☆ SHADE: WRATH OF ANGELS ☆
                                                                                   04/09/21



製作/販売 Black Element Software / Cenega / Tri Synergy      公式サイト
デモ仕様 85MB   Tutorialとゲームの1マップをプレイ可能
概要  チェコのBalck Elmentからリリースされるホラー系のアクションゲーム。この会社は元々Bohemia Interactive Studio(Operation Flashpoint等)の分社であったのだが、昨年独立して単独の会社として活動しており、これが独立後の第一作となる。かなり当初の予定よりも遅れたが既に完成しており、欧州では10/1に、北米ではTri Synergyを通して10/12に発売予定。

 プラットフォームは現時点ではPCとN-Gageとなっており、今後他のコンソールでも発売を考えているそうだ。日本での発売は未定である。


 ストーリーの大筋は元特殊部隊所属の主人公が、兄弟の緊急の要請に応じて東ヨーロッパの或る街へとやって来たのだが、既にその街は廃墟と化しており兄弟の消息も不明。そこで遭遇した精霊から強大な悪が世界を支配しようとしているのを聞き、プレイヤーは彼女の助けを借りて4つの時空を旅しながら数々の敵と戦って行くという物。
 一応ホラー物とは言え純粋なサバイバル・ホラータイプではなく、多彩な戦闘アクションも含まれている。またジャンプパズルを含めた謎解きも重視されており、開発側のコメントでは「Tomb Raider, Indiana Jones, Silent Hillの3つを合わせた様なゲーム性」。

 マップは全部で30を超えており、プレイ時間は25-30時間程度を想定。それとゲーム中にプレイヤーが採った行動によってエンディングが変化するマルチ・エンディング方式を採用している。

動作環境
HARDWARE 必要環境 推奨環境
CPU PIII - 700 MHz P4 - 2 GHz
MEMORY 128 MB 512 MB
VIDEO GeForce2クラス  VRAM 32MB GeForce4クラス VRAM 256MB
SOUND DirectX対応 Audigy 2 (Advanced HD EAX )
対応OS  98SE/ME/2000/XP
DirectX 9.0b以上要


 OSはXPでDXは9.0C以上が推奨。なおゲーム起動後でも変更は可能だが再起動が必要な箇所も有り、Setupプログラムが別に用意されているのでそちらを先に使った方が良いだろう。

GRAPHIC  自作のEnforce Engineを使用。1年の延期に合わせてDX9仕様へと変更されているが、遅れてしまった分インパクトは薄くなっている。炎系のエフェクトが綺麗だが、これも特に凄いというレベルではない。ただし公開されているSSでの画像はもうちょっと綺麗な印象。デモはサイズが小さいのでテクスチャ等の画質が落とされている可能性は有る。

 壁や箱等のオブジェクトと体が重なってしまったりが目立つのは難点。キャラクタのアニメーションももう少し改善の余地があると感じられる。

 気になったのはGore要素で、Previewでは体の部分が切り付けるとちゃんと飛んだりするという話だったのだが、このデモではそういった要素は無い(切った瞬間に血が出るだけ)。これは一般公開デモという事でONになっていないのかも知れないし、カットされてしまったのかも知れない。

 物理エンジンは他の会社(聞いた事が無い所)の物をライセンスして使用しているが、Ragdollが複雑な場所ではちゃんと行われないで宙に浮いてしまったりとやや問題あり。

 
GAMEPLAY  視点は三人称と一人称の切り替え式。このデモではアクション(ジャンプ)パズルという方面に関しては特に出て来ず、戦闘主体の構成となっている。中には若干のパズル要素は存在するが、特に難しい物ではない。セーブはチェックポイント方式。死亡後の再ロード時間はかなり早くストレスは無い。

 ゲームの戦闘システムは最初の頃のデザインからは変更が加えられており、かなり変わった方向性を打ち出している。主人公は悪魔を召還する事が可能で(どうも変身ではなくて召還する様である)、人間の時は物理攻撃、デーモンの時は魔法攻撃が基本となる。これについては2000年にリリースの怪作Devil Insideという先例が有るのだが、このゲームは更にバラエティに富んだ攻撃が可能となっている。

 人間の時はMagic Swordをメインとした近接戦が中心となるのだが、その他にDesert EagleとCrossbowという一人称視点用の遠距離攻撃武器を持っている。
 デーモンについてはDemontimeというメーターが画面上に在り、これが有効であれば何時でも召還が可能。このメーターは人間の姿の時に攻撃をすると(スタミナの様に)減少するが、待っていれば徐々に回復する仕様。デーモンに変身した際には徐々に減り続けて、0になると人間に戻ってしまう。このメーターは魔法攻撃を行った際にも消費される。それとデーモンの時には近付いて殴るという攻撃が可能であり、これは相当大きなダメージを敵に与えられる。ただしデーモンは移動速度が遅いので万能ではない。


