☆ JUST CAUSE ☆
                                                                               06/09/13


製作/販売 Avalanche Studios / Eidos Interactive        公式サイト
デモ仕様 542MB   時間制限有り
概要  スウェーデンのAvalanche Studiosのデビュー作。PCの他にXbox, Xbox 360, PS2というマルチ・プラットフォームで、英国では9/22、北米では9/26に発売予定。

 ゲームの舞台となる南米の小国San Esperitoは32 x 32 kmの広さを持ち、この大きさのマップをローディング無しでプレイ可能になっている。マップ中には見えない壁も無く、その直線描画距離は32km(PC, Xbox 360)。プレイヤーの視界に入る場所は背景ではなく、全て地形データとして製作されており実際に(手段さえあれば)行く事が出来る。この点はビデオゲーム史上最大の広さと宣伝されている。
 主人公はCIAのエージェントRico Rodriguez。彼の任務はSalvador Mendoza政権を崩壊させる事。多数の反政府勢力に加担して、政権転覆を目指して様々なミッションに関わって行くというストーリー。

 シングルプレイ専用でマルチプレイは無し。

動作環境
HARDWARE 必要環境 推奨環境
CPU Pentium 4  1.4Ghz Pentium 4 2.8Ghz
MEMORY 512MB 1GB
VIDEO VRAM 64 MB以上
Hardware T&L対応
VRAM 256MB以上
Hardware T&L対応
SOUND DirectX 9.0c -compatible 同左
対応OS  2000/XP
DirectX 9.0c以上要


 最低でGeForce4 ti4200 / Radeon 9000クラスが必要とされている。起動にHardwareでのVertex & Pixel Shaders対応カードが必須とは思うが定かではない。

 現時点の情報ではサウンドの問題で起動しないというトラブルが多いようなので、ドライバが古くないかや、アクセラレーションを下げるといったテストを試してみる。JustCauseDemo\PC\SFX フォルダの中に有る"JustCause.cpd"を削除(移動)すると音は出なくなるが起動するという情報有り。

GAMEPLAY  デモの仕様は、指示に従って4人のターゲットを殺害し、その後プロトタイプの車を奪ってゴールに到達するというもので、全てを陽が落ちるまでの間に行わないとならない。時間としては25-30分程度で間に合わない場合にはそこで終わってしまう。

 まず断っておきたいのは、このデモの内容は実際のゲーム性とは異なっているという点。GTA3を始めとして「広大なマップ内で自由に行動可能」というタイプのゲームは、デモを作り難いし実際に出ていない事が多い。マップを丸ごと入れて自由にプレイさせるとなると長時間遊べてしまい、デモという範囲を逸脱してしまう。しかし狭くしてコンテンツを限定しては、本来のゲーム性を体験してもらう事が出来なくなる。更にマップ全体となるとデモのサイズが巨大になってしまうという難点もある。
 そこでという事だったのかは定かでないが、デモとしてプレイ可能なように構造を作り変えた形で提供されるのがこのデモとなる。詳しい製品版でのゲーム内容はUpcoming Gamesの解説を見てもらいたいが、全体に時間制限が有る訳ではないし、ミッションをクリアする順番は自由である(クリアするしないも自由)。
 デモは出ないよりは出た方が良いし、戦闘シーン等を体験してもらうという意味では有意義である。しかしあまりこのゲームについて知らない人には、リニアにしか進行しないミッションを時間に追われてプレイする難しいゲーム、と勘違いされる危険性は含んでいると言える。


 では肝心のゲーム解説に移る事にする。三人称視点で右クリックにて肩越しのズーム視点となる。カメラは回転式でフリーに移動可能。狙いは乗り物系についてはAuto Targetが働くようだ。回復は敵が落とすヘルスを拾って行う他、1/5以下程度になると時間と共に自動的に回復する。Weaponは種類別スロット式で、同一スロットに分類される武器については同時に持つ事が出来ない。

 デモは本島ではなく小島の一つで行われるが、それでもマップはかなりの広さを持っている。どこへでも行く事は可能だが、時間制限が有るのでクリアを目指すならば控えないとならない。NPCはスクリプトによってそのエリアに出現したり消えたりするシステム。建物の中には基本的に入れないようだ。

 戦闘のバランスは簡単というか派手に暴れられるような設定となっており、敵の銃弾ではそれ程のダメージを受けないが、逆にこちらの攻撃では簡単に倒せるバランス。危なくなったら隠れれば或る程度回復するし、敵を倒して落としたヘルスを拾いながらプレイすれば、5人10人の敵相手にオープンスペースで戦えるというランボー・スタイルでのプレイが可能。武器類も簡単に手に入るという感じで爽快感重視。高所から飛び降りてもほとんどダメージを受けないし、車で崖を転げ落ちてもそれは同じ。
 銃撃戦をすると警官隊が追っては来るのだが、これは次のミッションを開始させるとマップ上からクリアされてしまう。おそらく製品版でも追っ手を振り切るには、別のミッションを開始するか隠れ家に行けばOKというシステムと想像される(予期せぬ追加されたAIによるミッション進行のバグを防ぐ意味で)。その代わりにやって来る数はかなり大目で鬱陶しい。
 警官隊は無限なので逃げないとならないとか、強力な武器が手に入りにくい・弾薬が少ない等で戦闘がやりにくいといった設定のゲームに比較すれば爽快感は確かに高いが、その分簡単で大雑把という面は持っている。戦闘面に限ればEasyでプレイしているような感覚なので、難しいゲームが好きな人には物足りないだろう。

