☆ RESTLESS ☆

15/06/08 更新 目次          HOME
製作/販売 2nd Player Studio        公式サイト     STEAM
デモ仕様 605MB   V1.7(2014/11/19)     ダウンロード
概  要  2nd Player Studioはブラジルのインディーズ会社。学生時代の卒業研究時に4人チームで制作に取り掛かった作品で、そのまま卒業後に会社を設立しこの作品を商業作品として完成させる事に決めている。

 既にSteamのGreenlitに到達済み。Indiegogoや地元ブラジルでのクラウドファンディングにもチャレンジしているがいずれも結果は芳しくない。

 2015年初頭時点の予定としては、制作資金が十分ではない為にエピソード形式での販売を予定。全7チャプターで三ヶ月に一本リリースで完成まで持って行く。支払い形態は全チャプター一括支払い形式(最初のエピソードを購入すれば最後まで手に入る)。最初のエピソードは2015/03を予定。としていたのだが、現在ではリリース予定が2016年初頭とアナウンスされており、開発が順調では無いのか、或いは販売形態を変更したのかもしれない。

 対応プラットフォームは現在Windowsのみ。Mac, Linux版も作りたいとしており、発売後になるかもしれないが対応される可能性はある。

動作環境
HARDWARE 必要環境 推奨環境
CPU 2.5 GHz Intel Core 2 Duo -
MEMORY 2GB -
VIDEO VRAM 512 MB, DirectX 10対応 -
SOUND - -
対応OS  Windows 7/8

 V1.7での不具合関連。設定メニューは存在しているのだが、有効にならない項目もあれば、有効になっているのかが判らない物もある。例えば明るさ調整やマウス感度の設定を変更しても元に戻ってしまう。解像度だと表示が1280*720となり、これを1920*1080に変更して適用をクリックしても表示は変わらず。そして実際の解像度は1600*900になっている。Unreal Engineなので起動パラメータを付けて強制変更してみたところ、最初はダメだったが突然途中からそれが適用される様になった。

 後はマップ切り替えの合間に手紙が表示されるのだが、これは画面下の矢印をクリックして頁を進めるとリアルタイムで書き込まれていくスタイル。ところがこの時のレスポンスが悪く、クリックしてから手紙の描き込みが始まるまでが長かったり、全文表示後に「クリックすればローディング」と出るのだが、そこからクリックしても止まったのかと勘違いするくらい間があったりが発生していた。

BASICS  全く異なる二つのシステムを切り替えながら進行するというのが最大の特徴。一つは一人称視点固定の現実世界モードで、主人公は妻と娘と裕福な生活を送っていたが、それが突然悪夢に変わるという設定。こちらでは恐怖演出を多用しており、ストーリー説明などのカットシーンも含まれている。襲って来る敵との戦闘は不可能で、逃げたり隠れたりで進めるしか無い。Outlast, Amnesiaなどを類型作として挙げている。

 対して主人公が眠っている際に遭遇する精神世界の方は三人称視点固定。こちらでは近接武器や銃器を使っての戦闘が行える。定点カメラ方式というクラシックなサバイバルホラーのシステムを用いており、バイオハザード初期三部作, サイレントヒル等を類型作として挙げている。そしてこちらのパートはやはり昔に倣って、アイテムは少なく戦闘は難しいという風にかなりの難易度となるらしい。

 ボリュームは少なくとも10時間としている。


・キーバインド不可, サウンドボリューム調整不可。マウス感度設定可, 明るさ調整可だが、上記の様に実際には出来ない。
・難易度選択は無し
・現在の目標はインベントリー画面から確認可能(ただし正常に更新されない事あり)
・ミニマップの類は無し
・字幕機能あり(英語とポルトガル語)


 視点はパートに応じて一人称or三人称に固定されており、その時に応じて操作体系も異なる。一人称視点の方は特に変わった点が無いので三人称視点の方を解説。

・武器を持っている場合、右クリックで構え動作をとる
・ナイフには耐久力が設定されており、繰り返し使用で劣化していく
・デフォルトで走る(速度切り替え操作は無し)
・押せるオブジェクトの近くに行くと自動的に構えをとる
・Useした後には、再度Useしないと操作可能状態に戻らない
・フラッシュライトは無限

