☆ DISPATCHER ☆

15/09/09 更新 目次          HOME
製作/販売 CivilSavages        公式サイト      STEAM      INDIE DB
配布状況  2015/08/18にリリースされた V0.05 が最新バージョン。ゲームのリリース日は2015/07/09。

 更新頻度: 5回ほどパッチがリリースされている

 Steam Greenlightにエントリーして、Greenlit経由で発売されている。


 デモは存在せず、早期アクセスで有料販売されているのみ。従ってプレイには購入が必要である。価格は$9.99。

概  要  CivilSavagesはロシアのインディーズ会社でこれがデビュー作。クレジットを見ると結構多くの人数で運営されている様である。

 10月中に正式発売に転じるのを目標に制作中である。なお公式サイトは更新されておらず、最新情報はSteam以外だとFacebookやTwitterを通じて行われている。

 プラットフォームはWindows, Mac, Linuxだが、現時点ではWindowsのみの対応となっている。


 人類が遠い宇宙への星間旅行を果たしている未来。未知の生物との初遭遇は最悪の形で迎える事になってしまった。宇宙船“Dispatcher”はエイリアンに襲われて内部はほぼ壊滅状態となり、残されたクルー達は脱出ポッドを使用しての緊急退避を目指すしか無くなっていた。プレイヤーは生き残りの中の一人となり、単独もしくは協力して脱出に向かいつつ、同時に「これは本当に事故だったのか?」という真相を探って行く事になる。

動作環境
  必要環境 推奨環境
CPU Core 2 Duo @ 2.4 Ghz / Athlon 64 X2 5200+ Core i5 @ 3.4 GHz / Phenom II X4 @ 3.6 GHz
MEMORY 4GB 8GB
VIDEO GeForce GTX 470 / Radeon HD 7850 GeForce GTX 670 / Radeon HD 7990
SOUND DirectX互換 同左
対応OS  Windows 7/8
DirectX 11以上要


 DirectX 11に対応したビデオカードが必要

 現時点でのバグとしては、ダクト内で立つと頭がマップ外に出てしまう事あり。他にマップの初回ロードが異様に長いケースがある。

 注意点としてプレイ中にマウスホイールでマウスの感度調整を行える様になっており、これを知らないとうっかりホイールを回転させた事でマウス感度が変更されてしまう恐れがある。

BASICS  目的はマップ内を徘徊するモンスター(エイリアン)に捕まらないようにしながら脱出ポッドまで到達する事。武器などは持っておらず、敵への攻撃手段を持たない逃走型ゲームである(正確にはモンスターを一時的に足止め出来るような手段を設ける予定があるが、現時点では実装されていないので逃げるだけしか出来ない状態)。

 あちらは宇宙船では無くて普通の船だが、ランダムに選択されたモンスターから逃げながら脱出を目指す, マップは一部がランダム生成, 敵を隠れてやり過ごすのが基本, セーブ不可、といった共通点からMonstrumとの比較にて良く言及されるゲームである。ただし現時点ではMonstrumの方が遥かに有名で且つ高評価を受けており、その知名度には大きな差がある。


 背景となるストーリーは持っているが、ゲーム内で発見するノートやレポートを読むだけで、別に作成されたカットシーン等は含まれていない。ストーリーは一切理解していなくても、ゲームとして楽しんで貰えればOKというスタンスである。

 ゲームの世界観設定には著名な『ALIEN』の他に、昔のB級ホラーSF映画に大きな影響を受けているそうで、『Forbidden World』(禁断の惑星エグザビア), 『Galaxy of Terror』(ギャラクシー・オブ・テラー/恐怖の惑星)などを例に挙げている。


 キャラクターの作成とその成長というRPG要素を持つ。これはMonstrumとは大きく異なる点。プレイ前にキャラクターを作成(キャラクターのステータス画面にはメニューからアクセス可能)。現時点では3人まで作成可能で、その中から使うキャラクターを自由に選択出来る。まずクラスは船内での職種を意味し、現バージョンでは全6種類中5種類を選べる。性別は職種により固定で、男性は顔を選べるが女性はまだ1種類しか用意されていない。次にバイオグラフィー(生い立ち)の選択となり、これは過去の職業や性質(ゲーマー等)といった類で奇抜なタイプも含まれている。

