☆ THE KINGMAN PROJECT ☆

15/08/08 更新 目次          HOME
製作/販売 Pixel-Eater       公式サイト      DESURA      INDIE DB
配布状況  2014/05/02にリリースされた Alpha V1.0 が最新バージョン。

 更新頻度: 長期間更新されていない

 indiegogoに登録されているが金が集まる前に終了しており、開催されたのかその前にキャンセルされたのかも判らない。


 ゲームの有料版はDesuraにてアルファファンディング(早期アクセス)として$4.99で販売されている。発売と同時期に無料版のデモもリリースされた。その後Desuraの製品版の方はアップデートされていないのだが、デモ版の方は2014/07/24に Alpha Demo 1.5 がリリースされている。これは製品版に適用される予定の一部機能を新規搭載しているが、内容の方は修正する時間が無いので手付かずという奇妙な形態で配布されている。具体的にはグラフィックス等のオプションを設定出来る機能を新規追加しているが、ゲーム内におけるI/Fシステムなどは初代デモのままである。ここでのレビューに使用しているのは有料の早期アクセス版の方になる。

 デモ版はIndie DBの物は既に消されてしまっているがGamejoltにはまだ残されている。

概  要  アメリカのPixel-Eater氏によるプロジェクト。別の人の名前がクレジットされているケースもあるが、最初はネット上で知り合ったメンバー3人で作り始めたのだが、他は辞めてしまって現在は一人で作っているという話である。

 私は主にDesuraにて、発売して短期間しか経過していないのに大幅値引きされていたりするゲーム、おそらくもうこのままでは売れないと判断されて投げ売りされているらしき物を、その内消えて無くなるのでは?という興味本位で購入したりする事があるのだがこれもその中の一本。数ヶ月間ずっと66%オフのままで売られており更新も無し。デモをやってみて極端に酷くは無かったので購入してみた次第。


 ストーリーは詳細な説明が無い為に良く解らない。ゲーム内に2198年という記載が在るので相当な未来だが、テクノロジー的には現代と変わらない感じなので、文明を捨てて地下世界に住んでいるという設定なのだと考えられる。

 主人公は地下世界に住んでいる人間だが、自分達よりも更に下層に住んでいる人間が存在しているという伝説とも実話とも言えない噂を聞かされて育っていた。それから20年後、彼は修理工として生活していたが、ある日施設の修理中に地盤が崩れて下層へと落下してしまう。気が付いた時には見た事も無い様なエリアにおり、彼は昔から聞かされていた地下世界が現実だった事を知る。同時に昔聞かされたその世界の話が正しいのなら、それは即刻ここから脱出しないとならない事を意味していた。

動作環境
  必要環境 推奨環境
CPU Pentium III 1Ghz -
MEMORY 512MB -
VIDEO - -
SOUND - -
対応OS  2000 / XP / Vista / Windows 7
DirectX 9.0c以上要


 FPSCにて制作されており、特有の問題はサポート頁を参照。

 デモ版の方には上記サポートにて言及している msvcp71.dll msvcr71.dll が入っていない。実行ファイル(TKP ALPHA DEMO 1.5.exe)の存在するフォルダは \The Kingaman Project Alpha DEMO 1.5\Data なのでそこに入れる必要がある。

 このゲームではセーブ機能がほぼ働かない様で、マップの先頭でセーブしたデータでも読み込めなかった。それ程長くはないので、途中で止めずに一気に最後までプレイする事をお勧めする。

BASICS  早期アクセス版はマップ3個の構成で、且つマップの構造や内容が無料デモ版とは異なっている。デモ版は早期アクセス版とは違う独自のマップが一個含まれているのみ。またゲーム内の操作システムなども一部異なる。よって無料版で体験する事は一応出来るが、実際の早期アクセス版とはシステム自体にも違いがある事を留意しておかないとならない。

 画面の印象などはPenumbraに似ており、実際に強い影響を受けているそうだ。


 制作にはFPS Creatorが使われている。これはプログラミングの知識が無くてもFPSを制作可能といういわゆるFPSツクールに当たる物。既にバージョンアップが停止されており、新たな製品(Gameguru)に開発は切り替わっている。ツクール系なだけに複雑な事は行えず、外部スクリプトを制作して組み合わせる事は可能だが、そもそもそんな能力があるならUnityやUDKを使えば良いという感じで、アマチュアのゲーム界においても制作使用例はあまり見掛けない。有志が機能を拡張するスクリプトを配布しており、それらをまとめた定番ツールが存在するそうで、このゲームでもそれを利用している。更に自身である程度新規追加プログラムも制作している。


・キーアサイン不可, マウス感度設定不可, 明るさ調整不可, サウンドボリューム調整不可
・難易度設定無し
・字幕は無し

 デモ版の方では操作キーの設定&グラフィックス項目の設定が可能である。


*一人称視点固定
*インベントリー画面は無し(制作中の段階で未登載)
*照準無し。干渉可能な箇所にはアイコンが出る。
*スプリント, ジャンプ, 屈み, 左右へのリーンが可能
*UseはFキー

