☆ CAPTURED ☆

17/04/01 更新 目次          HOME
製作/販売 Sir Bedlam Productions       公式サイト   GAME JOLT
配布状況  2016/12/29にリリースされたEarly Access Demo [Pre-Alpha] V2.0.1 (656MB) が最新バージョン。64-bit版のみ。

 更新頻度: これが4回目のリリースバージョン

 Steam Greenlightにはエントリーしていない

 この作品の完成版は$2〜4程度で販売予定

概  要  個人で活動しているアメリカ人Jacob氏のプロジェクト。既に何本かフリーゲームを制作しており、SteamではBlack Roseという作品が公開されている。他にOtherworld HospitalはGreenlit済み。

 大幅にコンテンツを拡張して有料で販売される予定だが、現在別に2本の新作を開発中という事で今はそちら関連の情報が多く、このゲームの完成がその2本よりも後になるという可能性もある。

 プラットフォームは未定。現在はWindowsのみだが、UnityなのでMac, Linuxへの対応も考えられる。


 主人公Linda Mayfieldは、見知らぬ部屋の中に閉じ込められている状況で目を覚ます。(彼の作品は全てこの名前の女性が主人公という設定。ただし同一人物なのか、パラレルワールド的な設定なのかは不明)。部屋のスピーカーから語り掛けてきた謎の人物は、彼女がここから無事に解放される為には幾つかのチャレンジ(ゲーム)をクリアしなければならないと告げる。否応なく挑むしか無いリンダだったが、そのゲームには乗り越えなければならない特殊な障害が用意されていた。

 その男の名はDamien Clyde盲目だがカニバリズム嗜好を持った殺人鬼であり、リンダを殺そうとして追い掛けて来る。彼女はダミアンの音を探知する追跡をかわしながら、用意されているチャレンジをクリアして行かないとならない。

 アイディアの源泉については、多くの人が指摘している映画『Don’t Breathe』では無く(視た事も無いそうだ)、Amnesia: The Dark Descentの追加エピソードである"Amnesia: Justine"であり、ずっと昔から構想としては存在していたとしている。そこに後に『SAW』シリーズの影響が加わっているそうだ。

動作環境  Windows版のみ。必要環境は明らかにされていない。ただし実行ファイルは64bit版しか用意されていない。

 最新版では改善されているが、見た目よりもかなり重いゲームでCPU内蔵ビデオ機能だとフレームレートに問題が発生する恐れがある。

 システム上のバグについて記載。第一にマウス感度で、セーブやロードのシーンが入ると(メニュー画面での設定値は変化していないが)デフォルト値にリセットされてしまう(内部的な設定値を見てみると何も書かれていない状態)。これにはクリアまでに5〜6回遭遇する事になる。よって感度を変更している場合、リセットされた状態から一度設定値を何か別に変更 → ゲームに戻る → 再度オプションを呼び出して希望の値にセットし直す → ゲームに戻るという手間で治る。なのでデフォルト値のままにしておいて、(可能ならば)感度はマウス側のユーティリティーで調整する方が面倒が無い。

 次にセーブ(ローディング)される箇所でハングアップする事がある。私は一回だけだったがコメントを見るとそこそこ発生している模様。それとメニューのContinueが最新版では使用可能になったとあるのだが、戻った場合にはアクセス出来なかった(最初からやり直し)。

BASICS  マップは連続したチャレンジ部屋で繋がっており、それぞれの部屋にある仕掛けを作動させて扉を開き、次の部屋へと向かうという形で進めて行く。チャレンジの内容はある種のアクションを成功させるという方式が基本で、アクションその物は簡単だがそこに追っ手としてダミアンが加わるので、それを回避しないとならないという困難が伴うパターンが多い。中にはダミアンは登場せずに別の危険を避けて成功させるという部屋も有れば、アクションでは無くパズルを解く必要があるという場所も出て来る。

 ストーリー的にはスピーカーを通して話してくる謎の人物により、ダミアンが何故この様な殺人鬼になったのかが語られていくというスタイルで進められるらしい。この悪趣味なイベントの開催理由については単なる変態的サディストの狂人というだけなのか、何か裏があるという設定なのかは判らない。


・キーアサイン不可×, マウス感度設定可○, 明るさ調整不可×, サウンドボリューム調整可○
・難易度設定無し
・現在のバージョンにはオートセーブ機能あり

 ボイスに字幕は無し(主人公にはボイスが無いので、クリックした場合に台詞(心の声?)が文字表示されるケースはある)。スピーカーからの台詞はかなり多く、その部屋で何をしないとならないのかという説明が理解出来ない可能性はあるが、最後までクリアするのに英語の理解は必須では無い(後述するが必ずしもチャレンジを成功させなくても良い為)。