 銃撃戦の迫力は、このゲームに限った話ではないが、FPSに比べるとやはり劣っている。マウス感度が調整出来ないというのも有るが、肩越し視点にした時に狙いが付けにくいという印象。バランスが簡単という事もあって、適当にやっていれば勝てるという事で緊張感も欠けている。一方でロケット・ランチャー等で派手に暴れられるというのはプラス点。
 悪いというレベルではないが、ずっとこんな感じの戦闘ばかりだと飽きも来そうである。ただこの手のゲームでは戦闘面はそれ程重視されない傾向にあるので、他で頑張れば気にはならないだろう。

 AIは全体的に単純で、戦っていて面白いというレベルには達していない。味方がいても関係無く発砲して同士討ちになったり、車での移動でも味方を平然と轢いてしまう。物陰でスタックしてしまったり、障害物に向って走り続けたりも見受けられた。Grenadeを避けたり、自分の乗っている車の銃を使って援護したりはやってくる。


 車のフィジックスは軽いという風で、ゲーム的であり重量感が感じられない。車同士の衝突も迫力無し。キーボードでプレイしているというのもあるが、高速の車は特に操作がやりにくい。またタイヤがパンクすると相当操作が困難になる。木についても当たる木とすり抜ける物が存在するので走り難い。ただ製品版での乗り物のフィジックスは改善されているという話なので、これについては評価は保留としたい。

 車は目の前に立ちはだかれば止まるので奪える。しかし距離が短いと平然と轢こうとして来るし、止めた後にドアに駆け寄るまでに再度走り出すまでの時間が結構短い。それと背後から音も無く接近して来るので、安易に道に出ると轢かれてしまう事も。また困った事に車によるダメージは戦闘に比較すると非常に高く設定されており危険度が高い。
 スタントキーを押すと車に限らず上に立つ事が可能。その状態から中に入るのも可能なので、パラシュートで屋根に降りればそのまま車を奪う事が出来る。

 ヘリやボートは攻撃も出来るのだが、自動照準なのでクリックするだけで面白味には欠ける。敵も自動照準らしく避けても当たるという点にも問題あり。

 パラシュートの操作は難しくなっており、方向を変えて思った所へ降りるのは練習が必要そう。捕まる為のフックはデモには含まれていない。

INTERFACE  ゲームのインターフェイスには幾つかの問題が有って、これは製品版ではどうなるのか気になる。

*メニュー画面でマウスが使えない
*操作キーの設定不可
*マウス感度の調整が出来ない
*ゲーム中のHELP表示をOFFに出来ない
*ゲームパッドが使えない

 Saveは自動で行われる形式で自由には出来ない。製品版では隠れ家に行ってSaveするという方式なのだが、ミッション中にAutosaveが働くのかは不明である。

GRAPHIC  PC版はベースとなっているXbox版よりもクオリティは上だが、Xbox 360が最も高いクオリティとなっている。なお「360版を最も優れたバージョンに見せる為にPC版のクオリティを下げて欲しい、というような要請がMSから有ったのではないかという問い合わせが多いがその様な事実は無い」そうである。

 広大なマップをストレス無く描画するという特長には偽り無く、動作は軽い部類で遠くを見渡してもフレームレートの落ち込みも見られない。エフェクト的にもMotion Blur, Heat Wave効果が使われており、リアルではなくゲーム的な感じではあるが目立っている。波のグラフィックは綺麗だし、爆発系のエフェクトも派手目。コンソール版らしくTextureのクオリティは高くないが、これだけの広さだとクオリティが相当落ちそうな所を普通レベルに止めている。描画エンジンの能力はかなり高いと言えるだろう。更に製品版のクオリティはデモよりも上がっているという話である。

 問題はモデリングとアニメーション。主人公自身のアニメーションがちょっと妙な感じだし、銃を構えたりするポーズも固い。他のキャラクタの動きも単調であり人間的な印象が薄い。Vehicle系も粗い作りで少ないポリゴンで製作されているようだ。

 他には落ちている武器やアイテムが離れると有るのかどうか見難いので、ハイライトするといった設定にした方が良さそう。
感  想  先に書いたようにクリアしようと思ったら寄り道している暇が無いし、またサブのミッションが用意されている訳でもないので自由に探索するという楽しみは大して感じられない。よってこれを持って製品版の評価と言うのは難しくなっている。

 しかし製作側が話しているゲームの特徴が、100%のクオリティではないにしろ実現されているのならば興味を引かれるタイトルである。戦闘面には不満も有るが、GTA3にしろ純粋に戦闘だけを取り出した場合にはFPSほどクオリティは高くない訳だし、このタイプのゲームにおいてはそれ程重要な要素とは考えていない。
 リアリティ無視でメチャクチャに暴れられるという爽快感重視のゲーム性はこのジャンルでは新しく感じられるし、自由度が本当に高いのならば楽しめそうだ。

 気になる点はI/Fに書いたマウス感度等の調整が働くのかと、ゲーム上重要となるVehicleのフィジックスがどの程度変っているかになる。


 購入確率 70%  (*^▽^*)

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