☆ TOMB RAIDER: ANNIVERSARY  ☆
                                                                               07/05/29


製作/販売 Crystal Dynamics / Eidos Interactive      公式サイト
デモ仕様 257MB   マップ"Lost Valley"の一部がプレイ可能 
概  要  1996年にリリースされた第一作を、シリーズ10周年を記念してリメイクした作品Tomb Raider: Legendを製作したCrystal Dynamicsが担当している。現時点ではPC, PS2, PSPのみでの発売となっており、新世代機での発売は予定されていない(そちら用には新作を製作中という噂)。英国では6/1, 北米では6/5の発売となる。日本でのアナウンスはまだ無いし、あってもLegendの様にPCでは出ないという可能性もある。

 ストーリーの手直しにはToby Gardが関わっているが、基本的にオリジナルのリメイクという姿勢で作られており、Peru, Greece, Egypt, Atlantisの4章のみで新規追加マップ等は含まれていない

動作環境
HARDWARE 必要環境 推奨環境
CPU Pentium III 1.4Ghz or Athlon XP 1500+ Pentium IV 3.0Ghz or Athlon 64 3000+
MEMORY 256MB, 512MB (Vista) 1GB
VIDEO VRAM 64MB Hardwar T&L対応
GeForce 3Ti / Radeon 9000シリーズ 
VRAM 64MB
Vertex and Pixel Shader 2.0対応
SOUND DirectX 9.0c互換 同左
対応OS  2000/XP/Vista
DirectX 9.0c以上要


 昨年のLegendと同じエンジンなのでほぼ同様の数値。必要環境は近年のゲームとしては相当低目となっており、ShaderではなくHardware T&Lで動作可能。またHardware T&Lすら無いマシンでは起動不可という訳でも無く、パフォーマンスに問題は有るが設定を下げれば何とか動作はするという情報も有る。ただしDX9.0c以上に対応していないとならない。VRAM 64MB以上で未対応のビデオカードは無いと思うが、ノート系のビデオチップだとDX9.0c対応だがT&L未対応というのは有るという意味か。

GAMEPLAY  このデモを見る限りでは、設定や雰囲気のみを継承するという考えで製作されているようで、オリジナル作品のマップを新エンジンで忠実に製作し直したという物にはなっていない。例えばこのデモでは装置を動かすのに3個の歯車を集めて来ないとならないという設定になっており(実際には3個全てはデモでは集められない)、その「歯車を3個集めて装置を動かす」という設定はオリジナルと同じだが、装置の大きさや歯車が何処に有るのかといった点は異なっている。
 初期の話では「構造は似ているがシークレット系を増やしてオリジナルの体験者でも楽しめるようにする」というオリジナルの再現性重視の様子だったのだが、どうやらマップの構造から何から大胆に製作し直して、オリジナルをプレイ済でも頭を捻らないと先には進めないという新鮮さ重視の方針に変ったようだ。雰囲気は同じだが新しいゲームとして楽しめるというのと、出来るだけ忠実に当時を再現するべきというのと、ファンはどちらが良いと思うのかは判らないが、個人的には新エンジンで可能になったより広いマップ構造を活かして、スケール感を重視した新マップ製作という今作の方向性の方が良いように感じる。

 デモは一度筋道が分かればクリア地点までは短時間だが、新規プレイ時にはどの程度パズルに悩むかによって大きくプレイ時間は変化するだろう。なお製品版では可能だがデモでは行かれない場所が存在していたり(スタート地点の滝の向こう)、存在しない地点のムービーが流れたりとちょっと混乱する内容にもなっている。それとやれる事を全てクリアしないとデモのゴール地点には行かれないというようにはなっていない。

 Checkpoint Save方式だがデモではロードが出来なくなっており、プレイ中ならば死んでも直前地点に戻れるが一度終了させると最初からになってしまう。難易度は3種類で、易しくなるほどリカバリーのタイミングが緩和されるのはLegendと同じ。なおリカバリーとはアクションのタイミングがズレて失敗した際に即座に落ちたりはせず、警告マークの表示中にActionボタン連打で立て直せるという機能。

 ゲームの操作感はほぼLegendと同等で、それは即ちオリジナルの操作感覚とは大きく異なるという意味でもある。それを再現しても現在のユーザーには受けないという考えなのだろう。変化としてはManual GrabのON/OFFが可能とされており、OnだとアクションシーンではGrabキーを押さないとならなくなる。例えばジャンプして縁を掴んでぶら下がる際には掴むのにタイミングを合わせてキーを押さないとならないし、棒を掴んで大回転をする際にも押したままにしないと落ちてしまう。これはLegendのAuto Grabでは簡単過ぎるという不満からの対応。他では旧作で御馴染みのリングメニューが復活している
 その他Legend(デモ含む)を未プレイの人が知っておいた方が良いのは、縁に掴まって移動したりする際にActionボタンをタイミング良く連打すると高速で移動可能。フックを引っ掛けられる場所はガイド機能がONならば青く表示される(ジャンプしてから発射キー)。通常は縁から落ちると自動的に掴まるが(Walkでは無い場合には落ちる事も有る)、逆に離して落ちたいならCrouchで手を離す。