 キャラクターの持つ能力パラメーターは、エネルギー(おそらくヘルス値), スピード(スプリント速度), スタミナ(スプリント持続時間), 免疫(感染ダメージに対する抗力), 静かさ(移動ノイズの大小)の5項目。上記2つの選択項目にはそれぞれ各パラメーターの増減値が設定されており、それを加算した値が初期数値となる。これはマイナスとなるケースも有り。

 パラメーターを上げる為のポイントは金換算で、プレイ中にマップ内で見付けて入手したカードの合計額がそのままポイントになる。クリアボーナスなどは不明。管理はプレイしたキャラクターではなくアカウント単位(全てのキャラクターに共通で使える)。なおPerksは特殊能力の選択項目だが未実装。Rankは各パラメータの上限値アップとPerks項目のアンロックに関わるがこれもまだ機能していない。


 元々はCo-opホラーというのを売りにしていたゲームであり、このゲームとの共通性としてはMonstrumの他にDamned(人間4人チーム vs モンスター1匹担当形式の対戦専用Co-opゲーム)を挙げている。だが現時点ではマルチプレイは未実装。10月の正式販売時には導入される模様。参加者は2〜5人で、Damnedとは違ってモンスターをAIが担当出来るために普通のCo-opが可能。後はモンスターを人間が担当しての対戦モードや、倒されたプレイヤーがモンスターとして復活するモード等が導入される予定。ちなみにキャラクター作成時に不利なタイプのバイオグラフィー(全パラメーターがマイナス値の“馬鹿”等)が用意されているのは、Co-op時の個性化をより重視しての導入だそうだ。


 早期アクセス版という事もあり、いろいろと足りない点も存在している。第一にメニューの一部がロシア語のままで、またゲーム内の看板のメッセージもロシア語のままな箇所が有る。雰囲気としてロシア語のままにするのだとしても、重要な所も有るので字幕で翻訳メッセージを出す等を考えるべきだろう。第二にチュートリアルが足りない。ゲーム開始時に本編の他にPractice(練習)を選択出来るが、これは現時点では操作ガイドでもヒントをくれるモードでも無い状態と未完成。単に別の小さなマップでプレイが出来るだけで、難易度選択も出来ないしむしろ初心者には不親切になっている。よって現時点ではいきなり本編のプレイに入って構わない。ただしこのPracticeは本編とは異なるマップでプレイ出来るため、逆に慣れてきた後にプレイしてみる価値は持っている。


・マウス感度設定可。キーアサイン不可, 明るさ調整不可, サウンドボリューム調整不可。
・難易度設定は4種類
・字幕は無し
・セーブは出来ない

*一人称視点固定
*インベントリー画面あり
*照準はドット
*スプリントゲージあり
*ジャンプ, 屈み可能


 Greenlightに登録時に生首ゴロりを含めたグロいトレーラーのインパクトでも話題にされたゲームであり、実際にはそのトレーラーほどではないがグロ要素を持っている事は書き添えておく。千切れた手脚や惨殺された死体が転がっており、中にはその生首も有る。それ等ゴア設定の変更項目は無し。なおPracticeモードには独自のグロ要素が在るので興味のある方はそちらもどうぞ。

GAMEPLAY  現時点でのゲーム内容をMonstrumとの比較を混じえつつ書いていく。まずは基本事項の概略から。

   Dispatcher   Monstrum 
 敵のタイプ   4種類の中からランダム出現   3種類の中からランダム出現 
 敵 の 数  難易度によって異なる   常に一体のみ
 難 易 度  4種類  無し
 マップ構造  基本形状は固定。一部ランダム変化有り。  同左
 脱出方法  一つだけ。脱出箇所は二つの内でランダム。  三種類から自由選択。脱出箇所は各々固定。 
 敵への対抗手段   無い(足止め手段は実装予定)   倒せないが足止めする手段はあり 
 セーブ機能  無し。だが経験値を稼いで能力アップが可能。  無し。パーマデスなので能力アップも一切無し。  
     


 マップは現在一つだけ。基本的な構造は固定で、マップ内に簡単だが地図も用意されている。ランダム要素としては扉や空間の場所が壁で塞がれたりと、その都度通れるルートが一部変化する様になっている。スタート地点も数カ所から選ばれる方式。各種アイテム配置もランダム要素を含む。

