☆ THE FALLING SUN ☆

15/08/23 更新 目次          HOME
製作/販売 Lone Planet Studios        公式サイト      STEAM      Facebook
配布状況  2014/08/21にDesuraにて発売。その後2015/04/07にSteamでも早期アクセスが開始されている。Steamでの価格は現在$4.99。なおDesuraの方では現在販売が停止されている状態。

 V1.03が現時点での最新バージョンで、今回のレビューに使用しているのもこれになる。

 更新頻度: Steamでの発売以来、3回パッチがリリースされている

 デモは存在せず、早期アクセスで有料販売されているのみ。従ってプレイには購入が必要である。

概  要  Lone Planet StudiosはUKのインディーズ会社でこれがデビュー作。現在の人員は3人らしいが、外部協力者なのかクレジットには6人ほど名前が挙がっている。

 発売当初のアナウンスでは三部作を予定しており、資金調達の為にまず第一部だけを先行販売するとしていた。現在のSteam版はACT 2までリリース済み。だが現在では三部作の文字が消えており、それで完結するのか更に続くのかは不明になっている。またACTの数が第X部とイコールなのかもハッキリしない。販売はEP単位の分割売りではなく、購入で以降のリリースされるコンテンツはDLCを含めて全て無料という形態。

 予定では早期アクセスの開始から6〜8ヶ月で製品版としての発売に切り替えるとされており、それだと2015年の10〜12月に早期アクセスが外れるという計算になる。ただし購入以降のコンテンツは無料という姿勢なので、ストーリーの完結前に通常の製品版へと切り替えられるという可能性もある。


 既にバンドルで売られたりもしているし、Desuraでも発売開始から早々に75%オフにて長期間販売されていた記憶があり、あまり資金は稼げないと自らが判断した上での低予算ゲームと見て良いだろう。

 プラットフォームは現在Windowsのみ。


 舞台は第二次世界大戦後のビルマ(ミャンマー)。元は英国の統括地だったこの国は戦時中日本軍に占拠されていたが、日本の撤退により再び英国の支配下に置かれる状態となっていた。だがある地域においてそこを治める役目の部隊からの連絡が途絶えてしまう。プレイヤーは事態の調査に向かった一兵士だが、そこで日本軍の行っていた秘密研究を知る事になる。


動作環境
  必要環境 推奨環境
CPU Intel Dual-Core 2.4 GHz AMD Athlon II X3 450 3.2GHz
MEMORY 2 GB 4 GB
VIDEO VRAM 512MB VRAM 1GB
SOUND DirectX 9.0c 互換 同左
対応OS  Windows 7
DirectX 9.0c以上要


 Unityで制作されている。私の環境では動作が不安定等の問題は感じられなかった。

 一度だけだが死亡時のロード地点がずっと前になってしまう件に遭遇した。メインメニューから続行すると正常に進行。


BASICS  現時点ではキャンペーンがACT 2まで。他にサバイバルモードの用のマップが3個収録されている。シングルプレイ用でマルチプレイには対応していない。

 商品頁を見るとサバイバルホラーの様な印象を受けるが、実際にプレイしてみるとそこまでホラーにこだわった内容では無い。逆にシューター的な要素も含んでおり、どういうゲーム性なのかと聞かれるとちょっと困る。開発側も「プレイヤーのフィードバック次第で今後どの様にでも変わる」とコメントしており、ゲーム性に関して強いこだわりは無い模様。現在の中身についてはゲームプレイの項で詳しく説明する。


・キーアサイン可, 明るさ調整可(プレイ開始後), サウンドボリューム調整可。マウス感度設定は不可。
・難易度設定無し
・字幕は無し

 チェックポイントセーブ方式。ACTの中が短く区切られており、マップの切り替え時にセーブされる。セーブポイントは一箇所だけを上書き方式。


*一人称視点固定
*アイアンサイトあり
*インベントリー画面は無し
*照準無し

 ヘルスはアイテム回復方式でマップ内のメディキットで治療する(携帯は不可)。メディキットは数が少なく、脇道に有る事が多い。なおバグと思われるが、マップ切り替え直後に何故かダメージを受けてしまい、ヘルスの値が低くなっていないにも関わらず赤画面のままそれが消えないという事があった。

 低予算ゲームとしては珍しいがFOVスライダーを備えている。垂直FOVを50〜90に調整可能(デフォルトは60)。16:9のアスペクト比で言うなら水平FOVの値を80〜120(デフォルト90)に調整出来るという意味。

GAMEPLAY  現行バージョンはACT 2の終了までに1時間程度しか掛からず、これで次のACT 3で完結するのならボリューム不足という感はある。

 進行は一本道で幾らか脇道があるだけ。行けそうに見えても透明な壁で進めない箇所が多い。ビルマを想わせる様な印象的な建造物は一部だけだが、インドアにおいては戦争後の雑然としていて汚らしい場所という感じは良く出ている。ストーリーは書類を見付けて読んでいくという方式で語られるが、少なくともACT 2の範囲までは内容としては在り来たりで面白味に欠ける。


 先にホラーという観点からの感想だが、そこら中が真っ暗という設定では無いし、フラッシュライトは無限使用可能。更にアウトドアが結構あったりで閉塞感も少ない。敵も曲がり角や背後から突然襲ってくるというケースはなく、ある程度前方に姿を捉えてからこちらに向かって来るというスタイル。よって慎重に歩を進めながら敵の出現に怯えるといった状況にはならない。そしてプレイヤーをビックリさせるのが目的というイベントも用意されていない。

