☆ BLINDING DARK ☆


14/09/25 更新 目次          HOME
製作/販売 Games Hut / BulkyPix (Plug In Digital)       公式サイト     STEAM     INDIE DB
デモ仕様  現時点ではSteamからダウンロード出来る物が最新版(V1.0.8)。単体で落とせる物が各種ダウンロードサイトにて見付かるが、それ等は過去に配布された古いバージョンである。
概  要  会社が何所に位置しているのかは不明だが、リーダーのRadu Ungureanu氏はルーマニア人。そのGames Hutが過去に何かゲームを出しているのかは解らなかった。

 ゲームは既に14/08/12にリリース済み。メジャーなダウンロード販売サイトにて扱われており、現状価格は$9.99となっている。(このデモを含めて)プレイにはSteamのアカウントが必要。

 プラットフォームはWindows, Mac, Linux。シングルプレイのみ。

 説明によると全部で6個のACTから構成されるそうで、現在販売されている中身はACT1のみである。こういうケースではゲーム名に「Chapter 1」などと付けられて、これが完成版では無い事、或いはこれはChapter 1のみの販売価格である事を明記し、ユーザーの混乱や後のトラブルを避けるのが普通なのだが、掲示板などを見てもその辺がハッキリと記されていない。よって以降のACTが出たらそれは別途有料購入となるのか、最初に$9.99払えば後はフリーアップデートにてACT2以降も提供されるのかが不明。それ程大掛かりなプロジェクトには見えないので、ACT1が売れたらその資金でACT2を制作という風に、どこまで作るのかは売り上げに応じて決定する方針という可能性もある。



 主人公は何故こんな場所に居るのか、そして自分が誰なのかも解らない状態で目を覚ます。頭部には奇妙な装飾のマスクが取り付けられており、外す事が出来ないばかりか、そのマスクは主人公の精神に語り掛けて行動を指示してくる。以降は異世界の謎めいた屋敷の中を探索しながら、自分が誰で何故ここに居るのかを探索していくというストーリー。


動作環境
HARDWARE 必要環境 推奨環境
CPU Dual core from Intel or AMD at 2.8 GHz -
MEMORY 3GB -
VIDEO GeForce 8600/9600GT
Radeaon HD2600/3600
-
SOUND DirectX互換 -
対応OS  XP
DirectX 9.0c以上要


 まずこのデモはSteamをオンラインに接続しておかないと起動しない(製品版も同じ様だ)。デモのexeにはx64の文字が付いており(これしか実行ファイルはない)、おそらくユーザーのPCに合わせて32と64が自動的に選択されるのだと推測される。

 動作環境はOSの表記がXPだけだったりと大雑把で、インディーズらしく詳細な動作互換テストが行われていないと思われる。ただこの様にデモが用意されているので、購入前にテストが出来るから問題は無いだろう。

 コントローラーでの操作に対応。


 私の体験した障害としては、死亡してチェックポイントに戻った際にグラフィックス設定の一部がリセットされてしまうというのがあった。このゲームでは影の設定がダイナミックライティングの効果を決めているようで、これがオフになっていると手持ちの灯りが周囲を照らさなくなってしまう。その結果プレイするのに不利になるという問題が発生するので注意。やけに暗いと感じたら設定を確認した方が良いだろう。

 他にはゲーム再起動にてキーのアサインがリセットされる, ドアの様な動くオブジェクトの描画が変になる, クリッピングエラーで壁の向こう側が見えてしまう等に遭遇した。動作そのものは安定しており不正終了などは無かった。

BASICS  Clive Barker’s: UndyingAmnesiaをミックスさせたゲームを作りたいという意図があるそうで、ホラー要素は重視しつつも、逃げるだけでは無く武器やアイテムにて敵を攻撃出来るという風になっている。ただしアクションホラーにはしないという考え方で、死の恐怖を感じられる様なバランスにすると明言されている。武器は存在するが弾薬が非常に少なく、ヘルスの回復手段も限定されるという昔のサバイバルホラー路線。

 ロケーション(風景)はACT毎に変化し、各ACTにはボス戦が用意されていて一応の終わりが設けられている。ゲーム性にも変化を持たせる予定だそうだが、今後のACTの具体的な情報は明らかにされていない。


