☆ MADE MAN ☆
                                                                               06/10/16


製作/販売 SilverBack Studios / Mastertronic        公式サイト
デモ仕様 187MB   マップを1個収録
概要  元々は2004年のE3の際に"Interview with a Made Man"の名前で発表されたタイトルだが、その後開発&販売を担当するAcclaimが破産。しかし英国のFund4Gamesが宙に浮いていたゲームの権利を買い取り、Mastertronic(英国の有名な廉価版再販メーカーの事なのかハッキリ分からない)が発売する事になっている。
 Fund4Gamesとはインディーズ系の会社に資金援助をしてゲームを作らせて、それを販売会社に売り込むという仲介業務を行っている会社。SilverBack StudiosはAcclaimからこのゲームを製作していたチームがそのまま独立して設立された会社のようだ(或いは元々子会社的な存在だった物が独立した)。
 しかしデモが出たと言うのもあるのだろうが、公式サイトが契約転送量を超えたという事でアカウントが停止させられているようで、あまり資金的に裕福とは言えない会社の様には見える。

 PCとPlayStation 2で今年の11月に発売予定だそうだが、ゲーム系のメディアでこれまでほとんど情報を聞かなかった作品である。通販サイトでも見掛けないので、実際に年内に出るのかは不明である。Xbox版はカットされており、次世代機への対応もどうなったのか不明。マルチプレイは記載が無いので含まれていないと考えられる。

 話題としてはマフィア関連の作品で有名なベストセラー作家のDavid Fisherがストーリーを担当。また実際の組織で幹部の座に付いていたBill Bonnanoが内情関連のアドバイザー役として加わっており、設定には徹底したリアリティを追求している。ちなみにMade Manとはマフィアの構成員を指す。

 ゲームの構造としてユニークな点は、マフィアの世界のみを描いた作品ではなく、主人公Joey Verolaの人生全般を追うという形式になっており、マフィアのメンバーと知り合う60年代のベトナム戦争、帰国したNYでのし上がって行く70年代、組織の幹部から首領を目指す80年代という三部構成になっている点。サウンドトラックもそれぞれの年代からライセンスした物がフィーチャーされる事になっている。

動作環境  記載が無いので全く分からない。

 バグとしては起動前のランチャーで設定した解像度がちゃんと適用されないという問題が発生した。

 キーの設定は保存されず、Optionから変更しても再起動すると元に戻ってしまう(直接ファイルを書き換えれば固定可能)。

GAMEPLAY  ゲームは第三部に含まれると思われるミッションを一つ含んでいるのみであり、ボリューム的にもあまり長くない。

*三人称視点でズーム機能有り
*回復は落ちているヘルスで行う
*銃は同時に3個まで所持可能。他には投擲用の武器が用意されている。
*同じ武器を2丁同時に両手撃ちが可能(切り替え可)
*Crouchは可能だがLeanやJumpは出来ない
*難易度は3種類
*Checkpoint Save (通常のセーブはメニューには有るがデモでは不可)

 特徴的な機能としてはJump To Coverと呼ばれる物が備わっている。これは障害物の背後にマークが出た場合(ほとんどの場合可能)、Spaceキーを押すとその背後に張り付いて敵の攻撃から身を隠す事が出来るようになっている(走っている状態からスライディングしてカバーに入る事も出来る)。ここから張り付いた状態を維持したままで左右へと移動出来て(端で自動的に止まる)、照準は表示されているので銃を撃つと体を出して撃った後に自動的にカバーの状態に戻るようになっている。再度スペースを押すかズーム機能を使うと解除される。

 御馴染みの能力として敵を倒すとメーターが溜まっていってフルの状態になるとBulletTimeが発動可能になり、時間をスローダウンさせた状態で戦闘が行えるようになる。その間に他のパワーアップがされているのかは未確認。
 その他で目に付いた点は、戦闘は墓地で行われているのだが、かなりの部分を銃で撃って破壊が可能というシステム。こちらのカバー場所も崩されるし、相手のカバーを破壊する事も出来るようになっている。

