☆ CONTRACT J.A.C.K. ☆
                                                                               03/11/13


製作/販売 Monolith / Sierra        公式サイト
デモ仕様 132MB   シングルプレイミッション2個収録   マルチプレイ用デモは別に有り
概要  No One Lives Foreverシリーズの新作タイトル。ただし今作の主人公はCate Archerではなく、拡張パックというよりもシリーズ外伝的な位置付けの作品である。単体で動作するのでNOLF2は必要無い。

 主人公のJohn Jackは殺し屋として、シリーズでは敵側に当たる悪の組織H.A.R.M.のDmitrij Volkovに雇われて(Contractとは”契約請け負いの殺し屋”の意味)、H.A.R.M.同様に世界征服を企むイタリアのライバル組織である”Danger Danger”の活動を探る為の仕事に携わる事になる。

 大きな変更点はシリーズの特徴であるスパイ活動を離れて、ストレートなアクションゲームとなっている点にある。定番だったステルス行動やGadgetsの使用といった要素は排除されており、真っ向から敵を蹴散らしていくノンストップ・アクションとして製作されている。この方針変換は、本編とは別物という事で何か変わった方向性を試してみたかったからという理由による。

 ゲームの時代設定は本編の1と2の間となり、Cateは直接は出てこないが他のキャラクタは数人登場するそうだ。全15レベルからなっているが、内部テストプレイによるとほぼ6-8時間程度でクリア出来るボリュームであり、その為北米では$29.99という価格設定となっている。既に北米では発売されており、日本ではサイバーフロントから発売予定。

動作環境
HARDWARE 必要環境 推奨環境
CPU 733MHz Pentium III 1 GHz
MEMORY 128 MB (256MB: XP) 256MB RAM
VIDEO VRAM 32MB Hardware T&L対応 VRAM 64MB Hardware T&L対応
SOUND DirectX 8.1 compatible EAX 2.0
対応OS  98/ME/2000/XP
Direct X 8.1以上要


 基本的にNOLF2と同じエンジンを使用しており、1年経った現在としてはそれほど要求されるスペックは高くない。ただしHardware T&L必須なので、オンボード系のビデオでは動かない可能性が高い。同じエンジンという事でサウンドの問題はやはり完全には解決されていないらしく、サウンドが出ないとか音声のズレが発生される場合はReadmeの対処方法を参照して欲しい(長いのでここでは割愛)。
 パフォーマンス系ではasset precachingをONにする事でゲーム中の読み込みを少なくする事が出来るがその代わりにLoad時間が長くなり、OFFにするとLoadは短い代わりにプレイ中にデータ読み込みが発生してカクカクする原因になる。どちらにしろ問題が有るならグラフィックの設定を下げるしかない。

GRAPHIC  NOLF2と同じだが、今でも綺麗な部類ではある。ただし(少なくともこのデモでは)敵キャラクタのパターンが少なく、また死亡時のアニメーション等は単調な感も。物理エンジンは使用されておらず、キャラクタのObjectとの重なりは発生する。一つこれまでとの変更点として目に付くのは、攻撃が当たった際に吹き出るBloodの量がかなり派手な点。これは命中しているのが分かるので良いのではないだろうか。

GAMEPLAY  戦闘に焦点を絞っている点からNOLF2での"Search"といった要素は省かれており、敵から身を隠す"hide"も出来ない。アイテムやヘルスを手に入れる為に隅々まで探し回らないとならないのは確かだが、鍵も撃って破壊するようになっていると普通のFPSと同じようなゲーム性となった。銃の扱いに関してもJackは殺しのプロという事で、移動しながら撃った時の照準のブレがNOLF2に比べて相当小さく設定されている。またGrenadeの破壊力も増大している。

