☆ KRIOPHOBIA ☆

15/06/01 更新 目次          HOME
製作/販売 Fira Soft       公式サイト     STEAM     INDIE DB
デモ仕様 246MB V.0.1.8(2014/12/17)   バージョンアップもされており、公式サイトからダウンロード出来る物が最新
概  要  ブラジルのFira Softが制作中のサバイバルホラー。2011年設立の同社はこれまでに小規模なモバイル&PC用ゲームの開発を手掛けているが、今回のこの作品が本格的なデビュー作となる。現在の開発メンバーは3人の様である。

 タイトルの“Krio”を検索してみると、ボスニア語においてこれは英語の“Cryo(=冷凍)”の意味なのだそうだ。舞台設定からしてもおそらく「冷凍恐怖症」の意味で良いのだと思うが、ロケーションはロシアなので何故ボスニア語なのかは解らない(主人公の出身地?)。

  2014/12にGreenlightに掲載されてから短期間でGreenlitに到達。しかしKickstarterの方は目標に到達せず(75%)。それもあってか発売予定は2015年の秋と結構先になっている。Windows, Mac, Linuxでのリリース。コンソール版の計画は一応在るがまだ未定という段階。


 完成までは資金が持たない(若しくは本業の傍らに細々とやっていては時間が掛かり過ぎる)という理由からエピソード形式での販売となる。(早期アクセスという手もあるが、謎解きを重視するゲームでは先行して内容がネタバレになるので使い難い)。ただ最初にシーズンパスの様にして全額を払い込む方式か、完成分をそれぞれ切り売りしていくのかは明言されていない。エピソード数は5つとなり、3, 4ヶ月に一本ペースで2016年末に完成予定。

動作環境  特に言及無し。制作にはUnity 3Dを使用。そのビジュアルスタイルからして非常に軽いゲームだとされており、ほとんどのマシンで負荷的には問題無く動作するだろうと話している。

BASICS  主人公のAnnaは地質学者。昔のある出来事によるトラウマから、他の人間との接触を極力避けて暮らしてきたという過去を持つ。そんな彼女の今回の仕事は、ロシア東部に在るZhokhov Islandに設置されている地震波測定装置の修理と、故障原因を探る為の無人島の探索であった。二人の協力者と一緒に一週間の予定で船から島へと降り立ったアンナだったが、突然の地震による地割れにより地下へと落下してしまう。そこには目的不明の軍事施設らしき物が存在しており、彼女は地上への脱出方法を探る事になるが、そこには彼女達以外に何物かが存在していた。


 一つ目の特徴はそのアートスタイルで、コミックス風の背景描画を採用。ムービーシーンにおいても、コミックスのカット割りの様なスタイルを使っての描写(モーション・コミックス)を用いている。開発者達がアメリカン・コミックスの大ファンだというのがその理由。

 二つ目は定点カメラシステムの採用。クラシックなサバイバルホラーへの回帰を謳っており、初期のバイオハザードに代表される「2Dのプリレンダされた固定背景の中を3Dのキャラクターが動き回り、カメラ位置はキャラクターの現在位置によって様々に切り替わる」という設定。プレイヤーの意志でカメラを回転させたりは出来ない。これによりコミックス的な2D表現をやり易くしている。


 ゲームの長さは各エピソード毎に1.5〜2時間程度で計8〜10時間位を想定。

 難易度は相当な高さにされる予定。不可能では無いがチャレンジが必要という程度にしたいそうで、これも昔風の設定と言える。ただし製品版では2つ以上の難易度を設ける事はまず間違いないともコメントしており、Normalでは難しいならEasy等でもプレイ出来るという風になると思われる。


 デモはLキーを押下する事でポルトガル語と英語の表示切り替えを行える。ムービーは現状ではポルトガル語表示固定(音声英語)。製品版ではWorkshopに対応して有志が字幕ファイルを製作すれば簡単に組み込める様にされる予定である。


・キーバインド不可, マウス感度設定不可, 明るさ調整不可, サウンドボリューム調整不可
・難易度選択はデモでは無し
・現在の目標を表示する機能は無し
・ミニマップの類は無し
・字幕機能有り


・外部視点固定(カメラ位置は固定で切り替えられない)
・基本的にマウス操作となるが、コントローラーにもちゃんと対応される予定

GAMEPLAY  デモはかなり短く、パズルも一つだけなのでクリアまでには大して時間は掛からないだろう。シークレットが3つ存在するがそれ程大仰な物では無く、ストーリー背景をより知る事が出来るようなアイテムを見付けたり、必須では無い探索によりイベントに遭遇したりといった物がカウントされるだけである。

