☆ AN INSTINCTIVE FEAR ☆

15/09/25 更新 目次          HOME
製作/販売 Cool _Beans (Burger)        公式サイト      FPSC掲示板      INDIE DB
配布状況  2012/10/10にリリースされた デモ(301MB) が最新バージョン。

 更新頻度: 一度アップデートされている


 プロトタイプとしてリリースされている無料デモのみ。

概  要  ニュージーランドのBurger氏のプロジェクト。これが最初の制作ゲームとなる。チームでは無く個人制作だが、簡易制作ツールであるFPSCにて制作されており、その有料販売アセットなどが利用されている。他にクレジットもあるが、実際の協力者では無く制作用素材提供者の一覧だと思われる。

 プラットフォームはWindowsのみ。

 プロトタイプとなるデモが公開されたのは既に3年前。その後は掲示板にて積極的に進行状況を報告。このデモ版以降のレベルは既に制作が進んでおり、新たなシステム等の導入された要素は自身のYoutubeの動画頁にて実際に動いている所を公開したりしている。そして2013/08には新システムを組み込んだ新たなデモ版を公開する事をアナウンス。ところがここから報告が止まってしまい今に至っている。それまでの報告ペースからすると突然過ぎるという感が強いのだが、SNSなどへの登録が無い様なので理由は調べられない。コメントを見るとFPSC掲示板での活動は2013/09で最後。Indie DBの方でも最後のオンラインは2013/12となっており、安否の心配をしてしまうほどに音沙汰が無くなっている。


 舞台は未来でロケーションは不明。主人公は大怪我をした状態で目覚めるが、自分が誰でここがどこなのかも解らない状態。場所は宇宙船内だと思われるが、内部では何等かの惨劇があった様子で生存者は見当たらない。そこから脱出ポッドを見付けて脱出するのが目的となる。

動作環境  動作環境は公開されていない。トラブル関連はサポート頁のFPSCの項目を参照。

 インストールしたフォルダ内にグラフィックスのセッティングを行う別のプログラムが用意されている。もし動作が重い場合や、レベルのローディング時に落ちたりする際には、テクスチャーのクオリティを落としてみるというテストが有効。

 レベル5にてクルーの居住エリア内の階段でフレームレートが激減する箇所ありと注意がある(実際に発生した)。落ちたりもする恐れがあるので、その前にセーブを行っておいた方が良い。

BASICS  サバイバル要素を含んだホラー物とされているが、近接打撃武器は用意されておらず銃器のみ。その弾薬も少ないという設定では無い為に、シビアなバランスという印象は少なくともこのデモからは受けない。パズル関連はFPSCの性能からして複雑な物を組み込むのは困難だと話しており、あまりこの要素に凝った物でも無さそう。よってジャンルとしてはアクションホラー物と考えられる。未来の宇宙船が舞台, ミュータント(モンスター)との戦闘, シンプルなパズル要素と進行ルート探索といった点から、身も蓋もない言い方をするなら超低予算版Dead Spaceみたいな感じになるだろうか。


 今回レビューしているバージョンから既にかなりのアップグレードや改善が図られており、公開されている範囲では以下の通り。

・所持アイテムを参照可能なインベントリーシステムを追加
・オートマッピング搭載
・新規アイテムとなるツールキット等を追加
・マップ先頭でのオートセーブ機能
・テキスト類を読む際にスキップ可能に
・ゲーム内にムービーを用意
・ボイスを追加

 サバイバルモードの追加もアナウンスされている。これは閉じられたエリア内で湧いて出る敵を相手にするホードモード。ポイントを稼いで武器を購入したり出来るシステムになっている。マルチプレイ(Co-op)への対応については、「あるかもしれないがFPSCだし...」との否定的な返答。FPSC自体にはマルチプレイ用のプログラムが搭載されているが、Co-op用には向かないという意味なのか良く解らない。


・明るさ調整可(<>キー)。キーアサイン不可, マウス感度設定不可, サウンドボリューム調整不可。
・難易度設定無し
・字幕あり

 任意の地点でのセーブ&ロード可能。FPSCにおける大きな欠陥であるロードの成功率は割と高い感じだったが、このゲームはロードが必要となるシーンが少なかったので何とも言えない。とにかく新規レベルをロードしたら即セーブという習慣は付けておくべき。なお最初からレベル5のある地点のセーブデータが入っているのだが、これは消し忘れなのか先に書いたL5での障害時のやり直し用に入っている物なのか不明。


*一人称視点固定
*インベントリー画面は無し
*照準無し
*アイアンサイト(トグルのみ)
*スプリント, ジャンプ, 屈みあり
*UseはFキー, 対象アイテムの情報を見るのはIキー

GAMEPLAY  収録マップ(レベル)は5個で、急がなければ1時間弱程度はプレイ出来ると思う。

 ストーリーはロード画面やPDAを読んで情報を得ていくのだが、詳細な情報が含まれている訳では無く、どの様な経緯で何が起こったのかは不明なままである。その意味で面白味は無い。ログはボイス無しでテキストのみと寂しく、またスキップが出来ないという仕様(これ等は修正される予定)。

