☆ KIDNAPPED ☆


14/08/06 更新 目次          HOME
製作/販売 Deceptive Games        公式サイト      STEAM      INDIE DB
配布状況  2014/07/07にリリースされた Pre Alpha v1.6(332MB) が最新バージョン。

 Steam Greenlitに到達しており、これから早期アクセスに登録されるのかは不明だが、資金はあるらしく完成後に普通に売られる可能性の方が高そうだ。現時点では無料配布のデモバージョンが有るのみとなる。

 更新頻度としては、今回紹介しているのは三回目のリリースバージョンである。

概  要  Deceptive Gamesは英国(ウェールズ)のインディーズ会社でこれがデビュー作。現在は二人だけで制作している模様。

 このゲームについては"Psychological story-driven adventure horror game"と称している。発売予定は六ヶ月以内を見込んでおり、現在70〜75%まで完成している。

 プラットフォームはWindows, Mac, Linux。Oculus Riftやコンソール版への対応も検討中。


 主人公はスコットランドから来たSebastian Lee。彼は1992年の冬に何の痕跡も残さずに謎の失踪をし、その後は行方不明のままとなっているが、 実は何物かに誘拐されていた。プレイヤーは彼の身に何が起きていたのかを体験する事になる。

動作環境
必要環境 推奨環境
CPU 3.2Ghz Dual Core -
MEMORY 4GB -
VIDEO VRAM 512 MB -
SOUND - -
対応OS  2000 / XP / Vista
DirectX 9.0c以上要


 詳細は発表されていない。上記は初期のデモにおけるものである。

 Unityを使用。障害情報等は掲示板も無いしほとんど見当たらない。前バージョンにおけるフレームレートの低下問題は最新版では解決している。


BASICS  基本として探索と謎解きがメインのホラーゲーム。敵から逃げたり隠れたりの要素を含むが、近年の流行には背を向けており武器を用いた戦闘要素を導入している。とは言ってもシューティング系ではなく、限られた数の弾薬しか入手出来ず、後はパワーの弱い近接武器に頼らないとならないというバランス設定。具体的には初代バイオハザードを類型作品として挙げている。

 ストーリーを重視しており、全く心当たりが無い主人公が誘拐にされるに至った理由を突き止めるのがメインテーマとなる。それとサイコロジカル・ホラーと名乗っているが、どういう風な特徴をそう呼んでいるのかはまだ不明。

 このデモで体験出来る古い屋敷からゲームはスタートし、それ以外に洞窟や森林など全部で五つのロケーションが用意されている。プレイ時間は初回で4〜5時間程度を想定。プレイヤーの行動によってダイナミックにゲーム世界が変化するというのを特徴として挙げているが、マップ構造自体が変化するのか、アイテム関連の出現位置が変化する方式なのか定かではない。

 敵はモンスター系と野生動物の二本立てで、マップによって出現タイプが異なる。この敵に関しては出現にランダム要素が採用されており、スクリプト以外の出現はプレイヤー側から予測が出来ない様にされている。

 ゲーム内の半分以上のオブジェクトにインタラクトする事が可能。引き出し類は個別に全段を開けられる物が多く、他にはライターで蝋燭に火を点けたり、レコードプレイヤーを操作して音楽を再生したりも行える。また多くの物は持ってから回転させて調べたり出来る。

GAMEPLAY  このデモはゲームの最初のチャプターとなり全体の20%をプレイ出来る。1時間程度は遊べるのでボリュームとしては充分。しかしゲームの特徴がまだ全ては実装されておらず、誤解を招く恐れがある為にデモとしては適切ではないと感じられた。狙いとしてはゲーム世界の雰囲気を味わう&一部のシステム(パズルやアイテム探し)を先行して体験して貰う為に、幾つかの実装予定要素を省いたままで提供されている。例えば戦闘システムが実装されておらず、弾薬は拾えるが使う事が出来ないし、武器と思われるナイフやハンマーを入手しても装備されない。よってイベント時に敵を見たりは出来るが実際の戦闘は発生しない(もしかしたらこのパートでは戦闘が発生しないという設定の可能性もあるが)。この「要素を大幅にカットしたデモ」である件は一応記してあるのだが、プレイヤーの勘違いを防ぐにはもっとハッキリと訴えておくべきであろう。


・キーアサイン不可, マウス感度設定不可, 明るさ調整不可
・操作キーは起動時に一覧が出る
・難易度設定は無し
・メニューに「ロード」は存在するが、このデモではセーブはされない様に見える(セーブされているのか未検証)