 攻撃用アイテムは斧とリボルバー以外は特殊な物が用意されている。敵は大別して物理系, 精霊系, 特殊系の3種類が存在し、一つの特徴として敵のタイプによって攻撃可能な武器(アイテム)が異なっており、対応していない物では全くダメージを与える事が出来ない。例えば精霊系には物理的ダメージ系の武器は効果無しなので、魔法系のアイテムを使用しないとならない等。それとこういった効果はゲーム中に説明されない為に、何が効果があるのかはプレイヤー自身が試しながら確認していくしかないとされている。

 魔法系アイテムを使う際にはマナが必要となり、これは画面上に数値として示されている(デフォルト100)。自動回復方式で、その最大値はマップ内のAugmentationを回収すればアップする。

 回収アイテムにはSoul Urnsという物もあって、見付けるとランダムな値のソウルが手に入るのだが、どういう効果を持つのかはまだ決まっておらずACT2から実装される予定である。


 タイミングを要するアクション要素も大幅に採り入れられている。主にプラットフォームを渡り歩くジャンプとなるが、極端では無いもののある程度は難しく設定するというデザインで、失敗即死のチャレンジもあったりする。

 パズル要素も多目で、むしろ戦闘よりもパズルやタイミングアクションの方がメインとなっている。ただしこのデモでは探索によるアイテム探しの色が強く、パズルを解かないとならないというシーンはほぼ無かった。物理演算により幾つかのオブジェクト持ち上げて動かせるのでこれで台を作ったり、同じくオブジェクトを動かして通路を開けたり程度。


・一人称視点固定
・FOVは70から100まで変更可能(デフォルトは70)
・キーバインド可能, マウス感度設定可能(ただし幅が狭い), 明るさ調整不可
・難易度選択は無し
・現在の目標を表示する機能は無し
・ミニマップの類は無し

・操作可能なオブジェクトにはアイコンが出る
・インベントリーが無い(何のアイテムを持っているのか確認出来ない)
・武器類は全て持ち運べる
・左右へのリーン可能(そのまま撃てる)
・アイアンサイト可能
・スタミナは数値として表示される(自動回復)
・灯りとなるトーチは無限使用可
・ジャーナルで主人公の状況などを確認出来る

GAMEPLAY  デモは結構ボリュームがあって、アイテム探しに時間を掛けたりもあったが1時間半位プレイ出来た。どんな感じのゲームなのかを体験するには十分な時間と言える。なお意図的なのかもしれないが全般的にあまり親切では無く、基本的な事でもどういう風にすれば良いのかを教えられなかったりもあった。

 ACT1のマップは主に邸宅風のデザインで、同じ様な景観のエリアが多くバラエティには富んでいない。一部に奇妙な空間が出現したりがあるのみ。それと迷うほどには複雑ではないが、部屋類が現実世界の館では有り得ないような接合のされ方をしていたりはする。なお余談だが以前に紹介したPhantasmalと冒頭のマップ形状が一緒で、これは同じUnityを使用しているのでそのサンプルマップか何かなのだろうか?


 各要素別の感想として最初は“パズルと探索”から。パズルと言っても難解な物では無く、家具を動かしたり箱を積み上げたりしてルートを作る程度。よって大して面白味も無いのだが、そのどちらにも欠陥があるのはいただけない。一部の家具を押して動かせるのだが、反対に引く事は出来ない(いろいろ試した範囲では)。その為にうっかり押し過ぎてしまうと引いて戻せなくなり、目的の場所まで動かせなくなって詰んでしまう。

 箱を動かす方は物理演算の配下にあるのだが、持っている箱に一定以上の力が加わると離してしまうというリアリティ設計が操作をやり辛くしている。掴んだ箱は離す操作をしない限り持ち続けられるのではなく、引っ掛かったりで自動的に離してしまうため、複数の箱を積み上げて山を作ったりの作業が上手く行かなかったりする。中でも最悪なのは接触判定のエラーからか、必要な箱が壁の向こうに消えてしまったりして詰んでしまう恐れがある件。

 探索はロックされたドア用の鍵を探して探索するというパターン。ここで最初は迷ったのだが、家具の中には上記の様に動かせる物があって、それを見付けて隠し部屋に入らないと進めないケースが多くなっている(動かせる家具を見分ける方法はあり)。そしてここではスタミナの要素がストレスに感じられた。二手に分かれたルートの片方の終点がロックされた扉なら、反対側のルートにその鍵が存在したりが定番。そうなると結構な距離があるので、スタミナ切れの回復を待ちつつ移動しないとならない。既に敵を片付けてしまっている状態などでは単なる移動による鍵探しとなるので待つのが面倒に感じられてしまう。ただ敵から逃げ続けられない様にしたりとかスタミナ制限も重要なので、これは致し方のない点とも考えられる。


