☆ TOMB RAIDER: UNDERWORLD ☆
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製作/販売 Crystal Dynamics / Eidos Interactive        公式サイト
デモ仕様 1.15GB  一つのマップを途中までプレイ可能   
概  要  Tomb Raiderシリーズの新作。Eidos配下のCrystal Dynamicsが制作を担当する事になってからは、2006年のLegend、2007年の初代のリメイクとなるAnniversaryに続く第三作目。

 プラットフォームはPC, PlayStation 3, Xbox 360, Wii, DSで、内容的にはWiiとDSは異なった物となる。北米では11/18, 欧州では11/21に発売。日本ではスパイクが発売を担当しており、ここにはPCのロゴは無い。日本のEidosが閉まってからはPCの日本語版はズーが担当しているので出るとすればここからだと思うが、今作についてはまだ公式のアナウンスはされていない。

 いつも通りにシングルプレイのみでマルチプレイは無し。このデモは8月頃にメディアに対して配布されてプレビュー記事に使われていた物と内容は同じと思われるが、ゲームのエンジンのバージョンもその頃の物なのかどうかまでは判らない。


 少し前に騒ぎになった件として、Xbox 360の独占コンテンツの存在がある。発売後にDLCとして、まずクリスマス予定で後日談を描く“Beneath the Ashes”を配信。2009年には違ったキャラクタでプレイ可能な“Lara's Shadow”のエピソードをリリースする。ボリュームとしては両方で6時間程度。これには当然PS3やPCのユーザーからの猛抗議も出ており、Eidosでは「この2つのエピソードは独自に追加コンテンツとして制作される物であって、製品版の中から抜き出した物ではない。発売されるUWは元々の予定していたコンテンツそのままであり、完成した製品の中から2つのエピソードを独占的にXbox 360に配信する訳では無い」として、PS3とPCのUWの中身を減らしたのではないという点を強調しているが、公式掲示板でもこの件のスレッドは大量の発言が続いている状況。


動作環境
HARDWARE 必要環境 推奨環境
CPU Pentium 4 3GHz / Athlon XP (2,5 GHz) Core 2 Duo 2.2GHz / Athlon 64 X2 4400+
MEMORY 1GB (Windows XP) / 2GB (Windows Vista) 2GB
VIDEO NVIDIA GeForce 6 series 6800GT
ATI 1800XT (or better)
GeForce 9800 GTX
ATI HD4800
SOUND Direct X 9.0c 互換 同左
対応OS  XP/Vista
DirectX 9.0c以上要


 ビデオカードはShader Model 3.0以上対応の物が必要。VRAMは128MB以上。ドライバも最新の物にしないと動作しない可能性がある。対応カードの一覧は以下の通り。

ATI: Radeon X1800, Radeon X1900, Radeon X1950, Radeon HD2600/2900 series, Radeon HD3650/3850 Series, Radeon HD 4670/4850 series

NVidia: GeForce 6800 Ultra, GeForce 7600 GT, GeForce 7900 GTX, GeForce 7950, GeForce 8600 GTS, GeForce 8800, GeForce 9600 GT, GeForce 9800 GTX, GeForce GTX 2xx

 逆に動くかも知れない。そして動いたとしても重い等の問題が発生する可能性のあるカード。

ATI:  Radeon X1300, Radeon X1500, HD 2300/2400, HD4550
NVidia:  GeForce 6200, GeForce 6600, GeForce 7300, GeForce 8300, GeForce 8400, GeForce 8500, GeForce 9400/9500


 サポートの掲示板を見ると、起動しないという書き込みがかなり多い。TRが広範囲に人気を持っているからか、普段はこの手の3D系ゲームをプレイしない人の割合が多い様で、根本的に最低環境よりもマシン性能が下なので動かないというケースがよく見られる。SM3.0以上要なので、ノート系のPCでは動く物は限られて来るので注意。
 “Failed to initialize Direct3D”といったエラーの場合には、ビデオチップがSM3.0に対応していないので動作は不可能という可能性が高い。確かに対応しているのならば、DirectX Runtimeとビデオカードのドライバを更新してテストする。

