☆ THE MARK ☆
                                                                               06/11/27


製作/販売 T7 Games / JoWood Productions        公式サイト
デモ仕様 Demo 1 (184MB): 完全英語版。2人のキャラクタを切り替えてプレイ可能。
Demo 2 (113MB):  ドイツ語版。音声のみ英語。キャラクタは1人だけ選択可能。
概要  T7 Gamesが開発中のFPS。会社の公式サイトも無いのでどんな会社なのか分からなかったのだが、デモのクレジットの名前から調べたところ、ほぼポーランドのMirage Interactiveのメンバーとなっているようだ。最近ではMortyr 2を開発した所なのだが現在会社のサイトが無くなっており、会社名を変えての再スタートなのか、或いは倒産してしまい元社員が新たに興した会社なのかのいずれかだろう。

 アナウンスされてからそれ程経っていないが、もう今年中には発売されるそうだ。ただ北米・欧州共に通販サイトの予定リストには載っていない。PCのみの販売となる。

 ゲームの主人公は2人存在しており、 U.S. MarinesのSteve Fletcherと傭兵のAustin Hawke。ストーリーはロンドンに核ミサイルを撃ち込もうとたくらむ世界的な規模のテロリストの野望を阻止するという物。

 ゲームの売りは2人の主人公を切り替えて使用可能という点。大半のミッションでどちらでプレイするかを選ぶ事が可能なのでリプレイ性が高い。また選択しなかった方のキャラクタはAI操作となるのだが、一緒に行動するだけではなくて、全くの別ルートを選ぶというデザインも多くなっている。後者では途中で遭遇しながら再度分かれるという演出を設けているので、相方でリプレイした際には向こうではどういう事が起きていたのかを理解しながらのプレイが可能となっている。Upcoming Gamesの項にも記事有り。

動作環境
HARDWARE 必要環境 推奨環境
CPU Pentium 4 1.8GHz Pentium 4 2.8GHz
MEMORY 512MB 1GB
VIDEO VRAM 128MB
Pixel Shader 2.0以上
VRAM 256MB
Pixel Shader 2.0以上
SOUND - -
対応OS  XP
DirectX 9.0c以上要


 特に記載は無いがおそらくHardware Shaderのみの対応と思われ、Geforce 5xxx, Radeon 9500以上のビデオカードというパターン。グラフィックの設定にはPS3.0を使うという物も見られ、テクノロジー的にはかなり進んでいるタイプのエンジンである。

 デモは2種類有るが同時にインストールは出来ないので、修正インストールをするか削除後に行うかになる。

 トラブル系はまだForum関連が充実していないので情報が少ない。個人的には落ちる等の問題は無かった。

GAMEPLAY  デモは2種類有るが、ゲームの構造が良く分かる1の英語版の方をお勧めする。2の方はメニュー等がドイツ語なので、1をやった後でないとどれが何に当たるのかの見当が付けにくい。

 まず第一に難易度が非常に高い。プレビューからの情報で難しいとは聞いていたのだが想像以上。Normal難易度では最初のエリアを通過するのさえ何回か繰り返さないとならないだろう。以下のレビューもEasyでの物であり(これで普通のNormal程度)、これでクリアして敵の出現パターン等を憶えた後に難易度を上げて行くというスタイルになると思われる。Mortyr 2も難易度の高さで知られるゲームだったが、どうも開発陣の感覚はちょっと普通とは異なっているようだ。

*敵がトリガーで一気に出て来て撃たれる。また高い場所に居たりもするので位置を憶えないと辛い。
*敵の射撃の精度が高い
*Post ProcessingをONにしていると、撃たれる度に画面に特殊エフェクトが掛かって見え難い(OFFを推奨する)
*Grenadeは溜め投げしないと遠くに飛ばず、狙った所に投げるのも練習しないとならない

 Medikitは6個まで携帯可能で何時でも自由に使えて、また使用時に武器攻撃等に制限が加わる訳でもないし、数も山ほど用意されている。問題は回復が段階的というシステムになっている点で、危ないと感じて適用しても回復し終わるまでに追加ダメージを受けて死んでしまったりが多くなる。照準は座ったりすると安定するシステムだが、止まってしまうと敵の標的にされてしまう。かと言って動きながら撃つと照準が大きく開いてしまうので今度は当たらなくなるという具合。
 しかし最大の問題はLean出来ないという点だろう。よって敵を撃つには姿を見せないとならず、Grenadeを投げようにも溜めている時間体を曝す事になってしまう。SaveはQuick (F5)も含めて制限無しなので緩和はされているが、それでも死に易いという事には変りは無い。

 難易度の埋め合わせの為か両者はSpecial Abilityを持っており、Fletcherの方は時間をスローダウンさせるいわゆるBulletTimeを、Hawkは敵の位置に赤印が付いて視界の悪い場所でも探知可能となっている。必要なエネルギーは時間によって回復するメーター方式となっており、満タンだと3回程度連続して発動可能。Fletcherの能力は非常に役に立つが、Hawkの方は少なくともこのデモのマップではあまり意味が無い。

