☆ INUA ☆

17/06/06 更新 目次          HOME
製作/販売 Betrayal Games                公式サイト     INDIE DB
配布状況  2016/05/04にリリースされた  早期デモ (929MB) が最新バージョン。

 更新頻度: これが最初のリリース版

 このデモは今後どういう風にゲームを発展させていくのかを判断する為にリリースされており、ユーザーの反応を知りたいという話だったのだが、既に結構時間が経過しているにもかかわらずその後アナウンスは行われていない。

 既に一年ほど前の段階での話だが、以下の様な案を検討中とはコメントしている。

・Greenlightに登録してGreenlitを目指しSteamで販売する
・Kickstarterでより大規模なプロジェクトにするためのクラウドファンディングを実施
・コンソールへの移植(既にコントローラー操作に対応しているので難関は少ないとしている)

概  要  SMU Guildhallにおいて卒業研究の一環として制作された作品。The Guildhall at Southern Methodist Universityとはテキサス州にある著名なゲーム開発者養成学校(テキサスにはゲーム制作会社が多く、そういった会社からの要請に応じて設立されたという背景がある)。同学校からは生徒達の制作した多数のゲームが一般公開されており、Steamでも発売済みの物だとKraven Manorなどが在る。

 この作品はMatt Worrell氏がプロデューサーとなり14人のチームで制作されている。期間は半年ほど。プラットフォームはWindowsのみ。

 こういったゲーム制作学校内でのプロジェクト作品は、その後卒業生が制作を続行するために会社を設立するというケースもあるのだが、権利関係が学校側にも存在しているのでややこしい問題に発展する可能性がある。だがこの作品は既に権利関係がクリアされているそうで、これから商業作品として発展する事になっても問題は無いそうだ。

 Intel主催のUniversity Games Showcase at GDC 2016において「Best Visual Quality」賞を受賞している。

 “Inua”とはイヌイット(主にカナダ地域のエスキモー)の間で、全ての生物や自然に宿っている魂を意味する言葉。


 主人公のKayaはあるイヌイットの部族の一人。しかし彼等は信仰する女神からの寵愛を失ってしまい、同時に自分達の持つ特殊な能力をも失ってしまう。Kayaは部族を代表して古の力である炎と氷を操る能力を再度身に付けるために、女神の設ける神殿でのチャレンジに挑む事になる。


 注) プレイするつもりならばこのトレーラーは先に視ない事をお勧めする(ネタバレ有り)

動作環境  必要環境は明らかにされていない。

BASICS  一人称視点でのアクションパズルゲーム。Portal以来さまざまなこのタイプのゲームがリリースされておりライバルは多い。

 このゲームでは根幹の要素として、左右それぞれの手に宿した「凍結」と「炎」の二つの力を使い分けながらパズルを解いていく様になっており、ルールは複雑ではないが、かと言ってパズルが易しい訳ではないという路線。

 (一人称視点ではこの系統が多いが)純粋にパズルを解くためのロジックだけではなく、それを実現する為のアクションを成功させないとならないケースもある。ただしこのデモにおいては難易度の高いタイミングアクションなどは含まれていない。制限時間はあっても十分に余裕はあるという様に設定されている。


・キーアサイン不可×, マウス感度設定可○, 明るさ調整不可×, サウンドボリューム調整不可×
・難易度設定無し
・字幕無し
・オートセーブ機能あり。ただしゲーム中のみで、メニューに戻ると最初から。


*一人称視点固定, FOV調整機能無し
*インベントリー画面無し
*照準有り
*スプリント×, 屈み×, ジャンプ○
*コントローラー対応


GAMEPLAY  パズルなのでボリューム的には個人差が生じるために何とも言えないが、私は1時間程度はプレイ出来た。

 最初は「凍結」の能力のみで、途中から「炎」の方も使える様になる。「凍結」は連続放射が可能。「炎」はファイアーボールの様に小型の弾を飛ばす様なイメージ。エネルギーの様な概念はなく無限に使える。

 死亡した場合には直前のシーンからやり直しとなる。そのエリア内の進行状況もそのまま残されるので最初からやり直す必要は無し。


 システム関連のチュートリアル的な文章は出るのだが、一度だけで消えてしまうので基本的なシステムをまとめておく。

・冷気の吹き出し口に「凍結」を使用して大きな冷凍ブロックを作成出来る(あまり接近すると上手く行かない)
・ブロックはEキーで持ち運んで、自分が乗る台座やスイッチを押す重しに出来る
・ブロックを投げる事は出来ない(高台の上に放ったりは不可)
・ブロックは一定時間が経過すると消える(数分は持つ)
・水面や溶岩は凍らせてその上を歩ける。ただし短時間しか持たないので連続して放射しないと危険。
・滝は下方へと落下する箇所を「凍結」で凍らせて止められる(既に落下している水に吹き付けてもダメ)

・「炎」は印の付いている台座を点す事でそのスイッチをオンに出来る
・「炎」で「凍結」させた物を溶かせる


 ハッキリしなかったのがブロックの扱い。まずは誰でも考える事だが、高い場所へと登ろうとするのにブロックを二段重ねにして実行しようとする。しかし最初に二段重ねに出来なかったので、それは出来ないというシステムであると考えたのだが、物理エンジンの影響を受ける為に完全に平らでは無い場所で下の段をやや傾けられれば出来てしまったりと仕様が判別出来ず。

