☆ 3:00AM DEAD TIME ☆

16/09/10 更新 目次          HOME
製作/販売 Irreverent Software        公式サイト      STEAM      INDIE DB
配布状況  2016/08/06にリリースされた Version 0.0.1 (179MB) が最新バージョン。

 更新頻度: 3 or 4回目のリリース

 Steam Greenlightにエントリーして、既にGreenlitに到達している。

 Indiegogoにて現在資金募集中。ある程度出来上がった所で、既にGreenlitに達しているSteamの他にGameJoltにて早期アクセス(販売)が開始される予定だが、現在のクラウドファンディングにて$15以上を寄付したバッカーにもその権利が与えられる。早期アクセス開始時には値上がりするのかは不明。

概  要  Irreverent Softwareはメキシコのインディーズ会社で現在4人で開発を行っている。このゲームの開発は2012年からと相当に古く、途中には資金難による長期間の停滞も挟まっている。Unityで開発を始めたが途中からUDKにシフト。しかしその後UE4へとエンジンが切り替わる事からUDKのサポートは停止され、その為にUE4への移行を検討せざるを得なくなるが、UDKからUE4への移行は困難と判断。再びUnityへと逆戻りしている。

 2012年には既に最初のデモがリリースされており、過去には計3種類のバージョンが公開されている(オープンでフリー公開された物が何種類なのかは判らず)。今回紹介するのは完全に新しいバージョンでの第一弾となる新規デモである。


 プラットフォームはWindows / Linux。その他の機種は資金の集まりや発売後の売れ行き次第で検討するというパターン。

 製品版は計6個のエピソードを予定(それぞれが複数のマップから成る)。ただしこれは資金集めが上手く行った場合の話で、逆に資金難であれば縮小される可能性も持っている。どれだけ資金が集まらなくてもゲームは発売するそうだが、その場合には現在制作中の2個のエピソードだけで終わってしまう事も考えられる。逆に売れ行き好調とかなら追加エピソードをDLCで提供する予定。


 超常現象探検TVショーの取材チームというのがストーリーの基本設定。世界中の様々な不思議現象を探索するTV番組の取材クルーの一員となり、エピソード毎に異なる場所へと訪れてその真相を探るというのが目的。

 このデモはプロローグ的な位置付けで、取材班の一人であるDana Williamsを操作する。他のメンバーとはぐれてしまった彼女が、地下のシェルターを探索して脱出しチームに合流するのが目的。


動作環境
  必要環境 推奨環境
OS Windows 7/8/10 (64-bit) -
CPU Intel Core i5 2.2Ghz, AMD A4 3300M -
MEMORY 4GB 8GB
VIDEO 512MB in VRAM with DX9 1GB with DX11
SOUND DirectX 互換 同左

DirectX 9.0c以上要

 インディーズのゲームとしては多彩な設定項目が用意されている点は評価出来るが、現時点でのその機能は滅茶苦茶とも言える酷いレベルである。まず各種設定を行った後にゲームのプレイ中画面から設定画面を呼び出せるのだが、ここで表示される設定がその前に設定した物と全然違う。終了させてから設定画面を見ると設定した通りなので、おそらくプレイ中に表示させると正常に現在の設定が反映されないというバグと考えられるが、それ故にプレイ中に設定変更が実質行えない。

 メニュー画面から戻る為に“Back”をクリックする様になっているのだが、ここでうっかりESCを押下すると設定画面が残ったままでメニューが戻ってしまい二重表示となる。そうなると元に戻すのにいろいろと試行錯誤する羽目にもなる。

 プレイ中に呼び出した設定画面にはグレーアウト項目があり、これは変更不可なのか現時点では未対応なのか不明。問題はグレーアウトしていないが変更出来ない項目が有るところで、これはどちらかに統一する必要がある。

 グラフィックスを含めて各種設定は起動し直すとリセットされてしまう。

BASICS  ホラーゲームとしてはかなりユニークな設定を持った作品である。第一に世界各地の怪異現象を取材に行くという風に、自分から危険へと向かって行くというスタイルで、一般的な巻き込まれ型とは異なっている。

 第二にチーム行動であるという点。操作するのは取材チームの一員となり、AIのメンバーと共に行動するという設定となる。ホラーゲームでチーム行動となると大抵はアクション系であり、Left 4 Deadバイオハザードなど一緒に戦うというスタイルがほとんど。探索系や逃げるだけのホラーだと、多人数では怖さが減少してしまうという理由から採用例は少ない。その点でこのゲームでは撮影担当, 音声担当, 機械担当など役割が複数ある為に、多人数で探索を行うという状況設定が自然に使えるという利点がある。そして4人までのオンラインCo-opに対応しているという点も売りの一つである。

