☆ APORIA ☆

15/08/24 更新 目次          HOME
製作/販売 Mystic Box Studios / 2Tainment       公式サイト      Facebook     INDIE DB
配布状況  2015/07/23にリリースされた v0.3.2 (1.62GB) が最新バージョン。

 更新頻度: 現在のタイトルになってからは上記バージョンのみ

 Steam Greenlightには登録されていない。

概  要  Mystic Box Studiosはオランダのインディーズ会社。大学の同級生を中心に2012年に設立されており現在は7人前後の模様。このAporiaは第二のプロジェクトとあるのだが他の作品は見当たらず、名前を変えて開発をやり直しているのでそれをカウントしているのかもしれない。

 “Aporia”の原義は哲学用語で、「哲学的難題または問題の中の一見解明できそうにない行き詰まり」を意味する。


 プロジェクトのスタートは2012年で、CryENGINE 3のSDKが無料で配布された後に開始された多数のプロジェクトの中の一つ(現在はライセンス形態が変わっており有料版に切り替わっているはず)。2012/09/21にAporia: Uncover the Mysteryの名称でデモと共に一般公開を開始。それから長期間の沈黙の後、2014/02にNordic Gamesのイベントで新バージョンを披露。続いて2014/08よりAporia: Darkmist Forestと名前を変えて再スタート。そして2015/07に遂に新たなアルファ版デモをリリースしたが、ここではサブタイトルが取れてシンプルにAporiaとなっている。

 今はドイツのパブリッシャーである2Tainmentと契約して資金援助を受けている。今後は早期アクセスにするか、或いはエピソード配信にするかを検討中。全ては資金次第としており、Kickstarter等でクラウドファンディングが開始される可能性もある。プラットフォームは現在Windowsのみで、CryENGINEの対応次第で増やしていく予定。PS4, Xbox One等のコンソールも視野に入れている。


 主人公は見た事も無い場所で目を覚ますが、自分が誰なのかすら記憶が無い。周囲を探索している内にここがどこなのか, 自分は何物なのか, 何故自分はここに居るのかについての情報を得ていくが、それと同時にそれを快く思わない敵から狙われる事にもなって行く。

動作環境
  必要環境 推奨環境
CPU - -
MEMORY - -
VIDEO HD7850 or GTX 470 GTX 960 or Radeon R9 290
SOUND - -

 CryENGINEを使用。動作環境は相当ヘビーだとしており、ビデオカードのみ目安が紹介されている。


 現行バージョンの問題点を幾つか報告。まず設定画面でInvert Mouseが強制適用になり、変更しても再起動等でリセットされてしまう。

 ゲームオーバー後にセーブデータをロードしようとする落ちてしまうケースあり。再起動で治るが、逆に一度終わらせてしまうともうセーブデータが読み込めなくなるというトラブルもあるようだ。またNew Gameに切り替えるには一回終わらせてからでないとダメな事もあった。

 セーブデータをロードすると、取得していた投影用アイテムが持ち物から消えてしまうバグあり。この場合元の置いてあった場所の物も消えたままなので、それを利用するパズルは解けなくなって詰む。最初のパズルは解くのが必須で、それに該当するタイプなので最初からやり直しである。

BASICS  架空の世界を探索するのがメインのゲームで、Dear Esther, Journey(風ノ旅ビト)等を影響を受けた作品として挙げている。.ただし内容は探索がメインでは無く、タイトルの通りに難易度の高い謎解きを盛り込んだアドベンチャーゲームとする方が適切。有名なタイトルではMystシリーズ(正確には世界の中を一人称視点で実際に動き回れるReal Myst)系のゲームと考えて貰えば良いだろう。

 ファンタジー的なイメージの広大なアウトドアにメカニズム系のパズルが配置されており、時には長距離移動をして広範囲に渡る仕掛けを作動させて解決し先に進めて行く。パズルは必須の物以外にも存在しておりその数も多い為、どれを解くのかや解いていく順番を自由に選べるというオープンワールド形式を採用しているのも大きな特徴。

 ストーリーを重視しているがテキストを使わないというのがユニークな点。壁画や図面を使用してその世界の背景や謎は説明される様になっている。


・キーアサイン不可, 明るさ調整不可。 マウス感度設定可, サウンドボリューム調整可。
・難易度設定あり
・字幕は無し

 セーブはアイテムとしてマッチを使用。焚き火の場所で火を点ける事でのみセーブ出来る。マッチ自体は結構数が多いのだが、セーブが一つのスロットを上書きする形式なので現状では問題あり。なにが問題なのかは後に記す。


