☆ ONE MUST FALL: BATTLEGROUNDS ☆
04/03/17
製作/販売 | Diversions Entertainment / Tri Synergy 公式サイト 発売中 | |||||||||||||||
デモ仕様 | 302MB シングルプレイ・マルチプレイに対応 | |||||||||||||||
概要 | 1980年代終盤から流行し出したアーケード格闘ゲームは、その後家庭用ゲーム機市場へも進出を始めて一大ブームとなり、90年代になってからは一部3D化されてVirtua Fighter等の大ヒット作を生んだ。特に新世代機と言われたPS, Saturnの両マシンの登場以降は、専用のグラフィック処理チップを利用して高度なグラフィックを実現したゲームが多数出現する事になる。そんな格闘ゲーム大流行の中、PCゲーム界においても1992-96辺りに掛けてはその流れに乗って多数の格闘ゲームがリリースされた。 Diversions EntertainmentがリリースしたOne Must Fall 2097(1994)はそんな中でも有名な物の一つで、今だに幾つものファンサイトが残っているという程のゲームである。このBGは前作の背景設定を生かして、全体を3D化して同時多人数対戦を可能にするというコンセプトの元に作成された10年振りの新作となる。ゲームは度重なる延期の末に2003年の末に発売されている。 しかしここ数年ゲーセン及び家庭用ゲーム機市場においても格闘ゲームの持つパワーは顕著に衰えを見せており、ましてやPCゲーム業界においてはほぼ壊滅状態といってもいい状況。それもあって製作には相当な苦労が有ったようで、発売後のインタビューでも、資金を出してくれる会社が見付からない(結局米国では自主流通に近い形で販売)、もっと作り込みたかったが資金が無いので中途半端に発売、その後相当数のパッチを出して随時臨時修正しながらという苦しい状況でのサポート、宣伝費が無く存在すら知られていない事が多い、デモを発売時にリリースしたかったが時間と資金が無くて遅れた、と延々と愚痴をこぼしていた。 |
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動作環境 |
DirectX 9.0b以上要 現時点の3Dゲームとしては要求は相当に低い方だろう。起動時にUpdateを自動的に検証に行くので、オフラインの場合はSkipしてしばらく待つ必要がある。なおグラフィックではGeforce系のカードでReflectionをONにすると正常に描画されないという問題がある。 私の環境だけかもしれないが、起動後に反応が遅くてメニューの項目をクリックしても反応が10数秒経ってからとか、時には数分経たないとクリックした事が反映されない。常駐のソフトを全て切る事で直ったが、どれと相性が悪いのかまでは検証していない。それと3DSoundを使っていると同様に反応が鈍くなる。 |
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GRAPHIC | これは特に目立った点は無し。Reviewでは今の時代にこれはちょっと酷いという評も有ったが、そこまでの物ではないだろう。ただ今の家庭用ゲーム機で動いている3D格ゲーのグラフィックのレベルとは比較出来ないとは思うが。 自社製作のエンジンを使用しており、Textureには粗さが目立つし重要なキャラクタのアニメーションも細かく滑らかという感じは無い。全体的にインパクトが薄く安っぽい印象を受ける。どうしても格ゲーとなるとグラフィックが重要というイメージがあるので、このグラフィックの弱さは大きな問題と言える。それと使われている2Dキャラクターの奇妙なデザインのセンスは、狙いとは思うが好みが分かれるだろう。 |
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GAMEPLAY | ゲームの基本はロボット同士の対戦で、プレイヤーはそれを操作するキャラクタを決めてやり、ロボットとリンクしてこれを動かす。シングルプレイはシナリオに沿って各種トーナメントを勝ち抜く形式で、マルチプレイでは16人までの対戦が可能。 ロボットはタイプの異なる物が8体存在しており(デモではその内3体)、操作するキャラは50人以上(デモは20人程度)。キャラクタはそれぞれが4つの項目の能力パラメータを持っており、これがロボットの基本性能にプラス(マイナス)されて反映されるというシステム。闘場は12種類(デモ3個)有って、それぞれに独特の仕掛けが備わっている。 ゲームの基本モードはLast Man Standingで、全てのロボットの中で最後まで生き残った物が勝利となる。ある程度は逃げている方が有利ではあるが、コンボを出す為に必要なエネルギーは敵を攻撃しないと溜まらないし、一定時間攻撃しないと聴衆がブーイングを始めてペナルティが加えられる(三段階に設定可能)。逆に攻撃を連続して当てるとアドレナリンモードに入るというボーナスが付く。 ゲームの最大の特徴は1対1ではない多人数同時対戦という点であり、これが有るので駆け引きが重要になり単純に強いだけでは勝てない。誰かと戦っているプレイヤーの背後からの攻撃は効果的となるし、これは自分が戦っている時でも注意しないとならない点となる。自信が有るならば積極的に戦ってエネルギーを溜めてやり、その後遠距離からのコンボ攻撃が有効だが、序盤にダメージが重なると他の消極的だったプレイヤーに漁夫の利を持って行かれる事になりかねない。 コアとなる格闘部分に関しては、ロボットの数が少ない分操作キャラのパラメータで能力が変わるという設定だが、それ故に純粋な格闘ゲームの色は薄くなっている様に感じる。通常は「選択キャラの能力」と「操作する実際の人間の能力」だけで動きが決まるが、それに「ゲーム内でロボットを操作するキャラクタの能力」が加わるので、目の前の敵がどの程度の動きが可能なのかが相当に読み難い。