 第三に目的。通常はその恐怖から逃げるのが目的だが、ここではTVショーの為にその素材を確保しないとならない。つまり「危うきに近寄らず」という訳には行かず、自分から危険へと向かって行く必要がある。撮影用のカメラ, モーショントラッカー, リモコン操作のドローン, 音声レコーダー, EMF Detector等を駆使して、出来る限りの目的とする怪異現象の証拠を集めないとならない。なお上記の様々なツールを仕掛けておいて怪異現象を記録するのは勿論だが、“敵”となる対象を直接カメラに収めるというのも重要な仕事に含まれる。

 最後に独特な進行形態を採用している。各エピソードはいきなり核心場面へと放り込まれるのではなく、まずは現象の目撃者を探して付近エリアの聞き込み&インタビューを行い情報を集めるという形が基本となる。その過程でその証言者の視点からフラッシュバックの形でゲームをプレイしたりするという構成が使われており、このケースでは単独で敵から逃げたりするといった一般的なホラーゲームのスタイルとなる。その後は実際の現場を探索して証拠品集め。そして最終的にはその対象怪異を排除する事でクリアとなるそうだ。


 エピソードのロケーションは世界中に広まり、対象となる相手も幽霊などの心霊現象に留まらずエイリアンや悪魔に対峙するケースもあり。

 ゲーム進行は大きな自由度を持っており、現場探索前にどれだけのインタビュー取材を行っておくかはプレイヤーの自由。当然より多くの証言を聞き出せた方が高ポイントだが必須では無い。エピソードによっては探索時にその関連のエキスパートを雇って助けにする事も出来るというシステム。そして映像や音声の記録にどれだけ成功するかも重要だが、現場を徹底的に探索してどれだけのアイテム(証拠品や関連物)を集められるかも大事となり、最後にはその仕事ぶりに評価(スコア)が付けられる。そのスコアに応じて得た収入で機材のアップグレードが行え、それにより次のエピソードではより良い状態で探索に臨める様になるというシステム。


 ゲームの基本的なデザインとしては固定イベントはなるべく避けるという方向で、予め特定のタイミングで発生する様に設定されているタイプのイベントは少ない。よって同じエピソードをプレイしても発生するイベントはその都度異なるのでリプレイ性が高いし、どこで何か起こるか判らないので恐怖感の減少も抑えられるとされている。

 突然プレイヤーを驚かせるショッキングイベントには頼らず、あくまでも雰囲気による恐怖感を重視するという方向性。それとゲーム性としては近年のホラーよりは、昔のサバイバルホラーに近いともコメントされている。


 視点が3種類用意されているのも面白い点の一つ。一人称視点、三人称視点の他に、クラシックな固定カメラ視点(キャラクターの位置によって自動的に外部カメラ位置が切り替わる方式)を選択可能。ただし(このデモでは)プレイ中には視点を変更出来ない仕様。

・キーアサイン可○, マウス感度設定不可×, 明るさ調整可○, サウンドボリューム調整可○
・難易度設定無し
・字幕は一部にあり(設定ではDisabeに固定されていて変更出来ない)

*FOV調整機能無し
*インベントリー画面は有るのだが、持っている全てのアイテムを表示する方式では無い
*照準は表示されるシーンとされないシーンが混在している
*スプリント, ジャンプ可能。屈みは無し。
*現在のオブジェクティブ表示機能は無し


 任意の地点でセーブ可能となっているのだが、現時点で機能しているのか疑わしい。セーブを行ってもその場所が一覧画面にてSSとして保存されるケースは稀で、実際に選んでロードしてみてもゲームの最初に戻るだけ。それとカメラモードの右クリックでセーブという意味不明な操作設定で、これが原因で望まない画面へと移行してしまうケースが数回有った。

GAMEPLAY  早期アクセスの頁にて紹介するゲームには、「公開されている開発バージョンをプレイしてみて面白かったので」というケースと、「ゲームの内容やシステムが面白そうで且つデモ版がリリースされているのでプレイしてみた」というケースの二通りがある。この3AMDTは後者のパターン。

 この前振りからして察しが付く人も居ると思うが、これから紹介する公開中のこのアルファ版デモ自体は別に面白くない。ゲーム紹介の謳い文句だけを見ると、これが8割でも実現出来れば大変に面白そうと興味を惹かれるのだが、現在のアルファ版ではそのシステムの大半が収録されておらず、全くと言って良いほどゲームの紹介の役割を果たしていない。特にCo-opは早急に実現して貰いたい機能の一つなのだが、Steamでの早期アクセス開始にも間に合わないらしくガッカリしている。

