☆ GONE WITH THE DEMON ☆

17/05/23 更新 目次          HOME
製作/販売 BoyAndWitch Studio        公式サイト     STEAM     itch.io    INDIE DB
配布状況  2017/05/04にリリースされた V0.8.12 (1.39GB) がデモの最新バージョン。Steamを通してもダウンロード可能。

 更新頻度: デモとしては2回目のアップデート版

 Steam GreenlightからGreenlit経由で発売。早期アクセスの開始日は2017/01/26で現在\1,480。

 現時点ではデモと製品版はほぼ同じバージョンだが、今後もデモ版が更新されていくのかは不明。

概  要  BoyAndWitch Studioは韓国の二人組。少なくとも2009年から活動しており、これまでにモバイル向けのゲームを何本か制作している。PCゲームではこれが初めての作品。

 プラットフォームはWindowsのみ。早期アクセスは発売から半年〜一年程度続く予定と記載されている。

 デモのリリースに踏み切った理由としてはユーザーからのリアクションが少ないからだそうで、実際に掲示板のスレッド数は少ないし、SteamSpyで見られる(予想)販売本数の数値も低い。現在では膨大な量のインディーズゲームがリリースされている為に、「面白そうor詰まらなそう」という判断以前に作品の存在自体が知られていないケースが増加という問題があってどこも苦労している状態にある。それを打開するにはセールを実施して一覧リストから発見してもらうというのが定番だが、デモを公開するという手段も有効でありその両方を同時に実行したという流れ(セールは既に終了している)。


 悪魔の存在が人間に認知されているという世界観。古の昔から地下深くに悪魔は棲んでいる事が知られているが、人間側と戦争をしているといった設定では無い様だ。悪魔は地上の人間達を理由は不明のままにさらっていくので、身内を奪われた人間達が手を組んで悪魔の世界に到達する為の地下施設を建設しているという状況にある。しかし悪魔側もこれに対抗する為に施設内に侵入。直接あるいは地下施設内の人間の精神を乗っ取って同士討ちをさせるという手段でそれを妨害していた。主人公はさらわれた妻を取り戻す為に地下施設に乗り込んだが、既に味方となる正常な人間はほとんどいないという状況下で悪魔の地下帝国を目指す事になる。

動作環境
  必要環境 推奨環境
OS Windows 7 SP1 (64 bit) Windows 10 (64 bit)
CPU X64 Dual Core CPU, 2+ GHz X64 Quad Core CPU, 3+ GHz
MEMORY 4 GB 8 GB
VIDEO GeForce GTX 750 GeForce GTX 960
SOUND DirectX 互換 同左

DirectX 11以上要

BASICS  一人称視点での近接戦闘ゲーム。一部に投擲出来るアイテムは存在するが、飛び道具となる銃器類は無いという近接特化型なのが珍しい点

 素手, ナイフ, レンチ, ハンマー, バット等、使える武器は現在14種類(製品版)。アイテムスロットに入れて複数持ち歩ける。各武器には専用のコンボ攻撃あり。石やレンガ、火炎瓶などを投げての攻撃も可能。

 スタミナの概念が在り、高速で連続攻撃を繰り出せる反射神経重視のゲーム性ではない。反対にタクティカルな戦い方を強く要求されるデザインとなっている。


 RPG的なレベルアップ要素を持ち、敵を倒した際に得られるデーモンエッセンスを消費してVitality, Endurance, Strength, Dexterity, Agilityの五項目を アップグレード出来る。具体的にはヘルス, スタミナ, 攻撃力, 防御力, スピードの5項目のパラメータの幾つかが連動して上昇する仕組み。武器類はあるパラメーターの値が低いと装備出来ないケースもある。

 アイテム類は落ちているバッグ等から回収するか、倒した敵から得たコインを使用して自販機でも買える。飲む事でスタミナやヘルスをその場で回復したり、スタミナの減りを短時間遅くする効果を得られるといった物が用意されている。


 ゲームの進行はマップ内を探索して、ロックの掛かっている扉を開ける為のキーを見付けたり、スイッチを入れたりしながら先に進めるといった形式。シークレットエリアなども用意されており、全てを探索しないとならないという構造では無い。デモ版では地下二階までの2階層をプレイ出来る。


・キーアサイン不可×, マウス感度設定可○, 明るさ調整可○, サウンドボリューム調整可○
・難易度設定無し
・字幕無し(必要なし)
・チェックポイントセーブ方式(履歴機能もある)


*一人称視点固定, FOV調整機能有り
*インベントリー画面有り
*照準ON/OFF可能
*スプリント○, 屈み×, ジャンプ×
*コントローラー対応
*現在のオブジェクティブ表示機能無し
*親切なマップ機能が有りオーバーレイ表示させたままで行動も出来る

