☆ GRAVE ☆


14/07/14 更新 目次          HOME
製作/販売 Broken Window Studios        公式サイト      STEAM      INDIE DB
配布状況  現在無料で公開されているのはKickstarterキャンペーン用に制作された Grave_Kickstarter_FreeDemo.1.zip (244MB)。

 投資してくれた人限定でより新しいバージョンを配布していくとあるのだが、既にそれが行われているのかは確認出来なかった。

 無料デモとしてはこれが最初にリリースされたバージョンとなる。

 Kickstarterにて資金集めに成功。SteamでもGreenlitに到達している。

概  要  制作のBroken Window StudiosはTristan Parishが妻と2013年に起ち上げたアメリカのインディーズ会社で、現在他にアドベンチャーゲーム&TPSの対戦マルチプレイゲームを平行開発と幅広く活動しているが、最初にリリースされるのはこのゲームとなるようである。

 2015初頭に発売予定。プラットフォームは現在Windows, Mac, Linux, Xbox Oneが決定済み。他のコンソールでも発売を計画しているがこちらはメーカーの許可(契約)が必要で、展示会に出品したのをMSが気に入ってくれてXbox Oneでは即発売が決定したのに対し、ソニーとの交渉は難航しておりまだ計画段階に留まっている。またVRヘッドセットを重視しており、Xbox OneではOculus Riftを対応させられれば移植が楽になるが、PS4では専用デバイスを使う路線なのでそれに対応させる必要が出て来ると、小規模スタジオだけに移植が遅れる可能性があるとしている。


 オープンワールド, マップなどのランダム生成要素, サバイバルホラーをミックスさせたユニークなゲームとなり、ストーリーの方は概要だけで詳細は明かされていない。


動作環境
必要環境 推奨環境
CPU Dual Core processor
MEMORY 2 GB
VIDEO Geforce 9700
SOUND
対応OS  XP / Vista / Windows 7/8
DirectX 9.0c以上要


 Unity 3D での制作。このデモにおいてもOculus Rift, Xbox 360 controllerに対応している。

 まだ技術的な面には問題があり、デモではRadeonのカードを使うと草がグロー表示で光る様な描画異常が発生する。またIntelなどオンボード系のビデオでは正常に動作しないという報告も在り。

 私の環境では不安定さなどは無かった。


BASICS  舞台となるのは現実世界ではなく異世界。サルバドール・ダリの絵画やデヴィッド・リンチの世界観に強い影響を受けており、シュールなオブジェクトや光景が随所に設けられている。突然目の前にその場に不釣り合いな建造物が出現したり消えたりするし、完全に人間界とは異なる奇抜な世界も登場するといった具合らしい。主人公はその世界からの脱出を目指すのが目的だそうで、他のキャラクターなども登場するしっかりとしたストーリーを設けているが、世界自体が狂っているので登場人物も異常者が多いとある。

 デモでプレイ可能なのはスタート地点となる砂漠のゴーストタウンで、照りつける明るい太陽はホラーには不向きな設定だが、これにはデザイナーのTristanがアリゾナの出身で、子供の頃からこういったゴーストタウンに良く行っており、昔は人が住んでいた場所が空っぽになっているという得体の知れない恐怖感を表現したかったのがあるそうだ。それとゲームの特徴の一つである昼夜切り替えシステムに格好の場所というのも関係している。

 通常は「ホラー = 暗い場所」であるが、このゲームでは明るい場所が大半となっておりそれが一つの特徴である。ただし明るいとは日中の意味であり、リアルタイムで昼と夜が切り替わる仕組み。モンスターは光を嫌うので夜になると多数出現し、それに備えて昼間はアイテム集めなどの準備を行う。そして夜には敵と戦って朝になるまで生き延びるというのが基本パターンとなる。これを繰り返してゴール条件に達すると次の異世界へという風に進み、その各世界は風景等が大きく異なる設定にされているそうだ。


 次の特徴がランダム要素とリプレイ性。アイテム配置や出現する敵はランダムとなり、何が何所に出現するのかはプレイする度に異なる。これにはホラーゲームにおける深刻な問題が関連しており、それは「プレイヤーが失敗してはリトライを繰り返すと、次第にそれが“そのチャレンジを成功させる為のゲーム”と化してしまい怖さを感じなくなる」という件で、同じ問題に対してAmnesia: The Dark Descentでは「2回続けて失敗したらその時点で無かった事にして先に進めてしまう」という大胆な手法で一つの解決策を示した(詳しい解説はこちら)。

 一方でGraveでは二回として同じ事が発生しないランダムなゲーム設計を採用しており、何所でどんな敵が出現するのか推測出来ないという状況は、繰り返しのリトライ時でも恐怖感の維持に効果的だとしている。ただこの様な配置にランダム性を持ったホラーゲームは既に幾つも存在しており、これから使っても独自性は低下する。そこでこのゲームが使っているのが、建物等のオブジェクトがランダムに発生するというシステムになる。マップ内の構造がプレイの度に変化するというホラーゲームは既に存在するが、このゲームでは建物の内部構造が変わるのでは無く、出現する建物自体が変化するという設定を使っている。

 例えばこのデモだと基本となる建物はその存在と内部構造に変化はないのだが、リトライ時に離れた場所に別の建造物が出現したり消えたりする様になっている。そして確かにこの方が、建物の内部構造が変化するよりも効果的だと感じられた。


