☆ MONOCHROMA ☆


14/06/27 更新 目次          HOME
製作/販売
Nowhere Studios        公式サイト      STEAM      INDIE DB
デモ仕様 1.31GB      最新版デモのプレイにはSteamアカウント要
概  要  Nowhere Studiosは2010年に設立されたトルコの制作会社でこれがデビュー作。現在のメンバーは15人程度。 製作期間はほぼ2年半で、完成の為にチャレンジしたKickstarterでのファンドに成功している。

 2014/05/28に$19.99で発売済み。現時点においてダウンロード販売サイトの中ではSteamやDesuraにて扱われているが、他のメジャーな販売サイトにも展開される予定である。リテール版の予定は今の所無い模様。対応機種はPC, Mac, Linuxだが、コンソールや携帯ゲーム機への移植も考えられている。

 Steamで配信されているデモは製品版の最新バージョンに合わせてアップデートされている。公式サイト等からの単体リンク版はずっと昔のデモなので避けるべきだろう。


 舞台となるのは1950年代風の架空世界で、その中のある国では政府の支配下に置かれた巨大企業がロボットを製作して各家庭に配って回っていた。主人公はその世界に住む子供で、ある日遠く離れた場所で弟と凧揚げをして遊んでいる時に弟が怪我をしてしまう。弟を背負って治療へと向かう主人公だったが、その際に企業が隠していた恐ろしい秘密を知ってしまう事になる。


動作環境
HARDWARE 必要環境 推奨環境
CPU 2GHz Core 2 Duo 2GHz
MEMORY 2 GB 2 GB
VIDEO Shader Model 3.0対応 Shader Model 3.0
VRAM  512 MB
SOUND Direct X 9 同左
対応OS  XP / Vista / Windows 7/8
DirectX 9.0c以上要


 製品版, デモ共に日本語対応しているが、ゲーム内にセリフ等は一切無いので字幕も無く、単にインターフェース画面が日本語になるだけである。

 掲示板を見る限りPC版には現在特別な問題点は存在しない様である。現行バージョンは様々なバグを潰したりパフォーマンスの最適化も図られている。なお2Dと一部3Dの組み合わせ方式なので軽いように思えるが、設定を上げると相当重いゲームとなっているので注意。

 起動しない等のトラブルにはキャッシュの整合性確認(プロパティ → ローカルファイル)をまずは試すべき。私の環境では効果音がとても小さいという問題があった(サウンドブラスターのユーティリティーからスマートボリュームをオンにしないとならなかった)。

 現在のバージョンはコントローラーでの操作に対応している。

BASICS  自分達のゲーム紹介では“Limbo meets Ico”と話しており、特にLimboには強い影響を受けている。ほとんどがモノクロで表現された世界が描かれており、ユニークなアートスタイルにこだわったゲームでもある。ゲーム中にカットシーンやナレーションは一切無く、説明の為の台詞や字幕も出て来ない。全てをビジュアルのみで表現するというスタイルを採用している


 スクロールする2Dマップ内をジャンプ等のアクションでクリアして行くジャンルを“プラットフォーマー”と呼ぶが、一般的にこのタイプのゲームは高難易度というイメージを持つ。タイミングがシビアなアクションを成功させねばならず、どうやるのかが解っていたとしてもそれを実際に達成出来るのかはスキル次第。何回も死にながらリトライして進めて行くので成功時には達成感を味わえるが、それだけに途中で投げ出してしまうプレイヤーも居るという風になっている。

 だがこのゲームではストーリーと世界観を味わってもらう事を第一目標と設定しており、難易度の高いアクションシーンは意図的に省かれている。つまり途中で詰まって投げ出される事が無いように、誰でもクリア出来る程度の難易度を想定して作られたゲームである。よってプラットフォーマーの難しさを期待される人には向いていないが、反面プラットフォーマーは難しくて嫌いという人でも楽しめる様になっている。

 平均的なクリア時間は6時間程度を想定。物凄く上手くて早い人でも4時間は掛かるとしている。


 発売後のレビューはかなりの低評価となり(Metascore)、開発チームは酷いショックを受けたそうだ。だが気を取り直してレビューを見ると操作性の問題がほとんどである事が判り、その原因はインディーズ故に発売前のテストが不十分だったという結論に。そこでその辺をパッチでいろいろと修正している。

*ゲームコントローラーでは若干キーボードに比較してレスポンスが悪い為に、一時は対応自体をカットしてキーボードのみに変更。現在では新しくなったプログラムに差し替えて対応が復活している。

*グラフィックスに凝り過ぎて非常に重くなってしまい、fpsの低下が操作タイミングに影響を与えてしまっていた。そこでライティングを簡素にしたりで重かったエリアを全般的に軽くし、特に低速マシンでの最適化が改善されている。

*スライディング状態からの複数キー押しが解り難かったのでカットし、単一キーで常に最大ジャンプを可能にした
*跳び付いた際に自動的にプラットフォームを上るようにして操作を簡略化

