☆ WOODEN FLOOR ☆


14/05/27 更新 目次          HOME
製作/販売 pheenix93        公式サイト       Indie DB
デモ仕様 Wooden_Floor_FinalDemo      389MB     解凍後にインストール形式
概  要  ドイツ人のpheenix93氏による個人プロジェクト。彼は以前にShady Casketというゲームを発売している。

 このゲームは既にitch.ioにて4.50ユーロで販売されている。14/05/30にはDesuraで発売予定。SteamでもGreenlightに登録済みで発売を目指している状況。


 個人レベルや少人数でのゲーム制作において、3Dで制作されたホラーゲームの人気は高い。その理由は一般的なアクションFPSに比較すれば武器やキャラクターのモデリング制作の負荷が低い, ロケーションが少なくても成立する, ゲームのボリュームが短め目でもそれ程不利にならない, AIのプログラミングが楽等。更に制作ツールとしてUnityやUDKが用意されており、高価なツールを揃えないでも作れるといった面もある。

 しかしそういった状況から、どうしても類似品が多くなってしまうという問題が最近では発生している。これはフリーゲームを含めてになるが、廃病院や森の中等の1ロケーションのみ, ほとんどが暗い設定, 敵となる何かに追われて逃げる, 敵が突然出現するショッキングイベント多用、といった点がどうしても似てきてしまう。よってSteamのGreenlight登録ゲームのコメント欄にも、「またこのパターンか」, 「でこれは何が他とは違うの?」といった発言が散見される。

 このWFはそういったマンネリ化に対抗する為に、ユニークな設定を用いてホラー演出をしようという狙いを持ったゲームだと宣言されている。概要としてはある程度のランダム性を持って構造が変化する木造の洋館が舞台で、異世界系のデザインを採用したホラーである。


 <注意> デモをプレイする前には下のトレーラーを見ない事をお勧めする(知らずにプレイする方が面白い)。

動作環境
HARDWARE 必要環境 推奨環境
CPU - -
MEMORY 2GB -
VIDEO Geforce 8000クラス以上 -
SOUND - -

 OS等の対応情報も無く、個人プロジェクトなので検証が行われていないと思われる。制作にはUDKを使用。

 インストール後にショートカットが作成されるが、そこでの指定が ":\Wooden Floor Final Demo\Binaries\Win32\Win32\UDK.exe" となっており、Win32がダブっているので片方を削除する。

BASICS  ホラーゲームはその舞台設定から大別するとリアル系と異世界系に分けられる。リアル系とは廃病院, 旧和風建築, 深い 森の中などを本当に彷徨っているかの様に体感させる事で怖さを演出する物。対して異世界系とはSilent Hillシリーズが代表的な作品になるのだろうが、シュールで現実離れしたデザインの世界を構築して不気味さや奇抜さを売りにする物である。後者の方が自由度が高いのでユニークさを出し易いが、その分怖さを生み出せるのかは難しいとも言える。

 WFは他者との差別化としてこの異世界系を舞台にしたホラーとしてデザインされている。ただし多彩でバラエティに富んだロケーションを用意したり、それを高度なグラフィックスで描き込むというのは無理なので、洋館の内部が異常な構造だったり奇妙な事が起きるという演出を主にして怖さを出そうとしている。簡単な例としては以下の通り。

・内部の状況が一瞬暗くなった後に変わってしまう
・一度扉を閉めてから、再度開けると中が変化する
・上下が逆転したりと奇抜なデザインの部屋が出現する
・動くオブジェクトが存在する


 ゲームのインターフェースは非常に原始的で、おそらく製品版でも同じではないかと思われる。操作キーの変更, マウス感度設定, 明るさ調整は全て行えない。

 ジャンプは可能だが屈みやスプリントは無し。EキーがUseでオブジェクト等を掴めて、LMBで投げたりも可能。ただし干渉出来るオブジェクトが有ってもカーソル形状が変わらない仕様。灯りとなるローソクは途中で手に入る。

 Escを押すとゲームが終了してしまうので注意。

GAMEPLAY  難易度設定は無し。途中でのセーブ機能は無く、トップからチャプター選択して再開する様だ(デモはチャプター選択不可)。ただしプレイ中に失敗すると死亡?するシーンでは繰り返しチャレンジが可能にされている。

 インベントリーはキーのみで、鍵が掛かっている扉等をキーで開けて進めるという構成。デモではこのカギを探すのが主な目的となるが、暗い上にカギが目立たない描写なので少々解り難いという感を受けた。


 肝心のホラーの演出は秀逸なレベル。実は一見した際には地味な感じで興味を惹かれなかったのだが、デモをプレイしたユーザーコメントに好評な物が多かったので試しにプレイしてみたゲームである。プレイ前の「部屋の内部構造が変化したりする」という情報だけだと、それで怖くなるだろうか?という疑問があったのだが、異世界という設定を上手く活かしてプレイヤーを怖がらせる試みに成功している。内容を話すとネタバレで詰まらなくなってしまうのでそれは避けるが、出来るだけ情報を持たないでプレイした方が楽しめるだろう。

 なおプラットフォーム渡りのアクションが要求されるシーンも出て来る。この要素が製品版ではどの程度含まれるのかは不明。


 気になった点としてはメニューにはチャプターが3個だけとなり製品版のボリュームがどの程度なのか。部屋の連結構造等にランダム生成の要素は無いようなので、そうだとすればリプレイ性は低いという話にもなる。

GRAPHICS
&
SOUND
 解像度は1920*1080と1280*720から選択。UDKの描画エンジンを自己改造しているとかは無さそうだが、グラフィックスは不気味な雰囲気が出ており悪くない。ただしマップ内のオブジェクトの種類や数は少なく簡素に見えてしまう。

 サウンドは音数や発声する箇所は少ないが、随所で効果的に使われており怖さを出すのに貢献している。だが私の環境では3Dサウンドにはならなかった。

感  想  デモ自体はあまり長くないがこれで十分と言える。どんなゲームなのかという内容を伝えて、且つ製品版に興味を持たせるという狙いに成功しており、デモのデザインとしては良く出来ていると評価したい。ホラー物が好きな人にはお勧め。

 製品版の方はデモの様な演出がよりバラエティに富んでいるのかと、どの程度のボリュームがあるのかが重要になってくるが、フリーゲームにも相当優れた物が存在しているだけに、有料という点が不利に働くのは間違いない。安いとは言え有料であるというだけでハードルは非常に高くなってしまう。それを考えるとGreenlitになればSteamを通じてデモを配信可能になり、このデモをプレイする人を数十倍といった単位で増やせると思うので、その達成が成功の鍵を握っていると言えよう。


 評価 70点

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