 この様に人間とデーモンでそれぞれ2通り、合計4種類の攻撃方法が有る事になり、それぞれの弱点は、刀(マスターが難しい)、銃(弾数が少ない・銃が存在しない時代では弾が補給出来ない)、デーモン直接攻撃(使用時間が限られる・移動が遅い)、デーモン魔法攻撃(Demontimeの消費が早い)となる。この内のどの方法を選ぶかで大きく戦闘の様相が変わってくるようになっており、その印象は「変わっていて捉え所が無い」といった感じになるだろうか。

 例えばゲームの最初の時点では(操作に慣れていないせいもあって)刀で戦闘するのは相当に難しく、最初か次の敵辺りでもう死んでしまうといった感じだったのだが、ここで銃を使えば遠距離攻撃を持たない敵は簡単に倒す事が出来たりする。Crossbowの方は敵から結構矢が奪えて、連射速度が遅いとはいえ非常に強力であり、遠距離攻撃を持たない敵にはアンバランスな位に有効である。或いは剣での戦闘では倒すまでに何回か切り付けないとならない敵でも、デーモンになって接近戦で殴れば簡単に倒せてしまったりもする。

 戦い方に自由度があるとも取れるが、デモからの印象では変なバランスというイメージの方が強く、製品版ではどういう風になっているのか気に掛かる。それとDemontimeとは別に走る際のスタミナ表示も持っており、この間は非常に高速で移動可能(操作が難しいほどに速い)。これを使うと逃げ場が有る箇所では敵のいない場所まで一気に駆けて逃げてしまえる点も変わった要素になる。


 ゲームの中心は人間モードでの刀を使った近接戦という話であり、このモードでは各種コンボが用意されているし(使い方は詳しい解説が無いので良く分からない)、ブロックを上手く使わないと勝てないという要素も含まれている。やたらと攻撃を連打しても駄目で、敵の攻撃をブロックしつつモーションを見切って反撃というスタイルであり、上達するには時間が掛かる様になっているそうだ。
 こちらの操作に関しては慣れるまでに時間が掛かりそうというか、もうちょっとやり易い物にならないのかと感じる出来。特にこのゲームの場合、現状ではパッドを使うコンソール版は開発されていないので、PC専用の操作性を考えた結果がこれというのはどうにも.....。私見だがチェコで製作されたゲームは大抵異様な操作性である。操作という点に対する基本的な物の見方が我々と全然異なっているとしか考えられない。

 駄目な点は「後退キーで下がるのではなく、後方へ背を向けて歩いてしまう」、「左右にそのままステップ出来ない」、「カメラの移動はマウスで行えるが、勝手に変わってしまう場合有り」、「壁を背にすると透過するが、Objectでは透過しないので自分が見えなくなる箇所有り」、「敵に非常に接近すると切り付けるのではなく素手で殴る攻撃が出てしまう」等々。

 AIは集団で来る場合に1人が側面や背後に回ろうとしたりといった行動を見せてくれるが、その一方で一度こちらに気が付いた後に見失うと元の状態に戻ってしまう等の問題も見受けられる。剣が中心のゲームであれば、もうちょっと考えた動きをしてくるレベルの敵が欲しいところ。デモは弱い敵が多いようなのでその辺は何とも言えない。

 なおゲーム中に手に入る火の玉の様な物はAngel Tearsと呼ばれ、ゲーム中に存在する商人とこれを使って取引を行い、Demontimeの持続時間や新魔法、Magic Swordの威力等を上げる事が可能になっているそうだ。

SOUND  EAXに対応しているが、ポジショニングは今一つの出来という感じ。あまりデモからではインパクトを受けなかった。

感  想  不思議な感覚のゲームというのが総合的な印象。上に書いたような4つの戦闘モードのバランスは面白そうとも取れるし、バランス的にどうかという不安も同時に感じる。製品版で上手くこの辺が「戦闘の自由度が高い」、「その場に合った最良の作戦を考える事で楽にも難しくもなる(頭を使って戦う必要がある)」という風になれば良いのだが、逆に「わざわざ難しい剣技をマスターする必要性が無い」、「デーモンが強過ぎてアンバランス」といった方向に出てしまう可能性も考えられる。

 スタンダードなアクションゲームと考えていたのだが、想像していたよりもユニークな出来で興味が沸いて来た。チェコ産のゲームには良質な物が多いだけに、これも大きなポテンシャルは持っていると感じる。後はどっちに転ぶかだろう。発売も間近なのでReview等の情報に注目したい。


 購入確率  50% <(。_。)>     製品版の評価はあまり良くなかった。マイナーなので無くなる前にと購入。

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