☆ EL MATADOR ☆
                                                                              06/09/02



製作/販売 Plastic Reality / Red Mile Entertainment      公式サイト
デモ仕様 Demo #1 (989MB) / Demo #2 (972MB)   それぞれが異なったマップを1個収録
概要  チェコのPlastic Reality Technologiesが製作。この会社は過去にKorea: Forgotten ConflictというCommandos風のゲームをリリースしている。地元を含む幾つかの国ではCenega、U.K.・ドイツ等の国ではAscaron Entertainment、北米ではRed Mile Entertainmentから配給される。現段階ではPCでの発売しか予定にない。
 英国では9/8予定で£26.99(DVD)、北米では9/18予定で$39.99(CD)となっており、英国版の方が早いがかなり高価(このゲームに限った話ではないが)。


 主人公はDEA(Drug Enforcement Administration)のエリート・エージェントであるVictor Corbet。DEAの南米支部がコロンビアの新進マフィアであるLa Valedoraの攻撃を受けて壊滅した所からストーリーはスタートし、その後南米を舞台に仲間と共に麻薬組織に戦いを挑んでいく。シングルプレイのみでマルチプレイは無い。
 "El Matador"とは原義はスペイン語のマタドール(闘牛士)の事。これは現地では「ファイター」、「殺人者」等の意味でも使われるそうだが、このゲームでは「ファイター」の意味で用いられている。

動作環境
HARDWARE 必要環境 推奨環境
CPU Intel or AMD  2 GHz Intel or AMD 2.8 GHz
MEMORY 512 MB 1GB
VIDEO VRAM 128 MB
HW pixel & vertex shaders 要
VRAM 256 MB
pixel & vertex shaders v2.0以上
SOUND DirectX 9.0c compatible EAX enabled sound card
対応OS  2000/XP
DirectX 9.0c以上要


 推奨のビデオカードはGeForce 6600 GT or Radeon 9800 Pro以上。Hardwareでのpixel & vertex shadersが必要とあるのでノート系PCでは大半の物が動かないと見て良いだろう。サウンドはSB X-Fiに対応(EAX 5.0)。

 なおデモは2種類存在しているのだが、双方が同じInstall Shieldを使用しているので同時にインストールする事が出来ない。片方をプレイした後に一度削除してから行うか、Installを起動した後にRepairを選べば別の物をインストールは可能。


 Optionのリフレッシュ・レートが自動設定なのか不明だが変更出来ないので(私の場合は何故か75Hzという数値に固定されてしまう)、画面が寄ってしまう等の問題が発生する場合には\El Matador Demo\PROFILES\の中のCore.iniを開いてやり"refresh rate"の次の数字を書き換えてやれば変更出来る。

GAMEPLAY  このゲームに関して有名な事はMax Payneに似ているという点だろう。ゲームのメインとなる機能であるSlow-MotionはオリジナルのBullet-Timeにそっくりである。特殊能力としてスローモーションを使えるというのは既に珍しくも無いが、ここまで似ているゲームは無いだろう。これは著作権的に大丈夫なのか心配になってしまう位だ。
 プレイヤーが使える能力は2種類で、MPの1,2をミックスしたような設定。Slow-MotionはTABキーで時間をスローダウンさせる能力でこの間は自由に動く事が可能。ただし敵とプレイヤーの相対速度は変らない仕様。発動に必要なメーターは敵を倒すか時間と共に徐々にリチャージされる。
 Slow-Motion JumpはShiftキーと方向キーを組み合わせると発動し、スローモーションで望みの方向に体ごとジャンプしながら攻撃出来る。この間オリジナル同様に無敵状態になるのかはハッキリとは確認出来なかった。この攻撃ではメーターが減らないので幾らでも連発する事が可能である。


*三人称固定で一人称視点は無し。通常武器でズームを使うとShoulder Viewになる。
*LeanやProneは無し
*回復は各所に配置されているヘルスパックで行う
*Grenadeは独立したキーで投げられる。また独立してタイプの切り替え可能。
*武器によってはモード切替有り(Single, Burst等)
*Saveは自由に可能

 デモのゲーム性はどちらも似ており、#1の波止場の方は広い分敵の位置を見付け難いが武器と弾薬が豊富。#2の住宅街の方は狭い通路が多くインドアも含まれているので、敵は見付け易いが場所によっては逃げ場が少なく戦いにくいという風になっている。

 ゲーム全体では25種類ほどの武器を用意しているそうで、Minigun, Rocket Launcherといった派手な武器も存在している。武器の選択はカテゴリー式なので目的の物を一発では選択出来ない。また武器のモードが常にBurstにリセットさせてしまうという点も気になった(前の状態を保存するか、デフォルト状態を設定可能にしてもらいたい)。
 ゲーム上の特徴としては兆弾の概念が存在しており、壁等の跳ね返りを利用して敵を攻撃する事が可能。それと一部では有るのだが、敵の隠れている場所の柱を削ったり、物を破壊してカバーを無くす事も出来るようになっている。