普通の格ゲーだと敵の使っているキャラの能力を知り尽くし、それを元に戦い方を考える事になるが、その基本能力自体が50種類以上いる”操作キャラクタ”の能力によって変化するとなると、敵の能力を完全に見切るのが実質不可能というレベルになってしまう。これはプレイの多様性を生むという観点からはプラス点だが、読み合いの真剣勝負という面白さを損なう事になるという点ではマイナス要素。或いは闘場が3Dで広さを持った空間の為に様々な仕掛けを用意しており、これを使って敵にダメージを与えたり有利に立ったりが可能だが、これも純粋な操作能力だけを使っての真剣勝負という面白さを殺ぐという面を持っている。 ゲーム性としては一般的な意味での格ゲーを3D空間に移した物というよりも、近接戦主体の3Dアクション戦闘ゲームというイメージで、RuneやJedi Knightといった剣術戦ゲームの攻撃を手足による戦闘(Martial Arts)に変えた物と考えた方がピッタリ来ると思う。 メインはマルチプレイとなるが、このマルチについては結構面白い。LMSではどこで攻撃するかという駆け引きが重要となるし、コンボの様な大技は他の敵と戦っているプレイヤーに向けて放つのが当て易いという作戦面も重要となる。チーム戦では敵に与えたダメージがポイントになるゲームモードが中心で、この場合協同して1人の敵に連続して攻撃をヒットさせてやる事でボーナスを稼ぐといった面白さもある。この手の3D空間での対戦というゲームが無かっただけに新鮮な印象であり、特にチーム戦は奥が深そう。コンビネーションを積んだチーム同士のクラン戦などは相当に面白いのではないか。 Pingが200以下ならばラグもそれほど無いし、ネットコード自体には大きな問題は無さそうだ。ただし元々コンボが決まり難いので、微妙なラグが有る分マルチでは更にタイミングがシビアになり、地味に戦うというケースが多くなってしまうのは難点。相当練習してからで無いとコンボを使いこなすのは難しそうである。 逆にシングルは魅力に欠ける。AIは多人数対戦でも後先考えずにただ近くにいる敵と戦うだけで、作戦を考えるという面は持っていないらしい。多人数対戦だけにAIを作成するのは難しいとは思うが、もうちょっとまともでないと面白くない。理想的にはプレイヤーはシングルをこなしながら徐々に上手くなるという風で有って欲しいのだが、長く遊びたいと思うほど魅力が無く、かといって練習しないとコンボを思い通りに出したりするのは難しいバランスである。 |
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SOUND | 同じBGMが流れているだけで、ゲーム中のエフェクトも寂しい印象。キャラクターの台詞が文字だけで音声無しという所にも低予算を感じてしまう。 |
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INTERFACE | 基本操作ではマウスをサポートしておらず、KBでの操作が主体となる。パッドにも対応しているが特にパッドに特化したゲームではなくて、基本はPCに合わせてKBというスタンスである。操作系の解説はゲーム中にHELPからアクセス出来るシステム。 操作に使うキー数は少ないのだが、コンボを発動させるタイミングはシビアな部類に感じる。練習すれば良いのだろうが、何も無い箇所(練習場)で黙々とやるのは面白味が無く、もっと簡単に出せるバランスにした方が良かったのではと思う。或いはキーの入力タイミングを微調整出来る様にするといった要素も欲しかった。 |
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感 想 | まず最初のハードルが高過ぎるという印象。Basicから始めて何種類かのトレーニングを受けながらゲームのシステムを勉強し、そしてHELPを見ながらコンボの種類と出し方を憶えて練習する。このパートだけで1,2時間は掛かると思われるので、その時点でもう飽きてしまう人が多いのではないか。かと言っていきなりやってもパンチとキック位しか出せないので詰まらないだろう。相手のコンボに対する防御策、ジャンプやStrafe動作、防御する相手への投げ技、カウンター・アタックとか非常に多彩な動きが可能なのだが、それを本当に地味に解説しているので(或いはHELPを読んで知るしかない)憶えるという行為自体が辛い。これだけ多数の操作を憶えさせるならば、それなりに楽しみながら憶えられるようなトレーニングや、図解式で分かり易いドキュメントを付けるべきだろう(それが出来ない位に貧乏なのだという事かもしれないが)。アクションゲームをやる前にマニュアル等は読まないというタイプの方にはお薦め出来ない類いのデモである。 言い方を換えると、或る程度分かってくると面白くなるが、そこまでプレイしようという魅力を感じさせない。最初にプレイヤーをどうやって引き込むかはゲームの重要な要素の一つだが、その部分が極めて弱いゲームと言える。 マルチプレイは確かに面白いと思うのだが、問題は製品版での盛り上がりだろう。どうもForumを見る限りでは数百人レベルのプレイヤーがいるようには見えず、人口低下に苦しんでいるようである。そうなるとシングルに魅力は無いだけに購入しても意味が無い。結構価格的には安目の設定となっているが、デモが出たばかりなのでもうちょっと待って人が増えるのを期待した方が良いのか、それともやるとすれば人がいなくなる前の今しかないのか、ちょっと考えてしまう。ゲームのコンテンツの拡張やDedicated Serverプログラムの提供、Modツールの配布といった事を考えてはいるようだが、それも人が来なければ予算が取れないだろう。Forumでデモによる人口増加を確認したら検討という事になるだろうか。 購入確率 30% (・_・?) |