☆ NEW WORLD ORDER ☆
                                                                               03/03/23


製作/販売 Termite Games / Project Three Interactive      公式サイト
デモ仕様 154MB      シングルプレイ 2ミッション&マルチプレイも可能
概要  既に地元オランダ(製作のTermaiteはSwedenの会社)では昨年中に発売されており、USでは03/03/25に発売予定。オランダにてリリースされた各国言語版がEuro圏には既に出回っているし、日本のショップにも入荷していたので既に見た事がある人もいるだろう。
 開発段階ではその美麗なグラフィックによって話題となっていた作品だが、数回に渡って出たデモや発売直後の製品版の評価は相当に悪く、話題性という面でも次第に取り上げられる事が無くなっていった感がある。しかし製品版発売後に大規模なパッチを数回に渡ってリリースして改善に努め、US発売も決まったのに合わせてそれに適用される新たなバージョンV1.4相当を使用したのが今回の新規デモとなる。
動作環境
Hardware 必要環境 推奨環境
CPU Pentium 1GHz (600 Mhz) Pentium 1.4 Ghz
MEMORY 256 MB 512 MB
VIDEO VRAM 64MB(32MB)以上 VRAM 128 MB以上
SOUND Direct X 8対応 EAX対応
対応OS  98/ME/XP
Direct X 8.2以上要

 御覧の通りに動作環境は非常に要求が高い。なお上記はデモのReadmeにある物で、()内は公式サイトに書いてある内容。それと注意点としてDirect Xは8.2以上要である。これは8.1にDirect Playの改善を施した物で、一応公式にリリースされていてMSからDownloadも可能だが、あまり一般的には知られていないバージョン。このバージョンリリースにはNWOが深く関係しているようだ。
 大抵の場合製作メーカーはMSから先のバージョンのDXを既に渡されており、このNWOもそれを使ってネット関連のプログラムを作成したのだが、DX9のリリースの遅れが8.1では問題有りという事態を引き起こし、それでMSに頼んで製品版に8.2収録という事をお願いしたらしい。3DFPSタイトルではDirect Playを使っている所はほとんど無いので、これを使っている人は少ないだろう。

 なおDX8.1でもゲームは動く。ただしマルチプレイのパフォーマンスや障害、或いはゲーム自体の処理は実質DX9に最適化されたゲームなので(現在のV1.4ではそうなっているらしい)、何等かの問題が出る事は考えられる。私のこのレビューも8.1での物であり、それに関連してるかは不明だが、やや不安定な面があって数回デスクトップに落ちたりした。 
GAMEPLAY  シングルプレイはミッションベースであり、プレイヤー一人で仲間はいない。Saveも出来ない仕様となっている。両方とも基本的には敵を全滅させるのが目的となる。所持武器はミッション毎に用意された物が違い、また重量制限が有ってそれを越える物は持つ事が出来ない。これはスタート時地点にて選択して装備するというシステム。

 ゲームプレイなのだが、まず難易度が非常に高い。発売当初のレビューでは馬鹿みたいな難易度という評価を見たが、改善したバージョンでこれなら確かにそうだったのだろう。取り合えずSaveも出来ないのでEasyでクリアしたが、ちょっとバランス的に問題有りと言わざるを得ない。最大の問題は敵のAIが非人間的な上に変という点で、AIを強化という発売前の触れ込みは何だったのかという様な酷い出来映え。
 遠くからでも正確に当ててくる割にはダメージの計算が大きく、Normal以上では非常に厳しいバランス。一方で移動パスの認識がおかしく、障害物を上手く避けて通る事が出来ずに引っ掛かったりする。ある時は上を向いて回転しているし、または同じルートを行ったり来たりの繰り返し。こちらを追って来る事も出来るのだが、さっきまで見ていたのに隠れた瞬間にこちらを見失うといった欠陥も見られた。戦闘時にも隠れずに平然と目の前でReloadを行うし、多人数になると狭い入り口で固まってしまって進む事が出来なくなる等、この時代にここまで非人間的でbotである事が丸分かりのAIというのも珍しい。

 ダメージが大きい事からステルス系の行動を要求されるのかと思いきや、Leanは出来ないし真後から近付く以外では敵の認識能力が高くてすぐに見付かってしまうしで、そうなれば次々と呼ばれた敵がやって来てのドンパチとなりがち。かといって撃ち合い自体が面白いという感じでもない。撃たれると一瞬膠着する仕様なので爽快感が無いし、弾薬も重量の関係でそれほど持てない点も辛い。Saveが出来ないのもこのゲームに限っては失敗しているという感じで、死なないようにするには結局の所騒ぎを起こして誘き出し、それを隠れて待ち伏せてやって来た所を倒すのが一番確実という詰まらないプレイになりがちである。
 それと人質に途中で会ってしまうと敵が残っているのに付いて来てしまうようになるとか、ミッションの進行状況が全然分からないとか、基本的な部分にも問題を抱えている。

