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製作/販売 Digital Happiness / PT Digital Semantika        公式サイト 
デモ仕様 506MB   V1.0.107    Windows, Mac, Linux対応   ダウンロードリンク
概  要  インドネシアの開発会社からのサバイバルホラー。インドネシアにおいてPCゲーム自体は人気があるのだが、ベトナム産の7554のレビューで書いたのと同様、全てのメディアが違法コピーされ放題というお国柄の為に、国内市場向けにゲームを制作してやっていくのは無理という状況。よって同国のソフトウェア開発会社はほぼ全てが携帯関連アプリの開発を手掛けており、同社もそれは変わらない。

 そこで2年前から社内を2チームに分けて、片方が携帯アプリの開発で金を稼ぎ、もう一方がゲーム制作を担当するという形で貧乏ながらもこのゲームを作ってきた。そしてようやく形になってきた所でこのデモのリリースと、Indiegogoにて開発資金援助の募集を開始(Kickstarterはインドネシアの会社という事で利用出来ず)。目標が達成出来れば会社全体が4−5ヶ月程度ゲームの製作に集中出来る環境になるので完成を早められるとしている。予定では2013年中の発売を目指しているが、資金次第ではあと一年くらい(2014/Q2頃)掛かるかも知れないと話している。

 現時点ではダウンロード販売をメインとして考えており、リテール版のリリースは不明。西欧圏での販売サイトとしてSteamを希望しており、現在はSteam Greenlightにて投票を募集中。このデモが気に入った方は投票すると良いだろう。


 画像等を見てお解りのようにテクモのFatal Frame (零〜zero〜)シリーズの影響を受けている。このデモは既にダウンロード数が15万を超えており、無名のインディーズ会社の作品としては極めて注目度が高いと言える。


 主人公の高校生リンダは休みを利用して友人達と旅行に出掛けたが、そこで偶然に寂れた村へ辿り着く。だが滞在中に住人達の行動に異変が起きると共に仲間達が全員失踪。それと同時に霊的なパワーで悪霊を検知する能力を得たリンダは、仲間の救出を目指して霊達と戦う事になるというストーリー。


動作環境
HARDWARE 必要環境 推奨環境
CPU 2 GHz -
MEMORY 2 GB -
VIDEO GeForce 6, Radeon X1300, GMA X3000 -
SOUND - -
対応OS  XP(SP2) / Vista / Windows 7 / 8
DirectX 9.0c以上要


- Mac OS X 10.6 (Snow Leopard) or later
- Linux kernel 2.6.32 or later (Ubuntu recomended, 10.04 LTS or later)

 他OSとのマルチプラットフォームというのもあるのだろうが、レンダリングにはDirect3DではなくOpenGLを使っている。動作にはOpenGL 2.0以上が必要。NvidiaやATIのビデオカードを使っているならまず問題は無いが、オンボードの場合にはOpenGLのサポートが低レベルというケースもあるので注意。各種OSに対応している定番のOpenGL Extensions Viewerを使えば、自分の環境でどのバージョンまで対応しているのか検査が行える。


 現在のデモ用にはFacebookとの連携エラーを修正するパッチが出ている。これはゲーム内で撮影した写真をアップロード出来るという機能。

 ロード時間が長い等の問題が在る場合、ゲームを抜ける前に表示される制作へのサポート依頼の画面にて英語の“O”キーを押下するとシャッター音が鳴り、内部設定がリセットされるのでこれを試して欲しいとのこと。初回起動時と同じ使用言語選択の画面からリスタートになる。


BASICS
*プロファイルを制作可能。幾つかの進行を別々に管理出来る。
*通常時は三人称視点で、カメラを構えると一人称視点となる
*干渉可能なオブジェクトの近くに来るとEキー表示が出て知らせる
*画面周囲に青いオーラが出る時は重要な物が近くに在るという知らせ
*赤いオーラが出る時は敵等の脅威が近くに居るという知らせ
*インベントリー画面は無いようで、アイテムを拾った際には自動的に使う場所にて適用される

*攻撃動作は無し。物を掴んだりも出来ない。
*スプリント可能(おそらく無限)
*ジャンプ, 屈み動作は持っていない
*チェックポイントセーブ方式
*ヘルスインジケータは無く、ダメージの扱いは良く解らない面もある


 三人称視点での移動は押した方向に向きを変えて進むという方式でサイド&バックステップは出来ない。また体が回転するので、逆方向に切り替えた際には瞬間的に振り向くのではなく若干の間が生じる。


