☆ DILUVIAN ☆
16/06/11 更新 | 目次 HOME |
製作/販売 | CrestHelm Studios 公式サイト Game Jolt |
配布状況 | 2016/03/26にリリースされた v0.2 (113MB) が最新バージョン。32bit版も有り。 更新頻度: 現バージョンが3回目のリリース Steam Greenlightにはエントリーされていない。 現段階ではフリー版として更新されているが、将来的に有料での販売を行う予定があるのか等には言及が無い。 |
概 要 | 制作しているのはスウェーデンのStraitCurrent氏で、それに協力者が加わり始めているという段階。彼は同国のDICEにて3年間、Battlefield 3&4のゲームプレイデザイナーやQA部門で働いた後に退社し、現在は小説家として活動すると共に個人的にゲームも制作し始めておりこれがその一作目となる。 年代は記されていないが未来のSF設定。目的地に向けて数百万年ものコールドスリープ状態で航行するTombship。しかし何等かの異変が発生して主人公であるプレイヤーは目を覚ます。未知の敵の侵入により運搬中のアーティファクトを奪われた船内を探索し、一体何が起きたのかを探らないとならない。ちなみにDiluvianとは氾濫の意味。 |
動作環境 | 必要環境については記載無し。Unreal Engine 4を使用している。 トラブルとしてはラグでプレイにならないという件が若干発生しているそうだが、まだ原因が掴めていない状態にある。私自身もショットガンをリロードした際にラグが発生してカクカクになるという事があった(しばらくしてから弾薬数が減る)。負荷に関わる設定関連が無いのでユーザー側での対策も取れない。32/64bit版を両方試してみる位か。 |
BASICS | アマチュア制作のゲームが爆発的に増えたここ数年だが、御存知の通りFPS/TPS、特にアクション系シューティングのジャンルではその割合は相当に少ない。これは3Dコンテンツ系の制作が非常に大変だからで、Call of Dutyの様なゲームを作っても大手とはそのクオリティにおいて到底相手にならない。そこでグラフィックスで勝負するタイプのゲームは避けて、FPSならば90年代を思わせるクラシックな見た目の物が増えるという傾向にある。だがそうなるとゲーム性の方もDoom系統の反射神経重視の高速アクション物になりがちであり、アピール出来るファン層も限定的となる。 このDiluvianも見た目からはその類の一つに受け取られるのだろうが、実際にはそのゲーム性に関してはクラシックなFPSでは無い。それが私が興味を持った&紹介しようと考えた理由でもあるのだが、その古めかしい外見とは異なり独特のシステムを持ったFPSとなっている。 このゲームでユニークなのはそのダメージシステムで、これは攻防の両面に関わってくるが、先にここでは防御となるヘルスの扱いについて解説する。ヘルスは画面左上方に表示されており、一見するとブロック式の自動回復の様に見えるがそうではない。このゲームにはスクラッチとリーサル(ノーマル)の2種類のダメージが存在しており、敵の種類及びその攻撃方法によってどちらのダメージを受けるのかは異なる。リーサルは普通のダメージでそのままヘルスを削っていくが、スクラッチの方はヘルスアイコンが緑から赤くなるだけで即座に消失はしない。そしてこのスクラッチダメージは自分自身でも治療する事が出来る様になっている。 SF設定から弾薬はエネルギー式という設定だと想像され、その弾薬を治療用のエネルギーとしても使用可能。そしてその治療は武器のリロードにて行うという奇抜なシステムを採り入れている。マガジンに弾薬が残っている状態でリロードを行うと、その残り弾薬数に応じて赤ヘルスから緑への変換治療が行われる。赤の範囲が広ければ一回で完治するとは限らず、その場合には赤が消えるまで繰り返しリロードを行う事になる(フルマガジン状態でもリロードは可能)。削られた通常ダメージの治療は配置されているメディキットを拾って実施するのは普通のFPSと同じで、このスクラッチダメージの方も同じくメディキットでも治療される。(一マス分のメディキットを拾った場合、そのマスが消えている状態でも赤い状態でも同じ様に緑色に復活する)。 ただしここにゲームの肝となる特殊ルールが在り、一発でもリーサルダメージを受けた場合、その瞬間に赤だったスクラッチダメージが全てリーサルダメージに変換されてしまう。つまり赤だった仮ダメージ部分が全部実ダメージとして消え去るという意味。その為に赤の仮ダメージをどう扱うかという選択を迫られる事になる。安全を採るなら赤ダメージが発生する度にリロードでの治療を行う方が良いが、その際に余った分のエネルギーは全て無駄になってしまう。