 ゲームの進行形式を説明すると、マップは大きく二つのエリアに分割されており、最初は両者の間を行き来する事は出来ない。ここでスタートする方をエリアS, ゴールとなる脱出ポッドが有る側をエリアGと呼ぶとする。両者の間には3つの扉が存在しており、それぞれが別のアイテムを使用して開ける事が可能。それが画面下に表示されている赤と青のキーカード&フューズという3アイテムで、エリアS内にランダムに出現するこれを探し出すのが第一の目標となる(全てが出現するとは限らない)。発見したらそれぞれの該当する扉の場所へと行って、それを使用して開きエリアG側へと移動。エリアG側では脱出ポッドを目指す事になるが、その位置は2つある中から片方だけがランダムに選択される。片方はマップ内の大きなコンピューター(大きな騒音を出している)に付いているスイッチを作動させると扉が開く。もう片方はマップ内に落ちているキューブを念力で拾って持ち歩き、ポッド格納場所の扉の前に有るスイッチパネルの上に置けば良い。

 マップ構造にどの程度ランダム要素を含めるのかは難しい問題で、ランダム性を高くするとリプレイによる積み上げの経験が役に立たなくなったりと、攻略の際に戦略性が薄れてしまうという欠点が生じる。反対にこのDispatcherの様にランダム性が少ないケースでは、慣れてくると簡単になる傾向が強く現れてしまう恐れがある。実際にそうなっており、対策にはまず計画中の新マップ追加が欲しい所。後はマップの形状変更に、極端過ぎないレベルでより大き目の変化を加えられるタイプのシステムを導入するとか。


 先にチュートリアル情報が少ないと書いたが、モンスターについても情報が少ない状態。Monstrumの様にユーザー数が多いので有志のガイドが充実しているとかでもなく、対抗する上で非常に重要なモンスターの性質が公式にも公開されていないというのは大いに不満である。そのモンスターは4種類とも5種類とも述べられており、これはどういう風に数えるのかにも因るのだろう。

 常に同じ場所に居て動かないタイプがおそらくCatcherと呼ばれる物で、うっかりその液の上を通ると捕まって殺されてしまう(天井の穴から顔を覗かせている部分が本体なのか、盛り上がっている緑の液体の中に居るのか不明)。追って来る奴はトカゲというか例のエイリアンの様なタイプ(Hunter)と、人間型で体に丸い瘤状の物が出来ているタイプ(名前不明なので水玉)の2種類。水玉の方はバリエーションとして色違いが2種存在している(詳細な能力の違いは不明)。他だと出る際には常にエリアG側に出現するブラック(オレンジ)ホールとでも言うべき球体もモンスターにカウントするのかもしれない。あとは難易度Hardでのみ出現するタイプが居るという制作側のコメントも有るのだが確認出来ず。


 Monstrumとは違って難易度設定有り。開発側によればMediumは既にプレイに慣れているプレイヤー用で、最初はEasyからのスタートが推奨されている。また難易度とは独立して、バッテリー無限モード, 感染モード, シネマモードのオンオフを選択出来る。「バッテリー無限モード」はその名の通りで、デフォルトのオフだとフラッシュライトの使用にはバッテリーを見付けて補充しないとならない。その数は有限の割には減りは早く厳し目の設定だと感じられるが、無限モードにしても点けっぱなしでプレイ出来る訳では無いので、慣れてきたら難易度を上げる為に使うという程度でしばらくはオンでのプレイで良いのではないか。「感染モード」はオンにすると時間経過に応じて感染が進みヘルスが減少して行く。また放射能漏れの場所を通過する際により大きなダメージを受ける様だ。これはピルを集めて適用し治療しないとならない。当然オンにした方が難しいが、ピルの数が多いのとヘルスの減りがゆっくりなのでそれ程シビアではない。「シネマモード」は上下黒帯になるだけ。


 一人称視点固定だが視線を下げると自分のボディーが見える様になっており、血が付着していたりの演出も行われる。女性キャラクターだと胸の谷間が覗ける点は古いゲームだがTresspasserを連想させる。

 取れるオブジェクトはハイライト表示されるので判り易い。ハイライトされれば通常は照準が正確に合っていなくても取れる。一方で低い位置のアイテムは一々座らないと取れない様になっており、これは移動の自由度を奪う為にわざとそうしている可能性もある。開けて中を確認するのはほぼロッカーだけで、引き出し類を開けたりは無いのでMonstrumに比べると探索は楽。気になったのはエリア間を繋いでいる3つの扉のアイテム差し込み口がやや解り辛い点で、単なる通れない場所だと勘違いされる恐れもある。