・一人称視点固定
・フラッシュライトは無制限に使える
・ヘルスはアイテム回復方式


 インタラクト可能な場所ではアイコンが変化するので解り易い。所々に登場する錠開けパズルは、差し込んだピンを180度の範囲内のどこかに動かしてからADの左右キーで動くのか反応を探り、それによって位置を調整していくという方式(Skyrim風)で、総当たりでも解けるので難しくは無い。

 アイテムは持って回転させて調べられるが、このデモでは特にそれが必要という風にはなっていない。アイテムを保管するインベントリーシステムは今後導入されるのか何とも言えない。インベントリーに追加されたというメッセージは出るが、何を持っているのか確認する画面は無いし、使用時は自動的に適用される。なお重要なアイテムだけは画面上に数が表示されている。

 スプリントは可能だが二秒位しか続かず、屋敷が広いだけに移動速度の遅さは気になった。この仕様では追って来る敵から逃げるというシステムは無さそうである。何かに隠れてやり過ごすとかになるのではないか。


 このデモでは台所の扉を開く為の5本のピンを探し出すのが目的となるが、屋敷が予想外に広くて探索すべき箇所はかなり多い。多数の箱を開く為の鍵を探しに屋敷の最深部辺りまで行って、その後また戻って来たりも必要なので内部構造を憶えておくのも大事となる。初回は開かなかったドアがイベント後に開いたりもするので、徹底して探し回らないとならない。なおピンの有る場所はヒントを記した紙が途中で見付かるが、ひょっとするとこのヒント文書自体がランダム生成の可能性もある(ピンの配置決定後にそれに合わせて書き換えられているの意味)。

 屋敷内で見付かる幾つかの文書(情報)や、何等かの儀式らしき跡など、これだけではまだ良く判らないがストーリー設定は単純な物では無いようだ。屋敷内部の不気味な雰囲気はなかなか良く出来ており、時折発生するホラーイベントの中には面白い設定の物もある。ただしどうもここでは失敗という概念が無いらしく、決して死なないのでその意味では怖さが減退している。敵の出現のさせ方はそれ程怖くなく、戦闘や逃走モードにもならないので、このデモだけでは戦闘時の恐怖感の程度は何とも計れない。

GRAPHICS
&
SOUND
 ランチャーでのクオリティ設定は四段階。特別に綺麗という印象ではないが、内部の作り込みはインディーズ会社のゲームとしては細かく丁寧な部類。当時のチラシやポスターなども多く使われており雰囲気を出すのに一役買っている。戦闘など未実装の要素はあるものの、先行してゲームの雰囲気を味わって貰いたくてデモを公開しているそうだが、そのクオリティの高さは確かにこれなら「早目に公開して注目度を上げておきたい」と考えるのも肯けるレベルにある。予算の少ないインディーズではグラフィックスはそこそこと割り切っている所も多いが、このゲームではリアリティの感じられるグラフィックスにこだわっており、他のロケーションについても期待が出来そうだ。

 サウンドでは各所に有るレコードプレイヤーで曲が聴けるのが印象的だった。音数は少ないが時々ドキッとさせるような嫌なノイズの効果音が使われていたりする。ただモンスターの声はあまり良くない。

感  想  今回のバージョンには多数のバグなども見当たらないし、これだけでもアイテム探し重視のホラーアドベンチャーとして成立はしている(そういうゲームだと偽ってプレイさせても違和感は無い)。そしてインディーズ系ホラーに多い、配置オブジェクト少ない, モデリング粗い, 安っぽい, それ等を隠す為にとにかく暗い、といった感じも無く、技術力などは高そうと思わせるレベルにある。

  だが何しろ戦闘パートが省かれているので、これだけでは評価や方向性の予測は付け難い。限られた弾薬を維持しながら戦闘するというクラシックなサバイバルホラーがむしろ今は減少傾向にある為、ここは個性を出すという面でも重要となるが、銃撃感, 武器の種類, 武器のモデリングとアニメーション, 弾薬の量, 敵の動きやAI等、上手く作らないとならない項目が多いので心配でもある。(若干別のマップでのSSが公開されてはいる)。

 興味を持ったとしても戦闘を重視する人は、それが実装されたデモバージョンが出るまでは待った方が良いだろう。アドベンチャーゲームや非戦闘ホラーが好きな方は現行バージョンでも楽しめると思う。

 現在の完成度: デモはプリアルファとされているが、コメントでは70%完成しているとも言っている。ただどの程度を(プリ)アルファと呼ぶのかには厳密な基準が無いので、%提示の方が信用出来そうである。しかしそうなるともう大分出来上がっている事になり、今回の実装要素をカットしている点には疑問符が付く...。と言う訳で現在の完成度はハッキリしない。

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