☆ VIVISECTOR: BEAST WITHIN ☆
                                                                            06/01/02


製作/販売 Action Forms / 1C Company        公式サイト
デモ仕様 189MB  シングルプレイ用マップを2個収録
概要  まず第一に、デモにはα版と正式版の2種類が存在するので注意(何故かは分からないが、おそらくα版は間違えて出てしまった物と思える)。public_demo_de.exeというのが正式版。2nd demoという名でもネットに流通している。
 それとゲームのインストーラーはロシア語、ゲーム中の言語はドイツ語、唯一台詞だけが英語音声というデモとなっているので注意。FPSゲームをプレイし慣れている人には、ドイツ語のメニューでも凡その想像は付くと思うが、一応書いておくとHoch(High), Niedrig(Medium), Mittle(Low), Ein(On), Aus(Off)という感じになる。

 製作はウクライナのAction Formsで、過去にChasm(1997)を製作した経歴あり。その後は恐竜のハンティング・ゲームを何本か作っている。ロシア語圏では既に発売済で、北米を含めて全世界的にリリースされる予定だが、発売予定等は契約上現段階では明かせないとされている。1C Companyはロシアの会社なので、他の会社からというのも有り得る。

 シングルプレイ専用でマルチプレイには製品も対応していない。詳しいゲームのストーリーや背景関連についてはUpcoming Gamesの方を参照してもらいたい。
動作環境  公式サイトに記載も無いし、Readmeも付属していないので不明。ハイエンドPCを要求するような重いゲームでは無いと思うが、オンボードのビデオチップのユーザーだとダウンロードしても無駄足になる可能性もある。Geforce 4MX辺りで動くのかどうかも微妙。

 私の環境だと物が爆発するシーンで2回ほど落ちた。後はガスの噴出を止めるマップが有るのだが、その際にガスによるダメージは止まるが描画はガスが噴出したままになり(前がほとんど見えない)、マップの最初からやり直さないと治らないというバグに遭遇した。

GAMEPLAY  まずはゲームのシステムについて。武器にはリロードの概念が無く、またAlt Attackも無いというSerious Sam風の形式。移動速度も相当に速い部類でスタミナの概念も無い。Ammoもあまり残りを気にせず撃てる位に用意されている。ただArmorが無いというのは珍しい。
 しかし一方で照準のバラつきの概念があり、バースト射撃や座って撃つと照準の開きが安定するという方式が採り入れられている。全ての武器でズームも可能だが、これがIron Sightの様な役割を果たしているのかは分からなかった。

 特徴としてはRPG要素とポイントシステムを組み合わせている点で、ゲームでは敵を倒したり特定のロケーションを訪れたりする事で得点が入るようになっており(敵を連続で倒したりするとボーナスというのもある)、この点数を使って4項目存在するプレイヤーの能力パラメーターを伸ばす事が可能になっている。やり方としてはチェックポイントとして存在しているマーカーの付近においてTABでメニューを呼び出し、UPしたい項目を選んで下の方の適用をクリックすれば良い。なおそれぞれの能力は必要とするポイントが異なっている。
 武器の能力もUP出来るそうなのだが、こちらは%のバーが表示されるもののやり方が分からなかった。0%から伸びている武器も有るのだが、使えば使うほどUPするというのでも無いようだし、如何せんドイツ語なのでよく分からない。