・インベントリー画面を持ち、武器は装備スロットに入れないとならない(両手持ちの武器は2スロット占有)
・各アイテムには占有スロット数があり、その制限内でしか持ち運べない
・インベントリー画面内にてドラッグ&ドロップは出来ない(使い辛い)
・アイテムは捨てると消えて無くなってしまう様なので注意(全てかは未検証)
・弾薬は数が増えると分割されるが、そこから減っても分割されたままである

・ヘルスはアイテム回復方式。メディキット1個でフル回復が可能。
・回復はインベントリー画面を出して行う。その際にはポーズが掛かるので安全。
・ヘルスの状態は色分けされており、それに応じて移動速度が変化する(バイオハザード風)
・黒のステータスは流血状態で、これは包帯を使って止血する必要がある


GAMEPLAY  三人称視点モードの方から。カメラはクラシックな定点方式で、キャラクターの位置に応じて自動的に切り替わる。プレイヤー側にカメラ位置を調整する機能は無い。移動はキャラクター基準のラジコン方式。カメラに対してどんな方向を向いていようが、前進キーを押せばキャラクターは前に進む。左右キーならばやはり向きに関わらずその場で左右回転。後方キーではその場でゆっくりと後退りする方式となる。

 まず最初の問題点として、この時の左右回転速度が相当過敏で速い。移動がやり難いのでキーボード感度を調整する機能が欲しい。次に固定カメラ方式だが、全ての場所をチェックしているとは思えず、キャラクターが見えなくなってしまう箇所も存在する。或いは手前の木々が邪魔で見え難くなるとかもあり。こちらのモードでも一時的にでも一人称視点に切り替えられるモードが欲しい(少なくとも今どちらを向いているのかはチェック可能)。

 それと描画エンジンが高度になったのが逆に災いしている。固定カメラ方式を現代に復活させるのは良い。だが昔は出来なかったダイナミックライティングを採用しており、それもあってか暗い場所は非常に暗く設定されており、そこをフラッシュライトで照らすようにされている。もし一人称や後方三人称視点ならそれでOKなのだが、定点カメラなので角度によってはキャラクターが真っ暗な位置に置かれてしまい姿が見えなくなってしまうという弊害が発生する。また拾えるアイテムは光らせるという定番の方式を採用しているのだが、ダイナミックライティングなので様々なアイテムがフラッシュライトに照らされて光ってしまう為に、じっくりと探さないとどれが拾えるアイテムなのか区別が付かずに見落としが起きてしまう。


 戦闘モードにも大きな欠陥あり。このデモのバージョンではオートエイムのアニメーションが実装されていない。オートエイムの機能は働いているのだが、キャラクターは敵に向けて狙いを付ける動作をしてくれないという意味である。よって銃を撃つ場合など、プレイヤーの足下に潜り込んでくる這いずりタイプに対して、下を向かずに正面を見たままで銃を発射する為、見た目では明らかに体の上を通過している銃弾が当たってしまう。或いは立ったタイプの敵であっても同じで、90度横を向いたまま撃っても当たる様になっており滑稽ですらある。当たった際の血痕エフェクトも地味で、角度によってはそれも見えないので、そうなると当たっているのかどうかも確認出来ない。全く明後日の方向を向きながら銃を適当な数だけ撃つと敵が死ぬという風で爽快感ゼロ。ついでに書くと定点カメラでは、「キャラクターの正面に敵が居るのに、角度的にプレイヤーからはそれが見えない」という状況が発生し、それを補う為に構え動作によりオートで狙いを付ける動作をするかで判断したりするものだがそれも出来ない。

 なおこのデモにおいては戦闘は簡単である。メディキットが沢山有るし、弾薬もちゃんと探せば結構用意されている。それと敵のAIにも問題が感じられて、接近戦の際に止まってしまう様なケースも見受けられた。


 必要なアイテムをマップ内から探し出すのがメインだが、パズルも2つ程用意されている。片方は書面の通りに装置を合わせるだけと簡単。しかしもう片方には苦労させられた。大きなオブジェクトを目的の場所まで動かす必要があるのだが、その操作性が酷い出来の為に時間がやたらと掛かった(単純な作業なのだが30分以上掛かったはず)。問題点は多い為に下段のヒントの方に記載しておく。更にここではパズルの意味合いもアレな設定で、見付け出した書類に書かれている6つのシンボルを、動かせる6個のオブジェクトと合わせるという謎なのだが、このデモではそのオブジェクトが2つしか用意されておらずに混乱させられた(何等かの理由で4個が省かれているのだが、解答となる書類の方は6個分用意されたまま)。