*一人称視点固定
*インベントリー画面は無し
*照準あり
*スプリント, ジャンプ, 屈み 等が行える


GAMEPLAY  アルファ版のデモとは言え相当な広さを持ち、パズルの数も複数でボリュームとしても結構な分量。パズルには難易度が高い物もあるし、広大な世界を探索したりもしたので3時間程度プレイ出来た。メインルートを最後までクリア出来たのかは不明。十字架の場所まではクリアして出て来たアイテムを取ったのだが、その後はその近くでセーブしたのにロードすると別の場所からのスタートとなり、且つそこからは何をしても短時間でゲームが終了してしまう。パズル用のアイテムらしきオブジェクトには拾って使わなかった物もあるので、それを使用するパズルも用意されているなら相当な量と言えるだろう。

 (15/08/24追記) 再度確認してみたところ、道なりに進むルートでヒントとなるノートが置いてあるパズルをメインではないかと考えていたのだが、どうやら全ての謎に対してその周辺にノートが置いてあるらしく、またマップ全体図も発見してその中にパズルの場所が記されている為、このバージョンでは特にメインと設定されているルート(謎)は無い様である。


 純粋なアドベンチャーゲームではなく、一部にだがジャンプアクションを要求されるシーンもあり。それと稀にだが敵らしき“物体”に追われる事があり、攻撃されると画面が白くなって失神したり、ダメージを受けて画面が赤くなるなどが発生する(即ゲームオーバーにはならない)。どうやらこの攻撃は何等かのアーティファクトを集めると防げる様である。動的な攻撃手段は用意されていない。他には吊り橋の一部が突然抜けていたりと意地が悪い部分も持っている。周囲が暗いケースでは気付かずに落下して即死も発生。


 マップは広いし、昼夜サイクルをも実現しているのは強みである。描画負荷は高いが一人称視点でこれだけ綺麗な世界を探索出来る点は、没入感において純粋なアドベンチャーゲームに対しての大きな利点となる。だがそもそもCryENGINEは木々や岩場等で構成されたアウトドアの描画には定評がある訳で、無料SDKに付属のデモ(CryEngine 3 Tech Demo - Forest)で使用されているアセットの流用だけでも高いクオリティを実現可能だし、同じ様にこのエンジンを使っている別のゲームに対して遥かに上を行っているのかとなるとそこまでではない。Aporiaでもエンジンに最初から用意されているアセットが多用されており、それ以外にオリジナルの物を制作して追加しているという話だが、他のゲームとの差別化には新規に建造物などを増やしてオリジナリティを出していく必要がある。


 パズルにはかなりの距離を移動して様々な仕掛けを連動させないと解けない物が存在していたりと楽しめた。独特な物では光るVial(小瓶)を使った投影パズルが用意されており、このVialは通常はライトとして使えるのだが、これに投影用のテンプレートを挿入するとそこに刻まれた図柄を影絵の様にして映し出せる。これをそれに合致する壁画等と組み合わせて一枚のちゃんとした画にする事でパズルを解くという風にしていく。

 アイテム類は光るので探索中に解り易く親切。逆にチュートリアルも絵文字で行われるのだが、これには一部解り難い物も有った。入手したヒントの図版類はマウスホイールで切り替え表示が可能。またFirefriesを入手して放つと、次のヒントとなる場所の方向を示してくれるという機能も在り。制作側のコメントでは現バージョンは不親切で解り難い面があったとしており、今後はヒントの図面を増やしたり、基本的なシステムはreadmeファイルで解説したりと、様々な点を修正して行くそうである。


 問題に感じられたのがメンタルヘルスというシステム。時間経過に応じて精神にダメージを負っていき、それが限界に到達すると死亡してゲームオーバーになってしまう。要は謎解きに時間制限が設けられているのである。画面左上の脳のアイコンがそれを示しており、これに蔦?が絡んでいく度合いがその進行度を表す。回復にはマップ内に生えている薬草らしき物を取れば良い。進行すると突然ブラックアウトが発生する様になり、短時間プレイが出来なくなる事で危機を知らせてくれるようになっている。

 問題とはまず根本的に時間制限というシステムはどうなのか?という点。開発側はとにかく難しくしたいらしいのだが、そうしたいならパズルを難しくするべきであって、時間制限で難しくするという方向性では無い方が良いのではというのが個人的な意見。プレイ前の難易度選択はNormal(メンタルヘルスの概念有り)とPeaceful(時間制限及び敵の存在無し)の二種で、このデモでは後者を選択出来ないのだが、製品版ではアンロックとか無しに最初から各人の好みでPeacefulを選択可能にして欲しいものである。或いはもっと時間制限を緩くするとか。