 それとブロックを持ったままで別のブロックの上に乗り、段差の高い場所へとブロックを移動出来るのかについて。おそらくパズルの構成上出来ない事にされていると考えられるが(それが出来るとパズルにならない箇所が在るため)、これも場所によっては出来たりする事があった(バグかマップ構造の見落とし)。なお屈みが出来ないので、上に乗った後に下にあるブロックを掴んで持ち上げる事は出来ない。


 途中から守護神としてゴーレムが出現する。通常は順路をずっと移動しているが、同じレベル(段差)にカヤが降りると追い掛けて来る。接近すると殴り攻撃。だが移動は速くないし、高い場所へと逃げてしまえば追っては来られない。2回連続して殴られると死亡?扱いとなるが、パズルの進行はそのままで高台に復活するので特に脅威にはなっていない。

 それよりもこのゴーレムはパズルの一部となっており、「凍結」させるとその場で一定時間停止、「炎」を当てるとその方向に向かって突進してくるという特性を持ち、これを利用して解くパズルが含まれている。


 パズルの質は最初はどうという事はないが、中盤からは手応えのある物も出て来て楽しめた。難解では無いが簡単には解けず、先を読んでいろいろと操作していかないとならなかったりと面白い。この手の物は物理演算に過剰に頼りがちなタイプが多いのだが、独自のメカニックを導入したりと新鮮さが感じられる点でも評価が高い。なおパズルのヒントとして画が描かれている箇所もあり、これはかなり参考になるので解らなければそれを見ながら考えると良い。


 他にはMural(壁画)という物が用意されており、これは巻物を入手すると埋められていく。背景世界やストーリーの解説に使われている。巻物はシークレットの様にして隠されている物も有りコンプリートは難しいと思われる。


 ゲームのバグとしてはゴーレムのスタックが一度発生した。配布ページにもスタックの件は書かれており、一度リセット(自殺等)してからやり直すという指示があるのだが、もしその場でやり直せないケースではセーブ機能が無いので最初からとなってしまう事になる。

GRAPHICS
&
SOUND
 Unreal Engine 4を使用。クオリティのプリセットは無し。個別設定項目は6個。

 グラフィックスはインディーズとしては上位に入るクオリティを持つ。テクスチャ系は特に精度は高くないが、エフェクト類は凝っている物が多い。それと仮想的な神殿をテーマにしており、それは当然独自の創作デザインとなる訳だが、そのアートとしての出来映えも良好と言える。この辺りは開発メンバーの多さが有効に働いていると言えそう。


 3Dサウンド対応。ボイス有り。BGMの質が高いという印象。

感  想  ゲーム開発の専門学校による制作というのもあるのだろうが、インディーズの作品の中ではかなりレベルが高い部類。パズルを増やしてボリュームがもっと有ればこのまま売られても違和感が無い作品である。

 こういった一人称視点でのパズルが好きな方には特にお勧め。必死に急いで実行したり、難しいタイミングアクションを要求されるシーンは無し。じっくりと手順を考えて解決するロジック重視型となる。


 現在の完成度: システムとしてはおそらく完成しており、追加するとなればより多くのパズルという事になる。このままでも一応発売は可能だろうが、5ドル以上とかにするならパズルの数(プレイ持続時間)を数倍に増やさないとならないであろう。

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ヒントと解答  解決方法が一通りとは断定出来ないのと、バグ利用と言うのか開発側の想定していない方法でクリアしてしまえる可能性もあるので、この方法が絶対という訳ではない(プレイ動画も見付からなかった)。以下ネタバレなので反転





*最初のゴーレムの出現エリア (高台に登る方法)
 ゴーレムを凍らせてそれを2段目の台として利用する。やり易い位置に誘導してから行わないとならない。あるいはブロックを重ねても可能かもしれない。向かって左側は階段部分を使うと成功した。



*最初のゴーレムの出現エリア2 (ブロックを中央上段に乗せる方法)
 先に制作したブロックを川の中に流して中央で引っ掛けて止めておく。この状態から左右の段に上ってプレートを作動させると、持ち上がるプレートが一緒にブロックを乗せて迫り上がる(手前側のプレートは向かって右側のスイッチ)。後はブロックが消える前に中央上段に登ってブロックを確保し、スイッチに乗せれば完了。



*ゴーレムが巡廻している溶岩系のエリア
 ここでは上段のスイッチに乗って扉を開けた状態にて、「炎」でゴーレムを撃つ事で隣のエリア内へと誘導。上方の滝と上下するプレートを使ってゴーレムを画の描かれた上方の出口へと連れて行ってこのエリア内から出せばOK。



*遠くの通路をゴーレムが巡廻しており、溶岩の上に大きな装置がある場所

1.これと2番のプロセスは必須なのか検証していないので、2つのスイッチに乗っても回転装置が動かないのならば実施して欲しい。両側の滝を凍らせて水が台座に掛からない様にする → 下の方に行って回転装置の左右の台座に「炎」で点火する → 左側は溶岩上を凍らせながら回り込む。

2.上に戻って滝を「炎」で一度元に戻し、2つの回転スイッチを使って台座の火を消してしまう。これでゴーレムが再び動き出す様になる。

3.滝を凍らせて片方の台座に点火。点いていない方を手前に持って来て、ゴーレムが中央に来た時に点火してやる。これでゴーレムが中央で止まるので、扉に連続して精霊?が飛んできて完全に開くようになる。

4.回転装置を台座に水が掛かる位置へと操作。扉を抜けた位置から「炎」で滝を元に戻す。ゴーレムが再度動き出す。

5.小さな階段の上から隙間を通してゴーレムを「炎」で撃ち、突進させてスイッチ上に乗せる