 ゲーム性としては一本道のスタンダードなFPSという印象。そしてこのゲームの問題点は何をやろうとしているのかがよく分からないという点に尽きる。

 取りあえずデザインとしては、ややリアル系要素を加えたFPSが狙いの様だが、それを考えるならば第一に敵のAIを何とかするべきだろう。別に突っ立っている訳ではないのだが動きはかなり単調であるし、こちらを認識出来ないというケースも見受けられる。そして弱い上に数はあまり出てこないので少なくともNormalでは簡単。また敵関連で特に感じたのは、獣人?という特性を採り入れた要素が何も活かされていないという点。彼等は単に人間の兵士に比べてタフなだけであって、極端に言えばSkinが変っただけの敵としか見受けられない。
 もしこの程度のAIしか作れないのであれば、方針的にはSerious Sam路線を狙うべきだろう。敵の数を数倍に増やしてやり、照準の開きといった要素は全て排除。敵からは即着弾系の武器を減らして、弾を見て避けられる様な攻撃方法を採用。獣人系には高速移動が可能で、肉弾戦を挑んで来る物を増やすといった具合。これならばAIが単純でもそれ程の弱点にはならないはず。

 とにかく今のデザインでは普通過ぎてインパクトが足りない。おそらくだがこれだけ長い間開発を続けて来てAIがこれなら、能力的にこれ以上は無理。ならば今からでも可能な範囲としては、敵を数倍に増やしてアクション性を高める方向で行くしか無さそうだ。

 物理エンジンを搭載しているが出来はあまりよろしくない。Ragdollにも対応していないようだし。物を掴んでから強さ調整をして投げられるのだが、このデモではその意味合いが分からなかった。
 ヘルスや弾薬は箱に入っている事が多いのだが、この箱を壊さないと中の物が取れないのは不便。確かにそういうゲームは他にも有るが、問題は箱が一部しか壊れないので取った後なのかまだ入っているのかが分かりにくい点。

 武器のサウンドも重量感が無く今一つ。親切なのは次に行くべき場所を示すマップが表示されるという点か。現在地点からの上下方向も同時出るので迷いにくい。

GRAPHIC  あまり目に付く箇所は無い。グラフィックに比較して軽いのが利点と言える程度。唯一新しい技術としては熱気によって空気が揺らめく効果が見て取れる箇所。2003年辺りのゲームといっても疑われないだろうし、その2003年のゲームの中でも平均的な部類になるだろう。

 このゲームの大きな売りとして、敵の体が着弾箇所に応じて皮膚が剥ぎ取られるという残虐要素が有ったのだが、これもこのデモで見る限りは大したインパクトが無い。全く血が出ないし、四肢や頭が吹き飛んだりもしないからだ。皮膚の下の内蔵もまるで生々しさを感じない単なる画という感じだし、死体自体も或る程度時間が経つと消えてしまう。もう一つのファー(毛皮)効果の方は一応珍しさは感じられるのだが。

 ただしこの点については、これまでに出ているSSでは四肢がもげたりとか血の表現も見て取れるので、多分このデモが世界でも有数の残虐表現規制の厳しい国となるドイツ版であるからというのが理由と思われる。製品版や英語版のデモではその辺の表現はOptionで設定可能ではないかと想像している。
感  想  何故こんな時期にデモがリリースされたのか謎だが、大手の販売会社への契約に向けたアピールの意味だったとしたら(非常に目立つから)、これは逆効果となりそうである。3年前ならいざ知らず、今現在このレベルのゲームに喰い付く所は無さそう。私自身もこれまで一応注目はしていた作品なのだが、ちょっと失望させられる出来なのは否めない。この内容なら当初の計画通りにもっと早く出すべきだったと感じる。

 今後に生きる道を探すならば、上で述べたBlood&Goreについてだろう。もしここが実際には相当に派手で残虐性が高ければ、そこが大きな売りとなる可能性は残っている。後はデモには出て来ないのだが、純粋な動物の敵についてはハンティング・ゲームを製作していた経歴が有る分、動きの面で面白さが期待出来るかも知れない。

 ゲームプレイとグラフィックがこの水準で、マルチプレイも無いしEditor系も特に予定は無いとなると、現在のFPS界で生き残るのは相当に困難である。$19.99クラスの廉価版ゲームとしてなら悪くは無さそうだが、これを$39.99以上の価格で出すとするならば....


 購入確率  15% (ノ_<。)

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