 回復の薬草が少ないというのも難点で、リスポーンもしない様なのでその扱いは厄介である。つまりヘルスが悪化した状態&薬草の残りが少ない状態においてセーブしてしまうと、そこからロードして幾らやり直そうが詰みになる恐れがある(セーブは一箇所のみなので)。よってヘルスが良好な状態でセーブしておいて、その後はセーブせずに時間の掛かる謎解きに専念。時間切れでゲームオーバー後に先に考えていた謎解きの続きに取り掛かる事で、掛かる合計時間を短縮するという面倒な作戦を採らざるを得なかった。後はHUD表示において消耗度合いが正確に把握し辛いという面もあり(これは修正予定リストに掲載されている)。

GRAPHICS
&
SOUND
 CryENGINEを使ってアウトドア描画を行っているので相当綺麗。だが先に書いたように最初から用意されているアセットを使用してアウトドアを描画するなら、これを使用している制作チーム間での差が出難い事になり、「同じCryENGINEを使っているのに凄いな」と思わせるにはオリジナルのアセットが多数要求されてくる。

 グラフィックスはエンジンデフォルトの4段階設定。描画が綺麗な分、マシン負荷は高目である。FPS/TPSを普段プレイしない、アドベンチャーゲームをプレイする程度のPCを使っている方だと最高設定はキツい可能性が高い。


 3Dサウンドに対応しているのは良い点。この手の物では音の位置がハッキリと判るのはリアリティを高めてくれるので非常に有効である。なお最初のバージョンというのもあるのだろうが音数自体は少なく、環境音中心でまだ作り込みが進んでいないという感を受けた。

感  想  一番のお勧めはMyst系(抽象的, 異世界, メカニズムパズル等)のアドベンチャーゲームが好きな人だが、若干ではあるがアクション要素が含まれている所と、要求されるマシン負荷が高いというのは難点となる。それと時間制限のシステムは、ゆっくりと考えたいという方が多数派と考えられるアドベンチャーゲームのファンからは不評となりそうである。

 以降の開発はやはりパズルのクオリティが重要となるが、このデモからすると今後の追加コンテンツにも期待が出来そうである。ボリュームは多い方が良いのは確かだが、資金面を考えると膨大という程の分量は必要ないだろう。アドベンチャーゲームでは30〜40時間程度プレイ可能という宣伝が多いが、メインルートだけなら20時間程度の分量でも通用するのではないか。世界観や雰囲気も上出来だし、オープンワールドという新味も持っており、現時点では無名に近いが掘り出し物の一つに挙げても良いと感じている。今後のアップデートに注目していきたい。


 現在の完成度: 2014/10の時点では40%程度としている。

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ヒ ン ト  ヒントは反転表示。全てをクリアしてはいないために一部の謎だけが対象である。


*最初のパズルで投影して図柄を完成させるコツ
 時間制限があるので長時間やり続ける訳には行かないのだが、最初の内はこれが上手く行かずにゲームオーバーになったりと困らされた。しかも投影用アイテムは付近のセーブポイントからロードしても消えてしまっているので、アイテムを取っている状態にて失敗したら最初からやり直しになる。

 まず6個の投影用アイテムは洞窟付近に全て存在している。問題は壁画と投影画を合わせて一つの画にするという行為が上手く行かない事。6箇所の合わせ場所の中で上手く行かない箇所があるので順番があるのかとも考えたが、結論を書くと順番は無くてどこからでも良い。どうも壁との距離を微調整して拡大度合いをキチンと合わせようとすると上手く行かない様で、また左右に細かく動かして合わせようとしてもダメ。ではどうするのかと言うと、やや下がった状態から真っ直ぐ壁に向かって前進して合わせようとするとピタリとハマリ易い様である。調整位置はアバウトでも自動的にピントが合って完成するという感じになる。



*ライトの照射パズル
 三箇所のホイールを回してそれぞれのライトを別の場所のミラーに照射する。この回転調整画面の際に正解の場所に来ると音がするので注意。3つ成功すると奥の方に在る別の大きな丸い装置に束ねられた光線が当たって扉が開く。



*十字架のパズル
 これは図面の意味が解れば簡単。エリア内の丸い玉3個を探しだし、3つ有る台座にセットするだけ。十字架の根元が開いてアイテムが出て来る。