 マップ内の障害としては緑色の放射能汚染地域があるが、これは大きなダメージも受けないし見た目ほど危険ではない。危ないのは赤と青の地雷で、赤は真上を通ると爆発して即死。近くに来た際には警告音で知らせてくれるが、逃げている最中などは怖い存在となる。青の方は電撃でこちらは警告音無し。上に乗ると感電してしばらくはそこから動けなくなる。これ自体で死ぬとかではないのだが、追われている時に乗ってしまったらほぼアウト。この地雷は撤去出来ないし、またモンスターを誘い込んでダメージを与える事も出来ない(現在変更を検討中)。


GAMEPLAY
(続)
 肝心の対モンスターの立ち回りについて。先に書いた通りに現時点では敵をスタンさせる様な足止め対抗策が実装されておらず、単に逃げる事しか出来ない。敵の能力及びタイプによる違いがハッキリしないので解る範囲で書くが、追い掛けて来るメインの敵であるハンターと水玉は基本的に音と光に反応してくる。つまりライトを点けていると危険であり、バッテリー無限であっても敵を照らしてしまう危険を考えるとなるべく消して移動した方が無難である。しかし暗い場所が多いので照らした方が楽で在るのは確かで、その辺の判断は難しくなっている。音の方は床の形状によって変化し、場所によってはこの宇宙船の床はベコベコなのかと不自然な位に大きな音が出る仕様。当然スプリントすれば大きな音になるので、こちらもなるべくスプリントを避けつつ探索するステルスプレイが理想となる。敵はノイズの範囲に入るとその周辺を探し回る能力を持っており、逆にこれを利用して誘き寄せるシステムも(Monstrum同様に)設けられている。

 マップが狭いというのもあるのだが、逃走時に隠れられる場所は少ない。Monstrumの様に隠れる事が可能な場所は山ほど用意されているのとは大きく異なる点となる。ただし絶対的な安全地帯が存在するという利点もあり。清掃用具入れとトイレの二箇所は中に入って扉を閉めてしまえば、そこに逃げ込んだところを見られていたとしても敵には開けられず安全である。しばらくすると行ってしまうのでその間に逃げ出せば良い。それ以外のケースだとライトを消して物陰等に隠れてやり過ごすという風になるが、どの程度隠れられているのかの判断は難しく、現時点ではこの程度なら大丈夫という程度は示せない(能力パラメーターの値も影響すると考えられるので尚更)。なのでステルスメーターの導入などは判り易くなって良いかもしれない。攻撃を受けた場合でも、一撃死もあれば助かったりしたりとハッキリせず、これもまたパラメータが絡んだりするので判定が困難である。

 タイプによる違いとしてはハンターの方が積極的に動き回って探す性質を持っている。その時の移動音が大きいのでこちらとしても位置が判り易い。逃走時の大きな違いはダクトで、水玉の方は屈んでダクト内に入って来られない為に、ダクトが完全な安全地帯となりこれは大きい。一方でハンターはダクト内を移動可能であり、そしてプレイヤーはダクト内をスプリント出来ないので、逆にダクト内に逃げ込むのは大変危険となる。では水玉の方が安全なのかと言うとそうでもなく、こちらの危険な所は曲がり角などで突っ立ったまま待ち伏せをしている事があり、足音がしないからと走っているといきなり鉢合わせて「うわっ!」とさせられたりする。なおハンターの方は滅多に無いがダクト内で待ち伏せを行う事があるので注意。どちらが出現しているのかを確認するまではダクト内の移動は危険と言う事である。

 操作についても書き添えておくと、やはり角から覗いて敵を確認する為のリーン操作が欲しい。それと屈んで移動するケースが多いのだが(移動音が減るとか、見付けられ難くなるのか確信は無いが)、操作キーの変更が出来ずにそれがCtrlキーなのでこれは変更可能にしてもらいたいところ(マウス側からサイドボタンに割り振ってプレイした)。


 Monstrumではパーマデスを採用して難易度設定も無しと、その高難易度を売りの一つにしているゲームでもあるが、対してDispatcherは難易度選択が可能で、更に死亡しても経験値獲得によりキャラクターの能力パラメーターを上昇させられるという措置を用意している。ではDispatcherは甘いのかと言うと、そうでも無いというのが5時間ほどプレイしてみての感想。少なくとも慣れるまではかなりの難易度を持った死にゲーである

