☆ STRANGLEHOLD ☆
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製作/販売 Tiger Hill Entertainment / Midway       公式サイト
デモ仕様 1.96GB(欧州版は少しサイズが違うが差異の内容は不明)
シングルプレイ用デモでマルチプレイは含まれていない
概  要  John Wooが製作した香港映画「Hard Boiled (1992)」:日本題「新・男たちの挽歌」を題材にしたアクションゲーム。製作には同監督が設立したTiger Hill Entertainmentがクレジットされているが、実際の製作なのか監修的な役割なのかはよく分からない(製作にMidwayの名前も有るので)。Xbox 360ではすでに発売されており、PC版も北米では本日発売されている。PS3版は10月予定。日本代理店は未定。

 制作費が3,000万ドル(日本円で約35億)という巨額な点でも話題の作品。Xbox 360版が発売されたばかりだが、少なくとも第一週目のセールスは好調だったようだ。

 チョウ・ユンファ演じる主人公のテキーラ刑事は本人のグラフィックスとボイスを採用。彼がロシアのマフィアに誘拐された元妻を追って、香港やシカゴで大暴れするというストーリーになっている。製品版にはマルチプレイも収録している。

動作環境
HARDWARE 必要環境
CPU Core DuoやAMD X2等のデュアルコアCPU
MEMORY 2GB
VIDEO Pixel Shader 3.0以上 VRAM 128MB
SOUND DirectX 9.0c互換
対応OS XP SP2/Vista
DirectX 9.0c以上要


 (10/18追記) この欄を更新

  このデモについては必要環境のアナウンスが一切されていなかったが、結局製品版の必要環境は以上の通り。デモはこれ以外で起動するケースもあるが、それはサポート外でたまたま起動しているだけとなる。

 このデモではグラフィックス・サウンド系のオプションを一切変更出来ない。そしてその固定設定がどの位のレベルになっているのかも不明なので、製品版の必要環境は満たしているがデモは動かない(或いは非常に重い)という可能性も考えられる。

 解像度だけはショートカットのプロパティからリンク先の最後に指定解像度を付加する事で変更が可能である(全てが可能とは限らない)。例としては ...-language=eng -ResX=1280 -ResY=960 の様にする。使える解像度は以下の通り。-windowedと付ける事でウインドウモードでの起動も出来る。なおconfigを直接編集すると起動しなくなるという話が有るので注意

 対応解像度: 640x400, 640x480, 800x600, 848x480, 1024x768, 1280x720, 1280x800, 1280x1024, 1360x768, 1440x900, 1680x1050, 1920x1080


 更なる問題として動作不良の報告がかなり多く、特にNvidia系のビデオカードでのトラブルが数多く報告されている(このゲームはATIと提携しているので、さすがにそちらは少ないようだ)。ムービーの後にブラックアウトしてゲーム画面まで行かないとか、起動自体が不可、プレイ中にサウンドのループで頻繁に落ちる等。どのドライバでも駄目という人もいれば、全てのドライバにて何の問題も無いという人もいて、現時点ではその原因が絞れない状況にある。しかもビデオ・サウンド双方の設定を落として試す事が出来ないのでどうしようもない。

起動時にブラックアウトしたり青画面になる or nv4_disp.dllのエラー
 過去のドライバが完全に削除されていないケースで発生するという報告が公式サポートにて挙げられている。アンインストール後に何等かのツールで残ったゴミを完全に削除してから最新のドライバを入れる。例えば4Gamerのサイトに詳しい解説有り。過去のドライバの完全な削除方法(一番下の欄)。


 操作キーの設定さえ出来ない為にあまりにもデモの仕様が適当だという不満の声は公式Forumを含めて強くなっており、予約していたが止めたという人もいるようだ。実際の製品版の出来は置いておくとして、PR目的のデモとしてはむしろ逆効果だったか?という位に不味い状況になっているという感がある。実際にこれを書いている時点では製品版でもデモ同様のトラブルが多く、依然としてパッチもリリースされていない。

GAMEPLAY  デモは製品版の最初のパートをプレイ可能。クリアする度に上の難易度がアンロックされて行くが、一度終了すると全てクリアされてしまう。なおESCで表示されるOptionからマウスの感度等の一部の設定を変更可能である。

