☆ PHANTARUK ☆

15/06/01 更新 目次          HOME
製作/販売 Polyslash        公式サイト     STEAM     INDIE DB
デモ仕様 355MB  V0.9(ファイル名はPhantaruk_v.0.8.4)   2015/05/26にリリースされた物が最新
概  要  Polyslashはポーランドのインディーズ会社で、このゲームは4人で制作されている。しかし制作者がKordgornと記載されているケースもあり、こちらはポーランドのPatryk Polewiak氏の個人プロジェクト名。彼は以前には同じポーランドのAfterfall Reconquest、そこからSteamにてエピソード形式で配信されているHaunted Memories(EP2)に参加、続いてやはりポーランドのPS4タイトルであるScopophobia(開発中)と関わってきて、現在はフリーでこのゲームの製作を進めているとコメントしている。よって彼がリーダー格でその大半を制作していると見て良いだろう。

 SteamのGreenlitに到達済み。発売予定は2015/07。プラットフォームはWindowsは確定。他にMacとだけ書かれていたり、或いはLinuxだけだったりでハッキリしない。デモはWindowsのみ。


動作環境  必要環境は明らかにされていない。ただハイスペックのマシンを要求する様な姿勢ではなく、かなり遅いマシンでもちゃんと動作するとは言っている。

 自分の環境では特にハードウェア系のトラブルは発生せず。

BASICS  主人公は宇宙船“Colonial-02”にてコールドスリープから目を覚ます。そこで行われていた実験の失敗によりアウトブレイクが発生。既に船内ではモンスターにより大量の虐殺が起きた後で、生存者は全て脱出してしまっていた為に船内に残されている人間はもはや主人公ただ一人。目的は宇宙船からの脱出となるが、問題は主人公が既にウイルスに感染してしまっているという点にあった。

 ホラーがテーマのアクションアドベンチャー。影響を受けたホラー物としてはラブクラフト、具体的なゲームではSystem Shock 2Slendermanシリーズを挙げている。


 独特なのは生死のシステム。まず物理的なダメージに対しては一般的な自動回復方式を採用。連続して攻撃を受けると死んでしまう。変わっているのはもう一つの要素で、心拍数が200を超えると死んでしまう設定にされている。これは単純にスプリントによっても上昇するが、これだけでは通常の値(60~80程度)からそこまでは上昇しない。他には周囲の環境が悪化すると上昇する(毒ガスや強い電磁波のエリア等)。

 ユニークなのは主人公があるウイルスに感染しているという所で、このウイルスはその体を冒し続け、最大値に達するとその時点から心拍数が上昇し始める(緑色のエフェクトが画面で点滅する)。つまりそのまま放っておけばやがては200に達して死亡してしまう。治療には解毒剤(Antidote)が必要で、これを飲むと汚染値がリセットされて心拍数も下がり始める。このウイルスは現在の状況では治療方法が無く、ゲーム終了までこの状態は持続される。よってプレイヤーは常に解毒剤を確保しておかないとならず、且つ解毒剤のストックが切れる前に各チャプターをクリアしないとならない。

 別のアイテムとしてはアドレナリンがあり、これは一時的にスタミナを上昇させる機能を持つ。使う事で長い距離をスプリントで逃げられる様になるが、反面心拍数を上げてしまうというデメリットあり。プロプラノロール(Propranolol)には心臓の拍動数を直接下げる機能が有り、解毒剤が無いケースでも心拍数を下げて危機を回避する事が可能。ただし詳細は不明だがこれを使うと心拍数が下がり過ぎる問題が在り、何からの対策をしないと0になってやはりゲームオーバーになる。


・キーバインド可(ランチャー), マウス感度設定可, 明るさ調整可。 サウンドボリューム調整不可。
・難易度選択は無し
・現在の目標を表示する機能あり
・ミニマップの類は無し
・字幕機能あり


・一人称視点固定
・FOVは変更出来ない
・照準あり
・ジャンプ不可, 屈み可, 左右へのリーン可

GAMEPLAY  以前のバージョンを既にプレイしていたのだが、今回記事を書こうと思ったら更新版が出ていたので改めてプレイしている。結構内容は変化しており、全体的には問題点を解決したりと良くなっているが、一方で前の方が良かったと感じられる点も一部存在している。

・RMBでリストバンドを見て現在のステータスを確認する様になった
・ドキュメント類を読んでいる際にポーズが掛かる様になり、ゆっくりと読めるように改善された
・ヒントメッセージが出るようになった
・アイテムを取る際にはアイコン表示される様に変更(以前のバージョンではハイライトされる方式だった)

 以前のバージョンではハイライトされているのにアイテムを取れないという問題が在り、何回も指し示す位置をいろいろと変えながらリトライしないとならなかった。今回はかなりまともになったが、それでもまだ完全には治っておらず一回ではアイテムを取れないケースが多々ある。


