☆ POST MORTEM ☆
                                                                              02/11/30


製作/販売 Microids/DreamCatcher(US)
デモ仕様 131MB    ゲームの冒頭部分が遊べる    公式サイト
概要  フランスのADV製作会社として知られるMicroidsの新作。Syberiaのヒットによってかなり一般的にも名を知られる事となったが、今作はそれと平行して別のチームによって作成されていた全くタイプの異なる推理ADVである。なおPost Mortemとはラテン語で”死後”を現す言葉。

 一時来年に延期という記事を見たのだが、実はゲームは既に発売されており地元フランスとカナダにてもう手に入る。カナダという事でフランス語版が先行発売なのか?とも思ったのだが、これはちゃんとした英語版の様だ。UKでは年内発売予定であるが発売日は未定。USではDreamCatcherより03/02に発売される。現状各種ADV系BBSの感想をちょっと見た感じでは、賛否両論といった所か。

 ムービーは公式サイトにある物よりこちらの#2をお勧め(81.9MB)。ただし最後に一瞬だが結構ショッキングなシーンがあるのでそういうのに弱い方は御注意(下で解説している殺人シーン)。
GAMEPLAY  舞台は1927年のパリ。探偵稼業を引退して画家としての生活を送っているMacPhersonの元にSophia Blakeと名乗る女性が尋ねてくる。彼女はこのパリにて妹夫婦が殺害された事件に付いて、警察は信用出来ないので彼に独自に捜査を依頼したいと言う。興味を惹かれた彼は再び探偵としての捜査を開始するのだが....というストーリー。
 ゲーム自体は会話を中心とした推理物で、会話での選択肢によって辿る道が変化する(根本のストーリーが変化する訳では無い)マルチ進行のスタイル。

 一番の特徴はゲーム全体を覆うダークでミステリアスな雰囲気だろう。「恐怖」といった単純な物では無く、「狂気」や「異端」といった言葉がピッタリ来るイメージだ。ネジが外れたような不整合感や、現実離れした落ち付かない雰囲気に支配されたゲームであり、それはこの短いデモからも感じ取れる。依頼人の女性自体が非常にエキセントリックな存在だし、主人公もFlashbackによって奇妙なイメージを感じ取れる体質の様だ。他にも常人には見えないビジョンが見えるという奇天烈なおばさんも登場したりと、かなり異質な登場人物が続出である。事件の夫婦殺害方法も儀式的な印象のする物で、裸の死体を並べて座らせて切断した首をそれぞれの死体の膝の上に乗せるといったもの。ゲームの全体的なイメージとしてE.A.ポーやラヴクラフトを強く意識していると聞いたが、確かにそんな感じはする作品。

 基本的には本格的な推理物で犯人を捕らえるまでをプレイするそうだが、ちょっと一般的な本格ADVとは毛色が違うような気はする。会話システムは選択肢によって解くべき謎が変化するそうだが、このデモではその辺は選択できず雰囲気を味わってもらう目的で作成された物の様だ。例えば製品版ではホテルのフロントとの会話で正直に探偵と言うか身分を誤魔化すかを選べて(デモでは自動的に誤魔化す)、誤魔化せばデモと同じ手法で潜入可能で、探偵と言った場合は部屋に入れてもらえ無いので別の手法で謎解きをして潜入したりといった具合になる。解決までに解いて行くべき謎が人によって変化するというゲームになる。これはリプレイ性を高めるという意味もある。

 謎解きの質に関してはデモでは分からないと言うか、解決すべき謎は一つだけでそれもこの分野では古典的な使い古された物である。ゲーム性から言えばパズルよりも尋問によって様々な情報を探り出すゲームと思えるのだが。 
GRAPHIC  解像度は800*600固定。640*480クラスに比べると綺麗だし、アンチエイリアス機能もあるのでジャギーは目立たない。ただデモで見る限りは鮮やかな綺麗さといった印象は無く、Syberiaに比べると劣る感じ。ムービーや会話シーンでの人物の3Dアニメーションは表情も含めて良く出来ているが、3D系ゲームを見慣れたゲーマーにはそれほどの物とは感じられないかも。

 それと画像が暗いのも綺麗さを感じさせない原因か。意図した明るさに調整するプログラムがあるのだが、これに合わせると非常に暗くてオブジェクト等が見難い。最初は調整がおかしいのではとも思ったのだが、見易い程度に明るくするとテキスト表示時に今度は明る過ぎて見難くなってしまうのでこれで良い様なのだが.....
SOUND  ずっと流れているBGMはゲームの雰囲気にマッチしていて非常に良い感じ。他にムービー等で聞ける音楽からするとかなりクオリティは高そうで期待出来る。セリフは人によってはちょっとしゃべり方が変な感じがする(意図的なのだろうが)。
INTERFACE  会話シーンと探索シーンで成り立っており、会話シーンではセリフを選べば自動的に進んで行くので特に問題は無い。問題はこの会話シーンがSkip出来ない事(製品版も同じだそうだ)。最初は問題無いだろうが、リプレイ時には面倒だろう。
 探索シーンはごく一般的な一人称視点の360度パノラマ視点操作。アクセス出来る物や操作出来る物ではカーソルの形状が変化するので分かり易い。しかし一方で移動に関してはカーソルの位置がシビアでやりにくく感じた。どこに動けるのかも分かりにくい方と言える。

 このデモはSaveが出来ないので注意。会話は字幕表示可能であり、全ての会話はログとして保存されるのは親切。それと会話の時に会話ウインドウの右端に仮面のマークが出る事があるのだがこれは何なのか謎。
安 定 性  最低環境としてPentium II 350 MHz、64 MB RAM、VRAM16 MB以上のビデオカードとなっており、それほど高い性能は要求して来ない。特に私の環境では問題は無かった。ただしビデオカードによってはアンチエイリアスを掛けると描画に異常が出るという物がある様だ。
感  想  これは雰囲気に乗れるかどうかというゲームだろう。常道なADVという感じはしないので、現実路線の多い推理物でそういった奇妙さをどれだけ受け入れられるかになると思われる。メインとなる会話による変化が味わえ無いのでちょっとデモからは面白さの判断はし難いが、個人的には雰囲気は気に入った。ただ探索画面のI/Fは在り来たりで今一つ。ここは三人称視点のスタイルの方が良かったのではと感じる。


 購入確率   90%(^_^)

  TOP