 ミッション数も製品版で12個というのはこの長さからするとかなり短いのでは?という感じがするし、このシングルのみでは辛いゲームという印象。まあよくある話だが、開発段階ではシングルも充実と大風呂敷を広げたが、結局の所力量不足で望んだレベルの物が作成出来ずに仕方なく発売というパターンか。当初の話とは違ってあくまでもマルチ中心のゲームと見るべきだろう。

 マルチプレイに関してはDX8.2無しでも、若干のラグは有るが大きな問題は無いという感じだが、如何せん人数が少ないServerでのプレイなのでハッキリは分からない。面白いのかどうかも何とも言えない。ただ元になっているCSが私は好みではないので、あまりピンとは来なかった。それよりもServerのリストには製品版とデモが合わせて出てくるのだが、このプレイ人数の少なさの方が問題だろう。
GRAPHIC  オリジナルのDVAエンジン使用。このエンジンのクオリティは非常に高い。特にライティングに複数の光源からの複雑な計算を行っている様で、その効果は現時点ではトップクラスと言えるかも。Texture等は(質は良いが)凄いというレベルではないのだが、光の当たった表現がやけにリアルに出来ていて写実的な印象を受ける。影に関しても自分自身の影がちゃんと描画されるし、光源との位置関係と光の強さによって影が伸びたり縮んだり、或いは濃くなったり薄くなったりもする。画像自体のリアリティではもっと上のゲームも有るが、光の描写のリアリティという面ではSplinter Cellと並んでトップクラスの出来。これは一見の価値有りと言えるだろう。ただキャラクタのモデルやアニメーションは質が良くない。倒れる時のパターンが少ない上にぎこちないし、変に跳ねる感じの動きも非常に不自然である。

 優れてはいるがその代わりに重い、というか私のマシンではまともに動かない。普段は良いのだが、戦闘になった時に一瞬止まってしまう位の負荷が掛かる。おそらくは武器のマズルフラッシュによる影の描画等の処理が問題と思うのだが、グラフィックやサウンド設定を大きく下げてもそれほどは軽減されない。特に明るい場所(光源が多い?)での戦闘にて負荷が目立つ感じ。当初開発元が非常に軽いエンジンと話していたのは誤りで、結局は物凄く重いエンジンになったというのは確からしいが、それでもP4 1.7GhzにGF3ならここまではならないと思う。エンジン自体のバグでなければ、DX9以上でないとダメという可能性の方が高そう。
 設定としてはOpenGL等が選べるがこれはメニューに有るだけで有効にならないような感も? スライド式の設定バーは中央から動かさない方が無難。ShadowやBump MappingはOFFの方が良いだろう。

  フルサイズ画像            
SOUND  かなり派手目な音だが、音が割れてしまう感じがあって質はそれほど高くない。敵がいろいろとしゃべりながら追ってくるのは臨場感があって良し。3Dサウンドは効果的ではない。
INTERFACE  一般的な仕様だが、購買メニューはあまり使い勝手が良くない印象。敵の武器の拾い方も最初は分からなくて困った(必ず屈んでカーソルを合わせ、武器がハイライトされて光ったらUSE。ただし重量制限があるのでオーバーする場合は反応しない)。それとシングルではゲームを開始するとObjectの達成状況が参照出来ないので、Briefingをよく見て何をしないとならないのかを確認しておく必要がある。

 また移動の際の揺れが有るのだが、他のゲームとは違った感じで揺れるのでOFFの方がやり易かった。死んでしまうと完全にMapを再読み込みするという設計には閉口(Load時間が非常に長い)。その度に同じ様に装備選択をやり直すのも面倒。
感  想  どういう風に楽しんでもらうのかが伝わってこない点が厳しい。ステルスにせよアクションにせよ、もっとハッキリとこういう風に遊ぶゲームと位置付けてくれれば良かった物を、どっちつかずのバランスにしているので楽しめない。何でダメージがこれだけ大きな設定なのか非常に疑問だし、ダメージは実銃なのでリアルにというならAIの正確性を落とすべきだろう。シングルプレイゲームとしては魅力薄という結論。開発中の面白そうだというイメージよりは実際の質は落ちているだろうという予想は有ったが、その想像を更に下回る出来である。
 グラフィックは確かに見るべき物が有るが、なんか「凄いグラフィックエンジンが製作出来るから、これでゲームを作成すれば凄い物が出来る」と考えたものの、その他の部分の才能は大した事が無かったという会社のゲームという印象。このエンジンはライセンスすれば面白そうな感じがするが、ゲーム自体は残念ながらグラフィックの出来でカバー出来るレベルにすら達していない。

 3年前ならAIが馬鹿でもそれなりに他がまともならある程度の評価は出来たが、現在のAI重視のゲーム界では、私としてはこのレベルのAIのゲームというのは低い評価となる。USでは新作で$29.99と戦略的な低価格になっているが、これでも高いという印象。売れ残って$9.99とかになれば買うかもしれないが.....。マルチプレイさえ面白ければ良くて、またCSが好きな人には価値が有るかも知れないゲームだが、US発売で人が増えないとどうしようもないだろう。

 購入確率 5%  (T_T)

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