 基本は武器類は無しで攻撃手段を持たない逃走ゲーム。パズル要素は少なくともこのデモの中には無く、必要なアイテムを集めたり、マップ内の計器類を操作したりで進めていく。敵に見付かって攻撃されるとダメージ表示があり、連続して3回喰らうとアウトという程度。逃げ切れれば自動回復でリセットされる。なおフラッシュライトはバッテリー式でスペア所持が切れると使えなくなるが、真っ暗闇では無い為に切れても何とかなりそうな感じ。

 プレイ中は先に書いたように解毒剤を飲み続けないとならないのが問題となる。その解毒剤はマップ内を探索して入手するが、数は無限ではないので時間を掛けて延々と内部を探索している訳にはいかない。解毒剤等のアイテム探しはある程度やらないとならないが、あまりにもそれに時間を費やすとむしろ状況が悪くなるというジレンマを持つ。だが構造にランダム性は無いので、マップ形状やアイテムの位置を記憶しておけばスピードアップが図れる上に有利になるというデザインでもあり、繰り返しプレイするほど易しくなっていく。なお他のアドレナリンとプロプラノロールは最新版のデモには無い模様。


 デモにおける敵は一種類。人間型二足歩行でこちらを発見すると追い掛けて来る。足音はせず、代わりに近くに来るとBGMが鳴り出してその音量で距離を判断するというシステム。最初はそれで判断するというのが解らず、それもあるがこれは単純に足音等の方が良いと思える。最初の出現位置はランダムらしく、スタート地点直後からいきなり襲われたりもあり。以降はマップ内をランダムに徘徊している様だが、テレポートで位置をプレイヤーの近くに移動させたり等の調整が行われている可能性もある。それ程遠くからの探知能力は高くなく、BGMが鳴り出したら角からリーンで覗き込んで確認という手段が普通。追っかけて来てもほぼ速さは一緒なのだが、スプリント時間に制限がある為にあまり長距離は逃げられない。

 敵は外見的には特に怖くは無いが、マップ内を徘徊している為に遭遇の恐怖は常にある。逃げ切るには屈まないと通れない場所に入り込めばOK。しばらくすると諦めて去って行ってしまう。ただし屈んでそういった所を通るには若干の間があり、またある程度奥に入らないと攻撃が届いてしまうので、追い掛けられている際にはちゃんと恐怖感は発生しておりスリリングである。

 以前のバージョンでは追い掛けられて袋小路に入ってしまうとまず詰みという感じで難しかったのだが、最新版ではこの屈んで隠れられる箇所が増えており、行き止まりで詰んでしまうケースが減っている。また敵との遭遇確率も減少したように思え、結果的に敵に追われる際の恐怖感は減少している。ここは難しい所で、明らかにバランス的には最新版の方が良いが、恐怖感を上昇させるには前のバランスの方が有効という印象である。それと併せて入手出来る解毒剤が増えており、時間との闘いという緊張感の方も減少してしまっている。この件もまたバランスとしては今回の方が良いが、やり直しを前提とする難易度設定ならば以前の様に少ない方が良いだろう。


 任意でのセーブは出来ない。死ぬとマップ開始地点からのやり直しとなる。解毒剤が無くなると詰む恐れがあるので任意セーブの許可は難しいと考えられ、各マップ内にクリアには十分な量のアイテムを用意しておき、常に最初からやらせる事で詰みを防ぐという風にするのが無難である。

GRAPHICS

SOUND
 グラフィックスはデフォルトの6段階設定のみ。以前のバージョンではクオリティを4番目以下に落とさないとFPSが一桁に落ちたりしてプレイが困難だったのだが、最新バージョンでは最高に設定しても問題は無くなっている(Geforce GTX 760)。

 グラフィックスは水準レベルだが、マップ内のオブジェクト類が多彩なのでより綺麗に見えるというのはあると思う。テクスチャーの質は良好。SF世界でテカテカしている感がある為に綺麗に見えるが、実際にはライティングはそれ程複雑では無いようである。


 サウンドはもう少し頑張った方が良いだろう。音数や種類が少なくて寂しい印象である。

感  想  ボリュームとしては30分程度か。既に旧バージョンをプレイ済みという影響はあったと思うが、新バージョンは少し易しくなり過ぎたと感じられる。敵の攻撃に慣れてくれば、後はマップ内を探索していればクリア出来てしまう内容。敵は頻繁に襲って来ない為に鬱陶しくは無くなったが、逆に言えば怖さが薄れている。これは逃げ易くなった事も当然影響している。或いはアイテム数が増えたのとポーズが掛けられる様になったので余裕が出来たが、それ故に焦りによる恐怖感が減少と言った具合。前バージョンと今回の中間辺りが適当ではないだろうか(一番良いのは難易度設定を複数用意して対応する事)。

 今後の注目点は登場しなかったアイテム類がどんな変化を及ぼしてくれるか, 敵のモンスターの種類とAIの変化, マップのデザインのバラエティさ、等になるだろう。このスタイルで変化無くマップ数を増やしても飽きが来てしまう。デモとしては良く出来ている部類という感想だが、製品版を面白くするには更なる飛躍が必要だと言えよう。


 評価 70点
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