 新規ゲームにおけるチュートリアルは背後のドアを通ればスキップ可能。

 両方共にやってみたが、このゲームに関しては操作はコントローラー推奨。コントローラーを使い慣れていない私であってもこの意見となる。マウス+KBだと左右攻撃に当たるマウスクリックのレスポンスが悪いという印象。それと指のポジション移動がコントローラーよりも多くなるというデメリットもあり。キー配置が変えられないというのも人によっては難点となる(CTRLキー使用時など)。コントローラーだと視点移動で明らかに劣るが、基本的に戦闘時はロックオンして戦うので視点移動はあまり利用しない為に気にならない。通常移動時にアイテムに照準を合わせるのが遅くなる程度。

GAMEPLAY   戦闘はタクティカルな要素を重視しており、スローな印象を受けるのが大きな特徴。間合いを重視しているというのか、やたらと連打せずに敵の隙を突いてタイミング良く攻撃するというスタイルのゲームになっている。相手の高速攻撃を反射神経で受けて立つというゲーム性では無い。作者は極端な言い方と思うがターンベース的な格闘という表現も使っている。攻撃コマンドを出してからそれが達成されるまでのアニメーションがゆっくりだったり、ヒット時にそれをハッキリと見せる為にスローダウンしたりという演出があるので、あまりにもスピード感が足りなさ過ぎるといった批判も見受けられるが、自分としては好みのデザインである。

 戦闘の最中にポーズを掛けられるのもそのデザインによる物だろう。ポーズ状態からアイテム使用などを行える(選択を行えるのみで実行には時間が掛かる)。4個用意されているクイックスロットに装備しておけばポーズを掛けずに使用可能だが、誤って使用してしまい貴重なアイテムが消費されてしまう危険性があり、テンポは悪くなるがインベントリーからの方が安全。


 戦闘の基本を順に。対峙する敵にロックオンするのが基本となり、複数居る場合は切り替えも可能。ロックオン状態だと敵に向いたままで円を描いて移動する様になるので細かい移動操作から解放される。攻撃は左右方向から行い、敵の攻撃も左右からで上下方向の攻防はほぼ無し。基本攻撃は左右からの打撃と武器によって異なるコンボアタック。コンボ攻撃はダメージが大きい代わりに隙が大きくなる。敵はブロックもしてくるのでやみくもに打っても効果は薄く、敵の大振り攻撃モーションが終了した際の隙を狙う等の作戦が重要となる。ブロックしている敵には足蹴りによるガードブレイク攻撃もあり。

 防御としての基本はブロックだが、ブロックしていてもダメージは入るので確実に避けるならばドッジで逃げる。しかし単純な後方ドッジは安全な代わりに距離を置いてしまうので攻撃時に踏み込まないとならなくなる。そこで左右への回り込みドッジの方が有効となるのだが、こちらは成功させるタイミングが難しくなる。最も有効なのは敵の攻撃が当たる直前にブロックする事で発動するカウンターアタックだが、大ダメージを与えられる代わりに失敗するとこちらがダメージを受けてしまう。

 特殊な攻撃としてはバックスタッブがあり、敵が気が付いていない状態で背後から攻撃すると特殊攻撃が発動する(効かない敵も居る)。これは大きなダメージを与えられるので、ステルス的な移動も大事となる。

 武器についてはデモにどの程度が用意されているのかは不明。バッグをサーチした際にランダムで入手可能という可能性もある。なお敵の落とした物は拾えないので注意(アイテムとして用意されている物を入手する方式)。それと耐久力が設定されているので無限には使えない仕様。


 中でも厄介、別の見方をするなら戦闘を面白くしているのがスタミナの扱いである。攻撃だけではなく防御や移動でも消費されるが、その消耗速度が激しくて簡単に尽きてしまう。ただし回復も早いのでそれを考慮しての戦い方が重要となる。突っ込んで行って単純に連打したらすぐに無くなるし、ガードしても減って行くので防ぎ続けて攻撃タイミングを狙うという訳にも行かない。連打しているうちに踏み込んだ「ここぞ」という瞬間に無くなり、逆に敵にカウンター攻撃を喰ったりと勢いだけでは勝てなくなっている。なおスタミナが無くなると画面の色が変わるので判るが、常に残量を把握する為にもっと画面中央近くの解り易い場所に表示させるオプションが在っても良いと感じられる。