 プレイした感想としては、AutoGrabだとアクション自体は簡単な部類で、結構大雑把にキーを押していてもマグネットの如く目標地点にくっ付いてくれるようになっている。ギリギリのタイミングで見切って飛ぶというオリジナルの様な感覚は無い。製品版では残っているのか判らないが、時間制限のアクションでもないと易し過ぎるかも。簡単過ぎるならばManual Grabに切り替えても良いのだが、こちらは逆に押しっ放しにしないとならないのでKB操作では面倒な感も。
 逆にどこに行かれるのか、あそこまでジャンプ可能なのかという判定はちょっと難しい箇所も。マップが広くなってスケール感が増しているので距離が厳密に測り難い面が有るのと、グラフィックスが複雑化しており掴まれる出っ張りなのかの判別が付け辛いというケースも有る。やる事さえ分かればアクションは簡単だが、そのルートや方法を見付けるには頭を使わないとならないというパズル性重視のデザインと思われる

 戦闘に関してはかなり単純で、Legendよりも簡略化されているようだ。通常はAuto-Aimで、Manualに切り替えると動けずに肩越し視点で狙いを付けられるというシステム。取りあえず側転等で交わしながら適当に撃っていれば良いのだが、カメラが360度回転するのと移動方向入力がカメラ基準なので慣れないとやり難い。その他Pistolはボタン押しっ放しでの連射不可・しゃがむと撃てない等爽快感はあまり感じられない。時々スローモーションになる事が有るが、Legendと異なり発動条件や効果がハッキリしない。
 敵はオリジナルと同様の物が登場するけれどもAIは改善するという話だったのだが、このデモからするとちょっと問題が感じられる出来。高い場所に上ってもその下の台座部分に向って走り続けるといった感じで、目の前の壁や上下方向が認識出来ないようだ。このままだと決して当たらない場所に移動してハメ倒すという戦い方が増えそうな気がするが、この点はオリジナルを真似る必要は無いはず。
 ただしオリジナルでも戦闘の面白さを追求するゲーム性ではなく、どうやって(どこから)攻撃すればダメージを減らせるかといったパズル的な要素が強かったので、戦闘については普通程度の出来でも他が良ければ大きなマイナスにはならないであろう。

 Legendに関してはいろいろと批判が出ていたが、やはりこのシリーズは「タイトルの通りに遺跡探検がメインでないと」いう意見が多かった。その意味ではTR1は最初だけあってその色合いが特に濃い作品なので、雰囲気の再現に成功したならばこちらも”らしい”ゲームになりそうである。このデモにおいてもテクノロジーが進化して広いマップが可能になったのを、上手く使って新しい作品に作り変えているような感触を受ける。


 バグとしては縁の部分で落ちも掴まりもしないで引っ掛かった状態になるというのが数回見られた。

GRAPHICS

SOUND
 非常に重いという評価を受けた前作に比べて相当に軽くなっているというのが第一印象。それと今回は次世代機向けのグラフィックス機能がカットされているようで、これは当時大変に重くて問題ありという批判を受けていたので(ビデオカードのドライバ側の問題も有ったと思うが)今回は止めたのかも知れない。なのでLegendのデモは重くて無理だったという人でも今回は試す価値があると言える。
 その分テクノロジー的に目立つ部分はデモでは少ない。製作側も今回はオリジナルに比べての飛躍的なグレードアップをアピールしており、Legendと比較してといった話はしていない。ちなみにゲーム中にメモリに置かれているララのデータ(アニメーション等)量の方が、当時のゲーム全体が使用していたメモリ量よりも多いそうだ。


 サウンドについても特筆すべき点は無し。

感  想  簡単に感じられるのは幅広い層にクリア可能に調整して売り上げをアップという狙いなのだろうが、パズル要素が面白ければアクションの易しさはそれ程問題にはならないと思われる。高い難易度を求めるファン層には、高度なアクションを成功させないと到達出来ないシークレット系の収集やタイムアタック要素でのアピールをしていけば良いし、Manual Grabという要素も加わっている。原作の忠実な移植を願うファンや、そもそもLegendの操作性が受け付けられないといった人がそれ程多いとは思えないので、原点に帰った作風のこのゲームはむしろLegendよりも成功するかも知れない。

 Legendはちょっとやって放っておいたままなのだが、どちらかと言ったらこちらの方がプレイしたい気がする。価格的にも$29.99と安価での販売となるし、今すぐという訳ではないが将来的には購入しそうである。


購入確率 70% ('▽')

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