(仮に3発分で治療出来る赤分量の時に、10発残っているマガジンでリロードすると7発分無駄になる)。そして用意されている弾薬量は多くない。逆に弾薬を節約するには、リロードによる治療をなるべく赤が多い時に行った方が効率的である。或いはメディキットの入手を待って節約するという手もある。しかしこちらはもし貯めている間にリーサルダメージを受けてしまったら、全部実ダメージに変換されてしまうのでリロードによる治療が出来なくなってしまう危険を孕んでいる。そして実ダメージ治療用に用意されているメディキットの数は少ない。という風に常にジレンマに悩まされる事になる。なおヘルスが10個に区切られている事に意味はないと思われ、単に前バージョンでの一本のバー表示だったのを数値として捉え易いように10分割にしただけだと思われる。 死亡時のシステムも変わっている。セーブは各マップ単位で任意セーブは行えず、死亡してしまうとマップの最初からやり直しとなるのだが、その際にポイントの割り振り画面が出て来る。そしてここで自己の能力を低下させるパラメーターを割り振らないとゲームを再開出来ない。これはゲームのストーリー設定上、プレイヤーは不死だが死の度に能力が落ちていくという事にされているらしい。ポイント割り振りは4つの項目に分けられており、自由に振り分けられるが死亡回数が増える度にその必要ポイントが増えて行く(この振り直しはその都度一から行える)。つまりドンドン弱体化していく。ただし復活時にはヘルスや弾薬値はデフォルト値に戻された状態となる。このペナルティポイントはマップ単位でリセットされるのか、それともクリアするとそれまでの合計値が減ったりするのかは未検証。 ・×キーアサイン不可。 ○マウス感度設定可, ○明るさ調整可, ○サウンドボリューム調整可。 ・難易度設定無し *一人称視点固定 *インベントリー画面は無し *照準有り *スプリント, 屈み 操作は無い |
GAMEPLAY | 現行バージョン0.2はマップ8まで在るそうだが、私は6の先頭までしか進めていないのでそこまでの感想になる。物理的な分量はそれ程でも無いが、難易度が高い,
途中セーブが出来ない等もあって2時間以上プレイしている。 プレイヤーの攻撃についても先のスクラッチとリーサルという2種類のダメージシステムが適用されており、武器は4種類用意されているのだが、それぞれどちらのダメージを与えられるのかという特性が異なっている。 ・Sword: 近接用の剣。リーサルダメージ。 ・Photon Impaler (Blaster): スクラッチダメージ。弾薬がゼロになっても撃てる基本武器。 ・Plasma Chaingun: リーサルダメージ。高速連射可能な銃。弾薬はブラスターと共用。 ・Shotgun: スクラッチ&リーサルダメージ。高ダメージだが連射速度遅い。これは弾薬が別扱い。 それもあってアクションFPSにおける基本戦法、離れた位置から敵の攻撃弾道を目視でかわしながら、こちらの弾を撃ち込むというやり方が通用しないゲームとなっている。基本武器のブラスターはスクラッチのみの為、通常のモンスターに対してはそれだけを当てても倒す事が出来ない(浮遊型の敵は破裂するのでOK)。何発か当ててスクラッチダメージを稼いでから、接近して剣で斬り付けてそれまでのスクラッチ分を一気に実ダメージ化させて倒すというのが基本になる。チェーンガンはマシンガンタイプの普通は良く使われる武器なのだが、このゲームに限っては弾薬の消費量が激しくて使うには大きなリスクを伴う。離れた距離から当てられるのでダメージを受け難くはなるのだが、常時使用していたのでは弾薬が足りなくなるという位に消費量が多い。そしていざダメージを受けてしまった際には治療用の弾薬も少なくなっているという問題も生じる。ヘルスが少なくなっても弾薬が残されていれば赤ダメージをこまめに治療する作戦が使えるが、弾薬が少なくなってヘルスも少ないとなると詰む恐れあり。 ショットガンはまだあまり使えていないので詳細な効果(利点・欠点)はハッキリしていない。グレネードも用意されているが投げてから爆発するまでが遅く、上手く敵を巻き込むのが難しい。 戦闘は立ち回り方が難しい、というか変わっているので慣れていないというべきか。ブラスターと剣のコンボが一番弾薬の節約にはなるのだが、接近戦になる分こちらの被ダメージの危険性も高くなってしまう。赤ダメージを治療可能というシステム自体は面白いと思うのだが、それを考えながら戦うにはあまりにもゲームスピードが速過ぎる。つまりストラテジー要素を活かすにはプレイヤー側にそれを考えるだけの余裕があるべきなのだが、そんな事をしている時間が無いほどに高速である。