 次に“ジャンプによるタイミングアクション”。デモの範囲内では移動するプラットフォームを渡ったりはなく、固定されている物を飛び移ったりする事になる。落ちれば死亡のエリアもあり。そのジャンプはフワリと浮く感じで飛距離も長く、また空中での姿勢制御の余地が比較的多目なので狭い地点に降りたりの調整も効く。飛んだ先にアクションキーで掴まったりとかの操作も必要が無い。その為にあまり難しくは無いという印象。ただし飛ぶ感覚にリアリティが薄い為に慣れるまでは戸惑いもあった。例えばより高い側へと飛ぶ際に、見た目としては無理ではないかと思える様な段差でも、最後に「グン!」と飛距離が伸びる感じ(片脚でも縁に引っ掛かれば、そこから脚の力だけで持って行ける様な感覚)で成功したりする。

 しかしそのジャンプの高さから、逆に低い段の方へと飛ぶ際に高く跳び過ぎて落下ダメージを受ける危険性あり。それと一般的なこのタイプのゲームには無い死亡回数によるペナルティが設けられており(後述)、何回も連続で失敗するほど難易度は高くないが、死んでしまった場合にダメージが大きいという設定にされている為、飛ぶ際に難易度以上の緊張感は生まれている。


 そして“基本システム”。まずヘルスは特殊なシステムで、現在の状態は数値では無く画面周囲の赤さで示される。自動回復では無いが、回復用の携帯アイテムも存在しない。回復方法はゲーム側から教えられないので最初解らなかったが、Scryと表示される像の前でクリスタルのPrimaryを使用する事で回復可能。これにはマナを使用するが、マナは自動回復なので実質何度でも上限まで回復出来る。怖くなくなるので簡単には回復出来ない様にしたいという狙いからの設定だと考えられるが、これはなかなか良いシステムだと思える。この像の前では無限に回復は可能だが、広いマップ内に一つだけとか何所でも出来る訳ではない。危なくなったら戻れば安全だが、この広さだとダメージを受ける度に戻っていては面倒。そこで「ある程度ダメージが溜まったら戻ろう」という意図で行動していると、通常状態よりも死の危険性が増すので緊張感が出るという様に働いてくれる。その一方で無限に回復が可能だから、ひたすら安全にプレイする事でプレイヤーが詰む可能性も回避出来る。

 セーブは燭台の場所で各一度だけ行われる。その間隔はかなり長い。死亡時のシステムは解説されないが、いろいろと試した結果以下の様になっているらしい。死亡するとチェックポイントに復活するが、この時に周囲の状況はそのままに保たれる。Bioshock(Vita Chamber)やBorderlandsと同様の方式で、既に取っていたアイテム類はそのままとなり、再度取る為にジャンプアクションに挑んだりする必要は無し。敵も倒した者は死体のままで、生き残っている者だけがそのままマップ内に残されている。だがアイテムとして弾薬も復活しないので、(非常に数が少ないという設定でもあり)復活はしたが残り弾が無いという恐れも持っている。そして設定されている回数以上同じチェックポイントで復活すると、マナの最大値が-15されるというペナルティを受けてしまう。

 弾薬切れ等で進められなくなった際には、一度終了してからロードすればチェックポイントに到達した状態からやり直しになる。アイテム類は再度回収しないとならないし、敵もまた倒さないとならないが、弾薬を節約しながらやり直したりが可能である。ただペナルティで減ったマナの値はこのやり方でも回復しない。


 ここからは“戦闘関連”戦闘の頻度は想像していたよりも少なそうで、どちらかと言うと謎解きやジャンプアクションの方に重点が置かれているゲームという印象。またホラー重視の様で、ドアを開けると突然飛び出してくるとかのビックリ演出が目立つ。クリアしてきた通路に突然スクリプトで出現したりも良く発生。それと不自然な位に狭い幅で長い通路が数多く出て来るのだが、どうもこれはプレイヤーが追われている際に逃げ辛くする為のデザインの様だ。ここでスタミナが切れると逃げ場が無いから追い付かれるし、或いは敵の周囲を回りながら打撃武器で攻撃するという手法が封じられている。

