☆ ZENO CLASH ☆
                                                                                09/06/02

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製作/販売 ACE Team software     公式サイト    Steam(Demo)
デモ仕様 1.6GB   序盤の数マップとチャレンジモードをプレイ可能
概  要  南米チリに存在するインディーズ会社という珍しい国からのゲーム。開発には3人の兄弟が中心となっており、“ACE”の名前もその3人の頭文字を取って付けられている。Doomの時代にModを制作したのが始まりで、Quake 3 Arenaのシングルプレイ用Modである“The Dark Conjunction”で認められて会社を設立。その後Xbox 360やPC用にカジュアル系の小さなアプリを制作していたが、初の自社プロジェクトとしてこのZeno Clashの開発を開始。プロトタイプをValveに送ってみたところそのユニークさと可能性を認められて、エンジンの技術面での協力を受けて完成したのがこの作品である。


 製品版が2009/04に発売済みで、現在はSteamやDirect 2 Driveにてダウンロード販売が行われている。価格は$19.99。リテール版としては旧ソビエト連邦地域にはNoviy Diskからの配給が決定しているが、その他の地域についてはまだ交渉中の段階で発売されるのかは定かではない。

 シングルプレイ専用。製品版のボリュームは4-5時間程度という話。小さな会社からの作品という事であまり規模の大きな作品ではない。これまでの評判は上々で、数多くのゲームサイトで高得点を受けている。


 舞台は仮想世界Zenozoikという一種のファンタジー設定。主人公Ghatは両性動物“Father-Mother”の産み落とした子供の一人だったが、その親を殺してパートナーのDeadraと共に故郷から逃げ出す。彼が“Father-Mother”を殺した理由を含めて多くの情報はゲーム開始当初は明らかにされておらず、途中に挿入される過去シーンのカットバックによって徐々に判明していくという構造になっている。


動作環境
HARDWARE 必要環境 推奨環境
CPU Pentium4 3.0 GHz Intel core 2 duo 2.4GHz
MEMORY 1 GB 同左
VIDEO 128 MB, Shader model 2.0
ATI 9600, NVidia 6600以上
Shader model 3.0
NVidia 7600, ATI X1600以上
SOUND DirectX 9.0c互換 同左
対応OS   XP / Vista / Vista64
DirectX 9.0c以上要


 ゲームパッドに対応。Valveのソースエンジンで制作されているので、トラブルの場合には同エンジン使用ゲームの対策が使えると思う。


GAMEPLAY  デモの内容は序盤のマップが数個と、製品版のゲームクリア後にアンロックされるチャレンジモードが含まれている。チャレンジモードとは五重の塔を下から順にクリアして行く純粋な対決モードで、最上階をクリアするまでの時間とスコアを競い合う(ネット上等で)。キャンペーンに比較して相当難易度は高く設定されており、デモでは一番下の難易度をプレイ可能。

 セーブはチェックポイント方式で任意のセーブは出来ない。またアンロックされたチャプター単位でのリプレイが可能。難易度はNormal, Hard, Extremeの3種。デフォルトの難易度はHardとなっている。


 ゲームは一人称視点での打撃戦が中心で、武器も何種類か用意されている。この手のゲームとしては知名度が高いCondemnedと比較した場合、打撃武器ではなく素手による戦闘がメインという点が一番の違いとなる。戦闘のシステムは随時チュートリアルで解説されるが、以下に概要をまとめてみる。

*LMBでスタンダードなパンチ。押しっぱなしで三連パンチ。RMBで大振りのパワーパンチ。
*スペースでブロック。他にスプリントも可能。
*スタミナの概念が存在しており、攻撃もブロックも無限には連続して行えない
*狙った敵をロックオン可能。オートロックするかはオプションで選択出来る。
*倒れた敵や背の低い相手には、パンチの代わりにキックが繰り出せる
*回復はフルーツを食べて行う

*相手をStun(気絶)状態にしたら、掴んで膝蹴りか、投げて他の敵にぶつけたりが可能になる
*スプリント+LMBでダッシュ肘打ち。成功すれば敵のブロックを解除出来る。
*バック+RMBで溜めパワーパンチ。成功すれば敵を吹き飛ばして地面に倒せる。
*ブロック+左右移動でドッヂ動作。成功すれば短時間スローになり、敵に隙が出来る。
*敵の攻撃に正確にブロックを合わせるとその腕を弾き飛ばせて、よろめいた所に強力なカウンターが可能となる。


※武器は同時に一つだけ所持可能。素手の攻撃時に一時仕舞ったりも出来ない。
※銃器は繰り返し使用可能。弾数が少なくて使い切ったら終わりという仕様では無い(無限かは不明)。
※構えてアイアンサイトにしてから撃つ必要がある
※リロード速度は遅く、またリロード動作時はスプリントが出来ない
※武器は投げる事が出来るので、物によっては敵に当てて倒したりも可能である