 自分のPCの性能が良く分からないという方は、既にSystem Requirements Labに登録されているので、ここでTR:UWを選んでテストすれば結果が見られる。

 それとゲームが非常に重いという場合の軽くする方法だが、第一に解像度を800*600等に落とす。次に影の描画をOFFにする。グラフィックスの細かい設定はスタートから辿ったsetupのプログラムの方で行える。


 私の環境では特にトラブルは無し。(XP SP2, E6850, Geforce 8800GTS 640MB, Fw 178.13, SB X-Fi)。ただしバグとしてキーのアサイン画面がおかしいというのがあった。第一に同じキーに複数の操作が割り振れてしまい、それに対する警告も出ない。よって自分でチェックして、重なっているならBackSpaceで全部消してやらないとならない。次にマウスのボタンがアサイン出来ない。初期状態でアサインはされているのだが、他のキーにそれを変更するのは不可能となっている。


GAMEPLAY  デモの内容はタイのマップの一部をプレイ可能。セーブとロードは不可にされており、チェックポイントでの自動セーブのみ。

 先にシステム系統の変更点を列挙してみる。まず難易度設定は項目別に行えるようになった。敵のHP、ララのHP、運べる弾薬の量、セービング・グラッブの許容時間の4つを独立して設定可能。これはプレイヤーによって好むバランスが異なるという観点からの変更で、例えば敵との戦闘には興味が無いというプレイヤーならば、敵のHPを下げてララのHPを上げてやれば戦闘が簡単になる。しかしアクションの難易度は高い方の良いのならば、セービング・グラッブ(失敗した際のリカバリー時間)の方は短くして難易度を上げるという風に出来る。

 次にPDAによる Field Assistance。ここでは大まかな「今何をすれば良いのか」という点と、もっと局所的な「この場面でどうすれば良いのか」という2種類のアドバイスを受けられる。この機能を設けた理由は、「詰まったプレイヤーはインターネットでの攻略に頼ったり、掲示板で質問したりと一旦ゲームを止めて解答を探しに行ってしまう。それならばゲーム内でそのヒントや解答を与えた方がプレイを切らないし、意味合い的にはどっちでも同じ事だから」だそうだ。ただし非常に詳細な解答が見られる訳ではない。またこうする事で難しいパズルでも画面上にヒントを出す必要も無くなり、ヒントを見たくない人はアクセスしなければ良いので、難しさを求めるプレイヤーにも影響が出ないとしている。

 ヘルス(HP)の管理が変化。絶対的にヘルスが足りないという状況でのデッドエンドを防ぐ為に、25%までは自動回復する。またマップに付き一つ隠されている最も入手の難易度が高いRelicを手に入れると、通常のヘルスバーの背後にもう一本バーが出現してヘルスの最大値が17%上昇する。全部で6個存在している物を全て見付ければヘルスの最大値は2倍に。そのカラーも緑から青色へと徐々に変化して行く。

 前作までのQTE(quick-time events) − 画面上に表示されるボタンを素早く押す事で、映画的なカメラ視点から特殊なアクションを見せる − はユーザーのフィードバックからなのか無くなっており、全てのコントロールをプレイヤーに任せるというスタイルに変わった。代わりに“アドレナリン・モーメント”が加わり、これは特定のシーンでスローモーションになる中をプレイヤー自身がアクションを決めるという物。デモにはそのシーンは含まれていないが、例えばデモの最後の足場の崩れ落ちるシーンで、スローモーションになって考える時間が通常よりも多く与えられた状態にて、落下死を防ぐ為に普段通りのジャンプアクションでその窮地を逃れないとならないといったイベントが発生する。

 ソナーを使って周囲の3Dイメージを制作可能。どうやら周囲の固体オブジェクトのみを抽出してその形状を測り、そこから移動やアクションの参考にしたりするらしいのだが、デモにおいては特に役立つというシーンは無かった。

 カメラについてはデモでは使用が出来ないようだ。これは撮影した物をパートナーに送信して謎の解明に役立てたり、或いはセルフタイマーを使ってララ自身のアクションを撮影し、格好良い物をWEBにアップロードしたりの機能をもつらしい。