 スタンダードに行くなら、Leanの代わりに物陰から立つ・座るを使っての攻撃、危なくなったら隠れながらMedikitを使用、隠れた状態からGrenadeを溜め始めて飛び出して投げる(見た目と違って広範囲に強力)、といった感じになる。しかしこういったデザインなので、独特な戦い方が有効になってくる(このMedikitの数からして製作側もそれを意図していると思われる)。
 とにかくMedikitは大量に有るので、危なくなる前の段階から派手に使い捲くる(HPが50辺りで惜しみなく使ってしまう)。これだと或る程度正面からの撃ち合いが可能になる。死体がMedikitを落とす事が多いので、前進する形で次々に拾いながらまた回復。それとFletcherなら連発可能なのでSAをどんどん使って戦闘を有利に運ぶといったスタイル。ただこの回復キーとSAキーをやたらと押しながら戦うのが面白いのかと言うとそれは微妙ではある。

 このゲームで引っ掛かるのは、どういうゲームにしたいのか?というのが見えて来ないという点である。これだけ大量に敵が出てくるのとLeanの要素が無いのを見れば純粋なアクション物と取れるが、それにしては照準の開きとかが大きかったり、正面から撃ち合うにはダメージが大き過ぎる。もしLeanの要素が有るならばこのダメージの大きさでもややリアルに寄ったアクション物と取れるがそうでもない。
 武器についても同じ事が言える。武器のリアリティについては相当力を入れていると聞いていたのだが、それにしては所持数制限が無い・発射モードの切り替え無し・武器の切り替えが速いとアーケード的な面が多く見られる。一方で照準の開きについてはちゃんと扱っており、所持可能弾数もかなり少な目。

 もう一つ別のFPSゲームとしての難点として移動速度が遅いというのがある。武器をしまえばそれなりなのだが、武器を持った状態だとモッサリとした動きで進むのがやや遅い。ところが武器を持っていてもサイドステップは軽快であり、要は横に移動した方が速いという奇妙な状態になってしまっている。だからマップ内を移動してアイテムを回収したりする場合には横を向いて移動した方が便利で、カニじゃあるまいし修正してもらいたい点である。それと小さな段差に引っ掛かって進めなくなるというのも結構有って、これもイライラさせられる要素となっている。

 敵のAIは決まったルートを移動しながら撃って来るタイプ・前に出て来る攻撃型・決まった地点で待っているタイプ・障害物に隠れながら撃ってくるタイプ(スクリプト)と種類は結構多く、旧世代のAIだが悪いというレベルではない。珍しいのはダイナマイトを巻いて自爆攻撃で特攻して来る者がいる事。

 ゲームが売りとしているルート分離は面白い要素と思えた。片方が助けられたりした場合には、相手側をプレイした時にその助ける行為を実際に行わないとならない等のシンクロが感じられるので、これは上手く使われているならば確かに大きな強みとなるだろう。両者は所持武器が異なるという点も変化を生んでいる。ただ一緒に行動する際には指示は出来ないし、思ったようにも動いてくれなくてあまり賢くは無いという印象。先に行かせられれば盾になってはくれるようだが(デモだと無敵に見える)。

 物理エンジンを採用しており、細かい箱にも適用されている。しかし死体関連はオブジェクトと重なったりと問題有り。他に気になった点としては、HUDが薄いのでSAメーター等が見え難い。死んだ後にクリックすると最初の地点がロードされてしまうので二度手間。

GRAPHICS  自社製Argon2 engineのグラフィックは最先端を謳っており、例えばリロードの際には手元だけにフォーカスが合って周囲はボヤけるというDepth of Fieldの効果等、Shader 3.0レベルの機能も使っている。確かに画面を覆うかのような粉塵の効果や、銃弾で火花が散ったりとエフェクト系は結構凝っている。しかし被弾時の邪魔なエフェクトを消すには効果を下げないとならず大きなマイナス。それかこのエフェクトを見せたいならば、これ有りでも戦える程度の難易度に調整するべき。

 キャラクタを含めたモデリングについては標準的という程度であり、あまりリアリティを感じさせるような風景にもなっていない。弾が当たると敵はノックバックするので当たっているという感覚は出ているが、死のアニメーションがバンザイして倒れるという形が多くてこちらは単調である。

 3Dサウンドに対応しており定位はハッキリしている。武器サウンドは撃っているという感覚は出ている。

感  想  分岐ルートについては良いアイディアと思うが、肝心のゲーム性については疑問を感じる点も多い。Leanさえ出来るならばバランスは取れそうだが、これはアニメーション等も作らないとならないので今からでは無理だろう。それならば敵の正確性を落としてダメージも軽減し、アクション性を高める方向にするべき。ちょっとこのバランスだと人を選びそうである。

 このゲームではCoopをサポートしているのが興味を惹かれる点である。2人でプレイするMuli-option Cooperative Mode用のマップが6個。16人までが参加可能なMassive Cooperative Mode用のマップが4個収録されている。この難易度はCoopだと逆に効果的に働くだろう。更に発売時はMap Editorが提供される事になっており、シングル・マルチ両方のマップの製作が可能というのも強み。

 第一印象はあまり良くないが、プレイスタイルに慣れれば悪くは無いレベルのゲームである。Mortyr 2に比べると大分進化しているように感じる。どの程度の価格で出るのか分からないのだが、安い設定で発売されるならばCoopも出来るし検討の余地有り。


購入確率 40%  <(。_。)>

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