 リボルバーだけの感想だが、弾薬は少なくリロードは遅い。そして何より威力が低い。とにかくプレイヤーに強い武器を渡さないというデザインで制作しているそうなので、これは他の武器やACTでも変わらないと考えられる。打撃武器も見た目に比べて弱く、かなりの回数殴らないと敵を倒せない様になっている。よって打撃戦の難易度は高目。

 灯りとなるトーチは武器スロットから選択する形式で、攻撃用の武器とは併用出来ない。つまりオリジナルのDoom 3の様に灯りと武器を同時には使えない仕様。光るドクロをその場に生み出す事は可能だが、これはプレイヤーと共に動かないのでそれ程使い勝手は良くない。そして暗い場所では敵が見えないというレベルで暗いので、近距離戦用の斧などでは戦い難いとなっている。


 デモ全体で一番酷いと感じたのが敵の設定全般。最初にアニメーションが単調で、また鎧を着ているのに動き方がジョギングみたいに軽くて何とも変。リボルバーだと寄ってくる所を撃つ → 仰け反り反応 → 再度動き出す、の繰り返し(4〜5回)で見た目は常に一緒と不自然。また死亡時のアニメーションには物理演算が使われておらず、常に同じ引っ繰り返り方で死亡する。ダメージという観点からもヘッドショット判定が無いらしく、狙って撃つという面白味が薄い。次に間合い判定が変で、見た目としては届かない距離から敵の打撃攻撃が命中してしまう。FOVをデフォルトよりも拡げていたので、それに因りズームアウトし過ぎでそうなっているのか?と考えたが、デフォルトに戻しても同じだった。

 更にはプレイヤー死亡後に復活した場合などは敵が生き残っているままになるが、そうなると移動出来る一番端(段差等)まで来てその場で透明な壁に向かって駆け足状態となる。それがルートに戻る為の場所だったりするとジャンプしてそこに到達しようにも邪魔なので撃たないとならず、貴重な弾薬の無駄遣いとなる。若しくは上手く位置取りすればスタック状態の相手を打撃武器で一方的に殴れたりもあれば、逆にこちらからは届かない位置から敵の攻撃が届いてしまったりも生じる。結論としてはデモにてメインとなる兵士の敵は、アニメーションからAIに至るまで問題だらけという感が否めない。

GRAPHICS
&
SOUND
 DirectX 11に対応させた高度なグラフィックスを目指していたらしいが、使用しているUnityでの安定性の問題なども在り、DX11無しの環境でもほぼ同レベルの高度なグラフィックスを実現するという方針に変えた模様。現行バージョンには指定するオプションは無く、DX11を認識すればそちらで動くのかは不明。

 クオリティ設定は6段階のプリセットの他に個別に変更可能な項目もあり。なお解像度切り替えでは逐次切り替わる仕様なのが問題点。窓化の設定は無しなのでAlt+Enterを使ってみる等になる。

 暗い場所が多いが雰囲気の表現は良好。インディーズの中ではレベルが高い方だと言える。テクスチャーは細かくて綺麗だが、場所によっては妙に汚い箇所もあったりとバラツキが感じられた。後は血の色が変という印象。


 BGMの出来は良い。ホラーという観点からすると、これが一番デモの中では出来が良い点と言えるかもしれない。なお少なくともアナログ出力では3Dサウンドにならなかった。

感  想  まず最初に言いたいのは、商品紹介頁におけるClive Barker’s: Undyingの要素云々という下りは外した方が良いのではないかという点。私も同作は好きだったのでそのイメージでプレイに臨んだが、このデモを見る限りではゲーム性が似ているとは思えなかった。向こうは武器と魔法をミックスさせて戦うがアクション重視であり、このゲームにおける「プレイヤーの攻撃力を低く保つ」という基本方針とは合致しない。

 戦闘パートの出来が良くないのと、そもそも戦闘シーン自体が少ないという事から、戦闘を重視する人には向かないと言えよう。プレイしたのはデモだけとは言え、ホラーを最重視して武器を弱くしている為に敵を倒すのにも時間が掛かるのは基本デザインとして変わらないだろうから、爽快感不足という点は今後のACTでも同じはずである。ホラー要素やジャンプ(タイミング)アクションを好む人向けのゲームだと感じる。

 なおデモは結構長く遊べるし、グラフィックスのクオリティ(主に雰囲気)はインディーズ物としては上出来なので、とりあえず遊んでみるという姿勢でも悪くないと思う。


 評価 60点

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