 一人称視点の方はホラーイベントが発生する物で、F.E.A.R.とかCondemnedなどを想像してもらえば良いだろう。そのホラーイベントは既に別のゲームで何回も見せられた様なパターンなので怖さはほぼ無し。更に背景描写はエンジン性能が高いだけあって綺麗な方なのだが、キャラクターのモデリングやアニメーションがそれに追い付いていない。これはこのゲームに限らず、最近の高度なグラフィックエンジンを採用しているインディーズゲームに共通する問題点と言える。高レベルな3Dモデルのキャラクターやアニメーションを制作するのは負荷的に大変な労力になるので、予算が無いインディーズ会社ではどうしても疎かになりがち。しかし粗い出来栄えのモデルやアニメーションを使用する場合、それ以外のクオリティが高いグラフィックエンジンの方が、その粗がむしろ目立ってしまうというのが難点となっている。高度なグラフィックスが必ずしも良い方に働く訳ではないという話。


GRAPHICS

SOUND
 Unreal Engine 4を採用。一人称視点の方は全般的に綺麗だが、三人称視点の方はアニメーションの粗さもあってかなり見劣りがする。ただクラシックなサバイバルホラーの再現という意味ではそれも味が感じられて良いかもしれない。


 サウンドではボイスが一部収録されていない。BGMもショックを与える様な派手な物は有るのだが、それが延々と繰り返されたりでは反って耳障り。

感  想  一人称視点と三人称視点でゲーム性を切り替えるというアイディアは面白いと思う。それと三人称の戦闘パートの方は精神世界という設定なので、現実世界系の同ジャンル作品に比較して自由度が高く、いろいろユニークな要素を盛り込み易いという利点を持っており、それを有効活用出来ればより期待が出来そうだ。率直に言ってデモはかなりの未完成という印象を拭えないが、この辺は基礎的な部分がまともなレベルにまで修正されるだけでも相当違ってくる筈である。もしバージョンアップされたデモがリリースされたらまた試したいとは考えている。

 正直なところ、クラウドファンディングの大失敗にはこのデモが逆効果として働いているのではないかという気もする。確かに実際にプレイ可能なデモはプロモーションとして重要だが、この未完成度合いでは先が期待出来ないと判断されても不思議ではない。現状ではこのレビューを読んで世界観などに興味を持った方のみにお勧め。後はオートエイムのアニメーション無しでの奇妙な戦闘シーンに我慢出来るという方。他はバージョンアップを期待して待った方が良いだろう。


 評価 50点
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ヒ ン ト  以下はネタバレなので反転。


*中央の噴水部分へのアイテムセット(ラストシーン)

 シルバーのアミュレットは初期段階で見付かる。ゴールドの方はパズルを解いてから出現する敵を倒すと落とす。


 解決には広場内の柱を動かして所定の位置にセットする。本文でも書いた様に本来は6セットある柱と台座が2セットしか用意されておらず、シンボルが書かれた三枚の書面の内で一枚だけしか使用しない。

 柱にはそれぞれシンボルが刻まれているが、Vの方を台座の+印の方へ、|の方を平行線の方へと移動させる。片方を達成する度に敵が出現し、二体目を倒すとそれがアミュレットを落とす。

 問題は柱の移動で、単に押せば良いのだがいろいろと問題が発生して長時間掛かってしまった。

・最初に動かす方向が決まっているが、それ以外の方向にも動かせてしまう。そうなった場合、元に戻すまでは移動させる事が出来なくなる。これが原因でまだ動かせない物だと勘違いして詰まった。
・キャラクターが移動出来ない透明な壁に触れると動かせなくなる。よってそれに触れないルートを選択して移動させないとならない。
・移動させた位置によっては、次に押す際にキャラクターが隠れてしまって見えなくなる
・特定の方向にしか押せない地点が在る(押す構え姿勢をとらない)
・押すアニメーションに入った瞬間に押さないとリセットされてしまい、位置を微調整しながらやり直さないと再度押せなくなる
・正解の場合には最後は自動的に滑って台座に乗っかる