遠距離からチェーンガンで攻撃している際は一旦隠れてステータスを確認すると言った余裕があるが、接近戦になるとそうは行かない。接近戦でガンガンやり合っている際に赤ダメージが増えた場合、どうしても即座に治療という安全策を採りがちであり、結果的に弾薬はマップ終盤にはギリギリになったりが多い。かと言って治療を延ばすと一回の戦いでごっそりとヘルスを持って行かれてしまう恐れがある。しかもメディキットの量はかなり少な目の設定。 マップ4から敵の数が大幅に増えて難易度が上がる印象。スイッチ押しで突然出現するといったイベントも増えて余計に難しくなる。他にもリロードがマニュアル操作なのが曲者で、弾切れになったらリロードキーを押下しないと補充されない為、うっかり乱戦時は空撃ちを引き起こしてしまう。それと絡んで弾薬カウンターの数字の"0"と"8"の区別が付け難くて、しばらくは勘違いが発生する事もあった。ヘルス表示の位置も瞬間的に確認出来る様にもっと中央寄りにするとかが望ましい(少なくとも赤ヘルスの状態を確認出来る様に)。 最後までやっていないが敵の種類は少ない。宙に浮遊するタイプと、普通のモンスタータイプがバリエーションとして数種類。ここはもっと増やして欲しい部分である。後は敵の設置型爆弾が非常に広範囲の当たり判定を持っており注意しないと巻き込まれてしまう。 他の特徴としてはジャンプアクションが多い。そして多過ぎる上に難易度が高いという印象で、個人的にはマイナス評価である。スプリントジャンプは無くダブルジャンプのみが可能だが、超遠距離を跳ぶ, より高い位置に有るプラットフォームへと跳ぶ、といったケース別に2回目のジャンプのタイミングが異なっており、最適値の検証と練習にかなりの時間を費やされた(プレイ時間の半分はジャンプの練習に掛かっている)。マップ3にジャンプの練習場みたいなエリアが有るのでそこで十分に基本の練習しておく事をお勧めする。 このゲームはシークレット探しのみならず、必須ルートを通過するのにトリッキーなジャンプを成功させないとならない仕様である。そして問題はマップ中の途中セーブが無い所。落下しても緑色の上昇チューブで戻れる、或いはジャンプアクションのスタート地点に自動的に戻されるエリアは良いのだが、失敗イコール即ゲームオーバーという箇所も在り、もし失敗すればマップの最初からそこまでをやり直しとなりシビア過ぎる。乗った瞬間に沈むので即座に次へと跳ばないとならない連続ジャンプエリアとか、敵が合わせて出現するエリアとかも有り。マップ6などは意図的に暗くされており、次にどこへジャンプで移動出来るのかから考えないとならないという異常さで、何回も死んでさすがにここでもういいやと感じて止めてしまった。基本進行ルートにこれだけジャンプアクションを入れるのはFPSのファンには受けが悪いと思う。シークレット到達は非常に難しいとかに留める方が良い。 ゲームの進行は色違いのキーを入手して扉を開けていくという昔は定番の物。後はスイッチを押したり撃ったりして扉等を作動させてやるが、中にはオンオフ式でオンにしてしまうと逆にダメというケースも有るので注意。ストーリーは文書類を読む事で理解する形式だが、昔風に全部大文字で一度に少ない分量しか表示されない為、10回以上進むをクリックして読み続けないとならない等、ここは全文を普通に読める形式でも良いのではないか。 |
GRAPHICS & SOUND |
Unreal Engine 4使用。キャラクターの表示は2Dスプライト(一枚板)だが、マップ構造は疑似3Dではなく完全な3D構成となっている。ピクセル系のクラシックなデザインだが、高解像度なのでスッキリもしているしクリーンなイメージ。昔風の古臭さはあまり感じられない。 グラフィックス設定は無し。解像度も自動でフルスクリーンとなり設定出来ない。 サウンドは3Dに対応しており、この点でも新鮮さを感じさせる。 |
感 想 | 単なる懐古的なアクションFPSではなく、新しいシステムを導入している点で高評価。ただしジャンプアクションの比重が高過ぎるなど、バランスとしては好みでは無い所もある。 失敗してやり直すほど自分が弱くなるというシステムは、進行を憶えているので有利になるという一面はあるにしろ、やはりハードコアなゲーム性を意図した設定だと考えられる。とにかく難易度を高くしてやり、その手のゲーマーにのみ受ければ良いという割り切りも当然ありなのだが、システムが面白そうなだけにそれに留まっては残念。セーブ出来ないという仕様は変えられないと思うので、基本となる難易度設定を可能にする等、もっと一般寄りにすれば人気作となる可能性も持っている。 現在の完成度: まだ非常に初期段階なので不明。 |
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