 武器関連で面白いのは、打撃武器にしろ銃器にしろ、攻撃を受けるとそれを落としてしまうという点だろう。その為に銃器を持ったプレイヤー側が延々と攻撃可能という風にはなっていない。更に落とした武器は敵が拾って使えるので、敵に拾われて遠くから攻撃されると今度はこちらが不利になる。その為に敵の拾えないような場所に投げてから普通に素手で戦いを挑み、次にはその武器を拾いに行って攻撃し、また投げてから接近戦に移るといった作戦も有効になる。


 肝心のプレイの方だが、視点の動き等で実際に自分が拳を振っている感覚が良く出ており、また敵が吹き飛んで倒れたりと手応えも感じられて基本部分の出来は合格点。一方で銃器系は迫力や当たっている感覚があまり無いが、サブの要素なのであまり気にはならないと言える。

 敵は一方的に襲い掛かって来るだけではなく、ちゃんとブロックやダッキングでこちらの攻撃をかわしてくるので、ボタン連打で簡単に倒せるような浅いゲームにもなっていない。単独ではなく集団との戦闘シーンが多く、当面のロックオンした相手以外に横や後ろから攻撃されたりもするので常に動いて死角を作らないようにポジションを確保する必要があるし、或いは敵の一人が最初から武器を持っているケースではどうやって対応するかが考え所となる。

 戦闘自体は常に高度な反射神経が要求されるタイプではなく、現在の状況や敵の動きを読んで的確な対応をするのが重視されているゲームである。敵が多いのならば転ばせて数を絞る攻撃が有効になるし、ブロックされて当て難いのならば先に攻撃させてカウンター狙いに切り替える等。障害物を使っての集団相手の捌き方を考えたり、敵が多いならば回復のフルーツを取る間合いを作るのも上手くやらないとならない。

 デモは序盤なのでそれ程難しくはないが、それでも真正面から向き合ってただクリックする打ち合いに持ち込んでは厳しい箇所も用意されている。実際に製品版のゲームの方の感想としては、デフォルトのHardでは結構難しいという声が多いようだ。基本攻撃だけではなく、敵の動きを読んでカウンターとなる高度な技も練習して決められるようにしないとならないとされている。


 マップのデザインの方は、単に閉鎖されたエリア内での戦闘がずっと続くだけなので、バリエーションという面では特に面白さは感じられなかった。

 気になった点としては、敵はモデルによって攻撃パターンや性格が異なるという設定らしいのだが、強いボス格や動物系を除くと顕著な違いまでは感じられなかった。モデルが違うだけで、大幅に戦闘方法を変えないとならないという印象は無し。

 次にHPのメーターの見方で半透明化する部分の扱いがどうなっているのかが良く分からない。倒れたりすると一部に半透明の部分が出来るのだが、時間経過で戻る前に更に攻撃すればダメージを確定出来るという意味なのか? 半透明化している事自体が画面上で色合い的に見難いのと、ロックオンする敵が変わるとバーが消えてしまったりするので正確には判らなかった。

 それと倒れた相手への連続キックが有効過ぎるという感あり。無限に蹴れる訳ではないのだが2発位は普通入れられる。もうちょっと敵が倒れにくいようにするか、倒れた後の反応が早い方が良いように思える。


GRAPHICS

SOUND
 独特な世界観で描かれたグラフィックスは見物だが、特にエンジンを改造したりと高度な修正は行っていないようだ、打撃戦がメインなだけにエフェクト系も寂しいし、銃器系のエフェクト類も地味に感じられる。

 ただしキャラクタのアニメーションは良く出来ているし、物理エンジンと連動していてラグドールで倒れた後でもちゃんと起き上がって来られる。


 サウンドは標準的な出来だが、声優の台詞がボソボソと小さくて聞き取りにくかったり、抑揚がなくて棒読みな人もいるというのが気になった。

感  想  既に高い評価を受けているだけあって、かなり面白そうなゲームだという印象を受けた。素手の殴り合いのシステムとしては、それなりに複雑だがややこしい程ではないレベルに上手くまとめられており、これまでには見られなかったタイプのゲームとして新鮮である。闇雲に殴りに行ったりせず、考えながら戦わないとならないというバランスも的確だと思える。

 ゲームの性質上閉鎖的なエリアでの戦いが続くという点は仕方がないだろう。一方で敵の動きのバリエーションはもっと判り易く差別化した方が良いと感じられる。

 製品版はボリュームが無いようだが、価格を考えると大きな問題では無いだろう。低予算のインディーズ系会社でも、アイディアとユニークさで勝負すれば充分にやれるというのを示したかなり好感触のデモであった。


 購入確率  80% (^o^)
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