 まずMedium以上では敵が同時に2体以上出現する為に相当な難易度アップとなる。狭いマップ内を性質の異なる2体の敵から逃げ回るのは大変。敵が一体だけのEasyでも難易度は高く、その大きな原因は逃げ込める場所が少ない上に、スプリント時のスタミナ切れが早くて短時間しか逃げられないという点にある。つまり能力値を上げないと厳しいというバランスで、おそらく制作側の難易度調整もそれを見越していると考えられる。つまり最初の数時間はポイントを稼いでのレベルアップに努めて、それからようやくEasyのクリアに挑戦出来るようになるという設定。実際にスピードやスタミナが改善されてくると相当変わってくるのが体感出来る。

 だが「クリアするにはレベルアップが重要だが、その為のポイントはクリアしないと得られない」というシステムであり、失敗した際には見付けていた金(ポイント)は全部失ってしまう(ノートだけは発見状態が残る)。そこでどうするのかという解決策の一つ目が一番下の難易度である“No Enemy”で、これはその名の通りに敵が出現しないモードである(細かい事を言えば、壁越しに敵の声が聞こえる場所は有る)。地雷などはそのままなので絶対に死なない訳では無いし、また得られるポイントは他の難易度より低めになるが、これをチュートリアル代わりにでもプレイすればある程度の成長は可能である。なお繰り返せば幾らでも稼げる事になるがが、ゲームとしては退屈になるのは言うまでも無い。

 もう一つはTransactionを利用する方法。これは非常に重要なシステムなのだがゲーム内にて解説が無く、掲示板に説明があるのみ。自分もプレイ中に気が付いてから調べて意味を知ったが、これを知らないと不利になるので良く理解しておいて欲しい。インベントリーを開くとこのTransactionボタンが有り、これは一回のプレイ中に一度だけ押して発動させる事が可能。それまでに稼いでいたポイントの半分を犠牲にする代わりに、残りの半分を自分のポイントデータへと転送するという処理である。通常は途中で死亡したら全てパーになってしまうポイントを、任意の時にこれを実行することで死亡しても保持出来る様にするが、ペナルティーとしてポイントの半分しか得られないというシステム。実行後に稼いだポイントはクリアすれば得られるが、死んだらリセットという点は変わらない。最初の内はある程度稼いだらこれを実行する事で、死亡してもポイントを得てレベルアップする事が可能となる。ただし実行時期は難しく、なるべく粘ってポイントを得てからの方が理想だが、引っ張り過ぎて死んでしまえば獲得出来ずに終わるし、逆に早くやり過ぎるとその後稼いだ分はクリア出来ないと再度の転送は不可能なので無駄になってしまう。


 ホラーという点ではとても優れており、今の所これはMonstrumにも勝っているという印象。Monstrumは船の中の雰囲気それ自体はあまり怖くないし、暗いエリアの割合が特に多くも無いのに対して、こちらは無人の宇宙船内を探索するという雰囲気が相当に怖い上に、多くのエリアにてライトを消すと前が良く見えないレベルの暗さなのがそれに拍車を掛けている。敵に追われるにしても、暗闇で姿が良く見えない状態の敵が向こうから走って来るのは非常に怖い。それとMonstrumではプレイヤー側に敵への対抗手段を始めとして、いろいろな事項がシステムとして用意されているという多様さを持つのに対し、こちらは単純な分ほぼ逃げるしか無くダイレクトに恐怖感が伝わってくるゲーム性。更にマップが狭いので敵との遭遇の恐怖が常に付きまとい緊張感が持続する様になっている。


 最後に問題に感じられた点を幾つか。マップのランダム生成に関して。まず基本形状は一緒なので、慣れて憶えてくるとかなり楽になってくる感は否定出来ない。繰り返すがよりランダム性を高めるか、マップ数を増やすかのどちらか(or両方)が重要になるだろう。それとクリアの必須アイテムである三種だが、フューズの出現確率が他の二種類に比較してやたらと高い上に、出現場所が数カ所の中の一つという程度のランダムで、且つスタート地点のすぐそばに出てしまう事もあったりする。その場合にはダッシュでエリアG側に抜けてしまう事で大幅に簡単に進められる様になってしまう。一応は単にクリアするのが目的では無く、クリアと共にレベルアップ用に高ポイントを稼ぐのが大事なので、アイテムを入手してからもエリアS側で金の回収を行ってから動くべきである。だから大きな欠陥では無いとも言えそうだが、アイテムの発見場所が限定されているのは詰まらないというのも確かだ。よってある程度計算(調整)されたランダム性というのも考えるべきだろう。例えばキーアイテムは簡単では無いと考えられる出現場所に限定しておいて、その中からランダムにする等。