 ゲーム性としてはMax Payneに非常に良く似ていると言えるが、元々MPがJohn Woo監督の映画の演出(スローモーション等)をシステムとして採用した物なのでパクリという訳ではない。Bullet Timeに当たるスローモーション能力はTequila Timeと名付けられており、使用に必要なエネルギーは時間経過に連れて自動的にリチャージされるようになっている。RMBで任意に発動が可能だが、敵が居る時に前後左右にダイブしたり、特殊なアクションを行った際に自動的に発動するようにも設定が可能(デフォルトではON)。
 リチャージされるしその時間も早いので気軽に使える能力なのだが、逆に消費量も多くあまり連発は出来ないというバランス。連続して使うと肝心の時にエネルギー切れで危なくなったりするので、普通に戦って敵が増えたら使うか、一時的な溜まるまでの逃げ場を考えておく事が重要である。演出としては画面の色が変わってスローになるのだが、サウンドのエフェクトがMPほど良く出来ておらず不満が残る。ただ飛んだ時の持続時間が長い感じで、発動中に複数の敵を一気に倒せる点は爽快感が有る。

 格好の良いスタイルで敵を攻撃するとポイントが加算され、これを連続で決めるとStyle Comboとして星が表示されてより高ポイントが獲得出来る。カートに腹這いで乗ったまま滑って攻撃・手摺りを滑って降りながら・看板等を撃ち落としてダメージといったもので、可能な場所は白くハイライトされるようになっている。貯めたポイントは左下に円状に表示され、これを使って特殊能力であるTequila Bombを発動可能。
 全部で4種類用意されており、円のエネルギーがそのアイコンまで到達していないと使用は出来ない。最初から持っているのがHealthの補給で、これは任意の時にHPを回復させる能力。二番目のPrecious AimingはSniperの様に敵の特定部位を正確に撃ち抜ける能力で、弾丸視点からのムービーが表示される。三番目のBarrageは弾薬を消費せずに高速で連射可能になる能力。短時間だがその間はほとんどのダメージに対して無敵にもなる。最後のSpin Attackはその場の敵全てを回転しながら銃を撃って倒す能力で、これは実際にはプレイヤーは関与せずにムービーで処理される。デモにおいては一度クリアするとBarrage、二回でSpin Attackがアンロックされる。


 ゲームの最初という事もあるのだろうが、Normalでは簡単で手応えが無い。Hard辺りでちょうど良い感じになる。セーブはCheckpoint方式だが、デッドエンドを防ぐ為に一度死んで戻ると完全回復状態で再開される仕様。Aim Assistもオプションから選べるようだが、これはパッド使用時のみの効果なのか未検証である。

 印象としては敵の数が多く、同時に四方八方から大量に出現するシーンも何箇所か有って、それ等に忙しく対応しないとならないというスピード感を持ったゲーム性である。頻繁に使えるTequila Timeの他に、必殺攻撃も比較的使い易いバランスなので爽快感は高い。しかし移動速度自体はあまり高速ではなく、普通の場所の移動はテンポが悪くなる感は否めない。
 銃の命中精度も高い方であり、照準さえ合っていれば基本的に当たるというアクション寄りのバランスとなっている。ただし同時には2個までしか持てないようだ。武器類はあまりデモには出て来ないのだが、特殊な物としてシークレットの様な場所にGolden Gunと呼ばれる威力の強い銃が隠されている。これはほぼ一撃で敵を倒せる優れ物。

 危険になった場合に座って攻撃も出来るのだが、ほとんどのオブジェクトが壊れてしまうのでカバーとして役に立つ物は少なく、HPが下がって危なくなるとポイントを使ってHPの回復能力を使わないと厳しくなる。敵の方向が限られているなら、建物等の硬い障害物に背中を付けてそこから身を乗り出しての攻撃は可能。だが印象として慎重に隠れながらという要素を重視したゲームとは思えず、死んだら死んだでフル回復状態からやり直して、あくまでも正面突破というゲーム性なのだろうと思える。

 キャラクタの操作は簡略化されており、障害物が有った場合には自動的に反応するようなシステムなので、突然台の上を滑り出したりと逆に動きが読み難いという要素も持っている。またジャンプはダイブという操作になるので、箱等に登れない等ちょっと操作感覚に違和感は有り。
 またこれはデモ特有の問題と思われるが、風景的に最初から最後まで戦闘場所に変わり映えがしない。また敵が背景と重なって瞬間的には位置が判り難いというのも感じられた。同様に落ちた武器類は光るが壁のHealthは見逃し易いというのもあった。