 ストレートなアクションFPSで敵が人間タイプとなるとやはり問題になって来るのがAIである。今作では定評のあったNOLF2のAIを戦闘用に独自にチューンアップしており、障害物を上手く使って顔を覗かせながら攻撃してきたり、やたらと左右にステップしたり地面を転がったりと幻惑する行動を取り、またGrenadeを投げてきたりも可能と確かに出来は良い。射撃の腕も悪くも無く不自然に正確でも無くとバランスは取れている。NOLF2以降に出たFPSでもこれだけのレベルのAIを持ったゲームは少ないと言えるだろう。ただNOLF2での問題点であったObjectの認識エラーは直っていないようで時々見受けられた(AIは事前にスクリプトされた”ここに隠れられる”といった情報では動いておらず、周囲のObjectがどうなっているかの判定をリアルタイムで行っている。よって隠れられる場所をその都度判断出来るのだが、逆にその認識がおかしくなって、間に壁が有るのにこっちに撃ち続けたりといった事が起きる)。
 難易度的には結構高目であり、あまりヘルスやArmorが用意されていないので厳しい状態での戦闘が続く個所が多い。敵の数が相当多いのでLeanを多用して体を曝さないようにしないと一気に体力が削られてしまうケースも。失敗して大きなダメージを負ってしまうと次の補給点までが辛くなる。絶対にクリア出来なくなる様な場所は無いが、出来るまでチャレンジを繰り返すよりはCheckpointまで戻ってやり直した方が早いというケースも多い。これを常に緊張感を持ってプレイ出来るという面からバランスが良いと取るかどうかは微妙な所。

 ではAIが優秀なので面白いのか?となると、ゲームプレイ全般という観点から見た場合、このゲームには問題点が幾つも見受けられる。まず第一にあまりにもストレート過ぎて緩急が無く、単調さが感じられてしまう。敵の動き方はよく出来てはいるのだが、その動きのパターンは種類が変わっても一定なのが原因。第二に敵の出現がプレイヤーが或る地点に到達した時に発生するというトリガー式なので戦術の幅が狭い。事前に配置されている敵に対してこちらのタイミングで、望む位置(作戦的なポジション)から攻撃を仕掛けられないのである。敵はプレイヤーを発見したという設定で登場するので、その瞬間からどこへ逃げようが追い掛けられて来て非応無しに戦闘状態になってしまう。この「常に受け身」という設定はマイナス要素と感じた。
 次にゲームの設定からか立って動きながら撃っても当たり過ぎるような印象で、敵が多い分そうなっているのかも知れないが面白味に欠ける。座って揺れを安定させたりという変化に乏しい。それと武器に関しても問題がある。まずバランスとして拳銃が強力過ぎる。Sniper Riflleの代わりに使える位に遠距離の敵に的確に命中させられるのはおかしい。Shotgunも遠くまで当たり過ぎではないか。それとSub MachinegunやAssault Rifle系武器の使い勝手に大した変化が感じられない点も問題だろう。

 総じてゲーム進行の主導権がこちら側に無く、変化も付け辛いというのが問題。スクリプト重視で行くならもっと別の見せ方が有ると思うし、幾ら戦闘重視と言ってももうちょっとプレイヤーに自由度を与えるデザインにすべきだろう。NOLFの特徴であるユーモアの要素が大きく後退しているのもマイナス。コンセプト的にそういうゲームではないにしろ、もう少し取り入れても良かったのでは(最後のC4の個所は面白いが)。

SOUND  オープニングのテーマは新曲の様だが、ゲーム中のBGMはNOLF2からの使い回しなのは残念。銃のサウンド等は標準的な出来。

INTERFACE  ほぼNOLF2と同じなのだが、武器の切り替えがやり易くなった。その武器は多種有るがLast Weapon等も設定出来るのでそれほど面倒ではない。またCrouchも切り替えと一時的を両方アサイン出来るようになっている。Checkpoint Saveをサポートしているのも親切。Load時間も速い部類。

感  想  製作がアナウンスされた時から、このシリーズの雰囲気にCate Archer以外の主人公を持ってきて受けるのか?という疑問があったのだが、残念ながらその不安は的中してしまったような感がある。戦闘要素に絞ったゲームになると知ってからも、ベースのAIは優れているので悪い様にはならないだろうと思っていたのだが、上で述べたようにちょっとデザイン的に問題有りだ。
 デモに2つMapを入れるとなったら普通毛色の違った物を入れると思うのだが、それがこれだけ似ているという事は製品版全体もずっとこんな感じで進んで行く事を予想させて、それもマイナスの印象である。NOLF2は昨年の私のベストゲームだっただけに発売後すぐに購入を考えていたのだが、現状ではその気はなくなってしまっている。


 購入確率 50%  (-.-)

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