 進行は主にキーを見付けたりやスイッチを入れたりで進められ、その他にはログ等のテキストを読んでヒントを得ていくという風になっている。よってテキスト類を読んで解答(ヒント)を得ないと進めなくなる箇所も在り。凝ったパズルを入れたりしたいそうだが、FPSCの仕様上複雑な事は困難。レベル5に若干異なるタイプが用意されているがその程度しか出来ないと嘆いている。

 インベントリーシステムもアップデート版には用意されているが、このデモには無いのでアイテムを取ってメッセージが出た瞬間を確認しておかないと、それを既に取得しているのかという確認が出来なくなる。またそのアイテム自体がFPSCの常で見た目に確認し辛いという問題がある(キーを取ったというメッセージが表示されて、そこで初めて自分がそれを今取ったのを知るというケースが多い)。

 インターフェースとしてはFキー押下で対象物の情報を見られるが、それを見られるオブジェクトがどれなのかの判別が付け辛い。また解像度が高いとメッセージの文字が小さくなるという問題も生じる。後はハシゴを降りるのに操作がやり辛く、落下してダメージを受ける事が多かった。


 内部のオブジェクトにはいろいろと変化を付けているが、同じ宇宙船内なので雰囲気に大きな変化は無し。だが私がプレイした中だとFPSCにはSFがテーマの作品が少なく、その意味で新鮮な印象は受けた。進行は一本道だが脇道ルートが用意されており、各レベルに一つずつ収集用アイテムが隠されている(デモでは集めても意味が無さそうだが)。


 探索がメインで戦闘は想像していたほどは無し。ただ敵の出し方が上手いという印象で、頻繁に出ると常に身構えてしまうが、油断した頃に出現させたりして驚かせるというのに成功している。しかし難易度的に易しいというバランスなのはマイナス。メディキットはほとんど無いという設定だが、戦闘自体が少なくて被ダメージは低目なのでシビアでは無い。難易度選択を設けるか、サバイバル感を出す為にもっと厳しめにしても良いだろう。後はステルス推奨でのイベントシーンが一箇所用意されているが、こういったテンポの変化は面白いので積極的に導入して貰いたい。

 武器は銃器のみで二種類、敵も基本的に一種類だけの様でこれではちょっと寂しい。だがサバイバルモードの追加に応じて敵や武器の種類が増えているので、アップグレード版ではもっとバラエティに富んだ物となる筈である。


 その他に気付いた問題点としては、第一に最初のシーンが何をすれば良いのかやや解り辛いという気がする。次に地図は壁に用意されているのだが、これを見ても構造が解り難い。第三に最後のレベルはもっと盛り上げる感じの構成にするべきでは?と感じられた。あっさりと終わってしまう。

GRAPHICS
&
SOUND
 有料の素材パックがメインらしくオリジナルの3Dコンテンツは少ない様だが、そもそもそういう人向けの制作ツールなのでそこは仕方がない。FPSCのゲームにはマップ内の景観やオブジェクト配置が雑過ぎる&粗過ぎる物が目立つのだが、その点このゲームは有料アセットにしろ整然という感じに構成されておりSF的な雰囲気をちゃんと出している。よってグラフィックス面でもFPSC製ゲームの中では水準以上という評価

 序盤でスーツ(ヘルメット?)の様な装備を身に着けてからは青いHUD表示となり、これだと描画面積が減るようである。なお内部設定をいじってアスペクト比を16:9にしているのでその影響があるのかも知れない。それとそのアスペクト比変更によりSSでのHUDの数字表示は変になっている(サポート頁のFPSCの項目を参照)。


 音数が少ない感じでサウンド類は充実していない。唯一銃器のサウンドはSF的なエネルギータイプの物に差し替えられておりこれは良いと思う。

感  想  FPSC製のゲームとしては上位に入る出来栄え。SFテーマの物は少ないという印象なのでその意味でも貴重である。私の場合FPSC製のゲームをいろいろと試すのに比較的新しい物から優先してプレイしていたのだが、このFPSCクラシック版はアップデートが既に3年前に停止している為、(それ以後に出たユーザー作成のスクリプト類は存在するものの)その2012年以降ならば昔だから質が劣るという訳では無さそうである。

 出る予定だったアップデート版の更新内容を見ると相当充実しているし、レベルを追加した完成版を有料で売るにしても結構行けるんじゃないかと思わせる。開発再開を期待したいタイトルである。


 現在の完成度: レベル数としては全部で9レベル程度らしいので半分位はこのデモに含まれているが、新しくしたシステムでこのデモのレベルも作り直すらしいので7割程度の完成度といったところか。しかしもし将来的に開発が再開されるとしても、エンジンをGameGuruに移すとかになると時間がかなり掛かりそうである。

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