 イベントとしてStandoff(睨み合い)というシーンが用意されており、これは動けない状態で左右移動キーにて上半身だけを動かしてスローモーションで飛んでくる敵の弾を避けながら相手を倒すというミニゲーム。一人を倒すと自動的に次の敵に視点が移動する。アクセントとして最初は面白いが、このパターンでずっと続けられてもどうだろうか?という感は受けた。

 ゲームが売りにしているMassive Dと呼ばれる、Havokをベースにした「何でも破壊可能でマップ内に破片が消えずに残り続ける」という物理エンジンだが、これは想っていた程では無かった。確かにさまざまな物が壊れたりはするのだが、それがゲームプレイの面白さに貢献していないという印象。死体は早く消えてしまうのも興醒めである。撃ってオブジェクト類を落として敵を倒すという風には使えるのだが、それはこのゲームが初めてという訳でもないのでインパクトが足りない。デモには出てこないGrenadeやRL等の爆破系武器ならもっと派手に壊せるというのでもないと売り物にするには厳しそうだ。

GRAPHICS

SOUND
 これがグラフィックスの設定としてHigh程度の物なのかは不明だが、そうだとしたらちょっと期待外れというのが正直な所。テクスチャ類の精度も今一つなら、エフェクト系もあまりパッとしない。特にNormal Mapping系が一部のオブジェクトにしか使用されていない感じで、これがないと既に地味に見えてしまう時代になっている。影やライティング処理はリアルタイムでちゃんと描画されている様だが、展開が早いのでゆっくり見ている時間が無い事が多い。負荷的には軽いという印象は持ったが、その分インパクトに欠ける点は問題である。

 良いと思ったのは敵の撃たれた時のアニメーションと派手に飛び散るBloodのエフェクトか。一般的なアニメーションについては主人公も含めて新世代を感じさせるほど滑らかという感じでもない。

 サウンドも設定が出来ないので判断は暫定だが、3Dサウンドのポジショニングは良好。しかし銃声の迫力は弱く、上にも書いたように特殊効果時のエフェクトも物足りない。後はゲーム性からして良いBGMも欲しいと感じる。

感  想  取りあえず360版の評価は平均で80点近くて悪くないようだが、特別に高い点を付けているサイトが存在せず、よく出来てはいるがインパクトを与えるようなゲームでは無いという論評になっている。様々な点で事前の宣伝や期待感に応えるようなレベルにまでは達しなかったので、あまり騒ぎになっていないとも言えそうだ。またデモをプレイした限りでは、どこに35億という予算が使われているのかが良く分からないという感を持ったのは確か。

 戦闘シーンでは忙しい位に次から次へと湧いて来る敵相手に撃ち捲くれるので、激しいアクションゲームが好きな人には受けそうである。ただ敵の弾を見て避けるという要素はほとんど無いので、交わしながら撃つという面白さは持っていない。或いはMax Payneほどのスローモーションにおける戦略性も無く(その代わりに爽快感は高いが)、とにかく敵に狙いを付けさせないように激しく動きながらマウスボタンを高速連打で勝負というゲームとなっている。その意味で非常にシンプルでもあり、その単調さをマップのバリエーションや面白さで補わないと長くは持たなさそうという点は気になる。

 私が感じたこのデモにおける最大の欠点は、雰囲気に”ハードボイルド”を感じさせるような重厚感が無いという事に尽きる。全体的に軽い印象の仕上がりとなっており、Bloodの派手さは評価出来るがどうにも安っぽい。グラフィックスのクオリティの問題と言うよりも基本的な画風のタッチ(センス)の問題と思うのだが、その軽さ故にプレイしていても迫力が感じられずに大きなマイナスとなっている。具体的にはMax PayneMafiaの様なゲームに比べるとやはり雰囲気的に弱い。リアリティを感じさせる新世代のグラフィックスもその意味で非常に重要と思うのだが、ムービーシーンはともかく実際のゲームにおいてはその効果が十分に発揮されていない。

 期待していた程の出来には到達していない点や、内容的に短い(7,8時間程度)という話も聞いているので保留。特に年末までは他に大物が沢山控えているのであえてこれをという気は無い。別に悪いと感じた訳ではないので、安くなってからなら検討しても良いかなと考えている。


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