☆ THE CROW'S EYE ☆

15/06/01 更新 目次          HOME
製作/販売 3d2 Entertainment       公式サイト     STEAM     INDIE DB
デモ仕様 204MB (The_Crows_Eye_Demo_Alpha)        2014/11/13リリース  
概  要

 3D2 Entertainmentはスペインのバルセロナに位置する2011年設立のインディーズ会社。まだ大学生の時に設立されており、現在の構成メンバーは6名。これまでに制作実績は無い模様でこのゲームが初の作品となる。2013年から取り掛かっており、他の職で金を稼ぎつつ空いた時間での制作というパターンだと思われる。

 既にSteamのGreenlitに到達している。しかしKickstarterでのクラウドファンディングには希望額の一割も集まらず大きく失敗。だが制作は続けられており、予定よりは延びた様だが2015/07のリリースが予定されている。Early Accessを採用する意志は無く、最後までプレイ可能な完成作品としてリリースされる。現時点ではダウンロード販売のみの予定だが、Steam以外の販売サイトでも扱われる様にしていくそうなので、予定に入っている(DRMフリーの)GOGとかが好みならばちょっと待ってみた方が良いだろう。

 プラットフォームはWindows, Mac, Linux。コンソール版を出す計画は持っていない。

動作環境
HARDWARE 必要環境 推奨環境
CPU 2.2 GHz Dual Core -
MEMORY 2 GB -
VIDEO VRAM 512MB
GeForce 9600 / Radeon HD 2900
-
SOUND - -
対応OS  XP / Vista / Windows 7/8

 Unityで制作されているが、最新のUnity 5にコンバートするかどうか現在検討中。明らかにパフォーマンス面やグラフィックス表現では優れており、また64bit専用版もリリース可能という利点を持つが、安定性という面ではまだ問題が在り発売時期までにどれだけエンジン側が改善されるかに掛かっている。発売が近いだけに現行バージョンに留まる可能性もあり。もし変更されれば上記の必要環境も変わってくるはず。

 製品版ではコントローラーのサポートもちゃんと行われる。


 私の環境での障害としては、突然サウンドが再生されなくなるという件が発生。これは他にも遭遇している人が居てバグだと考えられる。放っておくとしばらくして突然元に戻った。

BASICS

 1947年。アメリカのCrowswood Universityにて4人の生徒が行方不明になるという事件が発生する。大きな騒ぎとなったこの事件に対し、大学側は沈静化を図る為に警察の介入と共に、探偵Benjamin Bennetに依頼して真相究明を目指す事となった。そして休校とされて僅かな職員だけが残された大学内で捜査が続けられたのだが、その内に次々とその人間達も居なくなってしまう。最後に残されたのは探偵ベネットと警察官Robert Kansasの二人だけ。しかも大学構内にはモンスターの様な存在が徘徊している事が確認され、彼等二人もそれ等に追われて脱出出来ない状態で行き詰まってしまう。それから数日後には全ての人間が消えていなくなっている状態が発見され、当局側の指示で学校はそのまま閉鎖される事となった。

 それから19年後の1966年。主人公の若者は廃墟と化したCrowswood Universityの内部で目を覚ます。脱出手段を探ると共に、自分がここに居る理由と過去の事件の真相に迫っていくのがゲームの目的。


 とにかく一人称視点のホラー物はフリーゲームを含めると数が多い為、自分達のこのThe Crow's Eyeは何がそういった普通の物とは違っているのかを訴えているのでそれを先に紹介しておこう。まずフォーカスしているのがストーリーと雰囲気で、グラフィックスや単純なビックリイベントにはそれほど力を入れていない。画面のデザインからも見て取れるのだが特にBioshockに強い影響を受けており、1947年当時の装飾品や音楽(ゲームの舞台は1966年だが、1947年の事件以来閉鎖されているので内部はその頃のまま残されている)をふんだんに使用していて、ユニークな世界観を確立する事に力が注がれている。当時の音声が収録されているレコーダーを集めてストーリーの背景を知っていくというスタイルも同じ。


 次にマップ内のアイテム類に対して高いインタラクティビティを持つ。相当数のアイテムを掴んだり回転させたりが可能で、箱等を積み重ねて移動ルートを作成したりも可能。持ち運べるアイテム数も多い。そしてアイテムのクラフティングが可能にされている。多数のクラフティング用素材がアイテムスロットとは別に収集出来て、同時に素材を組み合わせて作れるレシピも用意されている。そしてマップ内に存在するベンチ(Dead Islandの様な)に行けば、持っているレシピと素材の範囲内で新たなアイテムを作成可能というシステム。