 零〜zero〜シリーズに影響を受けていると書いたが、カメラの持つ意味合いはそれとは異なっている。カメラを通して見ると霊体が見えるのではなく、リンダ自身がそのまま肉眼で霊を見られるという設定。彼女の体内エネルギーをカメラを通して放射し、被写体にダメージを与えるという風になっている。持ち歩くアイテムはスマートフォン, デジカメ, ビデオカメラ等チャプターによって異なっており、これがどういった変化を与えるのかは明らかではない。


 ゲーム中には各種設定を変えられない。オートセーブをロードは可能なので、一旦ゲームを抜けてから変更するしかないが、どこでセーブされたのかハッキリ解らないのでちょっと困る仕様。

GAMEPLAY  地元インドネシアを含めて東南アジアで知られる霊達が登場するのが大きな特徴であり、他のゲームでは見られないという点が売りでもある。カメラを使っての戦闘要素と、アイテム探しやパズルを解くというアドベンチャーゲームの要素がミックスされているそうだ。このデモには会話も含まれているが、選択肢によって変化が生じるのかは不明。ただマルチエンディングだそうなので、何等かの影響がある会話シーンが含まれる可能性はある。

 このデモのマップは何所も相当に暗く、スマホの明かりを頼りに進んで行くしかない。突然敵が出現したりのドッキリや、暗闇の中に人や黒猫が居たりという不気味さが用意されており、怖さのレベルは水準以上という評価。

 一方で敵との戦闘シーンはそれ等に比較すると今一つ。デモに登場する敵は二種類で、第一の敵とは最終的に戦う事になるのだが、全方位からオブジェクトをすり抜けて襲って来るのに対抗してスマホで撮影して倒すという図式。大変に厄介ではあるが敵の声が聞こえるので大凡の方角が判るし、赤オーラで近くに居るという判断も可能なので、怖さの演出としてはあまり上手く行っていない。もしくは戦闘は戦闘、ホラーはホラーという考えなのかも知れない。もう一つは出現したら消えたりせずに普通に攻撃してくるというタイプなので目新しさ無し。


 戦闘時は一人称と三人称を切り替える事になる。カメラで撮影するしかないので一人称は必須だが、この状態ではスプリントが出来ないのと、広範囲が見渡せないという欠点がある。三人称にすると視点は拡がるが、攻撃から逃げる際の動きが操作に慣れていないせいもあって難しかった(緊急回避動作無し)。それとホラー物の常としてカメラ位置がかなり体に近い(ホラーイベント等をなるべくアップで見せる, 広範囲を同時に観察出来ないようにするといった理由)。そしてこのデモでは狭い路地や部屋が多い為に、周囲を観察したり敵から逃げるのがちょっとやり辛いという印象。しかし視点を下げると敵の攻撃に対処し易くなるといった問題が生じるので、おそらくFOVの調整機能等は搭載されないだろう。

 撮影時のルールについても良く判らず。例えば敵に接近するほど大ダメージを与えられるとか、中央部に捕らえると効果的とかその辺は確認出来なかった。


 問題点と感じたのはゲームオーバー時の復帰方法で、霊界の様な場所で目を覚ますので、そこから光の方向へと走っていけばチェックポイントに戻れる。だがこの走る距離が結構長く、演出としてはともかくもっと短くて良いと思う。また一回だけ巨大な像や白猫が現れたりと違うパターンでの復活があって、この時は光の方角に2−3分走らないとならなかった。

GRAPHICS

SOUND
 Unity Engineを使用。ランチャーで基本設定を行い、ワイドスクリーンに対応。グラフィックスはゲーム内オプションより多項目を設定可能である。全体的に暗いが雰囲気は良く出ておりクオリティは悪くない。中ではテクスチャーの質が低いのと、キャラクターの服の表現がノッペリとし過ぎなのが欠点。


 私の環境では3Dサウンドにならなかった。敵の出す音を頼りにするシーンもあるのでこれはマイナス。未対応なのかは不明。

感  想  これは面白そうという評価。ホラー物が好きな方は試す価値があるデモと言える。公開されている様々な映像を見ると、暗い場所一辺倒ではなくロケーションは多彩な様だし、インドネシア産の新感覚サバイバルホラーとして期待出来そうな作品である。撮影するカメラの種類による変化とか、パズル関連の質が高まればより良い作品となりそう。


 評価 80点
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