 モンスター側がチート(調整)を使うかどうか?というのも難しい件になる。例としてマップが広い際にモンスターにちゃんとプレイヤーを探させる様にすると、場合によっては全く現れなくなってしまうので、一定時間見付けられなければプレイヤーの近くにワープさせる等、インチキかも知れないがゲームとして面白くするのを優先するならその方が良いというケースがあったりする。Dispatcherではマップが狭いというのもあり、こういったチートは使用せずモンスターに探索用のAIを持たせてちゃんとマップ内を移動させている。フェアではあるがその為にいきなりスタート直後に遭遇してしまったり、プレイヤーの居場所から離れてしまって脅威にならないという状況が発生するデメリットも持っている。

 エリアG側の扱いも気になった。こちら側には完全に隠れられる場所が無く、それが理由なのかエリアS側の敵がやって来ない様にされているらしい。何回もプレイしたが、接続地点で遭遇して追われない限りは入って来ない模様。よって敵はこちら側専用のブラックホールだけで、こいつは扱いが簡単なので難関にはならず、エリアS側に比べて随分と簡単になってしまい怖さも減退。地雷に気を付けてプレイしていれば良く、ゴールの方法も2種類だけなので達成も楽である。実際問題として難易度Hardでもこちらに駆け込んでしまえばそれで終わりといった感じで、何等かの形で調整が必要だろう。


GRAPHICS
&
SOUND
 Unreal Engine 4を使用。グラフィックス設定項目は多数。最高設定だと綺麗な部類に入ると思う。暗い宇宙船内の雰囲気描写が秀逸。

 何より特筆すべきは3Dサウンドの出来栄えで、5.1chスピーカー環境での再生になるが定位感が非常に良い(ヘッドフォン未検証)。敵の移動音が大きく、また壁越しにでも結構音が通るので、近場に居る敵の位置や移動方向がかなり正確に検知出来る。よってこちらに向かって来ている際の恐怖感の演出が優れているし、逃げる方向を考えたりするのにも有効な情報になってプレイに面白さを加えている。

 BGMは普段は静かで 敵が出現すると恐怖感を煽る様な過激な物が大きく鳴り出す仕様。これにより敵が去って行ったかを判断する事も出来る。

感  想  まだ早期アクセスであり未完成な部分も散見されるが、現時点でも楽しめるし今後に期待も出来そう。定価が安いのも強み。発売期間が異なるので一概に比較は出来ないが、Steamspyのデータを見るとデビュー作としては売り上げは優秀な部類とは思うが(4,659 ± 1,634)、Monstrum(17,434 ± 3,162)に比べると大分劣っている状態。まだ知名度が低いのとセールをやっていないので、何かのキッカケで広く知られる様になるか、セールになったら大幅に売り上げを伸ばせる可能性を秘めている。


 相当怖いので暗闇をベースにした逃走型のホラーゲームが好きな人向け。或いはSFホラー設定が好きな人、例えばAlien: Isolationの雰囲気(ゲームプレイでは無く)が好みという方にもお勧め出来そう。ホラーゲームにはSFテーマの物は意外に少ないので貴重である。Co-opについてはまだ未知数なので、それに期待される方は実装まで待った方が良いだろう。

 なおMonstrumが好きだったら気に入るかとなると微妙な所もあり、設定は良く似ているがプレイ感は結構異なっている。Monstrumは脱出(orそれに近い状態)まで行ったら結構ワンプレイに時間が掛かるのに対して、こちらはずっと短時間でワンプレイが終了する。Monstrumは脱出準備に時間が掛かるだけに失敗した際に最初からやり直しになると徒労感が強いが、それだけ達成時に満足感は高くなるだろう。対してこちらは気軽に繰り返しプレイ出来るのが好みという人には受けそうだが、Monstrumが好きな人にはシンプル過ぎると感じられる恐れもある。

 出来る事もMonstrumに比較すれば少ないし、それだけ自由度は低い。モンスターの能力の差別化とかもMonstrumの方がハッキリしており、多様性という面ではこちらが負けているのは否めない。まあそれぞれ良さがあるのでMonstrumに似せるように発展させる必要は無いが、もっとリプレイ性を増すようにする事が要求されるのは確かである。


 現在の完成度: バージョンがやけに低い状態だが、早期アクセスから正規版への移行は10月中予定という点から既に完成に近付いていると言える。しかし現在少な目のコンテンツを充実させる考えもあるようなので、正規発売後からでも十分なボリュームとなるまでにはまだ時間が掛かるかもしれない。

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