*一人称視点固定, FOV調整機能無し
*インベントリー画面は無し
*照準は特定の場所を指した時のみ表示される
*スプリント○, 屈み×, ジャンプ×

GAMEPLAY  敵として登場するダミアンについて。このダミアンから逃れるのがメインと想像していたのだが、このアルファ版では彼の関与しないチャレンジと半々程度となっており、単調にならない様にするという観点からこのバランスの方が良さそう。

 ダミアンは盲目なので音を頼りに追い掛けて来る。主人公は裸足であり、かつシステム的に(音を殺して)歩く事が出来ないので、移動すると必ずペタペタと音がしてダミアンの注意を惹いてしまう。それと仕掛けを作動させるのにはレバーやハンドルを動かさないとならないというケースが多く、その場合には大きな音を立てて動くのでそこに居るとバレる事になる。あるいは床に置いているビンなどのオブジェクトをうっかり蹴ると音が出てしまう。

 そこで逆に音を使って敵を誘導するという手段が基本となる。オブジェクトの中には投げられる物が有るので、これを掴んで投げる事でぶつけた場所に音を発生させて一時的にそこへと彼を誘導する事が出来る。ただしオブジェクトの数は限られているので無限には行えない(割れて壊れる)。それと大きなオブジェクトにぶつかるとそこに何か居ると判断して攻撃する為、一時的に動きを止めるという風にも出来る。例えば逃げながら敵と自分の間に樽を挟む様にして衝突させる等。よってもし何が起きるのかが解っているなら(リトライ時)、予め投げられる物や大きな物を都合の良い場所へと移動させておくというのも有効な手段となる。

 気が付かれて追い掛けられている状態からでも回避は可能。ただし直線的な移動速度はダミアンの方が速く、そこから何かを投げて音を出し誘導するには一定以上の距離離れていないとならない(近距離で投げてもそちらには気を取られない)。それと屈み操作が無い, 下方向は一定角度までしか向けない, アイテムのホットスポットが小さいという設定から、走りながら床のアイテムを素早く拾ってそれを投げるというのは相当難しく、取り易い台の上にアイテムを置いておくといった準備も重要となる。

 多くのホラーゲームでは敵に追い付かれた瞬間にゲームオーバーとなるが、このゲームではそこまで厳しくないという設定になっている。ダメージは肉切り包丁で斬り付けられた際に入るので、接近されてもそのモーションの間に回避の余地は残っている。そして合計三回攻撃されると死亡というシステムであり、定期的に用意されているメディキットを使用すれば回復(一回分)が可能(現在のステータス表示は無し)。


 ユニークな要素として他のNPCがチャレンジに登場してくるケースがある(このデモでは2箇所)。彼等は処刑装置に捕らえられており、リンダはスピーカーの人物から「安全にクリアする為に目の前の人物を見殺しにする」or「危険を冒してでも助ける」という選択肢を与えられる様になっていて、プレイヤーは好きな方を選べるという仕組み。(映画SAWにおいては定番の「ゲーム」的な内容ではあるが)。

 しかしこれは面白い要素だとは思うのだが、現状ではあまり上手く機能しているようには感じられなかった。モラルチョイスなどと呼ばれるプレイヤーに難しい選択を迫るケースでは、選択するのが非常に悩ましい設定にするというのが理想だがこのゲームではそうなっていない。リアルで直面したならまだしもゲーム内の出来事であり、そして処刑されるNPCは初対面の知らない人物と来れば、見捨てても構わないだろうという方向に傾いてしまうのは当然の成り行き。そしてそう割り切られてしまうと、助けずにクリアするのは助けようとしたケースに比較してとても簡単になるのでバランスとしてはどうなのかという印象。よってチョイスとしては主人公の知り合いとかを持ってくるのも一つの手だが、それだと基本的なストーリー設定から変えないとならないし、またとても助けたい人物という状況にしてしまうのも「究極の選択」にならないから都合が悪い。

