☆ LORN ☆

17/12/18 更新 目次          HOME
製作/販売 TeamKill Studio             公式サイト         STEAM
配布状況  2017/10/20にリリースされた Alpha Build (3.17GB) が最新バージョン。Kickstarterの頁からダウンロード可能。

 更新頻度: 初回リリース

 Steam GreenlightにエントリーしてGreenlit経由でストアに出ている。

 Kickstarterでは$40,000の目標に対して1%にも満たずに途中キャンセルされている。

概  要  TeamKill Studioはフロリダ州のインディーズ会社でこれがデビュー作。主催のMicah Jones氏の兄弟で構成されており4名体制(全員かは不明)。

 リリースは2018/06予定。価格は$29.99程度を想定しているとある。プラットフォームは現時点ではPC, Xbox Oneがアナウンスされている。


 舞台は中世風のファンタジー世界。主人公のVossはLorn国の王に仕える側近の一人である。妄信的に国民に崇拝される王であったが、治療も及ばずに死期が近い病に伏せていた。しかし病死の直前に“ある種族”によって助けられる。空からやって来たとされる彼等は王に対して取引を申し出るが、それは永遠の命を授ける代わりに“The Heart of God”と呼ばれるアーティファクトに多数の人間の魂を吸収させるという物であった。

 その条件を飲んだ王は自らの欲望の為に国民の大虐殺を始める。その手から逃れていたVossは隙を突いてアーティファクトを盗み出し、誰も踏み込まない危険なダンジョンへと身を隠す。彼はダンジョン内で生き抜くと共に、ある種族の正体を探って行く事になる。

動作環境
  必要環境 推奨環境
OS Windows 7/8/10 (64-bit) -
CPU Intel Core i3-530, AMD A6 6400K -
MEMORY 4GB -
VIDEO Geforce GTX 260 / Radeon HD 4870 -
SOUND DirectX 互換 同左

DirectX 10以上要

 公式サイトに掲示板などは無いのでトラブル情報などは特に見当たらない状況。

BASICS  フレーズとしては“first-person fantasy-horror”と題されており、ジャンプスケアに頼らない雰囲気を重視した真のホラーというふれ込み。危険な暗黒のダンジョン内で徘徊する敵からステルスにて逃げるというのがメインのゲーム性となる。

 しかし実際にプレイしてみるとそのイメージとは異なっており、ホラーと言うよりもアクションアドベンチャーという方が適切であろう。少なくとも現時点では敵は造形的には怖さを感じないし(改善するそうだが)、追われる怖さというのもそれほどではない(後述)。上手くモンスターから隠れながら探索するという風味が強く、ホラー要素は控え目という感想。ダンジョンの中は暗くて敵も襲って来るので確かに怖い場所とは言えるが、それだと多くのRPGもホラーとなってしまう。この辺りのホラーゲームという宣伝からそれに期待したプレイヤーがデモに違和感を抱き、低評価を受けたのがKickstarterの失敗の大きな要因ではないかと想像している。

 なお制作側も今回のクラウドファンディングの完全な失敗とユーザーからのフィードバックを受けて今後はゲーム性を変えていくとコメントしており、ホラー要素を薄めてアクションアドベンチャー寄りにして行くという方向性の様だ。個人的にも競争の激しいホラージャンルよりはその方が良いと思う。具体的にはこれまでは限定的に使えるというデザインだった武器による戦闘要素の大幅な増加(新しいトレーラーでは剣を持っている所が覗える)。ただし全面的に戦闘で敵を倒せる様にするのか、非常に難しいのでステルス推奨というケースを混ぜて行くのか、その辺は現在検討中だそうだ。


・キーアサイン不可×, マウス感度設定不可×, 明るさ調整不可×, サウンドボリューム調整不可×
・難易度設定無し
・字幕有り
・チェックポイントセーブ

*一人称視点固定, FOV調整機能無し
*インベントリー画面無し
*照準有り, マウス反転○
*スプリント○, 屈み○, ジャンプ○
*コントローラー対応
*現在のオブジェクティブ表示機能無し

GAMEPLAY  今回のアルファ版は結構なボリュームがあり、探索してテキストを読みながらなら1時間程度はプレイ出来ると思う。「これだけでは評価のしようがない」という位に短いデモ版が目に付く中で、この長さはとりあえず評価が出来る点である。

 構成は一般的な探索ゲームと同様で、最初のエリアにアイテムを左右に置く装置が有るので、左右に延びる両エリアを探索してアイテムを入手してくる(順番は自由)。それぞれのエリアではアイテムの有る場所が閉まっており、別の場所に在るスイッチを見付けて押してからやって来ないとならない。二つのアイテムをセットすると新たな扉が開き、そこからはゴール地点に向けてまた探索が始まるという風に進む。ダンジョンは構造的にはかなり枝道が多く、特に片方のエリアは迷路の様になっていて進行方向の判別が難しい。枝道の先にはアイテム類が置いてあったりする。

 ストーリーを重視しているという話だが、これは壁に残された文字や死体に触れるとボイスと共に表示される文字を読んで理解していくという方式。死体の残したメモを拾っているのでは無く、思念を読み取っている様にも感じられるが良く解らない。


 恐ろしい雰囲気のダンジョンによって恐怖感を生み出すという狙いについては一部成功している。しかし開始当初は確かに雰囲気も良いのだが、長さの割には素材の使い回しにより風景に変化が少ない為に徐々に効果が薄れて来てしまう。初期段階のデモなのでマップ内の素材作り用の費用が無いという事なのだろうが、それ故に最後まで怖いゲームという印象を与えるには至っていない。

