☆ TWIN SECTOR ☆
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製作/販売 DnS Development / Headup Games        公式サイト
デモ仕様 803MB  最初の2つのレベルを収録
概  要  ドイツのインディーズ会社からの一人称アクションパズル。2007年にリリースされて高い評価を受けたPortalは“First Person Puzzler”などと呼ばれたりしたが、その流れを汲んだパズルを主体にしたゲームである。物理演算エンジンとして有名なHavokを採用し、物理演算によるオブジェクト操作を主体にしたパズルゲームとされている。

 地元ドイツでは既に発売済み。世界的にはSteamを介して12月1日に$29.99で発売予定。リテール版の方は出るのか不明だが、認証にSteamを使うのは確定しているようだ。このデモはSteamを使ってもダウンロード可能である。


 時代は核戦争により荒廃した未来。生き延びた僅かの人間達は、地表が再び棲めるようになるまでの間、地下で冷凍睡眠による眠りにつく道を選んだ。しかしその途中で女性主人公のAshley Simmsはその眠りを覚まされる。制御コンピューターである人工知能O.S.C.A.R.によると、内部装置に原因不明の異常が発生しており、このままでは生命維持装置が作動しなくなって全員が死んでしまう。彼は全員を起こそうとしたのだが、何故か起こす事が出来たのはAshleyのみ。彼女は全員の生命を救うために、10時間以内に故障した装置を元の状態に戻さないとならない。

動作環境
HARDWARE 必要環境 推奨環境
CPU Pentium IV 2.4 GHz -
MEMORY 1 GB -
VIDEO VRAM 256MB, Shader model 2.0
ATI 9600, NVidia 6600
Shader model 3.0
SOUND DirectX 9.0c 互換 -
対応OS  XP SP3 / Vista SP2
DirectX 9.0c以上要


 SM2.0まで対応しており、2009年のゲームとしては低いスペックのマシンでも動作する。

 トラブル関連の情報はサポートサイトが無いのでよく分からない。個人的にはプレイ中に同じ場所で2回連続して落ちるというトラブルに遭遇した。


GAMEPLAY
*難易度はNormal /Hardcoreの二種類(デモはNormalのみ)
*チェックポイント方式だが、クイックセーブも可能
*ジャンプ及びしゃがみ動作が行える
*スプリントは無く、歩きは可能
*ダメージは自動回復方式
*マウス感度は5段階切り替え


 プレイヤーは左右の手に異なる能力を持つグローブを装着しており、これを使ってオブジェクトを操作したりするのが基本動作となる。一時に使えるのは片方のみで(製品版では同時に使える様な記載もある)、両方共に押して溜める事でパワーを上昇させられる。そのエネルギーは自動回復式で、照準に現在の状態がメーターで表示されるシステム。

 左クリックで操作する左手の赤いグローブは吸着の役割を持ち、置いてあるオブジェクトを吸い付けて空中に持ち上げたり、遠くの物を自分の手元に引き寄せられる。ただし重い物ほどエネルギーを溜めてやらないとならない。もし対象物が壁や天井等の動かない物だった場合には、吸着のパワーで自分の体の方をそこに引き付けて飛ばす事が出来る。このパワーで高所や遠い所までのEnergy Jumpが可能。

 反対に右クリックで操作する右手の青いグローブは反発の役割を持ち、オブジェクトを弾き飛ばしたり、持っている物を遠くに放り投げたり出来る。この反発力は溜めているエネルギーにより変化する。地面や壁に向けて使う事で自分の体の方を飛ばす事も可能で、ロケットジャンプの様にして高所へと飛び上がったりが行える。また高所から飛び降りる際に、床に付く前に反発力を放つ事でダメージを軽減するという使い方も可能。


 物理演算を特徴にしたパズルゲームと聞いていたのだが、正確には吸着と反発の二つのパワーを持ったグローブを使ってパズルを解いていくというゲームであり、その中には物理演算の影響を受けるオブジェクト類の操作も含まれるという程度の様に(デモをプレイした限りでは)見える。その基本動作としては、「通常の手段では行かれない場所へとジャンプを使っての移動」、「同じく高所からの反発を利用した飛び降り移動」、「遠くのスイッチにオブジェクトを上手く投げてぶつけてONにする」、「パワーを溜めてオブジェクトを投げつけて物を壊す」、「持っているオブジェクトを積み上げたりして利用する」等々。
 敵としてはセキュリティによる自動撃退式のボール状の物が襲って来る箇所があり、これに連続してぶつかられるとダメージが加算されて死んでしまう。逃げるか反発を使って弾き飛ばすかになるが、物をぶつけたりして破壊可能なのかまでは未検証。製品版では他にPortalの様にタレット等が登場するようになっている。