 ゲーム感覚は確かにMax Payneに似ているが、もうちょっとリアル系寄り。結構ダメージが大きい設定で、オープンスペースに立ったままで体を曝しての撃ち合いは困難である。一方で敵についてもボス以外はそれ程銃弾を撃ち込まずに倒す事が出来る。屈んだ状態から走れるようになっており、これで障害物から障害物へと走りながらのプレイが主体となる。しかしLeanが出来ないので、障害物の陰からはSlow-Motionを使って飛び出して攻撃というのが主なパターン。
 難易度については微妙。実際問題としてはSlow-Motionのエネルギーが豊富で多用出来るので、それを頻繁に使っていれば難易度は低くなる。しかしそれだとゲームが単調と言うか戦闘が公平でないように感じられてしまうので、自分から調整して敢えてSlow-Motionを使わないで進むという形になると思われる。その場合には大部分は適当な難易度になるが、ダメージが大きいので死んでしまう事も増えるだろう。この辺はバランス的にもっとSlow-Motionの使用を限定させるようにして、代わりにダメージを減らすという方が良かったと感じる。

 AIについてはプレイヤーの進行に応じてスクリプトで発生する形が多い。また障害物に隠れたりはしてくるが、あまり自由に移動は出来ないようで、こちらが動かないと突っ込んで来る訳でもなく膠着状態になってしまうのがほとんど。反応がおかしな面も見られて、すぐ近くにいるのに気が付かなかったりとかの問題も見受けられた。結構Grenadeを投げて来るという特徴があり、これが結構正確なので厄介な存在となっている。
 仲間のAIは自分に付いて行動する形で、敵に比較すると高いHPを持っているという設定になっているようだ。ただしオープンなスペースに立ったままだったりとあまり賢くは無さそう。

 物理エンジンが組み込まれているが、死体のラグドール処理には問題が有るようで、変な形で死体が宙に浮いたりオブジェクトと重なってしまったりが結構見られた。

 最後に射線の処理がちゃんとされていないという大きな問題が存在する。肩越し視点にした際に銃の射線が壁等の障害物を貫通してしまうようになっており、画面表示としては遮られているはずの位置から敵を攻撃出来てしまう。敵からはこちらが見えないと処理されているようで、この場合には一方的に攻撃可能。Leanしているような感じに取れない事も無いが、やはり敵からは完全に見えないとなるのは問題だ。

GRAPHIC  自社開発のTyphoon2 Engineを使用。completely vertex & pixel shader based rendering pipeline, full scene shadow-mapping support等の最新機能を多数搭載していると謳われている。デモではそれ程重さを感じなかったが、そのパフォーマンスは草木の茂ったマップやもっと広大なマップを見てみないとまだ分からない。
 全体的にグラフィックのクオリティは高い部類と感じた。光源が少ないので目立たないが、影もリアルタイムで生成しているようでよく見ると結構細かい部分まで処理されている。他にデモで目を引いた点としては、波止場のマップは相当各種オブジェクトが細かい所まで作り込まれており、かなりのリアリティを感じられる出来になっている。

 キャラクタのモデリングやアニメーションは今一つという印象。特に主人公のアニメーション・パターンは動きが硬い感じで人間的な雰囲気に乏しい。

 Slow-Motionのエフェクトがかなり激しく画面がちゃんと見られないようになる点は微妙である。特殊能力を使っている分視覚的には不利になると考える事も出来るが、もうちょっと普通に見られるようにした方が良いのではないか。これは爆発時の派手なエフェクトも同様。

感  想  ゲームに関する情報は事前に或る程度得ていたのだが、実際のデモは予想とは異なったゲーム性となっていた。

 まずAIに関連するゲーム性として「トリガーによって発生するという方式を出来るだけ避けて、最初からマップ内に配置されているというのを原則とし、マップ内の状況に応じて様々な行動を取るようにデザインされている。プレイヤーの採った行動に反応して動き回るので、同じ場所で同じ様に戦うという繰り返しにはならない」という点がかなり強調されていたのだが、デモを見る限りではスクリプトで出て来るのがほとんどで変化もそれ程無さそう。これはやろうと思っていたが能力的に無理と分かったので止めたという事かもしれない。
 次にミッションによってはステルスで行くという方法も選択可能とあったのだが、少なくともデモにおいてはアクションしか選択肢が無い。デモ故にアクション中心の面をセレクトしたとも考えられるが、2個出すなら異なったタイプを出しても良さそうな物だし、これも方針転換されたのかも知れない。全体的に一本道のスタンダードなシューティングという印象が強いと言える。

 逆に思っていたよりも良かったのはそのアクション性で、Slow-Motion Jumpを中心にして爽快感が高い。ただ飛ぶだけではなく、どこから飛ぶか・飛んだ後どこに着地するかも考えて戦うという戦略性もあるし、ダメージが大きいので失敗すると一気にヤバイ状態になってしまうという緊張感も持っている。武器の選択もかなり多彩であり、製品版ではRocket & Grenade Launcher等でもっと派手に戦えそうという期待感もある。
 確かにMax Payneに似ておりオリジナリティは希薄だが、このレベルまで再現?しているならば気にならない。グラフィックも予想していたよりは上であるし、Slow-Motion時のサウンド・エフェクトもオリジナルを思わせる良い出来。私自身Max Payne(初代)のファンなので、同作が好きだったと言う人なら気に入るだろう。


購入確率 60%  ('▽')

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