 敵は闇になると出現するので、こちらの攻撃方法も光をベースにした物となる。この件についてはAlan Wakeと同じ様な物なのか?と繰り返し質問されるそうだが、あれとは大きく異なるシステムだと強調している。プレイヤーが入手可能なアイテムにはフラッシュライト, フレア, ガソリン, マッチ, フラッシュバン等があり(銃器は一切無し)、フラッシュライトの光を強化して敵を倒したり出来るのは似ているが、ガソリンを捲いてから火を点けたり、フレアを投げて敵を倒したりと攻撃方法の幅は広い。

 敵のタイプはかなりの数に上るが、倒す為の方法はその種類によって異なるという点が売りとされている。決して殺せないタイプも居れば、逆に光に寄ってくるタイプも居るし、音に弱いタイプも居る。よってまずはその弱点と有効な対処方法を探り、それに応じて攻撃手段を切り替える必要がある。音に弱いのならばフラッシュバンを炸裂させて動きを麻痺させたり、熱に弱いのならば光では無く炎を作り出すといった具合。とにかくこれを使えばどれでも倒せるというアイテムを作らず、全ての敵に対して臨機応変に使用アイテムを選ばないとならない事で戦闘を面白くする狙いを持っている。


 Oculus RiftによるVRは非常に重要視しているが、それがないと楽しめない様なゲームにはしないと明言している。

GAMEPLAY
・キーはランチャーで設定可能だが、全ての操作キーが表示される訳では無いというUnityにはよくあるパターン
・ジャンプは実質出来ないが、よじ登りは一部の箇所で可能
・スプリントと屈みは可能
・マウス感度の設定と明るさ調整は不可
・ホイールで使用アイテム切り替え
・セーブは奇妙な形状のオブジェクトで行われる

 デモではスタート地点の固定マップと、その次の実際に戦闘が行われるマップの二つを収録。二つ目のマップでは中心となる建物は変わらないが、そこから離れた場所に別の建造物が出現したりするランダム要素を含む。なお遠く離れた場所に行こうとすると元に戻されたり、遠くの蜃気楼の様に見えている建物群に向かって行くとクレジット画面に飛んで終わってしまう様である。シュールで奇妙な建物やオブジェクトが出現したり消えたりするのはなかなか壮観で良く出来ているという感想。


 夜になると敵が出現する様になるので、昼間の内に集めたアイテムを使って対抗する。必ず出現するフラッシュライトがメインとなり、これを増幅モードで照らして敵を消滅させるのが基本となる。なお遠くへと逃げてしまうと時間が経過しない模様。それと発電機を稼働させて周囲のランプを点灯させて防ぐという方法も採れるが、これは二回目以降はガソリンが無いと駄目な様だ。

 戦闘の方はまだどんな物なのか一部を体験出来るという程度で、調整等が上手く行っていないというか成されていない感が強い。最初のプレイ時に数多くのアイテムが手に入るのだが、リトライ時には極端に出現数が少なくなってしまう。話によるとリトライ時には所持していたアイテムの一部を持った状態で復活出来る仕様らしいのだが、それが機能していないと思われる。

 バランス調整も難しくし過ぎたそうで、ヘルスが100%表示されているが敵の攻撃一発で即死。敵の出現時は物凄い叫び声がするので位置を把握可能だが、走ってくる際に足音がしないので、目の前の敵を処理している間に背後から攻撃されて死亡が多発する。ランダムだからなのか同時出現数が多い時もあり、そうなるとアイテム類が少なくてとても太刀打ち出来ないという状態。

GRAPHICS
&
SOUND
 グラフィクスとして風景や建物類は綺麗な部類。しかし敵のデザインやアニメーションは改善の必要性を感じさせる。それと投げたマッチが透過してしまったり、敵がオブジェクトを透過しながら追って来たりと、物理エンジンとの絡みもまだまだである。

 サウンドは種類も少なく評価は保留。

感  想  世界観の方は素晴らしくて気に入ったし、ビジュアル的にもレベルが高いと思う。こういう奇妙な感じのゲームは個人的には好み。正確に言えば奇妙なゲームと言うよりは、制作者が何を考えているのか良く解らない様な物が好きである(綿密に計算されて作られた変なゲームよりも、変な人が作ったちゃんとしていないゲームの方が好み)。

 ただしゲーム内容についてはこれからどうなるのか未知数な部分が多く、戦闘システムなどは詰まらない物となって失敗する可能性も結構ありそうな気がしている。ホラーの方もランダムにする事で予測不可にする効果は得られるが、効果的に計算されたホラーシーンの演出が出来ないというデメリットもある為に、凄く怖くなるのかどうかはまだ疑わしい。しかし裏を返せば非常にオリジナリティの高いゲームとなる可能性も秘めている訳で、その辺の先が読み辛い所も現時点では魅力の一つとなっていると言えよう。


 現在の完成度: 既にマップの方がどの程度作られているのか判らないが、そちらのデザインなどが終了しているなら予定通りに2015年初頭に出せるのではないか。戦闘の方も多数の敵のアニメーション作成などが大変そうだが、こちらはある程度手抜きして発売後に治すという手段も可能である。このデモではその独特な世界観を味わう事は出来るが、戦闘関連の方はバランスがおかしくて楽しめない。戦闘面に興味がある人は今後の改善されたバージョンを待った方が良いだろう。

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