 肝心のゲーム性の方だが、特にTRのファンでも無く、新シリーズではLegendを途中まででAnniversaryは未プレイという程度の立場から語ってみる。

 アクション自体についてはちょっと簡単になったかという印象。ジャンプは方向さえ間違っていなければ正確に着地するし、セービング・グラッブはまだ組み込まれていないのか一回も発生しなかった。Legendではちょくちょく出たので、もし組み込み済ならば明らかに発生基準が甘くなっていると考えられる。またAnniversaryで復活したAuto GrabのON/OFFも今回はメニューに無し。Eキー連打でアクションの速さを加速させたり、ガイドで示されるポイントにはフックを投げて引っ掛けてロープ代わりに使えたりするといった機能はそのまま変わっていない。
 このデモで難しいと感じたのはチムニー(煙突)ジャンプのタイミングがちょっと慣れるまでは繰り返さないとならない程度か。棒渡りの左右バランスはあまり揺れないので大して難しくなかった。チェックポイントの表示は無いが(それらしき音は鳴る)、落下で死亡しても戻る距離は短いようである。

 一方で難しいというか問題を感じさせたのがカメラワーク。このゲームのカメラは、ララがオブジェクトの淵に掴まっていたりした場合、回転させたカメラが障害物に当たった時点で止まるようになっている。これはLegendと変わらない。しかしLegendでは回転させたカメラの位置が次にジャンプすべき地点を捉えられない場合、自動的にズームアウトしたりしてその地点を画面上に表示するようになっていたが、このUWではそういう状況でもカメラが引かないでララに寄ったままの事が結構発生する。
 例えば一番最初のシーンで、岩場の出っ張りを掴んで登った後、岩の縁を掴んで横移動。そこから行く場所が何所なのか最初迷った。答えは真後ろへのジャンプなのだが、カメラを強引な感じに一杯まで回し切らないと、その飛ぶべき地点が明確に見えないので最初は気が付かなかったのである。こういう際にLegendではカメラがズームアウトしてくれたと思うのだがそれが起きない。またそのジャンプの後に、今度は画面奥側のララを手前の出っ張った地面に向けてジャンプさせる形になるのだが、今度はその着地地点がカメラを回しても良く見えない位置に来てしまうといった具合。

 更にカメラを回しても端まで来ると勝手に動いて戻ってしまう量が多いというのも気になった。他にも障害物が多い場所とかではオブジェクトにララが近付いた際のカメラの動きが変で、周囲の状況を把握し難いという印象。全体的にララに接近する事が多く、引きで見たい際にカメラが自動的に引いてくれない。
 よって「取り合えず最初はこれだろう」と飛び付いてから、動きながら周囲を見渡して次のルートを探るというやり方が難しくなり、下に降りた状態で仕掛けを見渡してスタートから達成地点までのルートを先に考え、最後までのルートを確認してから動くという風にしないと進む場所が分かり難いように感じられた。

 戦闘は自動照準なのと、両手が別々のターゲットを狙えるようになったので簡単になっているという印象。別に自分で狙わなくてもただ発射ボタンを押していれば自動で当たるので面白味も無い。デモではトラは破壊力を持っているが、これも適当に飛びながら撃っていれば自動的に当たってしまう。パズルがメインで戦闘には関心が無いという人向けの調整なのかと思われる。逆に戦闘を楽しみたい人はマニュアルエイムで戦ったり、アドレナリンのバーがフルならばそれを使ってヘッドショットを狙ったりも可能という風に楽しめるようになっている。

GRAPHICS

SOUND
 エンジンは新しく制作された物が使われている。ララのポリゴン数はLegendの10倍以上。彼女の体表面に重ね合わせて使われているノーマルマッピング等の各種テクスチャも12層以上。表情の変化も多彩で細かくなっている。アニメーションにはシリーズで初めてモーションキャプチャーを採用。オリンピックの体操選手の動きを基にして制作されている。またライティングの処理が複雑になっており、ララ自身に落ちる影の描画等が格段に細かくなっている。水面の表現も進化。テクスチャもこれまでより精度が高い物が使われている。