 敵はタイプ別に攻撃方法がバラエティに富んでおり、デモの中だけでも結構いろいろと出て来る。デーモンタイプは確認したのは地下二階の最後に登場するボスと、いきなり最初に遭遇したボス風の敵。後者はその後に消えてしまうのでイベント的な何かかも知れない。後は扉として何回か出現するタイプで、これは倒すと消えてそこが通れる様になるのだが特殊な攻撃をしないと倒す事が出来ない。

 人間型のAIはちゃんと防御もしてきたりと変では無いが、特に賢い動きをしてくるという風でも無い。かなり接近しても気が付かなかったりするので、同時に二人以上を相手にしないように立ち回るのも大事となる。ただすぐ横で行われている戦闘に反応しないケースもあったのは問題。普通は同じルートを巡廻しており、それを把握して背後を取る事が可能な敵も居る(足音に気が付かないのでロックオンせずにスプリント → ロックオン → 攻撃で大ダメージ)。


 製品版ではどうなのか知らないがマップは見た目に単調で弱点の一つ。親切なマップ機能が有るので良いが、もっと外観からどの辺に居るのかが解る方が望ましい。階層ごとにももっと変化があるべきだろう。少ないがトラップが仕掛けられている場所も在って、上手く敵を巻き込む事も出来る。シークレットは直接的な外観やマップの形状から推測可能な事もあるが、見付かるメモにヒントが書かれていたりもする。それと箱類の壊せる物は稀にだが中からアイテムが出るケースもあった。


GAMEPLAY
(続)
 ゲームのコア部分は面白いのだが、それを台無しにするようなシステムが存在しているのが最大の問題。それは難易度設定が無く、そしてその難易度が高いという点。耐久力が低くてあっと言う間に死ぬバランスで、もっとこちら側が敵を倒すのに時間が掛かるとしても、同様にこちら側も長時間耐えられる様にするべきではないか。

 戦闘毎にヘルスがリセットされるのではないから、大きなダメージを負ったら次の戦闘までに回復させないとならない。しかしほとんどの置かれている回復アイテムがリスポーンしない設定で、かつ置かれている数は少ない。またコインを使って自販機で買うには高価となっている。クイックスロットに入れておいて適用しながら戦えるのなら良いのだが、それを頻繁に出来るほどコインは無い。

 特に初期の拳だとダメージが低くて厳しいのだが、武器はなかなか手に入らない(ランダム要素もあるようで、初回は包丁が早目に入手出来たが、やり直した際には長い間武器は手に入らず)。この難易度ならもっと早く武器を出すべきと感じる。

 カウンター攻撃が有効なのだが、大半の敵にはほとんどというレベルで成功しない(効果がない敵も居る)。ここは判定が厳し過ぎる等の批判が多くなっており、仕様等を含めて修正するとコメントしているので将来的には治るであろう。


 更に話をおかしくしているのが死亡(ダウン)の扱い。何箇所か用意されているベッドがセーブポイントとなっており(ドアに緑ランプの場所)、寝るとヘルスが回復する(コストやペナルティは無い様だ)。よって危なくなったら戻るという手もあり。レベルアップもここで行う。

 プレイヤーがダウンした場合にはここからやり直しとなるが、セーブ時点のデータに戻るのでは無くてそのまま続行という形態となる。そしてペナルティとしてプレイヤーがダウンする毎に敵が強くなっていくというシステムが問題(画面左上のアイコンが段々と赤くなって行く)。自動難易度調整というシステムの是非は置いておくとして、プレイヤーが強いので敵を強く修正していくのなら解るが、逆にプレイヤーが弱ければ敵を強くして行くという謎仕様。この敵のレベルアップをリセットするにはトーテムを見付けて、そこにレベルアップに使用するエッセンスを捧げるというシステムで(高段階に達しているほど高コスト)、当然貴重なエッセンスが失われてしまうというデメリットが発生する。


 もっと詳しくゲームの構成を説明すると、プレイヤーのダウン時には開けてあったドアは閉じられて、ほとんどの部屋の中の敵はリスポーンするという仕様。ペナルティーとして敵のレベルが上がるが、プレイヤーの稼いだエッセンスは消えず(武器の耐久度も戻る)にそのままベッドから続行となる。そこでプレイヤーは「勝てないのでレベルを上げて強くなりたい」と考えるならば戦いたい相手の居る部屋を開けて再戦を挑み、倒されつつも敵を倒した分は繰り返しエッセンスは稼げるという設定。敵のレベルは上がるが上限があり(8段階)、それ以上はないので強い敵相手に苦戦しながらもレベル上げを続けても良いし、強過ぎると感じるなら時間は掛かるがトーテムで一旦リセットしても良い。