 パズルの難易度としては適切なバランスという印象で、特に難しくもないがすぐに解るという程には簡単でもないというレベル。半分位はチュートリアルなので本格的なパズルは少ないが、独特の操作方法が新鮮だしそこそこ楽しめる内容である。

 ただしこのデモは「こういう事が出来る」という紹介の意味合いが強く、逆に言えばそれに気が付かないと「こうやってクリアする」というのが解り辛い箇所もあった。つまりプレイヤーが行える事を全て理解した上で解法を考えている状態ではなくて、プレイヤーにはそういう事が行えるという動作自体が分かっていないので解けない、という状況に陥る可能性があるという意味。ヒントを表示する機能を持ってはいるのだが、字幕の方に目を通していて見逃してしまうと、再度それを表示させる機能が無いのはちょっと問題ではないかと思える。


 問題点としては、まず微妙なオブジェクトの操作がやり難い。物理演算が適用されるオブジェクト操作を特徴とするのであれば、致命的な欠陥にも成り得る点である。掴んだオブジェクトはホイールで回転させる事が可能で、中央ボタンクリックでは横方向に90度捻る操作を行える。これを使ってドラム缶を積む作業を行う箇所があるのだが、この操作が実にやり難い。オブジェクトを離す操作は再度左マウスをクリックすれば良いが、このクリックの加減がかなりシビアでちょっとでも長く押すと吸着動作を行ってしまい真下に落ちてくれない(いろいろと試したが左右同時に押すと上手く離れるようだ)。また上手く離せたとしても安定性が悪く、見た目の重量感に比べて遙かに大きく揺れるので、正確に積み上げるのに何回もやり直さないとならなかった。

 次に移動速度が遅いので、パズルの解法とは全く関係が無い移動の際に無駄を感じさせる。それと関連してこれは好みによると思うのだが、アクションパズルのシーンにて限られた時間の中で連続してある種のアクションを実行しないとならない際に、移動が遅いのはイライラさせられる要素である。(どうやるのか解ければ実質それで終わりというのがパズルだとするなら、アクションパズルとはその判明した手段を実際にアクションとして成功させないとならないというタイプの物である)。

 更に多数のオブジェクトに物理演算を適用するという事は、予想外の出来事が発生する危険性を孕んでいるという意味でもあり、例えば何か別の操作の時に飛んで行ったオブジェクトが偶然せっかく積み上げてあった物を崩してしまうという事も起こり得る。他にはチェックポイントの間隔が結構長いという印象で、クイックセーブを行っておかないとかなり前からやり直しになる可能性があるので注意。またロード時間はやや長目である。

GRAPHICS

SOUND
 グラフィックスには特にこれと言った目立つ点は無し。パズルとして売るなら普段はFPSをしないような低いマシンスペックの人にも配慮すべきであり、Portal同様にこの点はしょうがないだろう。

 サウンドは音量設定すら無いというシンプルさで、ゲーム中のサウンドもほとんど無いという感じで寂しい印象。ゲームの設定としてシーンとしている施設内という意味なのかも知れないが、それにしても音数が少な過ぎるのではないだろうか。連続してオブジェクトを投げたりすると後の物の衝突音が出なかったりと動作上の問題も見受けられた。

感  想  デモの印象としてはPortalに続く一人称パズルゲームとして興味を惹かれる内容であった。後半に向けてより複雑で面白いパズルが増えるのならば買いであろう。....と考えて発売済みのドイツでの評判を調べてみたのだが、実はこれが良くない。点数では現状平均60点程度で、また強く推しているレビューが無いという形でのこの点数である。幾つか翻訳して読んでみた結果としては、以下の様な欠点が挙げられている。

*パズルが似たり寄ったりで、後半になるほど新鮮さが薄れてくる(面白いのは最初だけ)
*Portalとは異なりパズルの解法における自由度が低い
*精密にオブジェクトを操作するのが難しい
*アクションパズルが多く、その時間制限が厳しくて難易度が高い(クイックセーブ連発で解くようなゲーム性)
*フルチャージが必要な操作が連続する様になると、リチャージを待つ必要が生じるので一度の失敗がやり直しに繋がる


 数ヶ月遅れとなる英語版にて修正が入るのかは不明だが、時間制限を緩くするのは可能だとしても、パズル自体を差し替えるというのは困難だろう。一応デモの印象は良いのと、価格的には安目の設定ではあるので、その辺の修正の有無を考慮して検討したい。


 購入確率 50%
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