 様々な家具の引き出しの中, 必須以外の探索エリア, 到達が難しいシークレットエリア等を探る事で多数のアイテムを入手出来る為、それ等を使ってゲームのクリアを有利に進められるという設定にされている。またドキュメントやレコーダーを数多く集めた方がストーリーの理解にも有利。もちろん探索を最小限にしてクリアを優先しても良しという自由度はあり。


 敵となるモンスター?への対応にもちょっと変化を付けている。武器を持って使うシステムが無いので敵を倒す事は出来ないが、今主流になっているただひたすら逃走するしかないゲームとは異なる。モンスターはそれぞれに弱点や思考回路に違いを持たせてあり、有効な対処方法をドキュメント類で発見出来ればそれを使っても良い。単純に掴んだ箱を投げ付けて怯ませる事が出来るタイプも居れば、特定のアイテムを作成して使用する事でスタン状態にする事が可能なタイプ、或いは自分に接近出来ない様にする回避アイテムを使ったりと多彩な対応の仕方が用意されている。


・キーバインド可(ランチャー), マウス感度設定可, 明るさ調整可, サウンドボリューム調整可
・難易度選択は無し
・ミニマップの類は無いが地図が掲示されている
・字幕機能あり

・一人称視点固定
・スプリント, 屈み, ジャンプ可能
・製品版ではFOVを変更可能になる


 任意セーブを行える機械の様な物は在り。しかし一回に付きメダルの様なアイテムが必要というシステムらしく、またこのデモではそのセーブを行う事は出来ない仕様。あとはマップ切り替え時にそこでオートセーブされるだけ。

GAMEPLAY  デモは冒頭の2マップがプレイ出来る。製品版は全8マップらしいので製品版の物よりは簡略化された構造という可能性が高そう。


 アイテムは掴んだ状態からLMBで投げ付け。ホイールにて前後に動かして置く際に位置調整を行える。回転も可能。操作の対象となるオブジェクトはハイライトされるのと、Takeアイコンが出たりもするので判り易い。一方で所持アイテムの使用方法は知らないと困る恐れがある。インベントリー画面にはショートカット用のスロットが4個有り、ここに入っているアイテムは1〜4キーでアクセス出来る。これでアイテムを選択してからQキーで実際にそのアイテムを使用する。例えばライターならば選択してからQキーで点火する。画面上でのアイテム類に対するUseコマンドはEキーと別操作。プレイすれば解るが、この違いが解らないと死亡してしまう箇所在り。

 ヘルスはアイテム回復方式。回復用のアイテムはベンチで作成も可能だが、デモにおいては発見出来る物を含めても少数しか入手出来ない。敵に襲われるシーンが少ない為に回復アイテムはそれ程必要無いとも言えるが、そのシーンでうっかり大ダメージを受けてしまうと詰んでしまう可能性もある。


 明るさ調整は出来るが、意図するレベルの明るさに合わせるガイドは無い。よってどの程度が適切なのかが判断出来ず。それ以上にすると一部が白くなってしまうのでおそらくこの程度だろう、というレベルに合わせると結構暗い。灯りとなるのは最初に手に入るライターと、途中で見付かるフラッシュライトの2種類。ライターは無限に使用が可能だが遠くまでは照らせない, 走ると炎が揺らいで照らせなくなるという欠点を持つ。フラッシュライトはバッテリー式で照らす距離を伸ばせるが、バッテリー残量に応じて光度が減少して行ってしまうという問題あり。


 物理的には大して広くないが、パズルを解いたりが必要となる為にクリア時間には個人差が出るだろう。それでも30分はプレイ出来ると思う。個人的にはパズルだと金庫を開けるのに悩まされた。正確にはパズルという程では無く単に暗証番号が解ればほぼ終わりなのだが、開ける為の操作方法が解らないという状況で長時間ストップしてしまう。同じく解らない方はこのページ下段のヒントを参照。後はパズルというかルート制作の解法として、正解は言われてみれば非常に簡単なのだが、「そういう事が出来る」という点に気が付くまでは詰まったという件も発生。例えばフタをされて塞がっている箇所が有り、それをどうやって開けるのかというその方法など。

