いセクションが選択されているという可能性も強いとは思うのだが、難易度Mediumでは比較的簡単である。強引に突っ込みでもしない限りは耐えられるダメージ量はそこそこ有るし、倒れてから死ぬまでも相当長いので余裕がある。Hardでもプレイしたがそれで普通のゲームのMedium程度という感想。ただメディキットを使えば簡単だが、とにかく使わないようにして金を節約しないとレベルアップが厳しいという設定なのかも知れない。


 次に問題点の方だがこちらは沢山有る。最初にスプリントとカバーに同じスペースキーを使用しており、スプリントしようとすると近くのオブジェクトに勝手に張り付いてしまうという事態が頻繁に発生する。これはGoWでも在った問題だが、カバーへの張り付き判定が過敏過ぎるのか発生率が数段高い。次にマウス感度が場所によって変わる。これは他のゲームでも見られたりするが、やはりこの件も特に目立つ気がする。他に以下の二点はTPSでは定番の問題。

*階段の様な狭い場所では視点移動がやり難い
*高速で動く敵に対して照準を追尾させるのが難しい。マウス感度を高めると微細なエイムがやり辛くなる。


 仲間の意義。タイプが異なる隊員を選べるが、誰にしろ個性が大して感じられないし、また戦闘能力が高くも無い。通常はあっちこっちへと動いているだけで、実質大半の敵はプレイヤーが倒さないとならないという状況である。これは能力上昇やレベルアップさせた武器を持たせれば変わるのだろうか。

 指示は行えるがこれにも問題あり。自分をカバーさせてしまうと周囲をチョコマカと動き回り、銃の前を平気で横切ったりするのでFFしてしまう危険性が高くなる。FF無しのゲームならともかく、このゲームでは信頼度の低下という要素を持つので厄介。突っ込ませる方が邪魔にならないが、隊員によってはスナイパーライフルがメインとかハンドガンしか持っていないとかで、背後に待機させておいた方が良い者もいる。しかし隊員別の指示は出せないので、もう一人の近距離戦が得意な者を優先してチャージ命令を出すしか無いとか制限がある。

 それと信頼度についてだが、これもどの位影響があるのかデモでは判らず。相手の気に入る返答ばかりを選んで、全員の信頼度を一様に上げる事は出来ないという設定なのかも不明である。


 HUDがゴチャゴチャしている。私は没入感を高める為のHUDレスのデザインにはむしろ反対の方だが、かと言って近年増えて来たやたらと必要の無い情報を次々と表示するHUDモアのデザインは好きでは無い。獲得クレジットとか仲間のヘルス状況等が頻繁に更新されて表示されるので、戦闘中に「む、重要な情報か?」と視線が一瞬そっちに行ってしまったりと集中力を殺がれてしまう。表示される位置ももっと端にした方が良いと思えるし、表示スケールも小過ぎたり多き過ぎたりとアンバランス。これは相当に痛い欠点だと思うので、設定で項目別にオフに出来るようにとかスケール調整機能を持たせて貰いたい。


 ミッション01では最後にボス戦があるが、特定のアクションを行わないと倒せないという方式で、QTEではないもののキーを的確に押す必要があるいう点は変わらず。それと失敗すると繰り返しチャレンジは出来るのだが、反ってそれが作業感を強烈に増しており白けてしまった。

 

GRAPHICS

SOUND
 自社製のエンジンを使用しているらしい。16:9のアスペクト比固定で、4:3等では上下が黒帯での表示となる。アンチエイリアスではMLAAとFXAAが選択可能。かなり綺麗な上に軽いという印象でクオリティは高いと思う。欠点はキャラクタがプルプルと震える様に見える時がたまにある事。それと近距離のシャープさに比べて中距離以降がちょっとボヤけている様に感じられる。

 個人的に減点なのはダメージ表現がクリーン過ぎることで、これは海外市場がターゲットのゲームでは実際に大きなマイナスになっていると思える。日本でも売る訳だしこの程度に抑えたのかも知れないが(CEROはDの17歳以上)、敵はロボットなのでともかくとして人間側に流血表現が無い。一時的にでもダメージテクスチャとして流血を周囲や体に付着させた方が迫力も出ると思うのだが、完全にクリーンな描画なので戦闘時の深刻さが損なわれている。加えて被弾時のノックバックによるアニメーションも導入した方が良いだろう。


 3Dサウンドはサラウンドにしなくても有効。サウンドのボリューム調整等は出来ないのが難点。

感  想  プレイ前に想像していたよりは面白かった。だがすぐにプレイしたいと感じるほどではなかったのと、これを書き終えてから気になった点を調べる為にレビューを数点読んだ限りでは、「武器や能力のアップグレードによる変化はそれほど感じられない」, 「信頼度システムによる影響は実際にはほとんど無い」, 「未来的or特殊武器は出て来ない」という事らしく注目度が減。Co-opの方もキャンペーンではなくてホードモードだけで、それもあまり面白くは無いみたいである。よって将来的にセール等で安くなったら買っても良いかという結論。


 しかし何よりもまずはマウス操作に対応して貰いたい。HUD表示の修正も併せてそれだけでも随分と印象は変わってくる。その他に本文では書かなかった問題点や要望事項としては、

*キャラクターの動きがキビキビし過ぎており重量感が感じられない。結果的に雰囲気にも重厚感が無い。
*カメラが寄り過ぎの様に感じられる。もう少し下げるか調整可能になった方が良い。
*デモを見る限りでは主人公を含めてキャラクターが魅力的では無い
*会話や応答時に選択肢画面を一々キーで呼び出すのが面倒(ボイスコマンドを使えという事なのだろうが)
*近距離戦で打撃攻撃を喰らって倒されるとそのままハメ状態になって起き上がれなくなってしまう事がある
*物理エンジンによる破壊を導入しているのならば、簡素なカバーは破壊されるようにした方が面白いのでは



 評価 60点
                        目次          HOME