 開発者の話だと製品版では、「全体のパフォーマンスによる成績表示機能を設けて、その中の一項目として救助をしたかどうかが評価される」, 「全員を助けると若干だがエンディングが変わる(真エンド?)」, 「救出するかを実績(トロフィー)に関連させる」といったアイディアを披露しているが、それほど有効という感じはしない。エンディングを変えるとか実績に関連させるという様な「ゲームの外部世界に存在する利益」を選択肢の判断条件に盛り込むというのは良い手法とは思えないし、影響力もかなり限定的であろう(実績解除を目指したり、真エンドの達成を狙う人は少数)。どっちを選択しても大きな損失を伴うという純粋なモラルチョイスにするか、ゲーム内世界にて有効な損得(初代Bioshockにおけるリトルシスターの扱い等)を絡める方が良い。

 なので助ける事で何等かのゲーム内で得する様な利益が得られる設定にするという方法が一つ。だがメディキット程度では大して有効とは思えないので、助けるとそのNPCが次のチャレンジのヒントをくれるとか、サーキットを一つ即オンに出来るアイテムを貰えるとか、それなりに便利な物である必要がある。もしくは助けないチョイスでもそれなりに難しく、助ける場合にはそれよりはやや困難になるという位のバランス設定にしてやり、その程度の差ならば助けようかという気にさせるという方式でも良いだろう。


 現在のバージョンでもまだバグは散見される。こちらではゲームプレイに関連する問題を挙げておく。

・ダミアンがスタックしてしまうケースがある(壁に向かって止まり動けなくなる)
・アイテムを手に持ったままだと別のオブジェクトを透過する。もし壁や床に接した状態で離すと消えてしまう。
・ジャンプ出来ない為に、逃げる際にハマって動けずに詰む箇所あり
・ハンドルを回す際にそれが止まって動かなくなってしまう(一度ESCで抜けて戻ると治る)


 最後にバグではないが注意点。あるチャレンジ部屋ではホラー物でよくあるライトが不規則に明滅するという状態になっているのだが、この部屋では内部をじっくり観察する必要があり、そうやってじっと見つめているとそのチカチカが非常に目に来て気持ち悪いというのか何とも言えない変な感覚に陥ったりする恐れがある。

GRAPHICS
&
SOUND
 使用エンジンはUnityを使用。クオリティのプリセットは4種。個別設定項目は無し。最新版では最高のクオリティ設定が追加されたが、それに設定してもあまり綺麗という印象は受けない。風景が単調というのもあるとは思うのだが、グラフィックス面では最近上昇気味のインディーズホラー物の平均水準と比較して落ちる。一方でダミアンのモデルが自前なのかは不明だが、こちらは時々モーションが省略される以外は(インディーズのホラーゲーム水準では)まともな出来である。


 3Dサウンドには未対応。音が重要ではあるので製品版では対応するのが理想。ボイスはスピーカーからの人物の物がメインで出来は悪くないが、癖のある独特なトーンで喋るので字幕は希望。NPCの叫び声は改善の余地あり。各種効果音はフリー素材を利用している。

感  想  ホラー物としては設定がユニークだし、全体の出来栄えも良くて滅多に無いレベルの良作と言える。後は追加されるチャレンジの内容が優れていれば相当な傑作になるであろう。これなら有料でも納得というレベル。インディーズ産の似た様なホラーゲームに飽き飽きしているという人にも新鮮な設定としてお勧め出来る。


 現在の完成度: システム系はほぼ出来上がっており、後は挑戦用の部屋を増やすという作業が残されているという状況だが、これが一番大変そうなので時間が掛かるかもしれない。

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ヒント  幾つかヒント(反転で表示)



*第一のNPCを救う際のヒント
 サーキット(ホイールを回して緑のランプを点灯させる)をオンにした場合、スピーカーから達成音(ブザー)が出る様に設定されており、この音でダミアンの注意を逸らす事が可能。



*ボタンの3つ有るライトの明滅している部屋
 部屋の中には高さの異なる3種類のオブジェクトが存在している。そして3種類の高さの異なるボタンが有って、各ボタンはある回数分だけ連続して押せば良いという仕組み。床の矢印の位置が微妙なので3個のボタンを押していく順番に厳密な決まりがあるのかは未確認だが、一番低い物から開始すれば成功するというのは確か。



*2番目のNPCを救う方法
 3つのペア装置に対応している3個のサーキットを全てオンにする必要がある。どこからでも構わないので3つの装置を使用してサーキットのランプを順にオンにして行く。ただし心臓マークが表示されている状態では6秒しか自分の体が持たない為に、一時離しては再開するという風にしないとならない(マウスを振って感電状態から引き剥がす)。これで時間内に間に合わせれば成功。