 感想の第一としてララの表現だが、その細かさはともかくとしてイメージ的にはちょっと違和感あり。顔が怖いというか、これまでとは違う人という感が強い。表情の変化や目の動き等はリアルではあるのだが、逆にシーンによって顔の変化が多彩過ぎて、反ってゲーム内のキャラクタとしては“固定された顔のイメージを持たない”という意味で妙な印象を受ける。アニメーションもモーションキャプチャーになった事で優れていると感じる点も有るのだが、逆に何だか動きが変という箇所も見られて格段に進化しているという様には見えない。

 体に付着した泥が落ちないという表現が加わっているが、反対に水に濡れた際の滴りの持続時間が短くなり、服の濡れたエフェクトも目立たなくなったように感じられる。

 パフォーマンスは優れて様に思えるが、特別にインパクトを感じさせるグラフィックスでもなく、この辺はファン層の使用PCの平均的な性能からしてあまり重くは出来ないという事なのかも知れない。コンソールとの比較は未検証。

感  想  一つハッキリさせておきたい点として、新作UWの最大の特徴であり売りとなっているのは、ほぼ全てのマップがこれまでには無かったような広大なエリアを使った巨大なパズルを含んでいるという点である。具体的に例えばこのタイのマップだと、デモが終わって2体の像の前に降りてからが、その本格的なジャイアントパズルの始まりとなる。
 地下への空間を開く為には、幾つものアイテムを集めると共に、マップ内に散らばるスイッチやレバー類を正しく操作してやらないとならない。しかしそのアイテム集め等の順番は固定されておらず、中央部分をハブとして多数の方向へとルートが分岐された構造を持っている。よってこれまでのシリーズの様に決められた一本道のルートを辿って行くゲームではなく、プレイヤーによってそのやり方は行く通りにも変化するというデザイン。そしてマップが広いのでバイクの様な移動用のアイテムが用意されており、時間制限のある遠く離れたスイッチの作動を行ったり、またはパズルを解く為の行ったり来たりの移動が楽になるように設定されている。

 しかしこのデモではその前の時点で終了してしまうので、新しくなったUWのコアとなるそのジャイアントパズルは体験出来ない。いつも通りの一本道のパズルアクションであり、大きく変わったという印象を受ける人は少ないだろう。よってプロモーション的な意味合いとしては、正直な所役に立っているとは言い難い内容である。これまでにLegendやAnniversaryのデモをプレイしたが、特に関心を惹かれずに製品版は購入しなかったという人だと、このデモをプレイしても感想は同じだと思われ、「今回は買ってみよう」という気にはやはりならないと想像される。

 確かにマップを一つ丸ごと入れてしまうのは、人気のオープンワールド系のゲームの様に、「遊べ過ぎてしまうデモはプロモーションとして逆効果になる恐れがある」という観点から、出し難いというのは理解出来る。けれどもPCのプレイヤー向けには購買前の動作可能確認をさせるという意味ではデモは重要であり、それでこういった普通のデモが出される事になったのだろう。ただそれならそのUWで変わった点をもっとアピールするべきではなかったか。デモ終了後にその変わった点を分かり易く記載した宣伝用の画面を出すとか、メニューからそういった紹介コンテンツにアクセス可能にするとかいろいろと工夫は出来ると思うのだが。

 必ず買ってくれるシリーズの固定ファンへの売り上げだけでも相当売れるという自信があるのか、それとも欧米ではそのジャイアントパズルという特長について既に十分な宣伝が伝わっているという判断なのか? いずれにしろこのデモに限れば進行は一本道であり、全体的にこれまでのシリーズとの大きな変化は感じ取れない。よって何かゲーム性が変わったのか?という点に興味を持たれる方にはこのデモはお薦めはしない。Legendのデモ等をやっているのならば特別にそれとは変わらないと考えて良いだろう。

 細かな新要素やバランスの調整にはあまり個人的には興味が無いので、ジャイアントパズルという新要素の面白さがどの程度かが購入の決め手になると思う。


 購入確率  50% (-_-)ゞ

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