 一番時間が掛かったのは進行ルート探しに絡んだアイテム探しで、少なくともこのデモにおいては進行ルートやアイテム探索の自由度は低く、必要な物を丹念に歩き回って見付けないと先に進めないというシチュエーションがほとんど。如何にも何か出来そうだという箇所は幾つか有るのだが、そこまで複雑な作りでは無いようで特に変化を生じさせる様な行為はほぼ無しと考えられる。

 アイテム位置にランダム性は無い様だが、結構探す場所が多くて大変だった。それと沢山のアイテム類を掴んで持てるので、最初の内はいろいろと掴んで移動させて奥に何か隠されていないか?とか、回転させて観察したりしていたのだが、どうやらそういった隠し要素はデモには無さそうである。それが最初から解っていればもっと早くクリアも出来ただろう。


 最後に幾つか問題と感じた点を挙げておく。

 雰囲気を重視しているだけあってマップ内の景観等は良く出来ているのだが、対してモンスターのデザインに怖さが無いという印象。この辺はインディーズ会社だと高度なモデリング&アニメーションが難しいという事情もあり、製品版でも大きな改善は望めないかもしれない。

 イベント時の意図される効果が解らない箇所が在った。一人称視点なので強制視点移動イベントはあるが、それ以外の箇所においてイベント系のサウンドが突然再生された際など、周囲を見ても何が起きたのかが理解出来ないという状況。

 所持しているアイテムの使用可能場所ではガイドが出るが、このテキストが薄くて目立たず見落とす危険性がある。これは一部で発生するQTEの操作指示テキストにおいても同様。

GRAPHICS

SOUND
 グラフィックスはデフォルトの6種類の変更の他に、起動後の設定メニューからもある程度はカスタマイズが行える。

 エンジンが変更される可能性があるので評価は保留。現行バージョンでもインディーズとしては綺麗な方ではあるが、ライティングなどはもっと綺麗に出来るならば雰囲気重視なだけに理想的である。時代を感じさせるオブジェクト類ももっと増えて欲しい。


 Bioshockもその当時のBGMが効果的に使われていたが、このゲームも昔のBGMを用いて当時の雰囲気を出す事に努めている。効果音系の音数の方は少な目で、必要な時だけ鳴らす事で効果を挙げるのが狙いだと思われるが、もうちょっと環境音等が多くても良いのではないか。

感  想  これはちょっとした掘り出し物かもしれない。一般的なホラー物に比較して独自の色を出しているし、そのクオリティ自体も高いと感じられた。デモからのフィードバックを受けていろいろと製品版では修正もされているそうで、例えばルート探しの方がメインというスタイルから、パズルの数をもっと増やすというデザインに変えているそうである。その点でも製品版には個人的にかなり期待しているタイトルである。

 ホラー表現に関しては雰囲気重視。もっと直接的な恐怖シーンは終盤にイベントが設けられており、そこは上手く行っていると感じられた。ただし上記の解説の様にダイレクトな恐怖イベントで怖さを煽るというスタイルでは無いので、そういった方向性が好みの方には向かない可能性あり。


 評価 85点
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ヒ ン ト  以下ネタバレを含むので反転。



*最初のエリア(セーブ用マシン等が有る)から、階段を降りた先の扉が開かない
 出口はそこでは無い。ヒントは“上方を良く見て再度周囲を探索してみよう”。





*ロックピックで開けた部屋の隣の鍵が掛かっている扉
 ロックピックで開けた部屋(ベンチ有り)の中に鍵が隠されている。部屋全体を良く見てみよう。





*金庫の開け方
 暗証番号を書いた紙は同じ部屋の中で見付かる。実は正確な開け方は未だに解っておらず、プレイ動画を参考にしておそらくこうではないかというレベルだが書いておく。

 4桁の番号は左(1) → 右(8) の様に交互に回転させながら合わせる。その際に良く聞いていると合った時にカチリという独特な音がするので注意。問題はその先で、どうやらこの金庫は4桁の数字を合わせただけでは「自動的には」開かない様だ。アクセスする前の時点ではハイライト表示で点滅しているが、正解の数値を入れた後でもそれは変わらないという意味。4桁の数字を入れた後にマウスをクリックした状態で扉を掴んで開ける操作が必要となる(と思われる)。





*第二のチャプター開始後の部屋でのイベント
 解説で書いたようにアイテムには装備しないと有効にならない物が在る。





*剥き出しになっている電線で通れない場所
 崩れている壁の箇所から向こう側の部屋の中を覗いてみよう。