 なお今後も指摘されているエリア等での難易度低下パッチはリリースするそうで、あくまでも高難易度は意図していないという態度を貫いている。

GAMEPLAY  デモは全4チャプター中の最初のチャプターをプレイ可能。1時間以上はプレイ可能と思われデモとしては豪勢である。

・メニューを含めてマウスでの操作には対応していない
・操作キーは固定でアサイン不可
・カメラ位置は自動調整で操作出来ない
・ズームイン/アウトは自動
・チェックポイントセーブ方式
・難易度設定は無し


 カーソルキーかWSADを使って移動(上がジャンプで下が降りる操作)。CTRL&ALTがアクションで、方向キーと併用してオブジェクトを引っ張ったり、スイッチを上下に動かしてオンオフしたりも可能。後はスペースバーが弟を担ぐ/降ろすの切り替えと操作は非常に簡素である。キャラクターは立体的だが基本的に奥行きは無し。一部自動的に前後に動く箇所もあるが、パズルを解くのにZ軸移動は含まれないと考えられる。

 ジャンプして高い場所に上る, 鎖類を跳び移って移動, 移動するプラットフォームを渡る, オブジェクト類を操作して動かす等で進めて行く方式で奇異な点は見当たらない。非現実系マップでのプラットフォーマーとは異なり、仮想世界とは言えリアリティが重要なので、宙に浮いているプラットフォームなどのゲーム的な要素は完全に排除されている。物理エンジンも使用されており、あくまでもリアルに作られた世界にて、現実的に考えれば解けるパズルという立場で制作しているそうだ。


 パズルの特徴は怪我をしている弟の扱いで、彼を背負っている状態ではスピードとジャンプ力が低下してしまう。よって一旦地面に降ろして対応しないとならない箇所が出て来るのだが、弟は暗闇を怖がる為に明かりが差している場所でしか降ろす事が出来ないし、また一定以上の距離を離れる事も出来ない。この制限下でパズルを解かないとならないのがユニークな点となっている。

 アクションその物は上でも書いた様に高難易度を意図していないため、普段はプラットフォーマーをプレイしない私でも特に難しい箇所は無かった。ある程度は自動的に操作されるので楽だし、ジャンプにギリギリのシビアなタイミングを要求される事も無い。基本的にどうやったら良いのかが解けてしまえば、後はそれを達成すれば良いだけという程度で、一番難しい箇所でも2,3回もリトライすればクリア出来るだろう。それと特に難しいアクションを要求されずに淡々と普通に移動するだけのエリアが結構長く、単に風景を見せて雰囲気を味わって貰うことが目的と思われるシーンが多い。

 一方で難しい面としては、それで死ぬのかどうかが初見では判り辛いという箇所は幾つか出て来る。また突発的に発生するイベントに素早く対応しないとならないシーンもあり。その対策としてチェックポイントの間隔は短めで、長いエリアをやり直す必要は無くされている(ただしロードはやや長目)。


 モノクロに時折赤色でアクセントが付けられた世界観の表現の方は合格点を与えられるレベルだが、少なくともデモの範囲ではそれ程ユニークで奇抜な世界という印象は受けず。独特だが我々の世界と似ておりリアリティを感じられる世界という設定なので、奇抜な建造物などは出し難いと考えられるが、モノクロがインパクトを持つのは最初の内だけで、徐々にそれだけでは慣れてきてインパクトが薄れていく感は否めない。

GRAPHICS
&
SOUND
 グラフィックスは高中小の三段階設定のみで細かい項目別には行えない。アスペクト比は4:3, 16:9, 16:10に対応で、窓化もオプションから行える。エンジンはUnityを使用。

 背景グラフィクスには独特の味があるが、非常に個性的というほどでは無いという感想。製品版ではチャプター単位で全く別のエリアが描かれるという事なので、そちらでのユニークさに期待というところか。

 アニメーションは主に操作するキャラクターが対象だが、かなり細かく出来ているという印象を受けた。最初はあまり重要視していなかったそうなのだが、プロトタイプのフィードバックにて不満が多く、完全に一から作り直したという話である。その効果は良く出ていると言えよう。


 BGMは想像していた程多くない。また効果音のサウンドの方もちょっと寂しい感じがする。音数が少ないのは意図的なデザインとも考えられるが、グラフィックスがモノクロなだけにもっと多彩な音を鳴らしても良いのではないか。

感  想  独特の世界観やアートを味わって貰う事が第一のゲームとなっているが、一応成功はしている様に思える(ただし私は似ていると言われるLIMBOをプレイした事が無い事を書き添えておく)。長時間プレイ可能なのもデモとしては点数が高い所となる。

 それよりも普通のプラットフォーマーは高難易度なのであまり好まない私に取って、アクションの難易度が適度なレベルに調整されている点が良かった。当然これは好みによる訳だが、こういったパズル重視で高難易度アクションの達成を要求されないタイプの方が評価は良くなる。将来的な購入候補の一つと言って良いだろう。


 評価 75点

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