 風景が似ているので迷い易いというのは欠点。迷路を使ったホラーゲームというのは割と多いが少なくとも私の好みでは無い。なおピストン状に上下動する巨大な柱を避けるといった回避アクションが用意されている場所も有るがそれ自体には難しさはあまり無し。

 アイテムとしてはロックピックが落ちており、これを使って鍵の場所をこじ開けられるが手に入る数の割には開けられる場所が少ない。使い切りで一つ開ける度に消費するが残り数は判らない仕様。鍵の部分にカーソルを当てるとその場で残り数が表示される。

 灯りのアイテムとしてはトーチが用意されているが、これは灯していると敵に発見され易くなるのでしまうと消せる。だが再度点灯するには炎が燃えている場所でUseしないとならない。それとこれは振り回して攻撃用にも使える。なお序盤にてトーチを入手しなくても先に進めてしまうのは修正した方が良いだろう。


 モンスターに関してもプレイヤーに恐怖感を与えることを最重視はしていない。恐怖優先ならば徹底してプレイヤーを追って来る&逃げるのが困難というスタイルの方が有効だが、Lornではステルスを使う事で回避も可能という設定。特徴は回避する為の対応方法がモンスターによって異なるという点で、それがどういう仕組みなのかを発見する為の謎解きを重視というアクションアドベンチャー的なデザインとなっている。このデモには三種類登場するが、視覚で探知する物だけではなくて音だけでこちらを感知するタイプとかも用意されている。

 敵に接近すると心音で知らせてくれたりもするのだがこれは特定の敵限定の模様。屈みでステルスモードとなり気が付かれ難くなる様だが、左右へのリーンは幅が狭くて位置合わせがやり辛い。ズーム視点もあるのだが非常に視界が明るくなる設定で意味合いが良く解らなかった。それでも回避方法さえ解ればそれほど敵を避けるのは難しくないバランスにされている。

 トーチで殴って倒せるタイプも居るので戦闘も一部可能とステルス一辺倒では無い。全てやろうと思えば倒せるのかは検証していないが、倒せたのは一種類のみであった。反対にこちらは捕まったら終わりでは無く、打撃攻撃に数回は耐えられる設定。その間に上手くすれば逃げられる。回復は箱を壊して出て来るジャガ芋?となり、これは持ち運べないので随時そこから探さないとならない。ダメージが多いとかなり視界が変になるので治したいのだが、それほどジャガ芋は見付からないので厄介な事になる。これは携帯式でも良いのではないかと思える。

 敵のAIはまだ未完成という印象で、特定の場所から動かなくなってしまいこちらとしても動きようが無いという状況も発生してした(正常ならばこちらを見失うとどこかに行ってしまう)。そうなるとわざと見付かって追い掛けさせて位置をズラすとかを考えないとならない。(これは改善される予定)。

 それとトラップによるダメージを敵は受けない為に誘い込んで倒すという方法が使えないのだが、これは使える様にした方が面白いと思う(一時的にスタンさせられる等)。トラップを避けながら敵から逃げるという状況になると難易度が増してしまうので、その際には対策を見付けないと厳しい。


 チェックポイントの間隔は比較的短め。親切な仕様ではあるが、これが死によるやり直しのプレッシャーを大きく軽減している感も否めない。しかし復活時でも周囲の状況はそのままなので困った事態にも遭遇する。敵の位置がそのままの為に、リスポーン地点の近くで殺されてしまうと復活時にすぐそばに敵が居るという事態に。そうなると死亡覚悟で敵を遠くへと引き連れていって位置移動をさせてから再度復活といった具合にしないとならない。


 その他にも初回版だけあって粗はまだ多い。

・拾えるアイテムは白くハイライトされるが小さくて判り辛い事も
・壊せる箱が有って中にアイテムが入っている可能性があるのだが、破片が大量に出るのでアイテムがそれに埋まってしまう
・屈んだ状態が解除されなくなるバグあり
・テキスト類は長い上にその場でしか読めないのでテンポが悪くなる(後に自由に参照出来る方が良い)
・トーチのスイングが不自然で実際に振っている様に感じられない(速くて重量感が無い)

GRAPHICS
&
SOUND
 Unreal Engine 4を使用。クオリティのプリセットは無し。個別設定項目は有り。

 上で書いた様にグラフィックスは悪くないが、同じ風景やオブジェクト(主に死体)が繰り返されるのでマイナスになっている。敵の造形やアニメーションは全部修正するそうなので評価は保留。


 3Dサウンド対応。ボイス有り。BGMは重低音がずっと鳴っている様な感じなのが特徴。全体的に音数が足りない様な印象で、まだサウンドにまで手が回っていないのかもしれない。

感  想  アクションアドベンチャー寄りへと軌道修正をした模様だが、ホラー要素はダンジョンの雰囲気的な方j面に注力して、多くのモンスターとは戦えるという設定でも構わないだろう。競争が激しい純粋なホラーゲームよりも、戦闘も可能にした方が売れるチャンスも有りそうである。

 このアルファ版自体はボリュームが有るのは良いのだが、その反面冗長でもありもうちょっと水増し的なマップサイズを調整した方が良かった。敵の造形や追い掛けも(プロトタイプの為に)怖さは少ないので、ホラーゲームを求めている方には受けないと思う。一人称視点でダンジョン探索をするアクションアドベンチャーをやりたいという方向け。ただしポテンシャルは感じさせるが現バージョンはそれほど出来映えは良くないので、あるかは判らないがバージョンアップを待ってからでも良さそう。


 現在の完成度: 内容改善の為に作り直しているらしいので、予定よりも大きく遅れてしまう恐れもある。

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