GAMEPLAY  断定は出来ないが攻撃手段を持たない逃走型のホラーゲーム。レンチが入手出来るがオブジェクトを壊すのに使うアイテムらしく、敵とこれで戦ったりする要素は無いと思われる。敵から追われたら逃げるか、何からの手段でかわすしか無い。

 ゲームはパズルを解いたりルートを探したりして先へと進めて行く方式。インベントリー画面は制作段階の物が動画として公開されているが未登載であり、多数のアイテムを集めてそれ等をどこで使うのか考えるという風には現段階ではなっていない。だがおそらくその類のゲーム性だと考えられる。進行に関しては残されたメッセージや日記にヒントが書かれている事が多い。

 Penumbraに似ているという事で物理パズルを期待したのだが、使用しているエンジンの限界なのかRMBで一部のオブジェクトを持てるのみとシンプル。また対象外となっているオブジェクトが大半でそれ等は全く動かせないし、動かせる物の場合でも宙に浮いてしまったりと演算性能には疑問符が付く。よって単純にオブジェクト類を押して移動させたり、周囲の箱を積み上げたりする位で簡単過ぎるし、今となっては見慣れてしまっているのでまるで面白味が無い。ドアの開閉なども掴んでマウスで動かしてではなく普通にUseで行われる。


 パズルのクオリティに関しては良いとは言えず、とりあえず移動して鍵などを見付けてていれば進められるという感じ。ただしそれまで何も無かった場所にイベント後にアイテムが出現する, 特にイベントは起こらないのに戻るとドアが開いている, イベントの後でないと見えているのにそれを取れない、等があって若干判り難い面を持つ。他にはレベル2で使用する暗証番号がレベル3で入手出来る(戻れない)など、レベルの構成もまだ制作途中なのかと思わせる箇所あり。

 FPSCのゲームでは定番の配線パズルも含まれているがこれも詰まらない(HJKのキーを順番に押して指定された通りに左右の配線を結び付けるだけ)。なお最後のレベルの終盤で鍵の掛かったドアが有り、別の場所で鍵が入手出来るのだがそれでは開かない。その先が次のレベルなので開かないのか、それとも私が間違っているのか解らず。いずれにしろ総合的に現段階ではパズルの面白さで魅せるには力不足と言わざるを得ない。


 内部のデザインには独自制作のテクスチャーや3Dモデルはほとんど使われていないと思われ、全体的に暗くて単調で綺麗では無い。確かにPenumbraに見た目の雰囲気は似ているが、それは同時に2007年発売のPenumbraと同レベルかそれ以下程度のグラフィックスでしかないという事も意味する。パズルが面白いのならグラフィックスはこの程度でも構わないと思うが、肝心のパズルがアレなだけによりグラフィックス面がゲームとしてのショボさを強調してしまっている。

 終盤まではほぼ淡々として進み、ホラーとして見た場合にはラストに出て来るモンスターの一発勝負という感じだが、ここだけは驚かせるのに成功している。オリジナルのモデルなのか不明だがモンスターの動きが気持ち悪いのと、追って来る音が3Dサウンドで背後から聞こえる点も効果的。ただこれを連続して続けても効果は薄く、この先を作り込むに当たっては新しい怖がらせ方が要求されるだろう。

GRAPHICS
&
SOUND
 早期アクセス版ではグラフィックスの設定が出来ない。だが設定可能なデモ版の方で最高にしても低クオリティなのは変わらず。10年前のレベルと言っても過言ではない。モデリングは難しい技術なので個人でやるならテクスチャーの質を上げるとかになるのだろうが、エンジンのメモリ使用効率が悪いので高クオリティの物は使い辛いという問題あり。

 3Dサウンドに対応。効果音系のサウンドは何故かかなり小さい(バグか?)。BGMは普通のボリュームなので調整が困難。

感  想  Penumbraに見た目が似ており、またそれ風のゲーム性を目指しているという点に興味を惹かれたが、現バージョンのクオリティでは目標に遠く及んでいない。

 FPSCで制作されているゲームのコメント欄には、「なんでこんなゴミツールを使うの? UnityやUDKを使うべき。」といった非難やアドバイスを良く見かけるが、このゲームも例外では無い。それに対しては「UnityやUDKを使うには勉強の為の時間が掛かり過ぎるから」と答えている(過去にはもしかしたらUnityに切り替えるかもしれないと言ってはいる)。しかしセーブがまともに機能しないというエンジン自体の問題や、FPSCはWindows8との相性が悪いといった解決不能な難題もあり、今後の開発には厄介事が多い状況である。


 開発が更新されない状態が長く続いているが、好意的にとるなら上記の様なエンジン固有の修正不可能な問題の大きさから、これでは続行は不可能と判断してUnityやGameguruへの移行を検討中で、その為の勉強に時間が掛かっているので更新されていない。だが可能性としては、途中までは何とか作ってはみたもののバグだらけで最早どうしようもなくなっているとか、全く売れずに資金難で放置状態という方がずっと高そう。


 現在の完成度: せいぜい2割程度しか出来ていないのではないか。

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