 つまりたった一つの高難易度を設けて、プレイヤーがこれを順調にクリア出来るのならばそれで良し。勝てないのならば繰り返しリスポーンする敵と戦う事で、何とかなるまでレベル上げを続ければ良いというデザイン(無限にはレベル上げは出来ないそうだが)。私自身は順調にクリアなど出来ず、結局敵レベルの上昇は気にせずに、強い敵相手にダウンしながらも何とか倒しつつレベルを上げていくというRPGの様な手法でクリアしたが、ゴリ押しなので面白さが減退してしまったのは間違いない。

 他にも、どの部屋も何回でも同じ敵が同じ状態で待っているのでとても不自然だし、マップ進行が同じエリアで長時間停滞してしまう。それと逆にスキルの高いプレイヤーの場合、こちらは難易度が上昇しないから手応えは無いまま。しかも倒す必要がある敵は少なく、どれだけ繰り返し部屋を開けて戦うのかはプレイヤー次第なので、急ぐのならばすぐに先に進められてしまうという問題も発生する。


 なので普通のゲームの様にした方が良いという意見。敵はリスポーンせずに、プレイヤーは死亡したらセーブ時の状態からそのまま再開される(セーブ後に倒した敵は元に戻っているし、稼いだ経験値も無くなっている)。これなら脇道以外の敵の数は固定されるから、プレイヤーが稼げる経験値(到達レベル)はほぼ同一となり、このエリアに到達した時にはレベルXという風に計算が可能。そのレベルアップに合わせて出現する敵の強さを調整するという風にする。後は難易度設定も設けて、プレイヤーのスキルに応じて敵の強さを選択可能に。マップ内進行もこれならずっと早くなり、景観の変化も短期で発生する様になるというメリットもあり。要は普通のFPSと同じ様にすれば良いという話。


 あるいは格闘ゲームでも、普通の難易度でAIと戦える様になるまでには何(十)時間も練習しないとならない等の難しさは持っている。だが難易度を下げて自分側の技の練習や、敵の攻撃パターンに対する練習は可能なのに対し、このゲームにはそういった練習の場所が無い。そこで一度出現した敵は練習場で繰り返し戦える等のシステムが欲しい。ゲーム内だと死亡してからの繰り返しの移動が面倒だし、死亡時に難易度上昇が加わってしまうという問題がある。


GRAPHICS
&
SOUND
 Unreal Engine 4を使用。クオリティのプリセットは4種。他に個別設定項目も多数有り。

 どうしてもインディーズ会社だとアニメーションの稚拙さが目立ってしまう事が多いのだが、想像していたよりもちゃんとしておりグラフィックスが欠点という印象は無し。しかし先に書いたように風景の単調さは要改善事項。後はデーモンのデザインはどうか?という気がしたが、種類が多いのならば許容範囲だろう。

 モーションブラーはオフにも出来る。それとSSを見ると派手なエフェクトが見られるが、実際のプレイ中はそこまで気にならないレベルである。


 3Dサウンド対応。ボイス系は無く寂しい。こういうタイプはバトル中のBGMは別に不要なのでそこは充実させなくても良いが、戦闘時の効果音関連はもっと多彩な物が望ましい。

感  想  Greenlight時&発売された時も見た憶えはあるのだが、それ以後まるで気にせずにいたタイトル。しかしプレイしてみるとかなり良く出来ており、もっと売れても良さそうなゲームである。これだけのレベルの物が全然知られずに埋もれているのか...という感じもする位だ。

 実際にどんな物なのか確認出来るという意味でこういったデモは大変ありがたいのだが、当然そこにはプレイした事で買わなくなるというリスクも含まれている。このゲームにおいてはスピード感に欠ける戦闘であったり、高い難易度設定が気に入らないといった理由で。しかしプラスマイナスを考えると売上増の効果の方が大きそうで、個人的には難易度関連に文句を書いたが、まだ開発途中でデザイン等に改善の可能性もあるので今後に注目しておきたい作品となった。

 一人称視点で近接格闘に特化した物(銃器の概念が無いor希薄)は少ないので(Condemned, Zeno Clashとか)、その辺が好みという方にはお勧め。気に入るかどうかは解らないが、少なくとも試す価値は在ると言える。


 現在の完成度: 早期アクセスは開始されているが、ユーザーの意見を聞きたい等でまだこれからという状態。ゲーム自体はちゃんとプレイ出来るが、バランスや仕様変更などはまだ大きな変化も有り得るという段階である。予定通りだと年内に正式発売だが、改善項目が増えればそれもどうなるか判らない。デモの影響で売り上げが伸びればまた変わってくる可能性もある。

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