 干渉可能なアイテムにはアイコンが出るが、クリック可能箇所がハイライト表示されたりの機能は無し。各種トレーラーの中にはインベントリー表示のHUDが在る物も見られるが、このデモのバージョンには含まれていない。

 進行は行かれる場所には行ってみて探索するという方式だが、あまり広くは無いのでその意味でも難易度は高くない。フラグを立ててから戻って来ないと進まない箇所も在るが、何しろ広くない為に適当に移動していてもクリア出来てしまう。なお必須では無い箇所が結構多いデザインらしく、何かをした後に再訪すると鍵が開いて入れる様になっているとか、新たに作業を行える様になっている部屋とかが幾つか有った。

 パズルとしては電源を復旧させる物が唯一と言えるが、これは「こんな意味では無いか?」とやっていたら解けてしまった為、正確にどういう風にするのが正解だったのかはアヤフヤであ。


 定点カメラによるプレイスタイルは近年では珍しいのは確かであり、ここが特徴(or売り)になるのは間違いない。だがムービーを見た方はお気付きだと思うが、このゲームは初期バイオハザードの様な操作体系では無く、アドベンチャーゲームにおけるそれを採用しているのがユニークな点となる。4方向の移動キーでキャラクターを操作するのでは無くて、移動したい場所をマウスでクリックするとそこにキャラクターが移動するというマウス単体操作を基本にしたアドベンチャーゲーム方式である。(試してみるとAキーで回転させる事は出来る)。

 利点は移動したい場所へと難なく向かえるところで、これが例えばバイオハザードの様なキャラクター基準移動操作(ラジコン操作)が定点カメラと組み合わされると、慣れるまでは壁に向かって駆け足状態とか思うように動けなかったりが発生する恐れがある。(クリック方式でも指定地点が不可能な場所だと想定外の方へと向かってしまう事は稀にだがある)。

 この指定移動方式は文字通りにアドベンチャーゲームの感覚で、そこがちょっとした独特な面白さを生んでいる。比較として見下ろし型のアクションRPGにも移動地点クリック指定方式はあるが、通常はキャラクターの動きは俊敏である(或いは俊敏では無いが特に問題とならない設定である)。だがこのゲームでは指定地点に向けて先に体を回転させて微調整するという過程が加わるので、クリックしてから移動までに若干の間が生じるのが普通。その為に敵から追われるシーンはスリリングである。即座に逃げたいのにクリックしてから間が空くので、その間に敵に接近されてしまう事が多い。しかし敵も止まってからの攻撃モーションにやや時間が掛かるため、「危ない!」というタイミングでギリギリ走り出してかわしたりと緊張感がある(見た目はやや滑稽だが)。これ狙ってやっているのか判らないがハラハラして楽しめた。

GRAPHICS

SOUND
 グラフィックスは起動前のランチャーから6種類を選択するUnityデフォルトの形式。セルシェーディングを採用しており背景が2Dなので、特別に高度なエフェクトを採用するという事は無いだろう。非常に軽いとも話している。よって画のタッチが気に入るかどうかが一つのポイントだが、それについては個人的にはなかなか良いと感じられた。問題は漫画原作のゲーム化などで障害となる元の2D画と3Dモデルのギャップで、こちらはこのゲームにおいても3Dモデルと原画のイメージが大きく違っているのではないかという所は気になった。

 BGMは舞台がロシアという事でホラー系だけではなく、マーチやワルツ等のロシア音楽も多数採用して雰囲気を盛り上げていくそうだ。エフェクト系サウンドは3D対応では無いようだが、個々の音のクオリティは高いと思う。

感  想  デモは短いのでこれだけでは判断は難しいが、定点カメラ採用と操作方法が変わっており、人気のホラージャンルの中でも差別化は図れているのではないか。操作体系からして戦闘手段を持たない逃走ゲーの様に思えるが、旧サバイバルホラー回帰といっても無理に戦闘要素を持ち込む必要は無いだろうし、それは一切無くても個人的には問題無し。

 他には話によればスライダーパズル等の純粋にパズル的なタイプは極力排するそうで、ストーリーに絡んだ論理的な解決(パズル)がメインというのは私の好みでもある。逆に不満点は5本分割で2016年末に完結予定のエピソード配信という売り方。各エピソードの関連性が薄いなら気にならないのだが、連続したストーリーを切り売りされるというのが好きではない。先を知りたいのに何ヶ月も待たないとならないという状況になるのが嫌で、こういうタイプは完結するまでは「存在しない物として意図的に気に掛けずに放っておく」という扱いにする事が多い。何とかスポンサー等を見付けるか、発売と同時に再度Kickstarter等のクラウドファンディングにチャレンジするとかで完結を早めて欲しいものである。


 ボリューム不足でもうちょっと遊ばせて欲しかった点をややマイナスして...

 評価 75点
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