 そうなると雰囲気で怖がらせるという方向性になってくるが、グラフィックスは特に良くない為にそこは弱く、敵の見た目も怖いという訳では無い。転がっている死体なども綺麗で同様にグロテスクでは無し。サウンドの方では突然鳴らして怖がらせようという意図は感じられるがこちらも効果は薄いという印象。


 続いては戦闘要素に関して。武器はピストルの一種類のみとなり、落ちている多数の武器類は拾えない設定。そして入手可能な弾薬は相当少な目で、且つ近接打撃攻撃が用意されていない。つまり敵を倒すにはピストルで撃つしか無いのだが、数少ない弾薬が切れてしまった場合にはもう倒す事は出来なくなる。その際にスプリント速度が敵よりも遅い為に走って逃げる事はおそらく不可能。よって弾薬が切れた状態で敵が出現したら詰みになる。この弾薬は「プレイヤーの現在の所持数が減ったら自動的にマップ内に出現する」という調整機能も無い様だし、各マップの先頭から敵に遭遇する位置までに最低限の数が置いてあるという風にもなっていない。そしてセーブ地点は上書きで一箇所のみとなるから、現在のマップにて弾薬切れで敵を倒せなくなったらゲームを最初からやり直すしか無いと思われる。

 この「少ない弾薬を切らさないようにしないとならない」という仕様はサバイバルホラーであり、その緊張感=ホラー要素としてデザインされていると言えよう。だが実際には怖さを生むのには成功していないという印象である。敵はプレイヤーが先に視認出来る地点から襲い掛かって来るし、その動きも変則的ではない。よって照準が無いとは言え命中させるのは容易く、FPSによほど不慣れでもない限りは狙いを外す可能性は低い。そして突然近距離からの奇襲等も行わないので、それに慌てて弾を外してしまうというケースも無い。つまり失敗して無駄撃ちする危険性はほぼ無いので、メインルートに有る弾を拾っていけばそれで足りてしまう為に、弾薬は少ないが弾切れする怖さはまるで無いという状況になってしまう(壊せるのではないかと序盤にオブジェクト類を無駄撃ちでもしていなければだが)。この点は難易度が低いという意味合いにもなり、これもまたサバイバルホラー感を出すにはマイナスである。


 銃撃の基本部分も作り込みが甘い。アイアンサイトが可能だが、命中率の変化などは明確には感じられず。敵にヘッドショットによる高ダメージ判定が存在するのかも不明。とりあえず体に当てるだけで倒せるしそれで弾薬も足りる。当たっているのかも判り難く、近くで見ないと判らない程度に白煙エフェクトがある程度。流血やゴア要素は最初から置かれている死体に関してもかなり控え目である。

 一箇所だけ大量の弾薬が手に入った直後に、敵の猛ラッシュを制限時間内耐えるという撃ちまくりの防御イベント有り。他は簡単だがここだけは結構難易度が高い。ただ武器が一種類なのでそれ程面白くは無いのは残念。


 サバイバルモードは単純に敵の無限ラッシュを撃って倒すだけで、一体でも侵入されたらゲームオーバーとなる。武器が一種類だけしかないし現状では詰まらないとしか言えない。この仕様ではマップを増やしたところでダメだろう。

GRAPHICS
&
SOUND
 グラフィックスの設定は多数用意されているが、最高にしても凄いというレベルの品質では無い。。ロケーションが独特なだけにオリジナルのコンテンツも多いのだとは思うが、異国情緒の表現も今一つという印象である。


 サウンドも寂しい感じで、ホラーを強めるならばもっと凝った方が良いし、戦闘主体にするなら銃声とかの質を高めるべきだろう。BGMの方も現地をイメージさせる様な物を増やした方が良い。

感  想  制作チームは「武器や敵の種類をもっと増やす予定がある」と言っているが、ホラーゲームとしての面も強めたいともしており今後の方向性は良く解らない状況にある。先に書いたように「ユーザーのフィードバック次第で如何なる風にでも変わって行く可能性がある」そうなので尚更だ。

 サバイバルホラー要素を強化するとした場合、敵を近場に突然出現させたりといった驚かせ要素はやはり必要だろう。それと現在の弾薬が非常に少ないという設定はともかくとして、複数のセーブポイントが無いので最悪詰みになってしまうという仕様は明らかに不味い。そこで弾が無くなった際にはホラー定番の近接武器によるヒット&アウェイ戦闘を可能にするべきとは思うが、近接戦闘は自分の武器のモーションや敵のダメージリアクション等のアニメーション作成が難しく(リアルに武器を振り回している感覚と、敵に当たっている感を出すにはかなりの手間と高度な技術が必要)、金の無いインディーズ会社にとっては厳しいものがあるのも事実。

 個人的にはこれならホラーの雰囲気はある程度保った上で、シューターとしての面を強める方が上手く行く様な気がする。戦闘の発生回数は現在の倍くらいあっても良さそう。そしてモデリング&アニメーションの質は妥協してその分銃器や敵の種類を増やし、やはり敵を突然出したりといったシチュエーションを使って緊張感を出す様にしていく。その方が低予算制作においてはボロが出難い。


 定価は安いとは言え、現段階では質的にもボリューム的にも合格点は与えられない。ここから格段にゲームプレイのクオリティが向上するとは残念ながら考えられないので、グラフィックス面でビルマの異国情緒に力を入れてそれを売りにするというのも一つの手かもしれない。いずれにせよ今後の改善次第となり、よほど安く手に入るのでなければまだ手を出すには早いと評価しておく。


 現在の完成度: ACT 3で終了するなら2/3出来ている事になるが、1,2も改造するらしいのでまだ半分程度といった所だろう。

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