 銃はあまり当たらないという印象で、ズームしないと命中率は悪い。特にマシンガンは相当当たり難く、逆に弾数の少ないライフルはスコープが揺れないので当て易いとなっている。敵の攻撃もそれ程当たらなくなってはいるが、数が多いので直接的な撃ち合いはあまり行えないバランス(Normal)。派手に撃ち合って敵を倒すゲームではなく、チマチマと削って行くという感じになる。
 自動カバー機能を付けるのは良いのだが、それを使うにはノーマルの状態で撃たないとならず、その命中率が悪いのであまり効果が無いような印象を受けるのもマイナス点。命中率の上がるズーム状態で撃ってマニュアル操作で隠れながら戦うというスタイルになってしまう。

 AIは状況を見て動いているのか動きを変えて来るタイプもいるし、プレイヤー同様にカバーから顔を出しては撃ってリロードの時には隠れるといった動作も見せてくる。しかし一方ではスクリプトらしく決して場所を動かないで攻撃してくる者や、障害物で当たらないのに構わず撃ってくる者もいたりという状態。酷くは無いが特に戦っていて面白いというレベルまでには達していない。

 デモだからなのかも知れないがシステム的な問題点を幾つも抱えている。まずカバーから撃つ時に射線の処理がおかしくなっており、目の前の障害物に遮られているのかいないのかが判別しにくい。スコープを覗くと目の前が壁で塞がれていても先が見えてしまったりもする。次にアイテムの位置が分かりにくく、弾薬以外はフラッシュしないので見過ごしてしまう事も多い。
 また攻撃を受けると画面が赤くなったりブレたりするのだが、これによって現在のダメージ(同じく赤表示で且つ画面の上にあるというデザイン)が非常に見えにくくなっている。併せてBulletTime用のバーも色が薄くてその状態が見えにくいという問題あり。独自の物理エンジンを組み込んでおり、それを特徴の一つともしているが、それ程目立ったrag dollも実現されていないし、死体は周囲のオブジェクトと重なりまくっている。


 とにかくこのデモは非常にシンプルな内容であり、製品版の宣伝に謳われている以下の様なゲーム性を体験する事は出来ない。

*別の場所でイベントが起きた際にPIP (Picture-in-Picture)機能による臨場感のある表示機能
*多彩な打撃系武器によるMelee Combatをフィーチャー
*プレイ中の成績によってスキルの獲得及びグレードアップが可能というRPG的要素
*一般市民を傷付けると一時的に能力低下(走力・銃の正確性・リロード時間等)が発生するペナルティ・システム
*気が付いていない敵への'Stealth Kills'によるボーナス。オブジェクトを投げて敵の注意を逸らしてのステルス。

GRAPHICS  PS2用に製作した物をそのままミドルウェアでコンバートしただけではないかと思えるレベル。事前にSSを見て想像していたのよりも劣るという感じで、今出るPS2のゲームとしてならともかくPCのゲームとしては辛いというクオリティ。地味な場所のマップなのでその分余計にマイナスに見えてしまうのかも知れないが、この面では勝負するのは無理だろう。ロケーションのバラエティさでカバーするとか位しか無さそうだ。

感  想  デモその物はシンプルでありインパクトも薄い。売りとしている肝心の機能も面白味に欠けている。ただ売りとして挙げている特徴の多くはこのデモには含まれておらず、その意味でプレゼンテーションとしてのデモという観点からは酷い出来だと言って差し支えないと思うが、製品版もそこまで酷いか?となると何とも現段階では掴み難い。例えば敵の数に比して爽快感が低い(銃の命中精度が低い)という点も、成長させてスキルを伸ばせば改善されて行くのかも知れないとも考えられる。

 個人的にはマフィア物のベストセラー作家と実際の元組織の人間が組んでの、リアリティを追求したストーリーやミッションの設定という点に最も興味を惹かれている。あの傑作Mafiaにおいても純粋にアクション面が優れていたのかというとそうでもなく、ストーリー・魅力的な人物設定・雰囲気の再現というのが一番大きかった訳で、この作品もそこが上手く行くのならちょっと注目はしてみたい。
 どう考えてもこのグラフィックのクオリティ等からしてMafiaに迫る物になる事は無いだろうが、全体としてそれなりのクオリティまでになら持って行ける可能性は有るだろう。


購入確率 20% (´ヘ`;)

    TOP