 このデモの中身は実に平凡なホラー物で、敵モンスターが徘徊している中をゴールまで辿り着くという定番の内容に過ぎない。ショッキングイベントには頼らないとあるが、実際にはそれだけである。後は写真を撮ったりアイテム集めをしてスコア表示が出る程度。クラウドファンディングの進捗も芳しくない様だが、それはこのアルファ版が「完成版では導入されるはずのゲームの持つ魅力」をまるで備えていないから、というのも影響していると思えてならない。


 とりあえずデモで体験出来るシステムの感想を羅列しておく。視点は一人称視点でプレイしてみたが、シネマスコープサイズ固定で横長であり16:9では黒帯表示となる。映画的な映像というデザインと考えられるが、実際にプレイする立場だと上下幅が狭過ぎてとてもプレイし辛い。単に観るだけの映画とは異なる訳でこれは通常表示との選択可能方式にして欲しいし、また3種類の視点切り替えもプレイ中に可能になるのが望ましい。ついでに書くと通路が非常に狭い為に三人称は前が見え難い。固定カメラ視点はやはり操作し辛いが、こちらは趣味の選択肢としてあっても良いだろう。

 武器的なアイテムもあるが、どうやらドアを破壊したりする用途で敵との直接戦闘は無い模様。単に部屋を回って鍵等を探し、ゴール地点まで到達すれば良いだけ。敵は徘徊しているので固定位置で襲われる訳ではないが、序盤のエリアにしか出て来ないようである。よって緊張感も中盤以降は薄れてしまう。探索における雰囲気的な怖さも成功しているとは思えない。


 それ程詳細に研究していないが、敵から隠れる方法は不明。屈み操作も無いし、見た目として暗い場所に居れば良いのか、それとも同じ部屋に入ってこられた時点でアウトなのか回避方法が解らない。

 通常移動の速度が遅くて問題あり。スプリントは出来るのでそちらを多用する事になってしまう。もっと通常移動の速度を速くして、スプリントの方をスタミナバーで制限するといったバランスの方が良さそう。

 バグかプログラム的な問題か不明だが、所持アイテム切り替えキーの反応がとても鈍くなったりする。切り替えキーを押下してスマホと武器を切り替えたりが出来ず、何か変なのかと考えていると突然時間を置いて持ち替えたり等。

GRAPHICS
&
SOUND
 グラフィックスはこのデモだけでは何とも言えないが、制作中のエピソードを見る限りではこのデモよりもずっと良さそう。操作するキャラクターの他にモンスターや幽霊のデザインはリアル系ではなくゲーム的なデザインという印象で、クラシックなサバイバルホラーという観点からの狙いなのか、グラフィックスをリアルに仕上げるのは大変なのでという理由からなのかは判らない。

 現行バージョンだと影描画にバグが見受けられる。テクスチャーの品質は今一つ。また敵のアニメーションは良いとは言えない。


 3Dサウンドには未対応。ボイスは収録されている。サウンド関連は現時点では評価は保留。

感  想  ゲームの紹介文を読む限りではとても面白そうな期待作。最大の問題は実際にこれだけの物が作れるのかになるだろう。資金調達は順調では無さそうだし、集まったとしても開発チームの技術力の方もまだ未知数である。だが7〜8割でも達成出来ればそれだけでも楽しめそうではある。

 先に書いたように現在公開中のデモ版がゲームの売りとなるシステムをほぼ備えていない上に、単純にホラーゲームとして観ても凡庸というのは大きな問題点。この件が資金集めキャンペーンが盛り上がらない大きな原因にもなっていると思えてならない。当座の金にどれだけ困っているのかは判らないが、もっと本来のゲーム内容に近いバージョンが出来てからのクラウドファンディングという流れにするべきではなかったかと切に感じる。

 あと上でも書いたが、シネマスコープサイズ固定は止めるべき。上下黒帯でのフレームレート稼ぎの狙いがあるとは思えないし、それ固定にした結果として激しい批判に曝されて評価を下げたゲームもある訳で、同じ結果を辿ることは目に見えている。(どうしてもこのサイズでの映像表現にしたいというこだわりがあると言うなら仕方ないが)。


 現在の完成度: 早期アクセスの開始までにはそれ程掛からない模様。ただしEP1のみのリリースと、コンテンツは少な目での開始となり、最低限ここまでは作るとされているEP2の完成まではまだ先が長そう。

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